阪本商店の鯨ようかん。あんで挟んだシコシコムッチリの米粉モチ
佐土原商工会推薦 鯨ようかん製造本舗
☆あんころりんの本『東京 いとしの和菓子』は
紀伊国屋書店ほか全国書店、Amazon 等で好評発売中。
……和菓子と散歩を日々楽しんで頂けたなら…
今回の宮崎行きを決めた理由。
「ナマ“鯨ようかん”が見たい!」 。
いえ、“生のクジラ”ではありません。
幻の、とまで言われ…
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・・あんが“皮”となるユニークな宮崎の伝統菓子。
他の地方で見ることはほぼ皆無、稀少な逸品です。
ですがワタクシ、「>『東京 いとしの和菓子』に登場させております。
東京では時折、新宿みやざき館KONNNEで
「安田屋」製三切れワンパックの冷凍品がじみ〜に販売されている。
そのことを収録エッセイ
「デパ地下、物産展、地方のアンテナショップで和菓子三昧」に
ちらっと書いているのですが
隅々まで熟読して下さった方であっても
印象に残らないような数行かもしれない。
♪ナマに会えてよ〜かった〜、佐土原本店「安田屋」鯨ようかん
材料:こしあん、砂糖、米粉、小麦粉、よもぎ、澱粉、食塩
でも好きなの、鯨ようかん、
まず名前がイイ。
蒸した米粉生地をあんで挟んだ縞々っぽいルックスも魅力的。
一度は見たい、食べてみたいナマの現物。
さて、鯨ようかんは宮崎ならどこにでもあるワケではない。
調べてみると佐土原という町固有の郷土菓子。
なんと元禄時代から350年もの歴史があるようです。
こちらは佐土原人形「鯨乗り」
諸説ある由来のひとつが
『佐土原藩の名君、島津忠高(四代)が亡くなった際
世継ぎ(五代・惟久)はまだ2歳。 お家騒動ゆれるさなか母親の松寿院が 「鯨のように雄々しく」とこの菓子を作らせた』
というもの。
もうひとつは、
『島津惟久(五代)が誕生した息子を祝い、
御用菓子屋に鯨を象らせた蒸しようかんを献上させた』という説。
その菓子ってのが特大サイズ(40p×20p位)
“米とからいもを練った中に小豆あんを入れたモノ”だったのだそう。
いずれにしても、“鯨の切り身”に似せたのではなく
「鯨のように大きくたくましくなれ」という幼子への願いを込めたお菓子。
佐土原では江戸時代から端午の節句の縁起菓子となっている。
なるほど。350年以上の由緒ある餅菓子だったのですね〜。
ちなみに鯉のぼりならぬ“鯨のぼり”ってものもこのサイトで発見しました。
意欲あふれる新製品!「光仙」ドラゴンフルーツ大福
日向夏あんの“くじら饅頭”(↓画像)に軍配?
ところで。
そういえば佐土原って、“饅頭食い人形”の町ではないかい??
6月の虎屋文庫資料展に写真展示されていた。
そう、母と父のどちらが好きか、と訊ねられると、
手に持っていた饅頭を半分に割り“どちらがうまいか”と訊き返したという、コマっしゃくれた…じゃない利発な子供の人形。
伝統ある佐土原人形もまた、“饅頭食い”で知られている。
となると…一挙両得じゃ〜ん♪
行きましょう、鯨ようかんと饅頭食い人形を訪ねて。
江戸から続いた古い商家「旧阪本家」かつての城下町を偲ばせる。現在は史料館
さて。
餅米よりさらにうるち米(米粉)を使った生菓子は固くなるのが早い。
なので現地調達がお約束。
鯨ようかんもまた「午前中に買ってその日の午後には頂く」モノ。
冷凍なんて(考えられない)!と地元の方はおっしゃる。
つまりは佐土原まで出かけて入手すべき朝生菓子なのだ。
鯨ようかんを作る店はいくつかあるようですが、
第一候補にした「阪本商店」はどうやら最古参らしい。
左から安田屋(10切入)阪本商店(5切入)日向橘(6切入)
阪本商店では
“蒸した米粉を臼で搗き伸ばして生地にする。
そこに自家製あんを乗せ再び蒸籠で蒸し、冷めた生地同士を合わせて10等分する”という。
手間はかかりますが熟練の女主人阪本スエさんがたった一人で手作りするため
1日30本が限度なのだそう。
いかにもおいしそうな、シコシコムッチリとしたお菓子が想像出来るではありませんか!
小さな町にも拘わらず予約必至とあらば
期待は一気に高まります。
「やよい堂」10切パック販売だったので今回は見るだけに
・・・・・
ブログを通じて交流のあった宮崎在住のいもすけさん。
豪雨の天気予報を心配して「朝から車でご一緒しますよ」とありがたい申し出。
そのお言葉に甘えて、ドライビング佐土原めぐりとなりました。
佐土原は駅付近に町が開けていますが、そこから
旧佐土原=史料館や寺社、150年続く佐土原人形店、
そして「阪本商店」などが集まるかつての城下町辺り、とは7〜8`離れている。
とは言え、町全体では“くじらの町”を謳っています。
むろん鯨ようかんは佐土原伝統のお菓子ですからあちこちの和菓子店で作られている。
こちらが光仙「くじら饅頭」香り高い“日向夏あん”入り、美味♪
佐土原駅付近では
たとえば国道沿いの「やよい堂」は柴田山親方も紹介している店。
鯨ようかんも捨てがたかった「光仙」では鯨をモチーフとした押物や「くじら饅頭」もこしらえていた。 ここでは物珍しさからドラゴンフルーツ大福を購入。
「日向橘」では鯨ようかんが6切販売だったので思わず購入。
駅に近い佐土原人形工房「陶月」では“佐土原犬”♪などお買い物。
2006年戌年の年賀切手に採用、キュートな“佐土原犬”「陶月」にて
ここから一路、旧佐土原方面へ。
目当ての阪本商店はひっそりとした鯨ようかんひと筋、の店。
店の体裁があるわけでなく、
奥の作業場でこしらえた鯨ようかんを入り口で引き渡す、といった具合。
電話を受けるのも引き渡すのも、鯨ようかんを作るのも
すべて阪本スエさんと思われる女性が一人でこなしていました。
ほとんどの客が予約して早いうちに引き取っていくようですが、
地元商家資料館の方も「やはり阪本商店が(おいしい)…」と。
安田屋
続けて訪れたのは「安田屋」。
新宿みやざき館に冷凍鯨ようかんを納めているが、本来は米の専門店です。
ここはJR宮崎駅売店に毎日出来たてを、またスーパーにも卸している。
現地調達が基本の鯨ようかんであっても量産する店はあるのです。
(ちなみに新宿高島屋はここの“手あげ揚げ餅黒糖味”を毎月入荷。こちらは個人的嗜好品です。)
伝統の佐土原人形を継承する「ますや」
もう一つの目的「ますや」は現在六代目の歴史ある佐土原人形店。
数百年前の人形がガラスケース内に並び
イルカならぬクジラに乗った少年や、縁起物、節句人形などが展示販売されている。
目当ての四頭身“饅頭食い”も数種のサイズが並んでいます。
「どちらがおいしい?」佐土原で男の子から、髷をつけて女の子になった“饅頭食い”「ますや」にて
小さい方が型を使わず、すべて手仕上げの粘土細工とのこと。
そのプチ“饅頭食い”を包んで頂きました。
その後、晴れ渡った空の下、いもすけさんと二人、
三種類の鯨ようかんを並べて試食会♪
表示材料はそれぞれ異なるけれど、実際はどうでしょう。
「阪本商店」材料:米粉、小豆、砂糖、食塩、小麦粉、片栗粉
まずは「阪本商店」をば。
蒸したばかり、いかにも出来たてお菓子の香りにノドが鳴る。
あんは適度な柔らかさ。
さっぱりした甘さで風味が高く
生地にしっとりとよく馴染んでいます。
その生地は搗きたてのおだんごの様にムッチリとした弾力。
。
右上から阪本商店、安田屋、日向橘
つぎに東京で解凍品を食したことのある「安田屋」。
ひと切れずつがきっちりと成型されている。
スーパーに並んでも違和感がないルックスは
他のふたつとはやや異なった印象です。
プリプリとした弾力の生地と共にあんは固めにまとまっている。
そのせいなのかやや香りが弱めです。
ああそうだ、解凍品を食した際にこれを“あん風味の新粉餅みたい”と思ったのです。
ですが、こういった締まった食べ心地って嫌いではありません。
「日向橘」材料:上用粉、小豆あん、食塩
「日向橘」はかなり柔らかめ。。
生地もあんも水分を充分に含んでねっとりした食べ心地。
他のふたつとは材料も異なります。
なるほど生地のベースが上用粉ですから“搗いた餅菓子”というより
品の良いお菓子に近いわけです。
さすがにいもすけさんも一度にあれこれ食べるのは初めてのこと。
「わ。違いますね〜」と食べ慣れたものとはそれぞれ印象が異なるようです。
たしかに見た目に差は少ないが、食べ心地は違いが明らかでした。
それぞれ味わい深いものでしたが、
もっとも印象深いのは「阪本商店」。
うるち米の菓子ならでは口あたりは絶妙、
新鮮なあんの風味も好ましい。
いかにもその土地でこそ、のフレッシュなおいしさ。
永く受け継がれることを望みます。
「お菓子のよしだ家」酒麹でなくイースト発酵が珍しい“佐土原まんじゅう” 繊細なこしあんも美味
おいしかったなあ、佐土原で食べる鯨ようかん。
佐土原まんじゅうやくじら饅頭も好きだった。
ザックザクの大漁ってことでしょうか、
佐土原クジラ。
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●過去の「九州地方の菓子」記事
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・鹿児島県ショップ「木目羹」
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●過去の東京 いとしの和菓子関連記事
和菓子のブログを始めたワケとは?
他多数
★おまけの話★
(本に書いていながら)冷凍しか知らないのは片手落ち、と
「鯨羊羹を訪ねる!」とこじつけ、連れと別れて宮崎和菓子めぐりへと赴きました。
しかし宮崎行きのもうひとつの目的は“ナマいもすけさん”との接見。以前からレアな地元菓子「ねりくり」などを送って頂くなど情報交流もあり、今回も大変お世話になりました。 午後にお会いする予定を変更して朝っぱらから鯨ようかんだ、人形だ、饅頭だと思いつくままにひっぱり回したのに文句も言わずにお付き合い頂きありがとうございます。
ところで、宮崎までにも島津家の勢力は及び、いまなお郷土菓子にもその足跡が残っているのには驚いた。
●店のデータ
◎阪本商店 宮崎市佐土原町上田島38−1
※参考サイト=MCN
「鯨ようかん」 5切入・340円 10切入あり
材料:米粉、小豆、砂糖、食塩、小麦粉、片栗粉
◎安田屋
「鯨ようかん」 10切入・880円
材料:こしあん、砂糖、米粉、小麦粉、よもぎ、澱粉、食塩
◎日向橘
「鯨ようかん」 6切・550円
材料:上用粉、小豆あん、食塩
◎光仙
「くじら饅頭」110円 日向夏あん入り薯蕷饅頭(米粉 砂糖 山芋 白餡 日向夏)
「ドラゴンフルーツ大福」230円 ほぼ洋菓子。フワフワ生地にクリーミーなドラゴンフルーツ入
◎やよい堂
◎お菓子のよしだ家
「佐土原まんじゅう」こしあん入り蒸し饅頭 小麦粉をイースト発酵 70円
◎佐土原人形店「ますや」 佐土原町大字上田島1396-10 参考サイト
“饅頭食い”(700円〜)
◎佐土原人形工房「陶月」 佐土原町大字下田島19880-3
佐土原犬(500円)
★観光相談員さん(←佐土原出身!)に大変お世話になりました★
・新宿みやざき館KONNE(二階に観光相談課)
「光仙」誕生祝用 “鯨の押物”
☆☆あんころりんの本のご案内☆☆
*高 由貴子著
『東京 いとしの和菓子 あんころりんのおやつめぐり』。
カラー写真も美麗
表紙(帯別)です♪
“いますぐ行きたい東京の和菓子屋さん、パン屋さん”を満載。
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東京のおやつめぐりをご一緒に。
和菓子の楽しさを再発見する
小さな旅に出かけませんか。
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それはさておき、冷凍技術や物流が発達した今の日本で現地でないと味わえないお菓子というのは探せばまだまだあるようですね。 そのお菓子を訪ね歩く旅というのも楽しいです。
明治以降の地方自治体の区割りを越えた統治をしていた藩は加賀の前田家もそうだったと思います。
本当にその節はこちらこそいろいろ勉強にもなり、楽しい時間を過ごさせていただきましたぁ。地元のものだとわざわざ調べたり食べ比べなどしないので、今回初めて知った事もいろいろ・・。お恥ずかしいです・・・。
これを機に少し地元和菓子をもっと探してみようかしら?
是非是非、波乗りついでにまた宮崎へいらして下さいね〜。待ってま〜す♪
全国的に鯨ようかんやクジラ餅とい名の郷土菓子があるので面白いなと思います。クジラに親しみがもてるなんて何だかチャーミングですよね
佐土原藩も鹿児島からやって来た島津家が藩主。江戸時代、宮崎の穏和な人々は他国の侵攻を甘受していた、と地元の方はおっしゃっていました
ホントにホントにありがとうございます。私こそ地元の方の私も一人だったら三種類は買わなかったはず。情報なしにはこんな風に楽しめませんでした♪ 鯨ようかんのあのおいしさはいもすけさんがご一緒だったからだと思います。地元のお菓子にイイ物がたくさんあるのは素晴らしいですね!
またぜひ、宮崎めぐりに敢行したいです。その節はまたご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いしま〜す
あ、すっごく個人的感想ですが「光仙」はあのドラゴンフルーツ大福より鯨まんじゅうを作った方が良いと強く強く思いました(笑)。
美紀といいます。
この度ブログを始めたので挨拶で
コメントさせて頂きました。
私のブログは競艇やギャンブルが主になっちゃうと
思いますが日常の事もいろいろ書いていくので
よかったらコメントください☆
http://ameblo.jp/boat-gals/
これ、おいしそう〜!
写真をジーッと見ちゃいますー;
う〜食べたい♪
鯨を崇拝している街もいいですね。
鯨ようかん。阪本さんというお店の
頑張りが目に浮かぶようです。
おいしそうです。
これは、宮崎まで行った価値がありますね。
すあまとかこぉゆぅ系が大好きなワタクシ★
ぜひとも鯨ようかん、食してみたいです。
【´∀`】ノ '`ィ
コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
こめんんとありがとうございます。
私も梅は好きです。今後ともよろしくお願いいたします。
内陸で鯨っていうのがおもしろいですよね。どちらかというと「ようかん」というより餅と言った方がお菓子の内容としては伝わりやすいと思うのですが。
阪本商店、おかあさん一人で出来る範囲でつくっているからおいしいのだと思います。伝統の味だけど家庭的に丹誠込めたものですね。
べこ餅、残念ながら食べたことはありませんがも蒸した米粉のお菓子ですから、きっと食感は似ているのだろうと思います。すあまみたいなお菓子、私も大好きです♪ 良かったらまた遊びに来てくださいね〜。
島津氏と飫肥の伊東氏は長年に渡る仇敵なだけに関係は最悪でしたから、地元の人が他国の侵略を甘受と言うのは当然でしょうね。佐土原も元々は伊東氏の領地でしたから。そのため江戸城中でも島津と伊東、南部と津軽は顔を合せればカ傷沙汰を起こしかねないので幕府は対面しないよう苦労したみたいです。
お元気ですか♪お返事が遅れてすみません。
羊羹食いですか!さっすがお詳しい。
元は男の子から変身?したようですね。お家騒動などが関係するのでしょうか…。
>幕府は対面しないよう苦労したみたいです。
なるほど〜知る人ぞ知る秘話なんでしょうか?佐土原の史料館には多くの島津家由来品が展示されていました。伊東家のものはどうだったかしら?