毛糸玉で「冬支度」、 リボンも舞うキュートなクリスマス煉切
まずはあんころりんの本(ソニー・マガジンズ刊)のおしらせから。
『東京 いとしの和菓子』は
紀伊国屋書店ほか全国書店で
ネットではAmazon・
……東京の和菓子めぐりのお供に一冊。
さて、上記の本でも好評を博する、
本郷『壷屋総本店』の「デセール」。
380年以上も続く“江戸根元菓子屋”が焼くビスキュイです。
そして、本来はお得意の上生菓子、こっちにもキュートなセンスが・・・
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・・・センスが爆発しています。
湯島天満宮もほど近い『壷屋総本店』。現在のご主人は18代目。
店内には貴重な資料やお宝が至ってフツーに掲げてある。
12月初旬の「初雪」薄い雪は氷餅で表現
そして!ガラスケース内はチャーミングなお菓子でいっぱい。
明治から変わらぬレシピの「デセール」や「フラワー」だけでなく
バターを使わない和風ビスケット「松葉」もすこぶる美味。
とりわけ、折々、こまめに変わる季節生菓子は要チェックです。
「壺最中」「壺形最中」などが一番人気の壷屋は、
江戸時代、寛永年間(1424〜44年)創業の
江戸根元菓子屋、つまり江戸の町民が始めた菓子屋では最も古い店。
最中は江戸からの伝統製法を守り。
お店で注文してから1つずつあんを皮に詰めてくれるし、
砂糖など材料配合だって往時のまま、
これぞ江戸・東京の味わいであります。
帰省時やあらたまった訪問には絶好の手みやげとなるはず。
年末年始は話題を広げるエピソードも重要なファクターですからね。
壺形最中、壺壺最中、壺最中の三種類 右:デセール
ところで
いかにも、といった木の引き戸も渋〜い店構えですが、
じつは昭和に建てたもの。
本郷へは戦後移ったのです。
創業したのは九段周辺(旧飯田町中坂)で、
その後、神谷町(旧西久保)でも営んでいた。
そう、この西久保の店(播磨大掾)のご贔屓こそ
篤姫人気で注目度上昇の勝海舟その人。
神谷町は江戸城(皇居の場所)登城の道すがらです。
明治維新の際、幕府方の御用菓子司だった壺屋は、
二君には仕えずと忠義立てて店じまい。
その再開を促し看板(焼失)まで書いてくれた。
「デセール」も煉切のサンタも、
今あるのは勝先生のおかげと思えば、
にわかに親近感が増すではありませんか。
サンタですが煉切
店内に掲げた「神逸気旺」の書も勝海舟自筆。
江戸っ子気質の先生が達筆でしたためる様子が目に浮かびます。
「かみいつにしてきさかん」と読み
神に頼らず気力をもってイケ、という意味だそう。
漢文は常識、単にガンバレ!とか書かない江戸の武士。
右上額の書が「神逸気旺=かみいつにしてきさかん」by勝海舟
そして2008年、
すんごくキュートな毛糸玉にだって「冬支度」という銘がある。
12月初旬の茶席用上生菓子のことです。
赤い毛糸玉が白い糸をまとう可愛らしさったらありません。
壷屋店内レイアウトでは「神逸気旺」の手前に上生菓子が並ぶ。
当方も気力まんまんとばかりに、
紅葉を映した菓子「初雪」と「鹿の子」と共に連れ帰りました。
とても美しくとてもおいしい「鹿の子」
その次に
12月2週目、とある取材で訪れるとお菓子はすでに様変わり
きゃあ、クリスマスツリーだ〜、プレゼントだ〜。
眺めるほどに四種のどれも欠かすことが出来ません。
なのでそっくりお持ち帰り。
「プレゼント」も煉切に繊細なクリスマス模様、中はこしあん
ツリーにサンタ、プレゼントに雪化粧のお星さま。
見慣れたキャラも煉切やそぼろきんとんでこしらえると、
めっぽう可愛い♪
老若共に女子なら、小さきものは愛でたくなる。
我が家に数名いる昔の乙女たちだって、目がキラキラ〜。
壷屋ではいまも毎日お茶席用生菓子をご主人自らが届けています。
はなから、そういった上生菓子がメインの御菓子司、
その質の高さは言うまでもない。
出来たてはとくにオススメで、
なめらかな甘さは細胞のすみずみまで沁みわたり、あとはスッキリ。
発作的にここの上生菓子を欲します。あぶね〜。
材料などに目新しさはないけれど、じっくりと丹精した味わい。
なんてったて、可愛らしさがたまらんのよ。
年末には絵馬形や干支の生菓子をこしらえるそう。
我が家のお年賀の品は「壺形最中」と「デセール」に決定。
今年のシメは『壷屋総本店』だなあ。
…さほどは…篤姫見てなかったけど。
●過去の壺屋総本店の記事
●オススメとお知らせ
★『文京のお菓子』★
壺屋から徒歩15分ほどの「文京ふるさと歴史館」。
で購入できる刊行物。
壺屋総本店を初めとする文京区の和菓子屋を網羅してます。
入念な調査をわかりやすく解説した内容で300円はお買い得。
拙著を参考資料に挙げて下さったのが縁で拝読しました。
じっくり楽しめます。
文京ふるさと歴史館友の会 地域調査班・編
ソバリエ認定委員のほしひかるさんも参加
★12月30日の放送予定★
我ながらビックリ、再びJ-WAVEでお話させて頂く予定。
前回同様、
J-WAVE(81.3FM)「BOOMTOWN」11時10分頃のコーナーです。
必ずやタイムリーな内容になるはずで
この記事を読んで放送を聴かれると楽しさ倍増です。
しかし年末押し迫って生出演とは…すでにユウウツ…。
どうか、アガらないよう念を送って下さ〜い。
お店データ
●壺屋総本店
文京区本郷3-42-8
※朗報です、元旦を除き年末年始は(28日も)営業!
和菓子屋さんの鑑♪
●お菓子データ
・壺形最中(粒あん、こしあん)1個160円、箱入5個960円
最中皮(糯米)白双糖 十勝小豆 水飴 塩
・上生菓子各種一個270円
冬の銘:冬支度(煉切に白煉切、こしあん)、初雪(煉切、氷餅、こしあん)
クリスマスの銘:
クリスマスツリー、ホワイトクリスマス、プレゼント、サンタクロース(煉切に中はこしあん)
・鹿の子260円(大納言、こしあん、求肥)
・デセール(欧風ビスケット)一袋450円
砂糖(グラニュー糖) 小麦粉 玉子 膨張剤 バター 食塩 香料 レーズン チェリー オレンジピール 白ごま ココア 一袋190g入り 賞味は1ヶ月位 ※青のり入りも
・フラワー(欧風ビスケット)一袋450円(今回はご協力頂き感謝です♪)
砂糖(グラニュー糖) 小麦粉 玉子 膨張剤 バター 食塩 香料
フラワー
★私蔵版【壷屋総本店の最中】
元旦以外は営業するうえに賞味期限4日
帰省時や御年始に絶好の品かと…。
【屋号】
江戸時代は貴重品だった白砂糖、
御菓子司を名乗る店だけがその使用を許されていた。
その象徴とも言える砂糖“壺”が屋号の由来。
江戸中期には壺屋出羽掾(でわのじょう)、播磨大掾の称号を授与された。
【皮】
現在も江戸時代からの製法を受け継ぐここの最中、
パリっとした皮は厳選した糯米だけで作り、あごの裏にくっつくこともない
うるち米などが混入するとそうはいかないという。
【あん】
上質の白双糖(しろざらとう:最も高純度の砂糖、上菓子で頻用)と
十勝産小豆で炊くあんも、昔から割合は一切変えず、
吟味した素材でひたすら丁寧に時間をかけて作る
だからしっかり甘いけれど、なめらかで後味がとてもイイ。
コクがあってキレがイイとはこの最中。
【詰める】
注文を受けてから仕上げに店の奥であんを詰める、まさに出来たての味。
数が必要な際は電話予約が賢明、でないと当然待たされます。
パリパリも美味だし、皮にほどよく馴染んだところが壺屋オススメ。
【種類】
小さい「壺壺最中」は江戸末期からの看板商品でこしあんだけ。
昔は型がないので○に一筆加えただけで壺を表すミニマルアート。
主に茶席で使うため個別包装はしていない。
「壺最中」は包装され、粒とこしあんあり。
「壺形最中」は昭和戦後のオリジナル。
どちらも焦がし皮が粒あん、白皮がこしあん。
☆☆あらためてご案内☆☆
はじめて読まれた方のためにも、
“あんころりんの本”出版の詳細です。
表紙(帯別)です♪
今年の9月より全国書店にて好評発売中。
「ソニー・マガジンズ」刊、定価1680円(税込) A5判144P
各書店にて紀行、グルメ、菓子等のコーナーをお探し頂くかお店でおたずね下さい。
大型書店では概ね在庫しています。
「Amazon
カラー写真も美麗
“いますぐ行きたい東京の和菓子屋さん”を満載。
和菓子の楽しさを再発見する
小さな旅に出かけませんか。
読者の皆さまを筆頭に
全国の和菓子好き、甘党さん、散歩好きな方には
ぜひ読んで頂きたいと思います。
下町の和菓子めぐりに出かけたくなったら、
知られざる東京の味を探訪するならば
この本でご一緒に東京の和菓子めぐりをいたしましょう。
皆さま、何卒、ご購入の程よろしくお願いします。
ラベル:和菓子
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丁寧な仕事ぶりがお菓子から伝わってきますよね
練切に比べて店頭に並ぶことは少ない様ですが、ここの「こなし」菓子はかなり美味しかったのを覚えています
仲野欣子さん著の「食いねえ「あんこ菓子」―江戸ッ子の腕まくり」でここの薯蕷饅頭の話が出てきますが、20個からの予約注文なんですよね…
いつか食べてみたいものです。年末年始に扱ったりしませんかねぇ
おはようございます。
ホントにtaroさんは和菓子がお好きで詳しいのですね〜。ここの上生菓子は仰る通り!と思います。で、画像出すつもりで忘れちゃった春のお菓子を思い出しました。後付けしよう。仲野欣子さん著書の地獄話(笑)からは想像できない雰囲気ですよね〜。この時期柚子形のお菓子があったけれど薯蕷饅頭だったか煉切だったか。
クリスマスのお菓子も可愛らしくてステキ〜。こういうのを見せられると、クリスマスケーキもワクワクするけれど、それ以上の、というかまったく別次元の楽しみがあると感じますわ。
クラシックだけれど丁寧なお菓子なんです。よしよしイイコだからね(笑)19代目もいらっしゃるみたいだから、大丈夫よ。
>というかまったく別次元の楽しみがあると感じますわ。
そうですね。
きれいなクリスマス和菓子って、何となくトクした気分になるような、秘やかな楽しさがあるような。
「壷屋総本店」の最中、全国銘菓コーナーで見かけたことあるような気がします。有名どころだと田舎でも手に入るんですね。感激!
おはようございます。「ネリキリサンタ」響きも気に入ってます(笑)
>有名どころだと田舎でも手に入るんですね。感激!
がっかりさせる意地悪おやじみたいですが(ごめんなさい)、この本郷の壷屋さんの最中は店頭のみの販売で発送をしてないんですよ〜。
壺屋総本店は北海道にもあって、そちらも壺最中をが名物、おそらくそちらだと思うのです。でも私は北海道の壷屋さんのも食べてみたいな。
これも手作りなんですね。
びっくりです。
本当に今話題の勝先生ですね。
その時代からのごひいきとは話題性がありますね。筋が通ったグルメがおいしいと言っているのだったら間違いないですね。
本郷ですか。昔の職場の本部があったところですね。
仕事で歩いた時はいやだったのですが
こういうお店があるのでしたら
この界隈ものんびり歩いてみたいですね。
目の前、何回も歩いたことあるのにわかりませんでした。
文京区も素晴らしい。
意地悪おやじ(笑)なんてとんでもないですよ。その北海道の「壷屋総本店」と本郷のお店との関係は?
でも、その最中を今度見つけたら(北海道のでも)試してみますね♪
クリスマス和菓子可愛いですね〜☆
近くなら買いに行くのに〜
いつも温かいコメントありがとうございます。
あらためて、こちらの餡煉りの素晴らしさを実感しているこの頃、私も大人になったのかも(笑)
文京区は本当に奥の深いエリアです。機会があったらお散歩行きましょうね〜。
おそくなってすみません。
>その北海道の「壷屋総本店」と本郷のお店との関係は?
また良いポイント突いてますね〜笑。
のれん分けでなく知らずに同じ名を名乗っていたようです。本郷の壷屋総本店は江戸時代から使っていた屋号商号であり先代が商標登録してたので、使用権は本郷に。さすがに北海道壺屋の東京出店・出品は適わないようです。名前だけでもいろいろありますね。
次は新年の御菓子ですね、近かったらお持ちするのに。
北海道・旭川の壷屋総本店は東京・八重洲にあるアンテナショップで看板の洋菓子「き花」を販売しています。 あと、東京のデパートで開催される物産展でも結構出店しています。 ただ、他の北海道展に出店しているお店でもいえることなんですが和菓子の出品は少ないです。
北海道展でお客が求めているのは洋菓子か創作和菓子の類みたいです。
さーすが。情報ありがとうございます。
商標登録菓子以外は出てるんですね。
北海道って小豆の産地なのになあ、といつも思います。
それにしても、本郷の壺屋総本店の最中と羊羹のおいしさにはのけぞります。
ロクにこれといって取り柄のない自分ですが、勝海舟を敬愛することについては、日本では誰にも引けを取らない自負する男です。
「神逸気旺」の書を拝見かたがた、おいしい和菓子をいただきにまいります。
本当に立派な方の心は何世紀も生きるのですね。
はじめまして。
最初に、このブログの記事を書いているのは壷屋さんではありません。単なる和菓子屋さん好きによるものなのです。すみません。
壷屋さんのおいしいお菓子がいまも私たちの口に入るは勝海舟先生のおかげだ思いますけれど。