寅(押物)、綾巻(羊羹製=こなし)、寅(黄味あん製)
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第72回を迎えた虎屋文庫資料展、
2009年11月は来年の干支にちなんで
「虎屋:寅年・虎づくし」展が開催され・・・
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ています。
赤坂本社2階の虎屋ギャラリーが
公開されるのは6月及び11月の年1〜2回。
現在(09年11月1日〜30日)は
第72回 お菓子も楽しい!「虎屋:寅年・虎づくし」展を
展示開催しています。
トレードマークの“虎”
このたびのテーマは
2010年の干支、および屋号である“虎”づくし。
絵画・文芸・玩具・行事芸能・屋号・菓子の資料の中には
虎に因んだ再現菓子や、御菓子帖も展示され
古くからの菓子の意匠のスバらしさを実感できます。
それから展示内容をまとめた冊子(無料)も毎回楽しみ。
和菓子好きなら愉しめること請け合いです。
大型の押物「扇面竹虎型」
そして
虎屋だってお菓子屋ですから一階の店舗で菓子も売る。
毎度、期間中限定で展示にちなんだ生菓子を赤坂本店でのみ販売します。
今回販売された生菓子は2種、いずれも菓銘は「寅」。
どちらも過去、寅年に販売された干支菓子で
社員から募集した図案を採用したものです。
画像↓のグラフィカルな虎柄、黄と黒の押物製は1986年製。
ちょうどバブル期に突入する時期ですが、
ポストモダンというよりはむしろモダーン。
展示中、虎屋本店に2度訪れる機会があり上と下の画像は別な個体。
三角縞の黄色部分が押物、黒は黒糖羊羹で構成されてます。
さて“押物”とは和三盆糖(や上白糖)に寒梅粉にでんぷんを混ぜた後、木型にきっちり詰め“押し”て乾燥させたもの。
おおざっぱに言えば柔らかめの落雁の類、つまり半生菓子っぽい。
意匠だけでなくふたつの異なる食感−
ドライな口あたりの押物と羊羹のなめらかさ−
もまた絶妙な組み合わせです。
思ったよりボリュームがあるので2回に分けて平らげました。
インパクトのあるルックスをしみじみ味わった「寅」です。
ちなみに虎屋の生菓子において“押物”は稀。
(棹物のひと切れという点で)見た目よく似た“湿粉製”は毎月のように調製しているけれど。
もう一方の黄味あん製はいわゆる“黄味しぐれ”で中はこしあん。
1998年製ですから前回寅年の製作です。
…'98年って何やってただろう。
黄味あん製“寅”。赤茶っぽさが特徴、虎屋のこしあん
虎屋の黄味しぐれを頂いたのはお初。
予想に反して、ホロリとした口あたり。
卵黄風味が濃厚、というよりあっさりタイプ、ワタシ好みです。
が、コアな“黄味しぐれ”ファンには物足りないかも…どう?
それから、今年もコンスタントにいただいた虎屋の生菓子、
“こしあん”の赤茶がかった色は従来どおりですが
甘みは以前より控えめに感じることが多かった。
…気のせいかな、あるいは当方の好みに変化があったか?
渦巻き型は寅ではなく「綾巻」という羊羹製、
いわゆる“こなし”です。
ふたつの寅と並べてみたくて思わずチョイス。
しかし、よく見れば黒でなく茶と黄の組み合わせ。
渦の中央はクルミ、です。
手前から綾巻(こなし)、黄味しぐれ、押物
「綾巻、とは砧(織物につかう道具)で布を打つ際、その布を巻き付ける棒のこと」なのだそう。
「砧は秋の季語、黄と茶の渦巻きが綾巻にまきつけた布」をイメージ。
以上、店の生菓子解説の受け売りでした。
ロール状のこなしはしっかりした食感が心地よい。
思いがけなくコツン、としたクルミの歯ざわりも新鮮です。
ところで何かを思い出す…
おお!おせちの伊達巻きだ。
巻物をほどきたくなるのは幼いころから。
そおっと、黄の生地から茶が剥がそうと試みました、
が、しっかり密着
“綾巻”2枚おろし(←懲りない)は断念しました。
みなさま上生菓子は
お行儀良くいただきましょう。
◎第72回 お菓子も楽しい!「虎屋:寅年・虎づくし」展
展示開催期間2009年11月1日〜11月30日
虎屋赤坂本社2階 虎屋ギャラリーにて
●過去の「虎屋」関連記事
● ●虎屋饅頭
●『嘉祥菓子と「和菓子おもしろ百珍」展(07年)
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●福寿饅頭「歴史上の人物と和菓子」展
冬の好物「虎屋饅頭」♪麹から作る本格酒饅頭
★おまけの話★
子供の頃から、現物よりむしろ物語に登場する食べ物に イマジネーションをかき立てられて空腹をおぼえたものです。
さて、今回の展示では・・・
大阪にあった「虎屋伊織」の菓子帖から再現された
虎をモチーフにしたとらふ餅、朝鮮かんや
あるいは「勅題干支新年菓帖」に描かれたそれは魅力的な虎模様のお菓子たちに 激しく惹かれました。
また各地にあった「虎屋」の名物はいずれも虎屋饅頭。
京都(つまり現・虎屋)の御用記録に書かれた虎屋饅頭の種類やら
役者にも大人気だった江戸「虎屋高林」の錦絵に描かれた井籠を見てるだけで 無性に虎屋饅頭食べたくなってしまう。
帰りがけに「虎屋饅頭ひとつ」追加したのは言うまでもありません。
ちなみに鎖国政策のため江戸時代末期まで実際の虎を見た者はなく、
先に来日したヒョウを虎の雌だと信じていた。
もしも若沖や応挙がそのヒョウを見ていたら(虎はオスに限る)って思ったのだろうか…
●店と菓子のデータ
・虎屋
・押物製「寅」1個(50g)420円:砂糖 黒砂糖 小豆 寒梅粉 澱粉 和三盆糖 白小豆 還元麦芽糖水飴 寒天 砂糖結合水飴 水飴 クチナシ色素
・黄味あん製「寅」1個(50g)420円:小豆 卵 白小豆 還元麦芽糖水飴 新引粉 新粉 クチナシ色素
・羊羹製「綾巻」1個(50g)420円:白小豆 小豆 小麦粉 寒梅粉 胡桃 クチナシ色素
※砂糖結合水飴とはカップリングシュガーのこと
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毎度のご無沙汰です。
そうそう、寅トラ!
まだ行けていないんです、行きます絶対!
モダーン物件もクルクル物件も
はがせないのを確認してから食べるの決定。
…いずれもはじっこ食べてみたいですね。
若冲と応挙のネコチックなトラは
キューティでほほえましいですよね。
そんなつもりで描いたんではないだろうが。
ではまたゲリラ的におじゃまします〜。
とらやさんの和菓子、さすがに老舗の貫禄ですね。デザインが、素敵♪
そういえば、来年は虎年ですものね。
今度の週末は赤坂になりそうです。(笑)
黄と黒の押物製は阪神ファンの受けがよさそうな気がします。
この「虎屋:寅年・虎づくし」展、11月いっぱいですか・・・。実物見て、食したかったなぁ。
なかなか行けな〜い、東京・・・。
お元気ですか、コメント嬉しいです♪
展示をつぶさに見ているとツッコミどころが多くて一人でにやついてしまった。お誘いすればよかったなー。生菓子、(とくに展示関係は)遅くには売り切れちゃうかも。
>若冲と応挙のネコチックなトラ
確かに。だって応挙の虎モデルは猫なんだって(笑)。また蕎麦&和菓子しましょう!
ご無沙汰してます。すごいです〜和菓子もランキング上位に登場ですね♪頑張ってください。
デザインは社員から募集したのだそうです。
>来年は寅年
最近は干支なんて忘れちゃいそうに、一年が過ぎてしまいます。
週末のひとときにはうってつけだと思います。虎のヴィデオも視聴できますよ。
>阪神
まさに会場全体虎づくしですから阪神ファンなら盛り上がるのではないでしょうか。
和菓子としては黄と黒の組み合わせ、とても斬新ですものね。ぜひぜひ来年はおいで下さい、そしてかき氷もたべなくてはいけないから、夏と冬それぞれいらしゃっらなきゃいけません。
これは義務です(笑)
虎屋本店、菓僚もいいんですよ。
押物製の虎は、見るからに虎でけっこう感激でした。和菓子のチカラってすごいわ。そのうち寅年ネタってことで写真だけ使おう(笑)
今回の展示も楽しかったのですが、個人的には長年の疑問だった「とら焼き」の皮の焼き方を知って、たいへん満足しております。
トラづくしの楽しい展示でしたね。
日本有数の和菓子屋、虎屋黒川だけでなくあちこちの虎屋さんのお菓子やトラのおもちゃ、お祭りと盛りだくさんでしたね。
帰りに1階のお店で寅のお菓子も買って有意義な日を過ごすことができました。
紹介ありがとうございました。
個人的な話で恐縮ですが、ブログの引越しをしましたのでよろしくお願いします。
今年の記事はまだかな〜、と思いながらコレ書いてました(笑)。押物ってホントに押すだけであんなにしっかり作っちゃうからすごいですよね。私は菓子帖にあった虎斑餅のへなっとしたフォルムが気になりました。
そうそう玉英堂の虎焼き↓は自分で紙を剥がせるのです。あ、すでにご存知かもしれませんね。
http://yuki-ssg.seesaa.net/article/16996351.html
早速引っ越し先で拙著をご紹介くださってありがとうございます、お菓子中心で新たに楽しいブログをスタートなさっておめでとうございます。
そして虎屋文庫もおいでになったんですね、楽しまれて良かった〜♪切り口がたくさんあったので寅年の方と阪神ファンには延髄ものだったことでしょう。
お菓子も売り切れず首尾良く手にされたんですね、ブログも幸先よいスタートですね〜。
こちらこそまたいろいろ教えて下さいませ。
私も菓僚が気に入っています。とりわけあんみつが好き。巨大なお饅頭は蓬莱山だったかな。私はいただいたことがありません。差し上げたことはあるんですけど。