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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2009年01月29日

名古屋『川口屋』上生菓子
ジャブ,ストレート,フックというかんじ

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焼いたもち皮「女郎花」、こなし「稔り」中にはなんと…

あんころりんの本東京 いとしの和菓子』は
 紀伊国屋書店ほか全国書店やAmazon 等で好評発売中。
……和菓子を日々楽しんで頂く手引きにも…

さてさて
東京では素晴らしい各地方の和菓子に出会う機会も少なくない。
名古屋『川口屋』  は、
は知る人ぞ知る和菓子屋さんらしい・・・

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(↓小さな画像はすべてクリックで拡大できます♪)

…らしい、というのは茶の湯菓子のムックなどに
時折、季節のお菓子が紹介されていたが、
実際のところ、お菓子を頂く機会はなかったので。

詳しくはない名古屋のお菓子事情ですが
歴史的には江戸時代、名古屋城築城(1614年)の後
尾張藩において茶の湯文化が栄え、現在も上生菓子の質が高い土地柄のようです。
そう言えば、印象深いお菓子の『川村屋』も名古屋のお店。
ああ、屋号が似ているのでややこしい。

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「趣味の和菓子」。仰るとおりで

川口屋」の創業は元禄年間(1688〜1703)、
上がり羊羹で知られる創業1854年『美濃忠』よりもさらに古く
すでに300年以上の歴史ある老舗です。

昨秋の話で恐縮ですが、
新宿高島屋「銘菓百選」
その『川口屋』のお菓子が鳴り物入りで入荷した。

和菓子には珍しいことですが、
新聞折り込み広告にもばしっとカラー写真入りで告知。
そう、和菓子って表舞台にでるのは稀なのよ、しくしく。

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女郎花=おみなえし、間違ってもジョローバナでなく。秋の七草ですから 

広告効果なのか、一週間の販売期間中は売り切れ続出。
信頼の置ける売り場の方たちも本気で推薦、
期待は高まるばかりです。

しかし前評判の高さ、ある意味での先入観があると
冷静に味わうのって案外ムズカシイんですね〜。

ひとまずクールダウンしたみたいなので…って、何をえらそーに。
ま、これまで記事にもせずにいた自分への言い訳です。

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羽二重もちに雁が飛ぶ 

さておき
あらためて、五つのお菓子を見てみると構成がすばらしい。
お菓子好きには至れり尽くせり、の変化に富んだもの。
ひとつひとつに充分な手間ひまをかけ、
箱を開けたひとが楽しめるように、と
(遊び)心を込めて調製したように思えます。

大まかに五つの種類は
もち皮、道明寺、こなし、羽二重もち、きんとん…しかも芋煉り」。
どーです、和菓子が好きなら、
想像しただけでワクワクするような並びでしょ。
そして、繰り出されるのはジャブとフックの応酬、ってなかんじ。

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水溶きの餅粉を銅板で焼いたと思われます、クレープみたい? 

トップ画像の「女郎花」、
ステキな淡草色にパラリと黄のいら粉を散らしたさまは、
秋の野、背の高い小花イメージそのままです。

焼いたもち皮であんを包んだ、といえば、
関東の桜餅をイメージする方も多いのでは?
あのクレープ風桜餅は水溶きした小麦粉や上新粉を焼くのが一般的。
例えば「長命寺桜餅」は小麦粉ベースの焼き皮です。

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こちらは東京「空也」の桜餅 

女郎花」の焼いたもち皮は、餅粉を使い
見た目のとおりにふくらみのある食べ心地が大納言粒あんにぴったり。
口あたりもはるかにもっちり、深みがあります。

ふと、『空也』の桜餅を思わせました。
ちなみに「川口屋」の桜餅、焼き皮だそうです。

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「稔り」=みのり 栗あん見える?

次に
全体に落ち着いた色合いのなか、
やや唐突と思えるほど目を引くのは
濃いピンクと黄色を結んだ「稔り」、
鮮明なラインのフォルムは“こなし”ならでは。

芯にはぬぁんと!刻んだ栗も混ぜ込んだ栗あん
あんにコクがあるし、こなしもおいしい。
なので、貧乏くさい私はそれぞれに味わってみたい、とも思いました。
それにしてもこの色あわせ、特別な意味があるのでしょうか。

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三つめは
一見フツーに見える“きんとん”。
秋草」の銘にふさわしく、藤色と白に朝露のような錦玉
なんてま、錦玉の精緻なこと。直方体だ。

伊勢芋をベースとする芋煉りきんとんはすごおく好みですが、
これまた烈しく驚かされました。
なんと芯は道明寺、どーみょーじ!しかもシソ入り

発想としては“おはぎ”=萩じゃん。
京都「松楽」のおはぎはよもぎ入り道明寺だったもの。)
これってダブルミーニング
すごい、すばらしい、効く〜。

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芋煉りきんとんに紫蘇入り道明寺

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ことしゃほーねん♪「豊年」

そして四つめ
道明寺のお餅もこしらえています。
黄金色の俵「豊年」は道明寺、といっても八分搗きほどでしょうか。

関西風桜餅などに見られる粒々感は薄く
モチモチの皮は稲穂の焼印がきれいに入るほどなめらか。
芯の備中白小豆のねっとりした小倉あんは黄みがかった色です。

どんじりは「家路
冬鳥の訪れを「家路」とは。ステキではありませんか。
黒いこしあんを巻いた白い羽二重もちに雁の焼印。
まんべんなく散らした氷餅も晩秋っぽいなあ。

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「家路」…わーたりーどーりー雁雁♪byHIS

羽二重餅はとてもおいしいうえに
またまた、楽しませる仕掛け入り。
ほのかに黒糖っぽいこしあんの中、さらに栗あんをしのばせている
こんな風にお餅焼き皮を巻く、というのは目を楽しませますね〜。

それにしても、名古屋から届けられたというのに
どれも細かな仕上げにブレがありません。
かといって、がちがちに固めてもいない。
不器用なワタクシは畏敬の念を抱かずにはいられません。

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大納言粒あん入り 

以前ご紹介した「川村屋」も、今回の「川口屋」も名古屋のお店。
共通して感じるのは一箱におけるバランスの素晴らしさ。
にじみ出るセンスを実現する卓越した技
もう楽しいったらない

川口屋は丁寧にこしらえたお菓子のひとつひとつが
口にしたとき「おおっ」という新鮮なおどろきに溢れ、刺激的でもあります。
なのに、人のぬくもりを感じさせる。

この一箱はずいぶんと好評で後に再販売されたほど。
昨年大晦日には花びら餅も新宿にやって来た。
これは手にできなかったけれど
いったい花びら餅、どんなだったのでしょうか。

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今さらながら和菓子に見る季節感ってびしっとしてます。
完全にズレまくった秋のお菓子の話ですみません。

2月頃にも“何か”が入荷するのでは、と予想してます。
個人的には。葉っぱで挟んだものなどを頂きたい…。
…ま、甘党の道楽さね。

過去の名古屋「川村屋」記事
過去の名古屋「美濃忠」の記事 
過去の空也の記事
過去の新宿高島屋の記事

★おまけの話★
書くのが遅いので、このように上生菓子を紹介する機会を逸してばかり。
そのお蔵の画像数たるや、生半ではないの。
美しく美味しいモノをお蔵にしておくのもしのびないけれど、しかしこんな風に時期はずれだとちょいと気が引けます。
読んで下さる方にとっては、やはり季節感を優先させた方がいいのか、はたまた好きな画像を選んで時期ズレ気味でも書いちゃうのがいいのか…。
そんなの勝手にせい、と仰らずに。小心者としてはご意見を伺いたいです。ほんと。

川口屋 
※上記の生菓子 新宿高島屋「銘菓百選」にて一箱1505円
(購入は2008年10月)
高島屋新宿店 (地下一階「銘菓百選」ひめのブログ 

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posted by あんころりん at 09:22| 東京 ☁| Comment(12) | TrackBack(0) | 東京以外など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ああ〜川口屋と川村屋、わたし混乱しまくって店頭でもどっちがどっちだ???って感じだったのですー。結局くちにしていないのですが、川口屋。
それにしてもすてきなお菓子ですね。機会があったらぜひわたしも、とココロに決めました。
Posted by kozue at 2009年01月30日 00:00
kozueさん
混乱しますよ〜。私は画像ファイル名をごっちゃにしてしまい、長い間迷子にしてしまったぞ。
川村屋も川口屋も次のお菓子に期待をしたくなる、そんな新鮮さがあると思いました。ぜひココロに決めて下さい。
Posted by あんころりん at 2009年01月30日 00:15
タイムリーにこしたことはないですが、紹介するのが遅れても時期を明確にして「こんなのありますよ〜!」でもいいかと思います。

川口屋さんがある「錦三丁目」はあの辺では有名な飲み屋街で和菓子店では亀末廣さんも近くにあります。 ちょっと歩くと松坂屋に三越もあるので銀座みたいなところかもしれません。

名古屋の棹物は鮮やかな色彩が多いような気がします。 生菓子にもそれが反映されているかもしれません。
Posted by 笹団子 at 2009年01月30日 01:52
笹団子さん
貴重なご意見をありがとうございます。そうですね気楽にやっていきます♪。
そういえば名古屋でもっとも印象的だった色彩はパチンコ店のネオンでした。
Posted by あんころりん at 2009年02月02日 00:12
あんころりん様こんにちは☆
あぁ、つくづく和菓子って日本ならではの美意識が詰まった素晴らしいものだなぁと思いました。
季節が移ろいでいくと和菓子達も素敵に変身して楽しませてくれますよね。

私は浅草をもう少しで離れるので、浅草和菓子を悔いのないよう見て廻りたいと思ってます。まだ行ってない処が沢山ありますし。和菓子ではないですが、たい焼きの写楽が気になります。
あ、福助も行ってない…

あんころりんさんは浅草で外せない和菓子は(絞れないと思いますが)何ですか??
Posted by トッコ at 2009年02月02日 20:40
名古屋はピンときませんでしたね。よく考えれば尾張の国でしたね。
どうしてもその辺では話題だった赤福や一日餅
などが思い浮かべて名古屋といえば、
味噌、海老フライ、餡トーストくらいしか
頭にありませんでした。
しかし評判が高いと構えるところがありますね。
好みに合った時は自分で納得できるので
それは発見です。合わない時は自分なりに
考えて分析しますね。
でも最終的には好き嫌いでしょうけど。
Posted by yottyan at 2009年02月04日 09:59
名古屋には比較的よく行くんですが、尾張藩の関係もあるのか茶道が結構盛んな感じがします。だからか、生菓子の評価の高いお店が多いですよね。今でも尾張藩筆頭御用菓子司だった桔梗屋の流れを汲む美濃忠・松川屋・不老園のお菓子は茶席などで使われているようですし、次席御用だった両口屋是清はもちろん健在。あと屋号を忘れてしまいましたが、栄近辺にも評価の高いお店が1軒あったと思います。そのお店の醸し出すオーラがすごく、私は店に一度は入ったもののお店の方が出てこられる前に退散した記憶が…(笑)。私個人的には不老園のお菓子が結構好きだったりします(^^)
Posted by けん at 2009年02月08日 13:36
トッコさん
お返事が遅くなってすみません。
今ではもっとも季節を思わせてくれるのは和菓子なのかもしれませんね。
え!浅草を離れる…。親しいヒトが遠くに行くようで複雑〜。でも素敵な新しい一歩なのでしょうね。
浅草で外せないところはたくさんあるけど、トッコさんは入山せんべいや西むら、梅むらなど有名処はすべていらしているでしょう?もしまだ千茶へいらしてないなら一度ぜひ。
Posted by あんころりん at 2009年02月09日 01:10
yottyanさん
お誕生日おめでとうございます。お返事遅くてなってすみません。
>名古屋といえば、
味噌、海老フライ、餡トーストくらいしか
頭にありませんでした。
そんなにたくさん思いつけるなんてスゴイですよー。私自身はあまのじゃくな性格なのであれこれ前情報が多いと過小評価しがちなんです。
そして仰るとおり 何といっても自分の好みや気持ちにフィットするかどうかなんですよね〜。
Posted by あんころりん at 2009年02月09日 01:27
けんさん
お元気ですか♪コメントありがとうございます。
そーか、けんさんも茶道がさかんだという印象なんですね。私は美濃忠や川村屋さんを知ってそう思い始めました。
>そのお店の醸し出すオーラがすごく、私は店に一度は入ったもののお店の方が出てこられる前に退散した記憶が…(笑)。
そりゃすごい。けんさんでもそんなことがあるんですか(笑)不老園のお菓子は頂いたことがありません。そのオーラのお店共々一度ぜひ体験してみたいです。
いつも情報ありがとうございます!また行きたい場所が増えてしまいました〜。
Posted by あんころりん at 2009年02月09日 01:34
こんにちは
今名古屋に住んでいるので川村屋さんにはたまに
行きますが川口屋さんの和菓子はまだいただいた
ことがありません。
椿もちをと思っているうちに3月になってしまいましたが
記事を拝見してぜひ行かなくては!と思いました。

両口屋さん、そして伏見にあるむらさきやさんの
生菓子もおいしいです。
そして名古屋の和菓子はお味に比して値段が安いのも
うれしいところです。
Posted by あんこ at 2009年03月16日 10:27
あんこさん
初めまして、こんばんは。
お近くに良い御菓子屋さんがたくさんあるようで
すね、しかもうらやましい事にお手頃ならば、気軽に楽しめそうです。椿餅、とても人気があるようですね。私も機会があったら頂きたいものです。またいろいろ教えてください。
Posted by あんころりん at 2009年03月18日 00:35
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