キューティ♪2月の押物「椿」、根元の棹菓子「洲濱」
まめのすはま、こと「春日の豆」
☆あんころりんの本『東京 いとしの和菓子』は
紀伊国屋書店ほか全国書店やAmazon 等で好評発売中。
……和菓子を日々楽しんで頂けたなら…
京都、へ行ってまいりました。
甘党ならでは、すこぉし濃いめの
“京都 和菓子めぐり・おやつ旅”。。
しばらくのあいだお付き合い下さい♪
第一弾は『御洲濱司 植村義次』。
美しく不思議な文様の「洲濱」=すはま、と
月ごとのキュートな「押物」に惹かれて…
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ずいぶん前から興味は高まるばかり。
行きたい 見たい 食したい たいの3乗 欲しがりよう。
京都行きを決めてからすぐ店には連絡を入れ、
初日と最終日の2度訪れるという内なる盛り上がりよう。
お店は洛中エリア、京都御苑の南西向かい。
大きな丸太通り沿いにあって、
つつましやかな仕舞た屋風です。
いやはや場所を知らなければ通り過ぎそうだ。
創業は17世紀中頃、明暦の年(1657年?)と
すでに350年以上の歴史がある。
洲濱を一枚看板にするお店がなくなった今では
14代目の御洲濱司は最後の すはまや なのだそうです。
作るお菓子は「洲濱」すはま「押物」おしもの「春日の豆」の三種類だけ。
棹菓子の洲濱と押物は予約が必要。
ですがお茶席ばかりではなく広く親しまれた味らしい。
独特の棹菓子の形態が洲濱たらしめる文様を生む
さて「洲濱=すはま」とは
浅煎りの大豆を粉にした“すはま粉”に
“飴蜜”を丹念に捏ねて練りあげた生地のこと。
半生菓子の範疇ですが、かつては豆飴と呼ばれ飴の仲間でもある。
すはま粉はきな粉より煎りが浅くあっさりした風味だそう
銘の由来は俯瞰の入江と浜辺をミニマル化したその意匠にあります。
また洲濱はおめでたい蓬莱山を
あえて婉曲に浜辺で示す意匠でもあるようです。
言うなれば、海岸線を上から見たかんじ。たぶん。
植村義次の棹菓子はその名の通りに洲濱型。
円筒にした生地を三方から竹竿で押さえて調えます。
今ではこの本来の形で調製してるのはここだけのようです。
切れば白砂青松と広がる青空を思わせる
日本伝統の文様パターンが顔を出す。
すはまを親指と人差し指で空豆(お多福)形に押さえる
器は新潟の伝統漆器[村上堆朱]
同じ“すはま生地”を愛嬌ある空豆型に千切ったものが「春日の豆」。
この銘は春日小路という丸太通りの古名に因んでおり、
“まめのすはま”と親しまれているといいます。
金沢「俵屋」の「飴ん子」
飴は、米と大麦だけを原料とする金沢の老舗『俵屋』製。
『俵屋』についてはkozueさんの金沢訪問記で、
どない飴屋かはわかりますえ。
加えてワタクシ、俵屋の「飴ん子」というきな粉飴がとても好き。
それもあって本家本元の洲濱&春日の豆には期待満々。
むろん東京でもすはまを口にする機会はあります。
『半生菓子司とし田』の蕨型や『玉英堂』の洲浜団子、
『香風』の枝豆スタイルも記憶に残っています。
左:玉英堂の洲浜団子 右:香風の枝豆さん
それでも京都の御洲濱司はとにかく訪問したかった。
もうひとつの目的は押物。
これがまたすんごくチャーミング。
20年ほど前に始めたという、いうなれば新商品。
月替わりでなぞらえるのは折々の草花や樹木など。
うすく延ばしたすはま生地で情趣豊かな柄に描き
落雁の上に象嵌(ぞうがん)のようにのせています。
本などで美しいとは思ってたけど、
生命力溢れるお店独自のHP (前述のKさんから教えて頂いた)で見る
季節を絵にした押物はグルーヴ感さえ漂う。
問答無用の説得力に満ち、我が心を躍らせます。
爆発する魅力にああもう、めろめろ〜。
最初に書物で見た押物こそが二月の紅い椿。
あらためて手にすればしみじみ感激、ややこーふん。
13p角の小箱に納めて販売
いただいた印象は
3種ともに丁寧にこしらえたおいしさが伝わり、
風変わりではなく食べやすい半生菓子と干菓子です。
すはまの類はなめらかな口あたりに濃厚な大豆の風味。
なつかしいおいしさが、磨き上げればこんな風雅な菓子になるのだ。
寒梅粉など一切使わないせいなのかむっちりと柔らか。
「春日の豆」なら予約無しで気軽に求められ、お味も一級品。
そのままパクッとおやつにイケるしおみやげにもすこぶる好評。
じつに一気食いした家族もいるほどで。
(…こちとら4まめしか食べてないのに〜。)
母は洲濱をいたく気に入っていた。
自然な大豆粉の色と色づけした緑
押物はネッチリとした食べ心地が肝、
こちらの落雁は後味よく飽きません。
とにもかくにも、
それぞれに風情ある素敵なルックスがたまらない。
ああ、ちゃんと予約して良かったわい。
次回は歩いて食べて食べて歩いて、ってかんじ。
見てね。
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・洗練の水仙粽と羊羹粽「川端道喜」
・「京華堂利保」のすごさを東京で知る
・秋の京都コレクション全部見せます:前編
・秋の京都コレクション全部見せます:後編
★おまけの話★
その一:ちょっとした理由で節分前日から5日ほど関西へ。2年ぶりの京都訪問です。前回、訪問が叶わなかったお店や寺社などをせっせと歩き回りました。次回からそのムダにバイタリティある歩きっぷりをどんどんお見せしたいと思います。お楽しみに〜。
その二:画像にある[村上堆朱]の本漆器の皿はこの方からの贈り物。なんと京都みやげを待っているかのように留守中に届けられてました♪早速使わせて頂き、感謝〜。
●御州浜司 植村義次
●お菓子のデータ
・洲濱(半生菓子)要予約 一本700円(6×16×3p箱入)(大豆粉 砂糖 麦芽糖 着色料=緑生地に使用))
・春日の豆(半生菓子)90c入一箱500円(大豆粉 砂糖 麦芽糖 着色料=同上)
・押物(干菓子・落雁)要予約一箱900円(寒梅粉・味甚粉・砂糖・大豆粉・麦芽糖・着色料・金箔)
※柄は1月から梅・椿・早蕨・桜・杜若・青楓・朝顔・青瓢・秋草・菊・紅葉・枯松葉
紙袋の欧文シール
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京都からの帰京(???)おかえりなさいどすえー!
すはまって「洲濱」だったんですね。
そして椿の押物、夢二風でもあり、
ハワイアンを髣髴させる風でもあり(か?)。
むっちりしているなんて、見た目だけでは
分からないものですね。
勝手にタオル地なイメージ…。
次回の「歩いて食べて食べて歩いて」号は、
生っぽいお菓子も期待しちゃってますどすえー!
洲濱はずっとずっとあこがれているお菓子であります。
春日の豆はおみやげにいただいたことがあって、あれはおいしかったねえ。
次回以降も「楽しい」がいっぱいですね。楽しみにしてます。
京都訪問第一弾が植村義次で嬉しいです!!
まだ春日の豆しか食べた事ないけど、その儚げなルックス、
うっすらと滋味ある味わいにノックアウトのわたくしです。
これほど「マイナスの美学」を表しているお菓子があるだろーか!
植村義次のお菓子は、侘びの精神は素晴らしいって事を
実感させてくれる、と思いますね〜(と熱く語る)。
そーか、押物ねっちりしてるのね(喜)。メモメモ。
いつかは予約して州濱と押物を頂くぞー!
亭主とのやり取りなど、気になるお話もまた今度教えて下さいね。
京都訪問シリーズ、次も楽しみにしています〜♪
記事がアップされてる♪
京都には、「これで勝負」と品数を少数に
限って商売をしているお店が多いですよね。
職人魂を感じられ魅力的ですよね。
堆朱の器も京都の美味しいお菓子を盛られ
とても幸せそうですわ〜♪
紹介もして頂き、ありがとうごいます!
今回も歩いて歩いて、色々なお店を訪問して
来ましたね^^
これからの記事も楽しみにしています!
金沢には何度となく行った事がありますが
小京都って感じで町並みも美しいですし、
美味しい和菓子も沢山あり、大好きな所です☆
ただいまー。ですどすえ。
ハワイアン!!そういやそう見えなくもない。
確かにねちっとしたタオル地かも。糖分でしっとりした落雁なので“乾かさないでね、味が落ちるから”と注意書きがあります。むろん!生菓子も汁物もしたたか食べましたよー、乞う(たぶん)ご期待♪
HPを教えてもらって、必ずや行こうと心に誓ったのです、ありがと〜〜。そうだ「生で見る押物は想像より小さめ」って書き忘れちゃった。えーとメールはお返事くれないので電話予約が良いと思います。月の端境は場合によっては柄の選択もできるみたい。ぜひぜひ行ってみてね。あ、あとでTBさせて下さい。よろしく〜。
早速ありがとうございます♪
ええ、ええもうやたら感激してしまって。
押物は「風に当たると堅くなりますのでラップして…」と注意書きあり。落雁の食感なんだけど糖分がねちーーと感じられます。13p角の小箱だから2つ買えば良かったなあ。
>亭主とのやり取りなど
その辺をおまけで書くつもりが忘れちゃった。2日とも応対はやさしいおかみさんでした。メールはちょっとイキナリだったのではとちょっと反省。
やはり土壌の違いをひし、と感じます。菓子が暮らしに浸透していて生業としての基盤がすごくしっかりしているのだとつくづく思います。お店もそこここに健在だし、縁日などの日常でもあんこ度の高さが羨ましい。
それにしても素晴らしい器をほんとにありがとうございます、さぞ高価だったでしょ。大切に使わせて頂きますね。金沢は未踏の地、行ってみたいところが多すぎます〜。
ありがとうございます。ゆっくり拝見致します。洲濱は唯一無二なので価格比較は無理かも。
京都は日本の伝統工芸の頂点で和菓子もそのようですね。 つくりが丁寧で綺麗ですね。
>すはま粉はきな粉より煎りが浅く
山形県米沢に州浜に似た「時雨の松」というお菓子があります。 きな粉で作られていて、豆乳のような風味は州浜より少ないです。 大豆の煎りの程度が影響しているようですね。
お帰りなさ〜い!京都は堪能できましたかぁ?
京都らしい上品な和菓子。いいですねぇ。
“すはま”初めて知りました・・・。大豆の粉なんですね。“押物”のネッチリした食べ心地もよさそう!
次回も京都便り楽しみにしております!
お菓子なのですね。
粉っぽそうで、半生のような
素晴らしいお菓子。
そして冬の京都もピリッとした寒さで良いですね。まだあぶり餅屋さんのひんやりとした畳が
忘れられません。
こんなレアなお菓子を知るだけで幸せです。
興味をそそられます。和菓子も深い。
だんだん勉強させられます。
ここまで来ると、伝統、残したい伝えたい逸品。
また記事を楽しみにしています。
今度、月末にでも本郷あたり連れてって下さい。
時雨の松って青大豆の五家宝風のお菓子ですね。つい先頃いただきましたが、素朴でおいしかった。きな粉飴や五家宝、すはま、大豆のお菓子って好きです。
たっだいま〜、おかげで楽しい旅でした。
焼き芋のお話もあるので楽しみにして下さいね。
すはま、お好きそうな気がします♪
すはまを使ったお菓子、地味ながら東京にもあります。きな粉飴に近いので親しめる味わいです。前回に引き続き2月の訪問。炙り餅!今回は訳あって寄れなかった〜。京都の老舗はどちらも数百年綿々と相伝されているのが羨ましいかぎりです。自分がなんだか小さく見えちゃう。本郷、ぜひ行きましょうね。
豆の形も可愛いし、落雁にすはま生地をのせてしまう業、季節ごとに変わる楽しみ、すばらすぃです。
上品で清楚で、うっとりですね〜。
京都へ行った気分になりましたどすえぇ〜。
で、京都へ行きたくないましたどすえぇ〜(笑)。
ところで、西荻窪にある高橋菓子店へ行ってきました。
で、色々と美味しそうな和菓子を仕入れて参りました。
こちらの記事をリンクさせていただきましたので、よろしくお願いします。
私が行ったときは、息子さんとお父さんがお店にでてらっしゃいました。
あぁいう懐かしいお店、いいですね〜。
今までぜんぜん気づかなかったのが、もったいないくらいです。
いいお店ご紹介してくださり、ありがとうござりました。
すっかり、高橋菓子店の団子ファンになってしまいました(笑)。
これからも、美味しいお店たくさんご紹介くださいね。
植村義次は確か後継者がおらず、数年前にご主人が病気でしばらく店を閉められていた時にはどうなることかとやきもきさせられましたが、無事再開されてホッとしました。地味なお菓子ですが、いつまでも守っていってもらいたいですね。
高橋菓子店 お気に召してうれしいです。TBありがとうございます。地元の方ですら、あれほどのお菓子を作っていることをご存じないのがもったいないかんじ。息子さんも和菓子作っているのならちょっと安心ですね。高橋ファンが増えてうれしいです。
>植村義次は確か後継者がおらず
どちらも大変なんですね、お元気になられたのは何よりです。なんであれ、あの素晴らしい押物を創った現当主の植村さんはとてもクリエイティブな菓子司でらっしゃいますね。しかし御洲濱司が途絶えてしまったらどうなるのでしょう。
春日の豆、ポケットに常備したいです。