葛菓子の至宝、繊細かつ深い味わい〈葛ふくさ〉、鮮やかなキミドリ初夏の生菓子たち、チャーミングな見た目よりさらに数倍美味!〈高麗餅〉
久々の更新、
書きたいことは山ほどあるけれど
まずは「菊寿堂義信」。
いま“一番好きな上菓子”の店です。
先日、念願の焼菓子〈萬壽鏡〉を・・・
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・・・頂く機会に恵まれた。
「菊寿堂義信」は大阪の名門。
一子相伝の和菓子を継承するのは十七代目当主、久保昌也さんです。
大阪市内のオフィス街“北浜”高麗橋のこじんまりとした店で、
久保さんはただ一人、すべてのお菓子を機械を使わず一つ一つ手作りしています。
その詳しくは昨年の訪問記で。
はじめて食べた〈水羊羹〉にワッシと心を掴まれ
昨年二月は大阪の本店に赴いたのです。
その際、店内で頂いた作りたての高麗餅や
持ち帰った数々の季節菓子の魅力にすっかりメロメロ。
昨年、本店で求めた季節の生菓子、手前は〈ろうばい〉
すっかり小豆の風味が際だつ“あん”のとりこになり、
以来、大のシンパであります。
昨年の初夏には念願かなって銘菓の誉れ高い〈葛ふくさ〉を。
他にも〈わらび餅〉など新宿高島屋に航空便で運ばれた生菓子を堪能しました。
・その時の様子はこちらの記事にて。
立て続けにいただいてもまったく飽きることなく
それどころかすぐさま(あ、あの小豆の味〜〜)と恋しくなっちゃう。
この小豆の味〜〜〜ぃぃぃ=人気の高い〈大福〉
あれから一年。今回は以前にリクエストした
正体不明の通年菓子〈萬壽鏡〉をはじめ、
さまざまな生菓子が大阪から空を飛んで届けられるというではないか。
即行予約。入荷日までワクワクしながら待ちました。
五月下旬、航空便で新たにお目見えしたのは
〈季節の生菓子四種入り〉。
この中に〈萬壽鏡〉が含まれています。
その他は以前も頂いた
〈葛ふくさ〉、これは一箱に4個入、
〈高麗餅〉ひと組が五種のあんになります。
航空便ではない〈水羊羹〉も一箱4個入り。
一つ一つを紙箱に流し固めた水羊羹
さて心待ちにしていた〈季節の生菓子〉。
箱を開けた瞬間、〈萬壽鏡〉より先に目に飛び込んだのは…緑ミドリ緑。
あまりの鮮やかさにちょっとたじろいだ。
これってかつての“ヤンキーグリーン”に見えなくもない?
初夏の銘〈落し文〉くるりと巻いた葉はオトシブミ科の甲虫の巣。晩春から初夏に見られるもの。
正体不明だった〈萬壽鏡〉はシンプルな焼菓子でした。
ああ、なるほど。
合点したのは、以前高島屋に、定期入荷する〈梅干し〉と共に、
通年菓子の〈萬壽鏡〉を別注し入荷可能かお店に問い合わせてもらったところ
数をたくさん作るときでないとムズカシイ、という話だったのです。
それを聞いて、さらにイメージを膨らませていたのですが
そーか、焼菓子だったのねー。
納得したところで、まずは〈葛ふくさ〉をひとつ。
うー、この葛!この小豆!!美味い、美味すぎる。
葛も、粒々とした丹波大納言小豆あんも、とびきりの味です。
葛種は黒川本家製「随一本葛粉」で仕上げた本返し(煉って蒸す)。
葛は薄い生地よりぽってりとブ厚いくらいが好き。
小豆あんもこれ以上の風味の高さはないのでは、と思うほどだ。
なので、ワタシにとって〈葛ふくさ〉は理想的な葛菓子です。
次に生菓子きんとんの〈つつじ〉を頂いた。
中は大粒の丹波大納言あんがたっぷり、これは予想通りです。
発色の良いそぼろきんとんは…何だかねっとり甘そうに見えるけど…
きんとん〈つつじ〉、予想を裏切る(?)上品な甘さ。中は極上の丹波大納言粒あん
あ、あれ?おいし〜〜♪
・・・って当然です、考えたら色、関係ないもんね。
前に頂いた〈ろうばい〉同様、おいしい白あんのきんとんです。
しっとり柔らかいタイプの“きんとん”にありがちな粘るような甘さもなく
崩れにくいタイプの“きんとん”にある乾燥した食感もありません。
まさに中の大納言あんの風味を引き立てるが如く、白小豆のさっぱりとしたくちあたり。
原材料を見て思い出した、
きんとんに水飴や求肥など用いず。豆とフツーの上白糖だけで仕上げるのが菊寿堂でした。
次におそるおそる(笑)〈落し文〉〈青かえで〉を頂く。
どちらもこなし製で〈おとし文〉は備中小豆のこしあんをくるみ、
〈青かえで〉は備中白小豆こしあんが入る。
小麦粉を用いたこなし生地は口あたり良く、イイ意味で印象に残らない。
〈青かえで〉明るい緑のこなし生地の中は白小豆こしあん
どちらもあんに甘さをあまり感じさせず、なのに充分な満足感を得られるのは
上質の豆と“技”の力なのでしょうか。
当たり前のようで不思議。
「甘さを控えた○○」は近頃の和菓子において、味を誇る常套句となっています。
ワシ自身、もう少し甘さを抑えたら…って思うこともある。
とは言え、“あん”にある程度の甘みのない菓子は、
なんだか肩すかしをくらったような口さみしさが残るモノ。
菊寿堂の生菓子は甘さを感じさせず、しかし一つ頂けば満足する。
そして続けて食べても飽きず、うんざりすることもありません。
昨年二月の生菓子、どんどん食べても飽きのこない小豆あん
上白糖で炊いたあんはどんなにおいしくても余計に摂ると飽きる、
そんな風に思っていたけれど、菊寿堂に限っては当たりません。
ああ、オソロシイ。
さて、待望の〈萬壽鏡〉。
焼き印などを一切省いた円形生地はその名にふさわしい。
滑らかな焼き皮が食欲をそそります。
ワクワクしながらひとくち。
中はこしあん、皮はほどよくしっとりと柔らか。
見た目以上に密度のある生地、その歯ごたえがとても好み。
その日に焼き上げた皮に“はちみつ”の風味が残ります。
当日の賞味期限ですが、あえて半分だけ頂き、
残りをラップに包みんであらためて翌日頂きました。
ヘンなことをすると思うでしょう。
でもね、こういった焼菓子は“あん”と生地を馴染ませることで
より美味しさが増すことも少なくない。
実際、寿堂の黄金芋や大丸やき、そしてうさぎや(上野)の焼饅頭類など
翌日以降に味わうことを薦める店もあります。
そしてワタクシ、和菓子において“はちみつ”独特のアクをあまり喜ばない。
なので翌日。
ああ、執念のような食し方に我ながら呆れる。
そして予想通り、後から頂いた方が断然好き。
やれやれ、面倒な客だ。
しかし家族分、頼めば良かった〈萬壽鏡〉。
材料は小豆(備中産、丹波産)玉子 砂糖 小麦粉 はちみつ ベーキングパウダー。重曹でなく
〈高麗餅〉は記憶の中よりずっとずっと美味しかったし
〈水羊羹〉は小豆の風味に感激を新たにした。
やはりストレートにおいしい大納言小豆あんであり、最も好きな上生菓子であります。 迷わず全品予約&獲得してよかった〜。
むしろ、他の生菓子も頼みたかった…
と、未練を残すのがいい。
高麗餅、今年は崩れずに持ち帰った
こうしてまた理屈なんて忘れちゃって美味しさの記憶だけが残るのです。
今年中に再び味わえるでしょうか、大阪の名門。
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★あんころりんプロデュースのiPhone&iPadアプリ
「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く
※内容紹介&サポートサイト
「「和菓子wagashiー東京のお菓子・菓子パンを歩く」サポート」
●おまけの話●
6月も終わろうとしているのに5月の話になってしまった。すみません。
さておき、お知らせです。
あんころりんのiPhone&iPadアプリ「和菓子wagasi〜」の開発制作を担当するmichihiro nozawaから無料アプリ「ジョグボーイ」がリリースされました。
こちらはうって変わって“ランナー向け”。
とは言え、ウォーキングや町歩き、また犬の散歩etcにもすんごく便利。
歩くことがさらに楽しくなります。
無料ですのでiPhoneお持ちの方はぜひとも試してみてね。ダウンロードはこちらから
。 えーと、それからまもなく「和菓子wagasi〜」もバージョンアップの予定、後日お知らせいたします。 ほかにもお知らせがあったのですが、思い出せん、とほ。
水羊羹、四個入
●店のデータ
菊寿堂義信:大阪府中央区高麗橋2−3−1
日祝休 10時〜17時 土曜は予約のみ販売 (※参考サイト)
●お菓子のデータ
・葛ふくさ 1600円(4個入り)小豆(丹波産) 砂糖 吉野葛 餅粉 上用粉
・高麗餅 650円(ひと組)小豆(備中産丹波産)砂糖 水飴 餅粉 片栗粉 ごま 抹茶
・水羊羹 1050円(4個入り)小豆(備中産)砂糖 寒天 塩
以下季節の生菓子4種(1500円)
・萬壽鏡ますかがみ(焼菓子)*材料名は本文中
・つつじ 小豆(丹波産備中産)砂糖 着色料
・青かえで(小豆(丹波産備中産)小麦粉 砂糖 着色料
・落し文(同上)
以上 新宿高島屋「銘菓百選」にて5月22日購入
*高 由貴子著
『東京 いとしの和菓子 あんころりんのおやつめぐり』。
カラー写真も美麗
表紙(帯別)です♪
“いますぐ行きたい東京の和菓子屋さん、パン屋さん”を満載。
便利な地図も好評です。
東京のおやつめぐりをご一緒に。
和菓子の楽しさを再発見する
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最近は新宿に出るのも億劫になってしまって、タカシマヤからの入荷情報を眺めるだけで終わっているのですー。これから暑くなるとますます。。。いかんですな、こんなことでは。
それにしても、やはり鮮やかな黄緑のお菓子が並ぶと、一瞬引きますね(笑)。食べ物の色って、無意識に脳にインプットされた何かがあるんだなあとあらためて思いました。(以前、ハインツの緑や紫のケチャップが、味はふつうのケチャップなのにどうしても使い切れなかった…)
豆大福の餅の薄さと萬壽鏡の生地の薄さに腕を感じます。
平日に大阪まで行けたら行ってみたいお店です。
本当偶然なんでしょうが、最近のブログはすごく色鮮やか〜!やっぱりこう蒸し蒸ししてくるとあっさり目の和菓子が頂きたくなりますね♪
ほんとにうんざりします、この蒸し暑さ。が、何はともあれ菊寿堂だけは絶対に見逃さないように注意を払いましょう(笑)。萬壽鏡、ワタシも今一度味わいたいです、とても美味しかったのだけど例の如く細かいこと忘れちゃったし。
このミドリ色は昨年もという菓子に使われてそちらはステキなアクセントになっていたのですが、3つ並ぶとなかなかに衝撃的です。
グリーンケチャップ、あるカフェのオムライスに
たっぷり絞り出され、それを野菜ピューレと勘違いして食べたときのショックは忘れられません。紫の存在は知らなかった、kozueさん自ら購入したのだろうか…。
菊寿堂の粒あんはすべて大納言小豆、なのでその最上級である丹波産、というわけです。備中小豆は大変上質で、とりわけこしあんに使うものでは最良とも言われています。菊寿堂は白あんの白小豆とこしあん用に備中産を用いています。
豆大福、粒あんがめちゃめちゃ美味!ですので機会があったらぜひ♪餅米の餅でなく求肥なのでこの薄さが可能なのだと思います。ちなみに求肥は水飴を用いずに餅粉と上用粉を練ったものです。もしもいらっしゃる機会があれば予約をオススメします。
そうでーす、臆面なく大大絶賛してたのはコレです。ここの小豆、とっても豆っぽさが前に出ているのですが、おそらくいもすけさんもお好きではないかと思います。
東京もほとほとイヤになる蒸し暑さ、エアコン苦手なワタシは四苦八苦。そんなときは美味しいくず桜や水羊羹が何よりのおやつです。色については梅雨時に見るとこのキミドリ色もすっきり見えるから不思議なものです。
ワタシにとってこの店の水ようかんはベストのひとつです。煉切に見えますが“こなし”っていう種類なんですよ、きれいでしょ。
30分。やっとみつけたお店はやっているかどうか
わからない雰囲気ではいりそびれ、五感へと向かってしまいました。
来年また用事を作ってぜひ食べたいです。
はじめまして コメントありがとうございます。
私は初訪問だったので方向もわからず難儀しました。一見入りづらい店構えですが、ご主人は大変きさくな良い方です。来年ぜひ再トライが成功するようお祈りしています。
店の入り口が狭く店名も小さく出ているため探し倦ねましたが、テーブルが二つあり店内でも抹茶と一緒に食べられるようですね。
あんころりんさんがお勧めの、水羊羹、葛ふくさ、大福、高麗餅を購入しました。萬寿鏡は夏場は作ってないとのことで残念でした。
本店だと5種類の高麗餅以外は、2個から購入できました。
梅干ししか食べたことがなかったのすが、期待していた「葛ふくさ」の繊細な味には驚きました。
潰餡の風味と言い、それを包む求肥、葛の滑らかな舌触りに感動しました。
「水羊羹」は、本店で購入した物も水気は少なめでした。上品な甘さの中に仄かな塩気があり、小豆の風味が良く、私の好みだった越後屋若狭や長門の水羊羹とは違った味わいを感じました。
「大福」も美味しいですね。葛ふくさと同じ潰餡を羽二重餅のような柔らかい皮で包み、何個でも食べたくなります。
「高麗餅」は、”こうらいもち”と呼ぶのですね。5月に鹿児島へ行き、明石屋などで高麗餅を購入しましたが”これもち”と呼んでいたので。
良い情報を公開して頂き、素晴らしい菓子に出会えて、今日は幸せでした。
次回は、萬寿鏡と銀杏餅を購入したいですね。
菊寿堂のほか、
菊屋:名菊最中、甍最中、菊あわせ(つぶあん)
庵月:蕎麦薯蕷饅頭、庵月最中、花豆羊羹
を購入したので、明日も楽しみたいと思います。
お返事が遅くなってすみません。
行かれたのですね!すばらしい、そして羨ましい!
菊壽堂はほんとうに印象深い美味しさを与えてくれる稀有なお菓子屋さんだと思います。ああ大福食べたい、葛もの食べたい・・・。
水羊羹はやはり変わらずにあん主体なんですね、納得情報ありがとうございます。
美味しいものが充分にある、幸福な夏休みを楽しんでくださいね〜。