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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2010年09月22日

亀末廣/京都 和菓子めぐり甘党三昧〜2010
京のよすが、京都の土、玄米落雁…

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「亀末廣」200年ほど前に建てたという
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四畳半に仕切られた半生菓子“京のよすが” 
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風流菓“京の土”とスケール比較のiPhone 

和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く


京都へ行った。歩いて食べた、食べて歩いた

今回、かならずやを訪れよう、とココロに決めていたのは
亀末廣」。
文化元年(1804)創業、名のある和菓子の老舗です。

半生菓子振興会を自称するワタクシとしては・・・

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小さな画像はクリックで拡大します♪

・・半生菓子と干菓子の名店を素通りするワケにはゆきません。
とは言え。昨年は横目で眺めつ入店しなかったんだけど。

亀末廣の代表銘菓は進物用として重宝される
京のよすが」。

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四畳半”と愛称される高級半生菓子・干菓子の詰め合わせです。
京の便り、の意にふさわしく折々の季節を表すさまざまな菓子が
茶室の畳風に仕切られた秋田杉の箱にびっちり納められている。

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どうやって収めるのか?取り出せないほどび〜っちりと

まさに半生菓子好きには夢のようなひと箱に違いあるまい。
前回、手にしなかったので悔やむことしきり。

そんなリベンジ気分も手伝って、
(結婚式出席にかこつけたこの京都訪問において)
お買い物優先順位の筆頭でした。


てなわけで。
同行した母と別れその足で一路、姉小路へ。

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‘柚味噌’の八百三、魯山人が自ら彫ったという看板

そうそうたる老舗の集まるこの界隈、
風格ある佇まいがそこここに。そぞろ歩くだけで心が踊ります。
柚味噌で名高い「八百三」(1703年創業)から数軒東へ。

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烏丸御池駅から数分、姉小路の店

じつに風格ある商家らしい広々とした間口。
うっとりするような佇まい「亀末廣」がばーん、と現われます。
堂々たるヒノキ一枚板の看板文字は近代書道の先覚、山本意山によるのだそう。
姉小路界隈を考える会より)

店構えだけでもグっとくる…それもまたウレシい京都。
戦災を逃れて良かった、とつくづく思います。

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中に入れば、さらにさらにしびれる。
好物をむさぼるように店を眺め回せば、すでに目でお菓子を頂いた気分です。
いいなあ、近所なら毎日お菓子を買いに来るのに。

ゆったりとした店内は対面の座売り式。
菓子見本が並び、客はそれを見て注文します。
接客は丁寧で親切、さまざまな要望に応えようという気持ちが伝わります。
(どこへ行っても要望の多いおいら…)

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あまりにキュートな‘小芋’♪、小指の先ほど、なのに芯にあんが入る

季節の半生菓子、干菓子
お目当て“京のよすが”をはじめ
各種類一個ずつ買い求めることもでき
小箱に数種詰めた“京のよすが”トライアル版?もあります。

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これまたラブリーな‘小芋’は季節の生菓子。こなしと小豆こしあん

菓子見本を入口側から順に見ていくと
まずは季節の生菓子が三種、次にせんべいまんじゅう(最中)
そして(彼岸前だからなのか、例年にない残暑のせいか
小箱に入ったハッカの錦玉やら煉羊羹でなく琥珀羹、道明寺羹が数種。
懐中汁粉もあった、と思う。

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残暑にうれしいハッカ味の錦玉(琥珀)羹‘ふくみず’、極めて美味
右はせんべまんじゅう‘美代’(最中、粒あん)


続いて亀末独自の定番干菓子、焼菓子がいくつか並びます。
これがまたすんごく個性的かつ魅力的。
マイケル・Jのように「店にあるの全部」と言ってみたいものだ。

とりわけ、ぐぐぐぃっと惹きつけられたのは
和三盆風味のお餅煎餅“京の土

超大型麩焼き煎餅で面積的には“京のよすが”に迫るほど。
アクセントの紅葉だって切手ぐらいにしか見えない。
そしてめちゃめちゃブ厚い
6枚切りトーストくらいあるんじゃないか。
すり蜜の厚塗り具合といい、すんげぇ美味そうではないか。

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京の土 迫力のお餅煎餅

フンワリ甘い‘麩焼き煎餅’もまた代表的な京菓子です。

関東の堅焼き煎餅とは味も食感も甚だ異なり
名前から麩の菓子と思われる方も少なくないようです。
が、小麦グルテンは入っておらず糯米と砂糖が主原料。
堅焼き煎餅よりはむしろ最中皮の遠い親戚ってかんじでしょうか。

煎餅と言えば堅焼き、しかもおこげ好きのワタクシは
麩焼き煎餅、嫌いではないが情熱的でもなかった。

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しびれるコピー、添付のしおり

しかし。京の土
土って銘するくらいです、
風流だが野趣にあふれまくって、ぼりんぼりんと手強い。
手で割るにせよ囓るにせよ“は〜んなり”とはいきません。

すり蜜がまた何度も塗り重ねたようにたっぷり、しっかり固まってイイ感じ。
和三盆糖らしい存在感ある風味、濃厚でまろやかです。

フォンダン、砂糖衣に目のないワタシにはたまりません。
しおりに従い手で割って大はしゃぎ、囓って大喜び。
ばりんぼりん♪ぼりりりりん♪

あーら、すでに興奮ひとしきり。
えー半生菓子、半生菓子

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さて肝心の“京のよすが”、
キュートな亀ロゴ焼印付きの杉のふたを開けると
こちらははんなりと柔らかな初秋の彩り。
菓子は12種類、5.5寸四方の杉箱に美しく直に収めてある。
木の香は感じられず風味を損なう心配はありません。

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今回(9月半ば)入っていた菓子を順に書き出します。

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‘萩’と‘水の綾’求肥ベースの半生菓子

薄桃色の花を小粒あられで表した
愛らしい「」。
小気味よくカリカリしたあられと黒あんを包んだこしのある求肥。
ギャップある歯ごたえのバランスが絶妙です。

その隣のうず巻きは「水の綾」。
求肥で巻いたのは碧色の羊羹。

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その上は「押物」。菓銘に決まりはありません。
さっくりと口ほどけが軽く品のよい口あたり。
薄緑の生地に混ぜ込んだ紫蘇の香りと塩けがほんのり。
後を引きます。とても美味しい。

こういった地味に見える干菓子にこそ店の底力を痛感します。
ハイレベルな押物はぜひフレッシュなうちに頂きたい。
ひと山いくらのパック詰め菊型引菓子とは別物と思います。

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女郎花(おみなえし)

黄色い粒(芥子の実?)をまぶした求肥は「女郎花
中は白あん。

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秋海棠(しゅうかいどう)甘く繊細。‘すりこはく’が入っているのを確認して注文。

その隣がすりこはく「秋海棠」。
関東で‘寒氷’と呼ばれる‘すりこはく’は寒天と砂糖を溶かしてすり混ぜる。
個人的に最も好きな半生菓子です。
外はシャリッと中はすんなりと溶けるよう、
まさに半生でなめらかな口あたりは洋菓子の口どけに通じます。

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ユニークなテクスチャー「」は
石灰岩を思わせます。
砂糖入り卵白をメレンゲ状にして焼いたようです。
ザリッとした歯ざわりはメレンゲより砂糖に近い。
いったいどうやって作るんだろう。

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涼しげな「月」、岩を照らす蒼い月ってかんじ

“こはく”の「」。
食べ心地が良くてあっという間に消えた。
関東では“こはく”もすりこはく同様、“寒氷”の呼称です。

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きざとの「桔梗」と「小芋の葉っぱ」。
きざと(生砂糖)は雲平ともよばれ細工菓子に用いられます。
食用しない飾りオンリーもありますが、
桔梗も小芋の葉っぱもパリっとおいしく頂きました。

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手前が“かたくり”奥が“きざと”の桔梗

ややぽってりした「桔梗」は‘かたくり’と呼ばれる薯蕷粉の打ち物。
「吉野懐古」の本葛粉打ち物に似た口どけです。
まったりとやさしい味わいは和三盆糖より好み。

そして、もっともインパクトを受けたのが中央の“金平糖
とても繊細で噛むとはかなくシャリッと砕けます。
これまで頂いたどの金平糖より美味しい。
好みにもよりますが、緑寿庵清水に勝るとも劣らず。

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金平糖 すごい

観光菓”と謳い
「…京の姿 色 形 四季折々の贈りもの
京のよすが と名付けて
京でこそのおみやげと…

としおりにある(難読達筆〜)ように
京みやげ、ご進物にはいとよろし。

5.5寸の一箱から和菓子好きの友にほんの少しお裾分けしたけれど
毎日楽しくほぼ一人で味わい尽くしました。
ほっんとに半生菓子&干菓子っていいわ〜。

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玄米落雁

最後になりましたが“玄米落雁(一休寺)”について。
印象に残るステキな半生菓子です。
麦こがしを彷彿とさせる大変香ばしい落雁。
おそらく煎り玄米粉を混ぜたのでしょう。
アクセントに大きな大徳寺納豆が入ります。
しっとりねちっとした食感に大徳寺納豆の発酵系塩味が効いてます。
お茶請けに最適。

見本は箱詰ですが品物があれば一枚から購入できます。


昨年の京都訪問も半生菓子、干菓子に比重を置いたけど
亀末、どの菓子も興味深く楽しく味わうことができました
暑さキビシイ折“松露”の時期でなかったのが心残り。
次回は12月頃に行き、松露と“京の十二ヶ月”を獲得したいものです。

ところで。これすべて朝10時40分頃の買い物。
まだまだまだ「京都 和菓子めぐり甘党三昧2010」は続くのだ〜。

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店頭に掲げた看板


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●9月13日午前中@京都の徒歩ルートbyあんころりん;散歩計「JogBoy
※なお表示に少々時間がかかります

●おまけの話とお知らせ●
我が家は裸足好きでおいらはウォーキング、家族は裸足ランニングで 実践しています。
んで。結婚式&披露宴出席で滞在したのはウェスティン都ホテル京都。
ランニングに半ズボン、ビーサン履きでやってきた家族は 帰りも京都駅まで走ると宣った。
てっきりビーサンで走るのかと思いきや、 日曜の午後京都の町を裸足で駆け抜けたらしい。 9/12日、四条通りを裸足でリュック背負って走っているヤツを見かけた方。 そのランニング野郎は我が家族です。
そして万が一そいつをカメラに収めていたらご一報ください。
ワシも見た〜い。四条河原町の裸足ランナー。
●えーと宣伝、ていうかお知らせです。
・現在募集中のあんころ和菓子講座、詳細は和菓子散歩の達人になる
興味のある方ご連絡ください、或いは問い合わせてみて下さい。
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●店と菓子のデータ
●亀末廣(百味會
京都市中京区姉小路通烏丸東入ル
075-221-5110
・(追加情報お菓子のデータ
・京のよすが(3200円)〈砂糖(和三盆含む)餅粉 小豆 水飴 米粉 すり蜜 寒天 手亡 白小豆 片栗粉 卵白 植物性油脂 山芋 澱粉 紫蘇 塩 着色料(※州浜粉 黄粉の表示があるけど今回使用されたかは不明)
・京の土(お餅煎餅一枚700円)・生菓子(ex“小芋”=こなし)(400~450円)・玄米落雁(一箱2000円)・ふくみず(琥珀羹薄荷味)(400円)せんべまんじゅう(最中)250円

◎過去の京都関連記事
平野屋,豆政,松屋常磐,亀屋伊織…'09京都訪問〜その二(松屋常磐、亀屋伊織ほか
'09京都訪問〜その壱『御州浜司 植村義次』(09年)

・09'京都 和菓子めぐり甘党三昧〜その三(出町ふたば,進々堂,菓祖神社…ほか)  
京都「神馬堂」やきもち「一和」あぶり餅+「御倉屋」旅奴
京都の粟餅処澤屋,老松,天神堂,日栄堂,京菓子資料館
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洗練の水仙粽と羊羹粽「川端道喜」
秋の京都コレクション全部見せます:前編
 他多数

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亀末廣 和菓子 / 烏丸御池駅烏丸駅丸太町駅(京都市営)
夜総合点★★★★★ 5.0


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posted by あんころりん at 01:52| 東京 ☀| Comment(8) | TrackBack(1) | 近畿、東海(京都、大阪、名古屋・・) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おお〜〜〜っ、やっぱりお店もお菓子もすてきですね〜♪
じつはわたくし、次のネタは名古屋の亀末廣と思っていたので、今回の記事はよけいに興味深く嬉しく楽しく読ませていただきました。
それにしても「京の土」、どうしてそんなにでっかく焼いちゃったんだ?(笑)
Posted by kozue at 2010年09月23日 16:26
kozueさん
え。コレから名古屋ですか?それともすでに制覇したのでしょうか。名古屋の生菓子は東京で頂いた経験がありますが、ぜひ半生菓子を買いに行きたいなーと思っていました。京都はお店のオーラがすごくて。始めて半生菓子を頂くのがこういう店だとやはり印象もひと味違うと思いました。
>京の土、
絶対ウケをねらった楽しいお菓子なんだと思いたい。大人の遊び?
Posted by あんころりん at 2010年09月23日 21:32
今の京都では京のよすがのように小さくて繊細なお菓子だけと思いましたが、京の土のような迫力といいましょうか?大きいお菓子もまだあるようですね。

ちなみに末富の小芋は餅菓子でした。
Posted by 笹団子 at 2010年09月23日 22:24
「亀末廣」ステキなお店ですが・・・、
こういう店構えだと私は入れないだろうな〜。
京都はこういうお店が多いんでしょうか?
「京のよすが」なんと上品な!やっぱりな〜んか京都って違うよな〜。

この日はお互い歩きまくった日だったのでしょうね!(私はよくぞ熱中症にならなかったものだと、今考えると・・・)本当は自転車で行くつもりだったのですよ〜。
Posted by いもすけ at 2010年09月24日 06:27
笹団子さん
京菓子というとたおやかなお菓子を想像しますものね〜。京の土は大地を意識したのでしょうか、ますらお、ってかんじです。何となくおもしろがって作っちゃった、そんな豪快さと風趣を兼ね備えているのが気に入りました。今回は末富へ立ち寄る時間がなかったのですが餅だったのですね。各店で小芋や栗蒸し羊羹が残暑の中で目立ちました。
Posted by あんころりん at 2010年09月24日 17:01
いもすけさん
お互い猛暑の中、東西同時性多発歩きしていたのですねえ。いやはや 暑くて暑くてワタシもこの後、かき氷〜と叫んでそしてしっかり頂きました(笑)。京都は震災や戦災での被害が少ないせい数百年保持される建物が多いのです。従って風格ある店構えもたくさん。でも客あしらいが丁寧なので気持ちよくお買い物できます。単なるエトランゼとしてはこの上なく楽しい町、ワタシも今度は自転車借りてみようかと思うんです。
Posted by あんころりん at 2010年09月24日 19:03
”京の土”とiPhoneとの大きさ比較写真がいいですね!^^。
この大きさが魅力ですね^^。
Posted by 老舗旅人@京都 亀末廣 at 2013年07月18日 00:18
老舗旅人@京都 亀末廣さん

お返事が遅れて失礼しました。サイト拝見しました、すばらしい構成ですね。
京の土、堂々たる厚みと大きさが大好きです。
Posted by あんころりん at 2013年07月21日 16:01
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Excerpt: 名古屋「亀末廣」の“茶三昧” 「手づくり魂」が終わって遅めの夏休みは名古屋で「あ
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