
聚洸“着せ綿”

銀閣寺喜み家、名物“豆かん”

銀閣寺道で
『和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く」
2010年“京都 和菓子めぐり甘党三昧”
諸々あって滞在3日目から決行(?)しました。
午前中、亀末廣へ赴いたこの日
午後からは「銀閣寺 喜み家」へと・・・
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・・バスで向かいました。
当初、銀閣寺方面散策は予定していなかったけれど
残暑、超〜キビシカッタこの日、
もうたまらず“ど、どこか、か、かき氷…”。
お店に電話で伺うと「やっていますよ」と。
京都駅前から(A2バスで)の途中、「出町ふたば」に寄りたくなったけれど
頭の中をうずまく“氷&あずき”に押しとどめられ
無事、銀閣寺道にて降車。
哲学の道なぞ歩きつつ、鹿ヶ谷通り沿いの店を目指す。

雨上がりの哲学の道
どうやら小豆好きには知られた店で
酒井順子氏のエッセイ
そして和菓子識者の和三坊主さんもオススメしてくださった。
思ったより新しい店構えでしつらえはこざっぱりしています。

名物は“豆かん”。
そう、関東ならではの甘味を提供する、
京都ではちょっと変わった甘党の店です。
前述の本に拠ると「千葉出身の姉妹が2000年2月に始めた」のだそう。
まずはストレートに“氷金時(あづき)”オーダー。
直後に“豆かん”を追加。一緒でイイです、と伝えると
(豆かんが)水っぽくなるので順にお出しした方が…、とのサジェスチョン。
結局“氷金時”からスタート。柔らかく挽いた氷が、あ〜シミる〜〜。
考えてみるとこれが京都初のかき氷だ。

持ち帰り用“煮あづき”白玉2個入りでなんと190円
「喜み家」自家製の“煮あづき”はごく控えた甘さで
テイクアウトしたカップ入りはかっ込んで食べたくなるおいしさ。
これが一番好きかな。
かき氷にも同じ煮あづきが使われており、
ゆえに(?)“しぐれ”をたっぷりかけてある。
しぐれ、とは‘氷すい’に使うさらっとした白蜜(をかけたもの)。


氷金時
“氷あづきにしぐれをかける”(語法合ってる?)
驚いたことに、これ、京都では喜み家に限ったことではなかった。
喜み家のベーシック“煮あづき”はかき氷に蜜を足すのが「なるほど」の淡い甘み。
ところが。この後二度、かき氷の店を訪れたけれど。
“氷あずきしぐれ”“氷みぞれ金時”など
小豆を底に敷くか氷の中に入れて、仕上げに蜜をかける三層構造。
つまり宇治金時の抹茶蜜を白蜜にしたイメージ。
ワタシにはちょっとした食文化ショックでした。
たしかに氷が“は〜んなり”、柔らかくなって食べやすい。
ならば(京都だしぃ)宇治金時のほうがいいな、って思うワタシは貧乏性。
ちなみに一般的に東京で氷あづきの上に(トッピングではなく)足されるのは“あづき”。
正直、小豆好きとしてはこちらのほうが嬉しい。
ま、ガリガリ氷を甘受せざるを得ない場合もあるけどさ。

赤えん豆たっぷり、京都では珍しいという固めの生寒天。黒みつはあらかじめかけてある
さてさて。じわっと堪能した氷金時に“ほっ”。
間髪入れずに“豆かん”サーブ。
黒みつは別添えでなくあらかじめかけてある。
そりゃあ時間が経てば水っぽくなるでしょう。
柔らかに炊いた赤えん豆。お豆のたんぱく質がお腹に嬉しい。
減少気味だった体内小豆濃度も平均値にもどりつつある。
この後東山文化の象徴たる銀閣寺をあらためて観覧。美しかった。

波紋を表す銀沙羅と白砂の富士山型“向月台”
“侘び寂び”…ちょっと遠くなっちゃったが龍安寺へ枯山水を見に行こう。
観光客だもん、冬に行ったときは休みだったのだ。
途中「堀川今出川」停留所で乗り換え、
バス停“天神公園前”近くの「聚洸」へ立ち寄る。
ここは鎌倉にある和菓子と日本茶の店「蕉雨庵」の女将に訊いて
訪問リストに加えた御菓子屋です。
「蕉雨庵」の生菓子が好きなのでどんな店かと期待してました。

鎌倉「蕉雨庵」9月の生菓子、浮島ベースに白下糖あんのきんとん“夜半の月”と本葛菓子(美味!)“新涼”
検索すると
「2007年開業の新しい御菓子屋で 主人は名古屋「芳光」で合計7年修行した「塩芳軒」の息子さん。」
まさに和菓子屋系サラブレッドといったところでしょうか。
その「芳光」当主の修行先が塩芳軒ですから。巡る師弟関係。
(参考:お散歩京都学)

聚洸(じゅこう)新しさ漂う店構え
静かな商店街に佇むのは、こざっぱりと品の良い店。
当日の生菓子見本は五種類。むし暑いし“本葛”ものが欲しかった…
けれど葛と本蕨粉を使った“初雁”はすでに売り切れ。
やはり(わらび餅の名店)芳光仕込みということで、わらび餅系が人気あるのでしょうか。
百合根入りの生菓子って好きなのに…残念。
というわけで(重陽の節句(9/9)も過ぎちゃったけど)
こなしの“着せ綿”、羽二重(=雪平)の“白菊”、
外郎で白あんを包んだ“桔梗”を選びました。
一個だけのつもりだったのについ…。
粒あんについては「まだこの時期は(早い)」とのお応えでした。
おそらく丹波大納言小豆なんでしょう。

“桔梗”外郎で白あんを包んだ
さてさて。
聚洸のお菓子、あまりにも繊細で。
今まで食べたどこの生菓子よりも生鮮度を要します。
ぎりぎりまで抑えた甘さは酷暑に耐えかねるほど。
(持ち歩いたので危うかった)
雪平(羽二重)は柔らかさのあまり紙にくっついちゃった、
けど美味しかった。

“白菊”ふわっふわっの羽二重(雪平)に中は小豆こしあん、かなり卵白たっぷり(だと思う)
上生菓子もいろいろあるけれど
あくまでも個人的に“ヌーベル上生菓子”と呼んでいる
新しい波を感じさせる菓子(店)があります。
ポイントは軽やかな味わいと上質の素材を生かしたフレッシュな仕上がり。
紫野源水、甘楽花子そして鎌倉の蕉雨庵などがその印象。
芳光や一幸庵も同系列に感じるし
聚洸も“それだ”と思いました。
しかし和生菓子の新進気鋭店、東京はなかなか現れません〜。
んで、物腰柔らかな若い女将と言葉を交わし、店を後に龍安寺へ。


龍安寺も禅寺。庫裡玄関にある屏風。言わずと知れた石庭
・・・・・・
でも、あまり心落ち着かぬまま石庭を眺めて龍安寺を後にした。
また出直そう。
気を取り直し、今から目指すは“あの”あんこ屋さん。
急げ北野へ、れっつごうとぅ「中村製餡所」。
●今回の散歩ルート(各ポイント写真付)地図Jogboy
※表示に数秒かかります。拡大して見ると楽しいです
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●店と菓子のデータ
・喜み家
075-724-8838
氷金時(600円)、豆かん(550円)、持ち帰り用煮あづき(190円)
・御菓子司 聚洸京都府京都市上京区大宮寺之内上ル
075-431-2800
生菓子(300円)
・蕉雨庵(鎌倉)神奈川県鎌倉市雪ノ下3-4-6
0467-22-8300

◎過去の京都関連記事
・'09京都訪問〜その二(松屋常磐、亀屋伊織ほか)
・'09京都訪問〜その壱『御州浜司 植村義次』(09年)
・09'京都 和菓子めぐり甘党三昧〜その三(出町ふたば,進々堂,菓祖神社…ほか)
・京都「神馬堂」やきもち「一和」あぶり餅+「御倉屋」旅奴<
・京都の粟餅処澤屋,老松,天神堂,日栄堂,京菓子資料館
・京都の美玉屋,川端道喜,マリーフランス,天引,本家船はしや
・京都の中村軒,下河原阿月,鍵善良房・河井寛次郎記念館
・京都和菓子あるき:祇園饅頭,畑野軒老舗,たなか,錦平野 …
●おまけの話とお知らせ●
いやはや 一週間で酷暑から冬へ飛んだから、かき氷記事が寒々しいったらありません。
まだ秘蔵のお宝画像(ほんとかよ)がたくさんあるのにオクラかしら。
さて、普段はヒマだけど9月は鎌倉、根津、京都、根津と歩く仕事が多かった。
今回の京都和菓子めぐりでは「Jogboy」というウォーキングアプリを使って訪れた場所の地図を こんなかんじ今回の散歩ルート
で作っています。歩いている際に起動すれば自動的に出来上がり。距離や時間、消費カロリーまで算出されるスグレもの。写真も同時にアップできるのでアルバムと地図が同時に完成。
最近ではこれなしに歩くことが出来ない。Jogboyアディクション。
●しつこくお知らせです。
・現在募集中のあんころ和菓子講座、詳細は和菓子散歩の達人になる
興味のある方ご連絡くださるか問い合わせてみて下さい。実際の町歩きも予定しています
・もう一つの和菓子講座も募集中、詳細はこちら と こちら
★あんころりんプロデュースのiPhone&iPadアプリ
「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く
※内容紹介&サポートサイト
「「和菓子wagashiー東京のお菓子・菓子パンを歩く」サポート」
*高 由貴子著
『東京 いとしの和菓子 あんころりんのおやつめぐり』。
カラー写真も美麗
表紙(帯別)です♪
“いますぐ行きたい東京の和菓子屋さん、パン屋さん”を満載。
便利な地図も好評です。
東京のおやつめぐりをご一緒に。
和菓子の楽しさを再発見する
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聚洸 (和菓子 / 鞍馬口駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0
昼総合点★★★★☆ 4.0
【近畿、東海(京都、大阪、名古屋・・)の最新記事】
京都の夏は厳しかったでしょうね。
見ているだけで、幸せな写真の数々に、京都に行った気になってうっとりです。
京都の氷金時にもオドロキです。
私の近所では、しぐれのかかったその形は「氷しるこ」です。
あと聚洸さんのお菓子の美しいこと。
京都のお菓子は、はんなりと淡く、はかなげな見た目や、上品な甘さもさることながら、お店のビジュアルもたまらなく魅力的ですね。
なんかもうお店を見ただけで、このお菓子ウマイぞ、と確信できてしまうと言いますか…。
お忙しくご活躍のご様子!
東京も急に寒くなりました。
こうなると暖かいお汁粉やおぜんざい…と誘惑に駆られてしまいますが
残りの氷やお菓子も、とても気になるのでぜひ紹介してください(*^^*)
追伸:なにやら、とらやさんがパリ出店30年を記念して銀座店で特別なお菓子を9/25〜10/24出すとか。気になるので時間をみて行ってみたいと思います!!
そのせいか、銀閣寺の「美しかった」まで「美味しかった」と読んでしまった(笑)
もう何年も前のこと、社員旅行先で入った喫茶店でああいうかき氷が出てきて、上司がいきなり両手で氷を押さえつけてぎゅーーーっとコンパクトにしてから食べ始めましたよ。彼の中では常識的な食べ方だったようです。
中村製餡所、先日お取り寄せして両親に送ってみたところ大好評。
あんを皮に挟むタイプの最中(もなか)、すごく美味しかったようです。取り寄せの際のお店の方とのメールのやりとりもとても温かく親切でした。
近日、行ってみたいと思ってます。
こんばんは。東京があまりに暑かったため、京都も東京も同じに溶けそうな気分でした。かき氷をこれほど欲した夏もありません。
>氷しるこ
え!そうなんですか。東京ではさらさらの御前汁粉っぽいあんなのですが。
聚洸のお菓子、仰るとおり美しく優しい口あたり。まさに‘生’のお菓子でした。
京都で楽しいのはお店のようすが魅力的なことですね。つい歩きたくなります。だからお腹減ってさらにおいしい(笑)寒い(涼しいどころか)なか、かき氷記事を楽しんでくださるわこさん、寛容です、ありがとうございます。
虎屋情報、よくご存知ですね。パリ関係は伊勢丹や三越、本店でも展開するそうです。ワタシも今からどういう順に買おうか計画練っています。
京都は酷暑にいかれたのですね。
やはり夏の京都と上海
食い倒れならぬぶっ倒れに行くようなもんです。
でも、今年は暑さに何とか慣れたかと。
(いやいや)かき氷うまそうですね。
今年ほどかき氷が似合う年もなかったですね。
>豆盛り
散歩中の赤えん豆って効きます、お試しください。かき氷を手でぎゅっとする人。これが結構いるんだ。子供の頃よく見た風景ですが多くは片手だった。ワタシもよくこぼすので、気持ちはわからないでもない(しないけど)。
銀閣寺の向月台、和菓子に見えなくもない…けど食べないわ、やっぱり。
散歩中の赤えん豆って効きます、お試しください。かき氷を手でぎゅっとする人。これが結構いるんだ。子供の頃よく見た風景ですが多くは片手だった。ワタシもよくこぼすので、気持ちはわからないでもない(しないけど)。
銀閣寺の向月台、和菓子に見えなくもない…けど食べないわ、やっぱり。
中村製餡所のもなか、ホントにおいしいですよね。ご主人はとても親切で温かみを感じさせます。今回、最中皮は割れそうなので小豆餡類を持ち帰りました。自己制御しないとワンパック一気に食べちゃいそうでオソロシいのですが。
秋は新豆の季節ですね。お店までぜひお出かけになってみてください。
ホントにのど元過ぎれば何とやら、です。
10日前とはうって変わってストーブ出そうかって思うくらいです。yottyanさんもかき氷堪能されましたね、志むらも良かったです。
あの暑さ何だったんでしょう??
今はかき氷から焼き芋を欲するようになってきました!
夏の京都はそうとう暑そうですが、これからは一番いい季節。美味しい和菓子求めて京都散策したいもんですな。
聚洸のような新鋭のお店は私の力では知る由もナシです。
素材に「洋」のものを取り入れる新しい和菓子はよく聞きますが、従来の素材を新しい考え方で作る流れという新しい流れというのも魅力的です。
来週、また京都まで行ってきますが暑さが落ち着いただけに収穫したての栗や小豆を使った魅力的なお菓子と出会えることを楽しみにしています。
お返事が遅くなってすみません。ほーんとに秋めいて…と思いきや明日はまた夏日ですって。とは言え気持ちはすっかり秋。さすがに焼き芋の方が魅力的に思えます。秋って和菓子がやたらおいしく思いませんか?いつか京都で一緒に焼き芋食べましょう!(すごく行きたい焼き芋屋さんがあるのだ)。
豆かんって地味だけどなんだか食べたくなるんですよね。浅草はおいしい豆かんに不自由しません。
>従来の素材を新しい考え方で作る
そうなんです、感覚的にもフレッシュ、そして実際の味も新鮮なかんじ。繊細なだけに涼しくなってから頂く方がよさそうです。
>京都
いいですね、栗のお菓子、京都はイイ物がたくさんありそう。羨ましい〜。