川村屋(上)と川口屋。好みのルックスはどちら?
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松もとれ小正月も過ぎて
もはやお正月気分などどこへやら…
節分の豆やらヴァレンタインデイ商品が目立つこの頃。
しかしながら
一月中は花びら餅をいただく機会に・・・
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・・おおいに恵まれます。
少なくとも茶道裏千家の初釜ではほぼ間違いなく主菓子として供される。
(※花びら餅の由来については…
川端道喜のこの記事と松屋常磐のこの記事をご覧下さい。)
今年はすでに五種類の花びら餅をいただきました。
前回紹介した松屋常磐は京都の御菓子司。
今回の川村屋、川口屋はともに名古屋の御菓子屋です。
川村屋(左)と川口屋
ここ数年、こういった個人経営店の生菓子も
百貨店の熱心なバイヤーの働きにより
各地方から(輸送手段を駆使しつつ)都内まで運ばれ
居ながらにして頂く機会がどんどこ増えました。
希少価値云々言うヒトもいるけれどワタシには素直にありがたいこってす。
で、川村屋。
ここのお菓子は2007年4月の初対面時から好印象。
買うのはいつも新宿高島屋銘菓百選に月一度入荷する
《季節の上生菓子・四種ひと箱入》。
残念ながら未だ名古屋の店は未踏です。
川村屋、2007年4月に生菓子初購入 右は伊勢芋生地の薯蕷饅頭
彩り、繊細な仕上がり、素材の取り併せ方。
気が利いていて品の良い、洒脱なセンスにトキメきました。
始めてここのお菓子を頂いた際、感激のあまりにお店に電話してしまったくらい。
…変なヤツかも。
川村屋、2007年9月のお菓子 黒い球体は砂糖漬けの百合根を混ぜ込んだ吉野葛とわらび粉の餅「かりがね」
抜かりのない素材選びがちゃあんと味に反映されているのも嬉しい。
たとえばふっくらもっちりとした薯蕷饅頭の衝撃的なおいしさは、
上質な伊勢芋の素材力とそれを最大限に引き出す熟練の技があってこそ。
かといって吟味した素材だと声高にすることはない。
川村屋、2007年7月製
ういろうや吉野葛の菓子など。白小豆も多用
素材にこだわってまーす、ってのを謳い文句してるお店よりも
無限実行(の店)をむしろ信頼してしまう天の邪鬼なワタシです。
川村屋、2008年6月「周茂」れんこん澱粉の餅
そんなへりくつはさておき。
いえ、そんなこともあって予定外に購入したのが
川村屋の花びら餅。
前回登場した松屋常磐の花びら餅をピックアップした大晦日。
支払うレジ前には川村屋、川口屋、そして京華堂利保の花びら餅が並んでいた。
三店ともに以前からとても好きなお店。
あと数十分で閉店するというのにまだ数箱が積まれたままに。
ああ、それぞれ丹精したに違いないであろうお菓子が売れ残ってしまうなんて耐えられん。
「松屋常磐」五個入り箱を携えたまま、
思わず「川村屋もいただきます」。
結果、併せて10個の花びら餅を持ち帰ったのであります。
大晦日になにやってんだか。
五個入箱、花びら餅の能書きも添えている
前置きはこれくらいにして。
箱の中、五つの花びら餅は乱れず整列。
丸餅は雪平(せっぺい=卵白を使った口当たりの良いふっくらした餅)です。
…雪平についてはこちらの記事をご覧下さい…
ぽってりと厚みのある白い丸餅の中(菱餅は使わず)
紅く染めた白味噌餡とそして、甘く炊いた堀川牛蒡を挟んでいる。
餅と味噌餡、そしてゴボウそれぞれ丁寧にこしらえくっきりとした味。
ベクトルは(お菓子よりも)宮中雑煮を想像しうる餅サンド方向ってかんじです。
川村屋製 ピタブレッドサンドをちょっと彷彿?
雪平はフワフワ系もあればコシのあるタイプもあるけれど
これは見るからに餅らしさがあり適度な歯応えが心地よい。
西京味噌を使った味噌あんは甘過ぎず、ゴボウは食感、香り共にしっかり。
ちなみに京都の堀川牛蒡は太く内が空洞なので調理に詰め物をすることが多い。
十五代目川端道喜の見解では(著書「和菓子の京都 」より)
花びら餅に使うふくさ牛蒡として(堀川牛蒡は)大味で不向き、とあるが、
。
川村屋の能書きには堀川牛蒡が本来のもの、と述べている。
川村屋、ベースは丸い雪平餅、堀川牛蒡を芯に
朱がかった紅で染めた西京味噌餡を挟んで
なるほど確かにこの牛蒡は歯切れ良くしかも野趣のある風味。
川村屋の花びら餅はルーツを意識した
いにしえへの想像をかきたてる味なのかもしれません。
清々しい味わいの学究系(?)菓子づくり、
あらためてそんな印象を受けました。
いっぽうの川口屋。
こちらは七草明けてから偶然遭遇。
大晦日に逃したのでついつい連れ帰ってしまった。
ホントに欲張りで困ったもんです。
こちらも卵白を使った雪平の丸餅で菱餅なしタイプ。
そう、川口屋といえば雪平が得意なお店。
以前いただいたフワフワンの椿餅が思い出されます。
花びら餅もフワンフワンでまるで赤ちゃんのホッペタのよう。
思わず指先でなでなで〜&頬ずりしたくなるキモチ良さ。
軽やかなやさしい口あたりは年配の方にも大好評。
めり込みそうにふ〜んわか♪マシュマロ顔負けよ
適度な食感を残しつつ柔らかなゴボウと
しっとりした白味噌あんがよく馴染んでいます。
こちらも紅い菱餅の代わりに味噌餡を染めていました。
前回の松屋常磐、今回の川村屋、川口屋
奇しくもすべて菱餅を挟まない花びら餅でした。
どれも迷いのない明確な個性があって、新年からすごおく楽しめました。
それぞれの店ならではの趣向が際だつのが
お正月の花びら餅なのかもしれません。
川口屋、失礼して中あん拝見
菱餅の代わりに白味噌餡をピンク系紅色に
ところで
食べるのはあっという間だけれど
ふくさ牛蒡をきれいに柔らかく炊くのってすごーく面倒。
以前の自作経験で思い知りました。
なので来年もどこぞの店のをいただくことになりそうだ。
…っていくら何でも気が早すぎますね。
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●過去の川村屋と川口屋の記事
・2007年「川村屋」上生菓子
・川口屋の上生菓子
・「川口屋」椿餅と雪平のこと
●川端道喜他“はなびら餅”の記事
●太市の花びら餅記事
※この方も川口屋の花びら餅を召し上がっていました〜♪
そちらの記事もぜひ
★おまけの話★
2年以上に渡って「川村屋」のお菓子を紹介し損なっているのでここぞとばかりに 詰め込んでしまった〜。
ああ こんなことをやっているからサクサク更新が出来ないのだ。
反省反省。次回はホントに早めに書けますように。
ところで、もう一つ「和菓子いろは」宇佐美桂子先生の花びら餅をいただく機会にも恵まれました。 そちらもどこかでご紹介できると良いのですが…。
★川村屋 愛知県名古屋市中区新栄2丁目18−1
花びら餅(箱入り五個2100円
(09年大晦日@新宿高島屋銘菓百選)
(白玉粉 羽二重粉 砂糖 手亡豆 西京味噌 片栗粉 卵白 堀川ごぼう 着色料
★川口屋
花びら餅(箱入り五個1810円)
09年大晦日&10年1月9日@新宿高島屋銘菓百選)
(砂糖 白あん 白玉粉 餅粉 白味噌 ごぼう 白身 着色料)
*高 由貴子著
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でも実際区別がつかない未熟者でございます。
どちらも菱餅を入れないからか、なんだかたっぷり味噌餡つめてる気がしませんか。
やはり一度にいろいろ比較できると楽しいですね。
記事の更新を見逃していて、これ書いた後にちら見して勝手にリンクさせて頂きました、あとでTBさせてくださいませ。
しかしいきなり白身って魚かよ、って気もしますが(笑)。
雪平を羽二重もちって呼ぶ店もあるみたいですからノープロブレム。だと思います。さわり心地は羽二重だもんね。
たしかに味噌餡の存在大きめですね。私の知る限りでは東京のほうが菱餅入れる確率高いみたい。ルックス的には紅い菱餅に白い味噌餡のほうが嬉しい、と思います。