空也の桜餅、清月堂の雛あられ、石井いり豆店の雛あられ、煎そら豆
☆東京の和菓子めぐりに『東京 いとしの和菓子』
全国書店、Amazon で好評発売中。
昨日は桃の節句。
どこの百貨店でも桜餅に行列してました。
春めく風や芽吹く木々、
花の香りにそして雛かざり。
雛祭りを迎えると、なんとなーく心がほんのり弾みます。
桜餅や草餅など香りのお菓子も・・・
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・・・春先になるとグッとおいしさが増すものです。
空也の桜餅、今年は2月半ばから販売開始しましたが
寒さに関わらず、桜餅オンリーで入手するには要予約。
染めずに白い関東風の焼皮はロール状ではなく折りたたみ式。
さらりと一枚の葉でくるんだ桜餅、洗練された意匠です。
四角い皮の中には甘さを抑えた口どけ良いこしあん。
白い皮は軽く空気を含んでふんわりもっちりと柔らかい。
この軽やかな小ぶりの桜餅を始めて食べたときは
ちょっとした衝撃を受けました。
東京でも指折りの味、ではなかろうか。
そう、空也の生菓子はどれも華美でなく凛とした姿。
“粋”を形にした希有な食べ物のひとつです。
この時期の生菓子セットには桜餅が入る、ほかに黄味瓢、空也双紙、羊羹、草求肥、蕎麦薯蕷まんじゅう
そして桃の節句に欠かせないのが雛あられ。
定番だけど逆に形骸化、儀式化しやすい存在であります。
ま、ドライ和菓子って地味だから
概ねそういった扱いを受けるのだ。
だがしかしアナタ、雛あられを軽んじてはいけません。
真っ当な和菓子屋さんなら、手作りするのは当たり前。
関東風の雛あられは“本種あられ”というタイプ。
もち米を煎って爆ぜ(はぜ)、
一粒一粒プックリと膨らませる。
蜜かけして砂糖衣をまとわせるのだ。
揚げてもいないし、まさに手間ひまかけて穀物パワーを引き出した食物。
東海の雛菓子(予約限定品)
そんな能書きはさておいて。
おいしいのですよ、和菓子屋さんの自家製雛あられったら。
あられったらたら♪
我が家では2月半ば頃から雛あられ争奪戦がはじまる。
(これ開けてもイイ?)(イイけど一気完食禁止。)
てな、子供じみた会話がくり返されます。
2月中ですでに三店分を完食。
ふと気が付くと8種の雛あられが手元にある。
スーパーの一袋100円品とはちょいと異なるそれぞれの個性。
ずらり並べてみました。
最初に明治20年創業、本郷菊坂下の「石井いり豆店」。
「石井いり豆店」ハードリピーターを自認する豆好きのワタクシ。
蚕豆(そらまめ)の砂糖がけ〈ビーンズ糖〉や〈大豆糖〉をはじめ
ボリボリンの煎蚕豆、煎大豆(鬼打豆)の香ばしさ、おいしさったらない。
北海道産大粒豆を使用する大豆糖、夏はお休み。右は乾燥そら豆(中国産)のビーンズ糖
なんてたって穀物を“煎る”ことにかけてはプロ中のプロ、
店頭にある年季の入った道具で煎る、熟練の技を堪能できます。
石井いり豆店:本種は白砂糖がけオンリー、大ぶりの大豆同様に大粒のあられ
さて雛あられ。
今年はじめて頂いたけれどかなり好き。三本指にはいるかも。
大粒の本種あられはカリカりと硬質な焼き締め感。
そしてさすが!砂糖がけ大豆(大豆糖)&黒大豆のサイズ・量はエントリー中最高。
〈大豆糖〉は看板商品だけあって風味、歯ざわりのスバらしさはずば抜けている。
風船あられ(ふわっと軽い大きな球形、刻んだ餅を焼き上げる)は仕入れ品とのこと。
清月堂:黒糖がけの本種あられ、
2番目は2月に銀座本店で購入「清月堂本店」の自家製品。
カリッとした黒糖の本種あられが全体量の8割くらい。
風船あられ、黒大豆、大豆の砂糖掛けが入る。
本種は黒糖オンリー。メリハリのきいた色彩が特徴。
どの素材も遜色のない味と仕上がりです。
3番目は毎年恒例、人形町「東海」の雛あられ。
この店の折り詰め雛菓子「にぎり寿司」「お赤飯」は我が家の雛祭りのメインお供物。
極小世界の芸術的な美しさは要予約の限定品。
そればかりか熟練の主人が一人で調製する雛あられも一級品。
何せ、雛あられに開眼しちゃったのもコレのせいです。
東海:大は巾着、小は透明袋。本種あられは白・黒・桃色のシンプル三色
香ばしく“甘塩っぱい”白砂糖、黒砂糖の本種は全体の5割ほど。
ベースである本種あられを白黒両方ってのがイイ。
パステルカラーの風船、大豆、黒大豆は気前良くたっぷり。
あまりにも絶妙な混入加減は“やめられない止まらな〜い”。
おそろしい逸品でございます。
彩りよく目にも舌にもバランスが良くて軽やか。
神経の行き届いた各個体とそして美しいパッケージに至るまで
味はもちろん「東海」の洒脱なセンス、クオリティは
真似しようたって一朝一夕では成しえません。
4番目は銀座「柏屋菓子店」
銀座とは思えないお手頃価格でも自家製です。
本種は白砂糖のみ、量もほどほど生菓子同様にやさしい味わいでした。
柏屋菓子店:本種あられは白砂糖がけ
最後に米菓専門店「さくら堂」の雛あられと菱おこし。
友人からの頂き物で新潟からわざわざ送って下さったもの。
さくら堂:雛あられ三種と菱おこし
〈菱おこし〉は初めてですがサクサクボリボリの歯ざわりと さっぱりした甘さでノンストップ系危険アイテムでした。
さくら堂:水稲もち米の雛あられ 醤油、えび、昆布エキスなどで味付け
そしてさすが米処、三種の雛あられには水稲もち米で作る醤油系のあられも同封してあります。
これはサクサクと軽い歯ざわりで口どけがよいのが特徴、
小分けパックでそれぞれじっくり味わえるのも新鮮でした。
多くの和菓子店では2月頃から雛あられを自家製しています。
どれも手作り感たっぷりで食欲をそそる。
ハマったら最後、キリがないアリ地獄的アイテムは
なるべく見なかったことにしてスルーしたい。
そんなアンビバレントな魅力にあふれた季節の和菓子です。
左からさくら堂、石井いり豆店、清月堂、東海、柏屋菓子店
雛あられなんてどれも同じと思っているアナタ。
和菓子好きならぜひ一度はトライする価値があります。
ある意味、強い自制心と少しの勇気が必要かもしれないけど。
これからは春を告げるお菓子が店頭を彩ります。
それはそれでスルーするのに難儀するんですけどね。
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★おまけの話★
3月2日までにアップするつもりだったのに〜〜。
お節句はいかがお過ごしでしたか、という過去形になってしまった。
いやはやあっという間にお雛様を仕舞う日です。
ことしはうぐいす餅とどらやきに恵まれていますから、早くそちらも書きたい。
*お店データ
●空也
・桜餅 一個250円:小麦粉使用(2〜3月頃限定)
・上生菓子 箱入り6個1460円
(空也双紙:玉子・小麦粉 黄味瓢:玉子 そば饅頭:そば粉使用)
●石井いり豆店
・雛あられ 100g230円
・ビーンズ糖・大豆糖・鬼打豆 各200g440円(100gから)
・煎蚕豆 200g350円
●清月堂本店
・雛あられ(一袋85g)680円:餅米、黒糖、黒大豆、大豆、水飴、砂糖、着色料
●東海
・雛菓子(にぎり寿司、お赤飯)各2000円
・雛あられ(小袋)500円
●柏屋菓子店
雛あられ:380円
●さくら堂
*高 由貴子著
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姉さんの影響で、雛あられに目がいくようになりましたが
本当に色々なタイプの雛あられがありますよね。
個人的には、大粒なで黒糖味の物が好きです☆
「石井いり豆店」のようなお豆もうちの家族が
全員好きなタイプですわ〜
こちらが送った物までご紹介頂き、ありがとうございました。
私としては、昨年送った雛あられの方が好みですが
菱形のおこしタイプは、珍しいと思ってお送りしました。
来年は、どんな雛あられをご紹介頂けるのか、
今から楽しみでござる(o^。^o)☆
今年はひなあられ気分が上昇していたのに、なんとなく関西のひなあられが手に入るといいなあ〜と思っているうちに3月3日。当日は深大寺のだるま市ですっかり舞い上がってしまい、ひなまつりを忘れてはしゃいでおりました(笑)。
ところで空也の桜餅、すごぉく魅力的〜♪
コメントありがとうございます、頂き物を勝手に記事にしちゃってすみません。おこし、かなり後引き度高かった。ってほとんど家族が食べてしまったのですが(笑)。たしかに昨年頂いたモノのおいしさは印象的でした。今年のもおいしく頂きました、ホントにありがとうございます。そちらにはさぞいろいろ種類があるのでしょうね、実際にお店で見てみたいな〜。石井いり豆は気に入ると思います♪
煎り豆のおいしさ……きっとアブナイものが入っているのでしょう、おそろしい(笑)
すごい、酢漬けまで自家製ですか!そんな後引きそうなもの…うらやましいわ。
そーいえば私も関西風に出会う機会はありませんでした。でも関東風購入の制御だけでも四苦八苦なんだけどね。
空也の桜餅、すごーくオススメします。
やさしい色合いが素敵♪
関東の桜餅、こちらのとは違うので興味ありありです〜!(殆どこのタイプは見かけない。)
ちなみに石川・富山では桜餅は長命寺と道明寺の混在(もしかしたら長命寺が多いかも)で東の新潟県は道明寺がほとんどです。 山形はどっちか?不明ですけど金沢は前田家が京、江戸の文化を常にチェックしていたからなんでしょうか?
愛知・静岡はどうなのか?時間がかかりますが調べると面白そうです。
雛あられは手作りを知ってしまうと後戻りできない世界に入ってしまいそうで怖いですね。(笑)
石井いり豆店なんですが、こちらも仕事でよく前をとおります。 アップルパイのマミーズとセットでお買い物したいです。
そちらの雛あられはどういうタイプなのでしょう、東京とおなじかなー。関東風桜もちはクレープが一番イメージしやすいかな。一度春頃にいらしてください、イヤというほどおごっちゃいますよ〜。
空也タイプ、意外にも少なくないのですよ〜。今年もすでに三店でいただく機会がありました。あんが飛び出す心配はないですよね。
新潟は関東風かと思っていました。たしかに米処ですものね。
ぜひ雛あられワールドにはまっていただきたいです。
>アップルパイのマミーズとセットでお買い物
その手前のパン屋マヌビッシュも買い物リストに加えてみてください。