キュート!谷中に生息、イキの良い天然モノはそんじょそこらの鮎ではない
栗むし羊羹。 蒸し羊羹のウマサ爆発…
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幼いころ、6月は短い旬の美味が揃う特別な月でした。
なかでも鮎。
食卓に上るのは年に一度か二度の稀少なお魚。
とくに魚好きってわけでもないのに・・・
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鮎に限ってはありがた〜く皮も、きれいなワタも余さずに
そりゃおいしく頂戴したもんです。
しかし、さほどの珍しさが感じられなくなったのはいつの頃からでしょう。
現在、市場に並ぶのはほとんどが養殖物らしく、もはやシーズン限定感は希薄。
と同時にかつてのような鮎独特の草っぽい芳香も薄まっちゃった。
清涼感あふれるほっそりした天然モノを
年に一度だけ食べる方が良かったなあ。
人形町「寿堂」生菓子の“焼き鮎”と焼菓子“桂年魚”(かつらあゆ)
すごぉく精巧な生菓子、お箸で頂くと楽しくてビミョー
・・・とまあ
ダントツの好物だった“鮎”にひきかえ
“あゆ焼き”という菓子、ワタクシにとってはイミ不明の存在でした。
どーして焼皮に求肥を挟むのか。
おいしさのツボは?ってかんじだったの、あゆ。
上から 人形町「寿堂」「東海」蔵前「榮久堂」のあゆ焼きたち
それでも、これだけ多くの菓子屋が作っているのだから
きっとおいしいモノがあるはず、とあちこちで買ってみた。
ときには一度に3軒くらい食べ比べてみたり。
好きでないモノにほど積極的にダイブする甘党チャレンジャー、てなわけです。
求肥好きな家族に押しつけたりもしたことも。
榮久堂「のぼり鮎」 中は胡麻求肥
これまでで印象に残っているのは蔵前「菓匠 榮久堂」の“のぼり鮎”。
求肥に黒胡麻を練り込んだ工夫を凝らした一品。
繊細な味わいには母がハマっておりました。
・・・・・・
手作りで形イロイロ。不忍池の“水蓮のつぼみ”からインスパイアされた「谷中岡埜栄泉」の浮草
さて先月のこと、
思いがけず頂戴した「谷中 岡埜栄泉」の“昇りあゆ”。
谷中岡埜といえば、まずは大人気の豆大福、
続いて生姜風味の名菓「浮草」あるいは「三日月」。
どれもが際だった味わい。
なので
今さら(失礼!)本来は季節モノである通年菓子「昇りあゆ」には興味をそそられなかった。
しかしこれにはオソレいっちゃった。
あゆ焼きがこれほどスペシャルなお菓子だなんて!
おそるべし谷中岡埜、スバラシイ。
上品で愛らしい。なんと焼き印は7つ!熱い銅板上で手仕上げ
薄く焼き上げた皮の香ばしさ、噛みゴタエは唯一無二!
そして、みごとな求肥の歯応えには「おおお、さすが豆大福の名店!!」
目からウロコがまたまた落ちます、ぼろぼろり。
訊けば、求肥へのこだわりはかなりのもの。
とは言っても、素材はいたってシンプル。
(御前)白玉粉と砂糖、仕上げに少々の水飴を加えるだけ。
びよーん。風味良くキレのある求肥 丹精しただけコシがある
これをひたすら煉りに煉るのだそう。
根気もいるうえ、 鍋で焦がさないようにじっくり煉り上げるのは
一人のベテラン職人さんのみが成せる熟練の技。
四代目ご主人も手が出せないという。
そして。コシのある薄い焼皮は谷中岡埜ならでは。
考えるまでもなく あの名菓「三日月」に相通じます。
焼皮は生姜風味「三日月」 みごとな薄皮
どちらも膨張剤などは加えず、鮎生地の材料は小麦粉、砂糖、卵のみ。
平たい銅板にお玉で生地を流し、うまいこと楕円型に焼く。
そこへ先ほどの求肥を置いて、素手で一匹ずつイキのよい鮎に仕上げるのだ。
こいつはまさしく天然モノ!
出来たてのおいしさと言ったらありません。
うむむ、贔屓が多くて通年作るようになったのも頷けます。
もう一つ通年菓子です、栗むし羊羹。
すみません、ワタクシこちらも誤解しておりました。
いわゆる季節モノを一年中作ることに少々違和感を感じてまして。
つまり偏見。
ムッチリしてなお歯切れ良い蒸し羊羹。すんごく好み。
これまたシンプル材料で自家製こしあんと片栗粉のみ。
栗の蜜漬けは材料屋から選んで使うそうです。
やはり長年のファンが多く一年中作ることになったのだそう。
一度にたくさんは蒸せないので、棹物はありません。
大人気の名物「豆大福」予約がベター
谷中岡埜栄泉、名物“豆大福”が売り切れでも
浮草、三日月などなど見逃しては絶対ソンなお菓子の宝庫であります。
お魚の“鮎”、
今では清流を泳ぐ天然モノの入手は難しくなるばかり。
養殖モノのおかげで食べられる時期がぐっと広がって行く一方で
あのフレッシュな香りは薄まっていったようです。
きれいな尾。隅々まで繊細に手仕上げ
しかしながら…
天然モノの“昇りあゆ”はなんと谷中で威勢よく跳ねていた♪
しかも 一年中獲得可能。
六月は和菓子屋さんの鮎焼きを頂く機会も多いかと思います。
谷中生まれの“あゆ”、
“あゆ焼き”好きなら、いえむしろそうでない方にも
強く強くオススメしたい銘菓です。
あ、それから拙著『東京 いとしの和菓子』 では
「谷中岡埜栄泉」についてはより詳しい文章と写真を掲載しております。
お読み頂ければ幸いです。
と、一応宣伝など。
かっこいい佇まい、風情ある店内は癒しの気が流れる
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・豆大福
・上野三軒の「岡埜栄泉」豆大福めぐり(前編)
・三日月
・浮草
●過去の『菓匠 榮久堂』紹介記事
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和菓子のブログを始めたワケとは?
速報!「東京いとしの和菓子」出版決定
『東京 いとしの和菓子』登場店の取材裏話
他多数
包装紙は上野〜谷中のステキな地図
★おまけの話★
5月放送のJ-WAVEの番組では谷中岡埜の“浮草”をご紹介させて頂いた。放送内容はこちらのHPで。
その後も二度ほどある筋にお店をご紹介。
ご挨拶がわりにお持ちした切り花に喜んでくださった御内儀さんが お礼にと今回の昇りあゆと栗むし羊羹を下さったのでした。
頂き物を記事にするので一応ご連絡はしたけれど。
何だかあちらこちらでエビでタイを釣ってるなあ。
★ぽち情報★
☆季刊誌「蕎麦春秋」四月号にて蕎麦店レポート(「あさだ」「更里」)を書いてます。
●店のデータ
・『谷中岡埜栄泉』台東区谷中6-1-26 水休 9時半〜17時半(売切れ終い)
●菓子のデータ
・昇りあゆ 320円(小麦粉 砂糖 卵 白玉粉(御前)水飴)
・栗むし羊羹 320円(小豆 砂糖 片栗粉 栗 塩)
・三日月 320円(自家製小豆こしあん 砂糖 小麦粉 卵 生姜)
・浮草 八個入一袋 1120円(自家製小倉あん 砂糖 小麦粉 卵 生姜)
・豆大福 230円(餅米 自家製小豆こしあん 食塩 赤えん豆 砂糖)
※以上すべて通年販売
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形にしたのか」と、常々不思議に思っていました。
そんなに奥の深い甘味だったとは!
久々に食べてみたくなったワ。
あゆ焼きはお店によって顔も体も違うので比較するのは面白いでしょうね。
かつて日本各地にあったと思われるバナナ饅頭みたいに昔の人は「これでも食べて高級品を食べた気になりましょうか?」なんて思っていたのかもしれませんね。
そーよね、ワタシも同感だったのです。でもこの昇りあゆのおかげでちょっとはまっちゃって。
で、有名店の頂いたけれど、イマイチ満足出来きずに…。
「調布」ってお菓子がこの季節は鮎の形になっていたはずなのに、最近見ます? 調布。たしか以前は求肥を焼き皮で包んだだけのお菓子を食べた記憶があるのですけどねー。
そんなこんなで、近いうちに調布に引っ越す予定です(笑)
>高級品を食べた気に
それは面白い、たいやきと同じですね。そういえば鮎も鯛も滅多に頂けないという点は共通してましたね〜。
でしょ〜。季節モノでないからいつでも大丈夫。あ、売り切れでなければだけど。
調布か〜、作っている所あるのかしら。○○布っていうお菓子はたま〜〜〜に見かけるけれど。
>調布に引っ越す予定
え、そーなんですか!では我が家ともお近くなるわけですね♪わーい楽しみにしています。
大福だけめがけて行ったので
大福しか目に入らなかった。
もっと、観察します。
あの、お店は歴史がありそうで
いかにも寺町風景を残していますね。
良いお店です。
こんばんは。私も最初は豆大福めがけてました。で、浮草と三日月にはまり。今は昇りあゆに大注目しているのですよ。ホント!人も店の佇まいも言うことなしですね。
コメントありがとうございます♪
三日月ご存知とは渋い!栗蒸し羊羹は人気があるため通年化したそうです。根津神社の傍のアイスモナカのお店は「芋甚」。
http://yuki-ssg.seesaa.net/article/24381785.html
たいやきとのコラボもイケますよ〜。