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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2010年07月19日

東海道五拾三次と和菓子
走井餅と姥ヶ餅、青山「菓匠菊家」
山種美術館限定の上生菓子

山種
山種
山種
上の〈さざ波〉テーマは歌川広重作「近江八幡 瀬田夕照」、〈せせらぎ〉は清流の若鮎を、姥ヶ餅はおっぱい風

『和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く』

昨年10月、日本橋から広尾に移転した山種美術館
その開館記念展「浮世絵入門」において
東海道五拾三次が一挙公開されました。

今回の展示にちなんだ特製の和生菓子を・・・

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(↓小さな画像はすべてクリックで拡大できます♪)

・・・館内カフェ「椿」ではお茶に供し、持帰り用の販売もしていました。

浮寄絵入門特製和菓子」は
青山の菓匠「菊家が特別に調製した五種の上生菓子で
山種美術館限定、展示期間中のみの品でした。

肝心な展示の目玉は歌川広重作「東海道五拾三次」。
もっとも貴重とされる保永堂版初摺の一堂に会したもの。

人気の高い作品ですから最終日の日曜は大いに混雑してました。
以前の日本橋兜町に比べ、広尾は(自宅から)自転車で20分ほどとグッと行きやすい。
…便利になったのだからさっさと行けばよかった。

IMG_0190.jpg
美術館エントランス


さて。「…特製和菓子」は目立った宣伝や告知もなく
帰りしなにカフェ入口で「和スイーツ開館記念」の文字を見て購入したのです。
注意しなければ菊家製ってのも気づかない。

選んだのは透明感ある〈せせらぎ〉と煉切の〈さざ波〉〈やまぼうし〉の三種。

カフェ席で注文が目立った〈せせらぎ〉は“清流に躍る若鮎”を表現。
特定作品にインスパイアされたのでなく“江戸情緒を感じさせ”る錦玉製の菓子です。

山種 山種
横アングルの〈せせらぎ〉と右は俯瞰図

二尾の鮎は羊羹で、
川底の玉石は夏の彩りをあん玉で表した涼しげなひと品です。
甘さを控えず透明度が高い錦玉はしっかりと固め。
そう、砂糖の量に比例して錦玉はより透き通り、コシは強くなる。

以前から「菊家」の錦玉や淡雪羹など寒天のお菓子が好きで、
(営業日なら寄っていくのにな〜)、なんて思っていたこの日。
タナからボタモチ、あんころ歩けば甘味に当たる♪

次に
もっとも惹かれたのは夏らしい意匠の〈さざ波〉。
広重作「近江八景 瀬田夕照(せたのせきしょう)」を題材に
“瀬田唐橋に寄せるさざ波”を煉切で仕上げ白あんを包んだもの。

山種
山種
〈さざ波〉と歌川広重作「近江八景 瀬田夕照」

沈む夕陽を映す波間は、丁寧に斜面を施し水平線らしさを強調。

手前の“橋”は羊羹で、水面のきらめきは銀粉、
精巧な帆掛け船はおそらく“ きざと”でしょうか。

夕陽色と水色の鮮やかな対比は暮れなずむ切なさも思わせる。
心を揺さぶる色あわせです。

山種
〈さざ波〉横アングルで斜面がわかる

今年はサーフィンツアー中止で、青い海が恋しくてたまらない。
極小の白い帆から目に浮かぶのはウィンドサーフィンのセイル。
くー海行きてえ〜〜〜。


俵型の〈やまぼうし〉は東海道五拾三次「大津 走井茶店」が題材です。

P1070958.JPG

“松並木の東海道を急ぐ荷車の米俵”を形にしています。
煉切の中は黒胡麻入りあん。

“走井茶店”については後で述べます(広重作品は↓参照)。


さて、そもそもの目的は浮世絵です
北斎、歌麿、写楽など有名作者の稀少な作品が並ぶなか、
ついつい興味が引かれるのはやはりお菓子絡みの一連。

東海道五拾三次には道中名物菓子が登場、
猿が馬場の柏餅、草津の姥ヶ餅
そして前述〈やまぼうし〉の題材「大津 走井茶屋」の走井餅などが描かれています。

姥が餅hiroshige065.jpg
歌川広重作「東海道五拾三次 草津名物立場」姥ヶ餅茶店を描いたもの

画のなかでも景気良さそうににぎわいを見せる茶屋、
〈姥ヶ餅〉と〈走井餅〉の菓子はいまなお名物として残り
〈姥ヶ餅〉は東京のデパートでも購入することができます。

現在の〈姥ヶ餅〉は草津で弁当など扱う南洋軒グループの「うばがもちや」が販売、
ワンパック6個入りで、つまりおっぱいを模したひとくち大のこしあん餅です。

山種 IMG_5606.JPG
商品名は〈うばがもち〉

菓子の由来は、近江で織田信長に敗れた佐々木義賢の曾孫を育てた乳母が売った餅。
「うばがもち屋」のHPにその物語が詳しい。
そしてワタシは神楽坂の〈おっぱいちゃん〉を思い出す。

ところで関東在住ワタシにとって“草津”といえば群馬の温泉地。
当初は(東海道に草津?)とやや混乱しました。

山種
姥ヶ餅

いっぽう〈走井餅〉は、明和元年(1764年)創業、「やわた走井餅老舗」がいまも健在。
明治時代、大津から京都八幡の石清水神社前へ移り、
昭和初期、本家は廃業したが分家((六代目と同姓)が引き継いだと推測できます。現当主は十代目。
詳しくはお店HPの歴史と由来で。

走井mgbfff3f57zik9zj.jpg
「東海道五拾三次 大津走井茶店」

こちらは近江羽二重米を用いた搗き餅
大納言小豆のこしあんを包んだもの。
うむむ、聞くだけで食欲がわく。

本格的な餅がそうであるように翌日は固くなるようです。
ようです、ってのは、現地に赴かずには味わえない餅菓子だから。
残念ながら食べたことないのです。

いかにも手作りといった(この形)は、
「三條小鍛治宗近が走井の名水で名剣を鍛えたという故事にちなみ、刀の荒身を表し」たのだそう。
ワタシとしてはずうっといまのスタイル(固化防止用食材など用いない)を貫いてほしい。
待ってろよー、必ず行ったるから。

山種 山種
こちらはデパートで購入可能「走り井餅本家」の〈走り井餅〉。“り”。

で、ワタシが頂いたのは
現在、三重県大津で営む「走り井餅本家」の
細長いラグビーボールのような走井餅。
曰く「水の流れ、ほとばしる水滴を表した」のだそう(HP)。
こちらはワンパック五個入り、新宿高島屋銘菓百選にて常時取り扱っている。
お手頃価格で日保ちの良い、お土産には便利な品でした。

山種
〈走井餅〉は数日柔らかい。餅粉ベースに酵素、トレハロース等使用

虎屋文庫の展示でも思いましたが
歴史上の庶民のリアルな嗜好が伝わる作品って楽しい。

今回は多くの優れた作品を目の当たりにすることが出来、
いっそうの満足感を得ました。

そして「走井餅」元祖の存在を知ったのは大きな収穫でした。

何でも一歩、いや二歩三歩と踏み込んで調べれば
興味はさらにさらに広がりますね〜。

マニア心からあらためてそう思いました。

山種
菊家がイメージした走井茶店〈やまぼうし〉。中は黒胡麻を散らしたこしあん

★過去の「菓匠菊家」関連記事
2010年6月8日
★「やわた走井餅」の様子は 11代目さんのブログからもうかがえます。

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通りに面したカフェ「椿」

●おまけの話●
エアコンが苦手でうだる暑さの中、まったく集中力がありません。
・「菓匠菊家」は引き続き「江戸絵画への視線」(7/17〜9/15)においても特製和菓子を担当しています。
走井餅については当初、滋賀「走り井餅」しか知らずに記事を書き始めました。 ところが、検索中に「翌日は固くなる」という記述を見つけ、ありゃ?と調べていくうち 「やわた走井餅」にたどり着きました。やったーと胸中にてガッツポーズ。
HPにある歴史の記述も誠実に思えるし、何より「走井餅」をはじめお菓子がおいしそー。次回京都訪問の折には何とかお店に赴きたいものです。
さらにオマケ
町歩きに愛用しているアプリです→「JogBoy」地図・距離・消費カロリー付
●美術館とお店のデータ
山種美術館
・菓匠「菊家」
やわた走井餅老舗
走り井餅本家
うばがもちや
新宿高島屋 銘菓百選

P1080092-2.JPG

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posted by あんころりん at 16:50| 東京 ☀| Comment(10) | TrackBack(0) | 港区&大田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あんころりんさま、お久しぶりです!
美味しそうという以上に美しいお菓子!
涼しさを感じました♪

山種美術館って引越ししていたんですね。
日本文化万歳!!

Keko
Posted by keko at 2010年07月19日 17:05
kekoさん
お久しぶりです♪
さすが美術館の為のお菓子とあって、味云々より意匠に惹かれます。カフェで多くの方が注文していたので他人事ながらうれしかった。
山種美術館、広尾というロケーションは似合っていました。新たな催しも楽しそうです。
Posted by あんころりん at 2010年07月19日 23:43
ああそれ、山種美術館、うっかり忘れちゃってました。

「やわた走井餅」にたどりつく話、ガッツポーズが目に浮かびます(笑)。とっても興味のわくお餅ですね。わたしも覚えておこう〜っと。

で、ただいまの悩みは「土用餅をどうしようか」です♪
Posted by kozue at 2010年07月19日 23:56
東京は(というより全国的に)暑そうですね〜。
(この3連休宮崎はまだマシでした)
こういうときは美術館巡り、いいですね!
冒頭のこりゃまた涼しげなお菓子。美術館限定のお菓子ってのが凄い。
和菓子も歴史あってこそ今、こうして頂けるのですね。ありがたや。
それにしても、この暑さには十分に気を付けて下さいね。
Posted by いもすけ at 2010年07月20日 06:36
kozueさん
そう、これ。展示中の催しも江戸モノです。そして菊家は連投するようです。五拾三次って楽しいのよねー。
>ガッツポーズ
すごい達成感味わえた(笑)。やわた走井餅老舗のことで、思うところが多くありました。
土用餅、やわた…のが美味しそうでねえ…。
Posted by あんころりん at 2010年07月20日 18:05
いもすけさん
東京は本日35℃、あっついですう。
>美術館限定
そうなの、これほど凝った生菓子ははじめて見ました。宮崎も歴史あるお菓子がまだまだたくさんありそうですね。水戸黄門のように日本中和菓子めぐりの漫遊したいな〜。
いもすけさんも熱中症などに気を付けて下さいね。
Posted by あんころりん at 2010年07月20日 18:40
京都に隣接しているためか?関東では滋賀県は知られていないですね。(もちろん、私もよくわかりません)

城下町や古刹が多いので結構、和菓子が充実しているようです。 あと、京菓子にとって必要だった近江米の産地ということもあるようです。

秋には比叡山あたりでも行ってみたいです。
Posted by 笹団子 at 2010年07月22日 21:55
大変ご無沙汰しております。

私も先日東海道五拾三次を見に足を運んだのですが、帰りがけに瑞穂の大福を買う事しか頭になかったので館内カフェはノーチェックでした。
残念。。。

ただいま東海道道中膝栗毛を読んでおりまして、安倍川もちあたりまで辿り着きました。この夏食べにいけたらな〜などと考えています。

Posted by oyatsu300 at 2010年07月22日 22:50
笹団子さん
訪れたいと思いつつ、滋賀は(サーフィン可能な)海がないこともあり新幹線で通り過ぎるだけでした。比叡山、興味深いですね。次回上洛の折りには八幡に廻りたいと思っています。
Posted by あんころりん at 2010年07月24日 09:30
oyatsu300さん
ご無沙汰しています、お元気ですか!
瑞穂の大福もたしかに魅力的ですから無理もありません。館内カフェ前にほんの印程度の品書きに偶然目が留まったのです。私自身、化粧室に寄らなければ気が付きませんでしたから。
>東海道道中膝栗毛
うわ、すごいですね〜。あの展示を見ると本編を読むきっかけになりますね。でも実行に移すところがさすがです。安倍川餅、わたしも石部屋のからみ餅とあべかわ餅、いつか食べてみたいな〜と思います。
Posted by あんころりん at 2010年07月24日 09:53
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