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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2009年06月19日

谷中 喜久月/幻のエッセンス!
柚子みつ うづ潮 …旬を閉じこめたほろ苦い黄金いろ

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柚子みつの錦玉「うづ潮」  フワンフワンの「ゆず餅」、
幻の「柚子みつ」


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 紀伊国屋書店ほか全国書店、Amazon 等で好評発売中。
……和菓子を日々楽しんで頂けたなら…

谷根千こと谷中・根津・千駄木
いつ行っても新鮮なオドロキに出会える町。

なかでも老舗の 「喜久月」そして「谷中岡埜栄泉」。
この二軒の和菓子屋は目新しいことを・・・

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・・しているわけでもないのに、
毎度ワクワクさせてくれます。

ここ数ヶ月、谷根千エリアに出向く機会が多く
両店ともにかなりの頻度で訪れました。

どちらもこのブログにたびたび登場しているし(リンク先は下段に)
拙著「東京 いとしの和菓子」でも紹介させて頂いた。
(不粋ながら)自分的確率としては、
千に一つあるか、というお気に入りの店なのです。

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二大名物「ゆず餅」と京白味噌風味の「あを梅」 

それがほぼ隣り合っているのだから(隣り合っているからこそ)
谷中、なかでも上野桜木辺り、お菓子の質の高さがうかがえます。

大正6年創業、主に茶席用などの注文を受けて
上生菓子を多く調製する「喜久月」。
ここの通年のお菓子ゆず餅がすんごく好き。
柚子のお菓子”に目ざめるきっかけにもなった。

天敵?の如く嫌っていた“求肥”にしても
水飴を用いずにこしらえるこのお菓子に出会わなければ
未だに敬遠していたのではないか、と思います。
つまり柚子風味も求肥もゆず餅をなくしては後がない。

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自家製蜜漬けの柚子を練りに練りこんだ求肥 

さて。 この“ゆず餅”のベースとなっている柚子。
喜久月では、柚子が旬を迎える12月になると
毎年おなじ“原木”から収穫した実を
ひとつひとつ手作業で丁寧に皮を剥いては刻み、
上質の砂糖で蜜漬けにする。
その数なんと数百個。

四代目ご兄弟が、年末の多忙を極めるさなか、
それこそ必死になってこの大変(面倒)な作業、
剥いては刻み…を数日間くり返すのだそう。

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柚子羊羹も美味 

ちなみに、
柚子の原木、ってのがもはや稀少な存在。
多くは接ぎ木なんですってね、柚子。
この原木にもしものことがあったら、喜久月伝統の味にも関わる。
ああ、埼玉県越生に生えているという柚子の木さま、
どうか末末永くガンバってね。

長い前置きになりましたが〈柚子みつ〉、です。
話には聞いていたけれど、
今年ようやく手にすることが出来たのです。

ふたを開けると…おっと。
とろ〜んとした金色の液体は口ギリギリまで目一杯。
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ワンボトルに溢れんばかり。おおよそ235gの凝縮した柚子の秘薬? 

口にしてみれば  ニガうま〜!
激しく分泌する口中内唾液…じゅわ。
ゆず餅ではほどよく抑えられていた、柚子皮独特のほろ苦さ
これが思いきり全面飛散、、強力です。
苦みの効いたオレンジピールやママレードを好むヒトにとっては
もうたまらない。

喜久月」の〈柚子みつ〉にいつ遭遇できるかは運次第。
一年分のゆず餅用に、冬にまとめて蜜漬けにした柚子。
は余さず使うわけですが
液体の方はすこ〜しずつ、ですが蓄積される。
それが溜まりにたまると、常連さんへのサービス感覚で販売。
出した分売れてしまえば、はいおしまい。

なので。
思いがけず、ガラス棚の上に並んだ小ボトルを見つけた時の
喜びったらありません。

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5〜6月は〈あを梅〉の繁忙期。ゆえに喫茶処はおやすみ

その前の週まではそぶりも見せず、突然登場。
おそらくこの後、半年以上は店頭に並ぶこともないのでしょう。
通い詰めなければ出会う確率はきわめて低い。

例の松屋籐兵衛の“福耳”同様、いやそれ以上に
予約はおろか店でも予想がつかないようで
訊いても“年に一度かせいぜい二度…”と答えあぐねてました。

手にする確率があまりにも稀なので騒がれることもなく。
店にとっては“余り物”で稼ぐ気は毛頭ないから宣伝もしない(出来ない)しね。

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喜久月の隠れた名菓、みそ饅頭 
むちっとした小麦粉生地に京味噌の香り

濃密な柚子エッセンスをボトルに溢れるほど詰めちゃって。
この贅沢な旬のしたたりはなんと157円!

とろーりとした蜜は、
ジャムのようにパンやヨーグルトにもぴったり。
ソーダやお湯で割っても良さそう。

お気に入りのいただき方は、寒天にかける“みつ豆風”。
フレッシュな柚子の香りが
キュンとしたほろ苦さと共に鼻腔にぶわっと抜けていく。

さて、これでどんなお菓子を作ろうかと考案中。
やはり水羊羹かなあ…

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寒天に柚子みつ、トッピングは〈うづ潮〉スライス

まさに甘露カンロ
言うなればこれも切り落とし。なんてゴージャスな副産物でしょう。

ヒトはしばしばこうしたレアな切り落とし的なるモノ
不思議なほど特別な価値観を見いだしてしまうのだ。
ワタシだけ、っていう親密さに優越感も加味されるんだろうけど。
それを差っ引いてもこの柚子みつニガうま〜♪

そして、この時期ならではの柚子みつを使った生菓子、
錦玉〈うづ潮〉ももちろん獲得♪

さらに凝縮された甘い柚子の風味が楽しめます。
うづ潮〉を少々先ほどの柚子みつ寒天にトッピングしてみたら
寄せては返す“ゆず〜〜〜〜”の波が押し寄せた。
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初夏の定番、水羊羹も大変おいしく頂きました。
夏もまた良き和菓子の季節。

・・・・
ところで、フツー「喜久月」で6月といえば〈あを梅〉なんだけど。
ま、そちらは通年おいしく頂けますから。

ああ、レアな切り落としなるモノに弱いワタクシったら。
紛れもないタダの俗物です。

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●過去の『喜久月』関係記事
感動の『みそ饅頭』と理想の『喫茶』
ゆず餅と干菓子
あを梅
過去の東京 いとしの和菓子関連記事
和菓子のブログを始めたワケとは?
速報!「東京いとしの和菓子」出版決定 
『東京 いとしの和菓子』登場店の取材裏話
他多数

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★おまけの話★
人気のエリアだけあって、先月は根津谷中関連の仕事が数本。
5月放送のJ-WAVEの番組も@根津谷中。
当初、喫茶処に「喜久月」を紹介するつもりだったのですが
じつは長年いらした職人さんが退き現在お二人だけでの菓子づくり。
時期的にあを梅の注文をこなすだけでもう目一杯で喫茶処はお休み。
取材の方はお願いできなかったのですが
その代わり?長年念願だった〈柚子みつ〉に遭遇できたというわけ。

ところで、エビでタイを釣るつもりはなかったのですが、
ご挨拶がてらにとたまたまお持ちした新茶たった一袋。
恐縮されて「これで商売しているわけでないので」となんと4本買ったらさらにおまけで2本頂いてしまった。
棚の上にあった柚子みつを総ざらい。買い占めていたならちょっと申し訳ない。でも。すんごくうれしい〜!! せっかくだからお裾分けするつもり。喜んでくれる方でないとバチが当たる。

★ぽち情報★
☆季刊誌「蕎麦春秋」四月号にて蕎麦店レポート(「あさだ」「更里」)を書いてます。
●店のデータ
・「喜久月」台東区谷中6-1-3  火休 9時〜18時

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【台東区&江東区の最新記事】
posted by あんころりん at 07:18| 東京 🌁| Comment(13) | TrackBack(0) | 台東区&江東区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
柚子に、すんごく惚れていらっしゃいますね。これだけの原木、貴重な手間隙かけての柚子ならひとしおですね。柚子の絞りも、あの苦味がポイントですね。あを梅も、まさに旬。やはり和菓子やさんは、こだわってますね。お客様を基本に考える店は、素晴らしいです。見習わねば。さあ、素敵な和菓子の再発見に、旅立とうかと、思います。岡埜も行きたいですね。
Posted by yottyan at 2009年06月20日 13:34
yottyanさん
コメントありがとうございます。
柚子そのものっていうより、この柚子みつに感激してしまって。超レアモノだったので余計にありがたみがあるんですけどね。
こういうものを、さりげなくご奉仕品で出してしまう、そういうところもまた、粋なんですよね。
そーそー岡埜、先月はラジオにも出て頂いたのですが、またまた新たな発見がありました。
Posted by あんころりん at 2009年06月21日 08:10
まぁ〜姉さんたら私が行きたい根津・谷中の
記事をアップするなんて悪い御方だわ!!笑
特に「谷中岡埜栄泉」の豆大福と生姜風味の
浮草がものすご〜く気になってますよ!

そして、貴重な柚子みつも気になりますね〜
『ニガうま〜!』と味わっている姉さんの顔が
想像できます(^▽^)☆

先日、ピップから
「また、偶然に道端で会ったよ!」連絡がありました。
娘のビザも無事に取れて少し落ち着いたようなので
また、一緒に遊んで下さいね!
Posted by プリマリ at 2009年06月21日 08:40
\157なんて本当に商売っ気ナシですね。(笑)
まじめに商売するとなるといくらかかるのか知りませんが。

喜久月は確か言問通りに面したお店ですよね?
あそこは仕事で車でよく通るのでお預けを食った犬状態です。(笑)
Posted by 笹団子 at 2009年06月21日 21:14
文字化けしてしまいましたね?(笑)

157円ということです。
Posted by 笹団子 at 2009年06月21日 21:15
これは創作意欲をかきたてられる食材ですね!
実は私も、赤坂青野から小豆シロップという、甘納豆を作ったときに出来る副産物を頂戴したところで、日々ペリエで割ったり、寒天にかけたりと、楽しんでいるところなのです。
これも一種のシンクロニシティ?

焼き菓子の耳や副産物のシロップも無駄にしない「始末の良い」お店、私も大好きです♪
Posted by zoomania at 2009年06月22日 17:30
プリマリさん
コメントありがとうございます〜。ぜひ一度お散歩しましょう。この辺パン屋もかなりイイですよ。そして浮草、確かにお好きかもしれない。
夏もピップも含めて盛り上がりたいですね♪
Posted by あんころりん at 2009年06月22日 18:36
笹団子さん
谷根千はやはりお散歩のメッカ。車ではかえって不便なんですよね〜。お預け状態はツライものです。もしも休日に徒歩散策なさる機会があれば、お好みの店に親しむには手っ取り早いかもしれません。
Posted by あんころりん at 2009年06月22日 18:52
zoomaniaさん
>赤坂青野から小豆シロップという、甘納豆を作ったときに出来る副産物
うひゃ〜それはまたすごおく魅力的ですね。
たまたま先週 赤坂青野に出向いたのですがあったのかな〜。たまさか早じまいの日で生菓子はほぼ売り切れ状態。あずき抹茶氷?を頂いただけかえって来ました。
これまたシンクロしてますね。はじっこ的なものって味だけでなく 存在がまたチャーミングですよね。
Posted by あんころりん at 2009年06月23日 00:11
喜久月で「柚子みつ」なる物を販売していると初めて知りました。苦味は大好きなので,気に入りの品となると思いますが,運次第とはーーー。

”あお梅”と”ゆず餅”は勿論,君しぐれ,青豌豆の鹿乃子,味噌饅頭,よもぎ餅,桜餅などどれも大変美味しく,度々訪問していますが,まだまだといった所なんですね。

4月に,都せんべいの職人さんが骨折して,堅焼き煎餅が店に出ていないとあんころりんさんに教えて頂きましたが,もう回復している頃なので,都せんべいへ行くついでに,喜久月を覗いてみます。「柚子みつ」はないでしょうけど。この季節,天三味のゆべしも食べたくなりますね。

貴重な情報,ありがとうございます。

Posted by 宮 at 2009年06月23日 22:34
宮さん
まだまだ なんてそんな…これはたまたま行き会わなければ知る由もないシロモノですから。
先日都せんべいに立ち寄ろうと思ったのですが、お休みでした。どうなったのかなあ。
こちらこそ いつも情報ありがとうございます〜。
Posted by あんころりん at 2009年06月25日 11:24
昨年、喜久月で「ゆずみつ」を販売していることを教えて頂き、一年待って、購入しました。
お店の右端に置いてありましたが、いつも左側の上生菓子にしか目が行かないため、これまで気付かなかったかもしれません。

柚子の苦さと蜂蜜の甘さの調和が良く、美味しいですね。
石鍋久寿餅店の寒天に掛けたり、AOSANに購入したアヴリーヌやカンパーニュに付けたり、牛乳で割ってみたりと楽しんでいますが、寒天が一番のお気に入りです。

ところで、あんころりんさんご推奨の扇屋のどら焼を初めて食べました。やや小振りですが、甘く柔らかめの小豆餡が美味しいと思いました。あんころりんさんの感想を改めて拝見すると、餡を褒めていたので、私の味覚もそれ程ずれていないと安心しました。

また、記事を読んで、いろんなお店へ行き、美味しいお菓子にめぐり合いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
Posted by 宮 at 2010年07月04日 21:35
宮さん
おお、入手されたのですね、素晴らしい。冷蔵すれば長く保存でき、寒い季節頂くと一層味わい深く感じられると思います。石鍋商店の久寿餅!いま無性に食べたいなあ。そうだ、久寿餅にも合いそうな気がします。扇屋のどらやき、お気に召してウレシイ。こちらこそまたいろいろ教えて下さいね♪
Posted by あんころりん at 2010年07月06日 14:23
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