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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2010年10月25日

京都/塩芳軒の“蒸菓子”御干菓子“聚楽”
干菓子だけでなく

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塩芳軒“花すゝき”よもぎがスゴイ羽二重に大納言粒あん
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黒糖羊羹に和三盆糖“ふくべ”と梅肉入り“梅鶴”
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主家から戴いた長のれん。蒸菓子、聚楽饅頭など文字は紀国屋番頭・千坂和三郎氏書による
和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く

京都のお店をもう一つ。
創業128年
塩芳軒」は織物の町、京都西陣に営む京菓子司

町にはかの聚楽第址があり・・・


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小さな画像はクリックで拡大します♪

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かつて豊臣秀吉が贅を尽くした屋敷がここに

その一角に
墨地に白抜きの長のれん水引のれんが下がり
軒上に行灯と鍾馗さんのしつらえた表がまえ。
民家が建ち並ぶなか
いかにも矜持を感じさせる老舗です。

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京都でしばしば見かける鍾馗さん瓦と軒行灯


薯蕷饅頭の始祖、林浄因の流れを汲む「塩路軒」から別家し
創業したのは明治15(1882)年。現在四代目です。
屋号は塩路軒の“塩”と“初代の高家由次郎の名から“芳”で塩芳軒としたのだそう。

そうそうたる老舗がひしめく京都では
歴史は浅い方になるのでしょうけれど。
雰囲気からして貫禄充分、格式ある上菓子の店です。

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代表銘菓は創業時からの焼饅頭「聚楽」。“天正”の印がかっこいい。

さて、都内で塩芳軒の品を見ることは稀。
伊勢丹新宿店にて和三盆糖の干菓子を扱っているけど
生菓子はなじみが薄いと思います。
たまーに
新宿高島屋に“蒸菓子”や焼饅頭“聚楽”が入荷する程度。

「蒸菓子」?そう、長のれんに書かれたように
塩芳では上生菓子を“蒸菓子”と呼ぶ。
表示シールの品名も「蒸菓子6個入り」としています。

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今年4月の「蒸菓子6個入り」新宿高島屋にて購入

ともあれ。ワシもそれぞれを購入した経験があり
なかでも“蒸菓子”つまり上生菓子がすこぶる好みでした。
それまで持っていた“和三盆糖干菓子のお店”という印象は覆されたのだ。
東京にいると遠方の店に実感と異なる印象を持つことって多い。

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4月の菓子“木の芽上用”(こしあん入)と“芽柳”外郎生地に中は白あん、白ごまを散らして
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同“山桜”白あん入羽二重(雪平餅)と浮島“春の川”


で、前回書いたように、
夕方にふと思い立ち(一応確認の電話を入れて)
北野から中立売黒門通りに向かい、 店の象徴たる長のれんをくぐったのは閉店間近の5時半過ぎ。

ガラス戸は自動開閉だが店内がまたかっこいい
ほの暗いなか、磨き込まれた各パートが浮かび上がるよう。
大正3年の建築当時しつらえたのであろう抽斗箪笥や
すりガラスをはめた引戸、菓子見本を並べた陳列台などなど。

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その見本から選んだ“蒸菓子”は
白小倉、萩の花、そして花すすきの三種。
この店も聚洸同様、わらび粉を使った“初かり”はすでに売り切れ。

そう、以前(9/27)書いた「聚洸」は「塩芳軒」御次男のお店です。
じつは聚洸も塩芳軒も同じ日に訪れたのでした。

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9月の“白小倉”寒天でコーティング 中は白こしあん、

ほかに焼饅頭“聚楽”も二つ頼みながら
目に入ったのが小箱の中のキュートなひさご型。
いかんいかんこれ以上は、と思いつつ追加してもうた。


さて“蒸菓子”(しつこいようだけど上生菓子のこと)。
これが期待以上、よかったですう〜〜。

とりわけ“花すすき”。 蓬を使った上菓子のなかで最高級の逸品でした。

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9月のよもぎ羽二重“花すすき”

画像でも繊維がわかるほど草たっぷり
これがまあ、驚くほど繊細な羽二重で。
噛んだ瞬間、ふっ、とほどけるよう。
薄くて粘らず歯切れ良く。
蓬の柔らかな繊維だけを餅でつないでみた、ってかんじです。

そのうえ中の丹波大納言あんがふっくら大粒で柔らかい。
京生菓子の大納言あんってホントにみごとなモノが多い。タンバたんば♪

たしか4月の詰め合わせでも一番のお気に入りがよもぎ餅の“わらび”。
感激するほど美味しかったなあ。

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4月の“わらび”よもぎの羽二重に大納言粒あん入

それをさらに凌駕しちゃっています“花すすき”。
繊細かつ大胆。かっこいい。
記憶では“わらび”の方が心持ちしっかりしていたような…
季節によるものか、あるいは配送するからなのか

外郎に緑(に染めた白)あん“萩の花”も
歯切れ良く、米粉特有のクセもなく後味もきれいだった。
ただ、あまりに“花すすき”のインパクトが強すぎて印象が薄れてしまいました。
ごめん、萩。

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萩の花

も一つの蒸菓子、大粒白小豆のかのこ“白小倉”も良かった。
みごとな蜜炊き白小豆白こしあんをくるみ寒天をかけたものです。
単独で対面していれば強い存在感があったと思うけれど。

御干菓子詰合がまたまた独特で良かった。
しかも直球の美味しさです。

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ひさご(瓢箪)を象った“ふくべ”
黒砂糖羊羹に和三盆糖をまぶして干した半生風の菓子。
風味といい、口あたりといい個性的かつ美味。
薄茶にも合うよう黒糖の風味が品良くあっさり。
ほどよい歯ごたえもクセになります。

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“梅鶴”(ばいかく)
梅肉を用いたいひとくち菓子。
松屋籐兵衛の“珠玉織姫”と同様に糯米ベースの ねちっと柔らかなお菓子です。
ぽいっと口にほうり込むとほの酸っぱさが広がる。
上品な駄菓子(?)ってかんじ。アンビバレントな魅力。

ふくべ梅鶴も御干菓子というより半生菓子的印象。 かわいくて美味しい、ほどよい甘さと独特の食感は常備菓子にもうってつけです。

他にも魅力的な半生風“御干菓子”がありました。
和三盆糖もいいけどそちらを入荷しないだろうか@新宿各店。
素材感も新鮮だし“蒸菓子”より日保ちするし。
誰にいうでもなく「よろしくお願い」。


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えーと。聚楽饅頭は今回三度目の購入でした。
この代表銘菓のツボが未だにわからぬ味オンチなワシ。

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4月のきんとん“春の野”キュートな断面♪

・参考サイト 京の声
この日(9/13)あんころりんの歩いたルート=写真と地図こちらにて。表示に少々時間かかるけど楽しいので興味ある方ぜひご覧下さい。

●店と菓子のデータ
塩芳軒
京都市上京区黒門通中立売上る飛弾殿町180
075-441-0803
・蒸菓子(上生菓子:9月半ば)花すすき、萩の花、白小倉(1個399円)
・御干菓子詰合(ふくべと梅鶴、飾り松葉(きざと)=798円)
砂糖 和三盆糖 黒糖 梅肉 糯米 米飴 小豆餡 寒天 着色料
・焼饅頭“聚楽”(157円)
・蒸菓子6個入(4月)(2520円)
砂糖 小豆 餅粉 山芋 米粉 卵 蓬 小麦粉 木の芽 胡麻 着色料

新宿高島屋 銘菓百選
※今年4月の“蒸菓子”は新宿高島屋にて航空便を購入

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★おまけの話★
◎再び(みたび)kozueさん編みぐるみの文化祭が11/23〜28まで千駄木空間で開催します。
詳細はこちら。こんどはきのこだって。“役に立つ、立たない”決めるのはキミだ!

◎本文に塩芳軒の屋号由来を書いたけど。
塩芳で修行した名古屋「芳光」も主家の芳を
芳光と塩芳で修行した聚洸は聚楽の聚に洸。
聚洸は命名の際、清明神社判断を仰いだそうですが。
ここでもやはり巡る師弟関係…。

◎「Jogboy」というウォーキングアプリで和菓子&パン地図を こんなかんじで作っています 。歩きながら自動的に距離や時間、消費カロリーまで算出されて、写真も同時にアップ。画像アルバムと地図が同時に完成するスグレモノです。

再びお知らせ
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●過去の京都関係記事
'09京都訪問〜その二(松屋常磐、亀屋伊織ほか
'09京都訪問〜その壱『御州浜司 植村義次』(09年)
09'京都 和菓子めぐり甘党三昧〜その三(出町ふたば,進々堂,菓祖神社…ほか)
京都「神馬堂」やきもち「一和」あぶり餅+「御倉屋」旅奴<
京都の粟餅処澤屋,老松,天神堂,日栄堂,京菓子資料館
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京都の中村軒,下河原阿月,鍵善良房・河井寛次郎記念館
京都和菓子あるき:祇園饅頭,畑野軒老舗,たなか,錦平野 …
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塩芳軒 和菓子 / 今出川駅
昼総合点★★★★ 4.0


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posted by あんころりん at 17:56| 東京 ☀| Comment(9) | TrackBack(0) | 近畿、東海(京都、大阪、名古屋・・) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あんころりんさん
こんばんは!
お陰さまで、羊羹をゲットできました。
ありがとうございました。
ゆっくりしたかったのですが、当日野暮用があり
こちらからの出発が遅くなり、とんぼ返りになってしまいまして(>_<)コメも遅くなってすみません。またゆっくり時間を作りたいです。
Posted by あっちっち at 2010年10月25日 22:38
裏切らない「栗蒸し羊羹」に脱帽です(^0^)
Posted by あっちっち at 2010年10月25日 22:39
あっちっちさん
こんばんは、無事獲得出来て良かったですね、おめでと〜。ワタシもたまたま前日の販売に居合わせたのですが、今回は3本ほど残っていました。販売スタッフの方に「明日友人がS県から取りに来ますよ〜」と告げたら驚き&喜んでいました。しかし考えたらすごい情熱ですね。美味しく召しあがれて何よりでした♪感激も新ただったでしょうね
Posted by あんころりん at 2010年10月25日 23:23
末富は創業した時期が10年後でしたがお菓子の画像を見ていると技量が近いような気がします。(所詮素人考えなのですが)

3〜4代目くらいのお店は芸術性や技能をよそより重んじているのかな?と思いました。

いつかは行ってみたい塩芳軒です。
Posted by 笹団子 at 2010年10月26日 21:48
いつも宣伝ありがとうございます。

蒸菓子って呼び方はほかにあるのでしょうか。春のお菓子は華やかでいいですね。
それにしても「花すすき」はぐいっとつかまれました。おいしそ〜う。
ところでわたしは、聚落饅頭が大好きです。どうしてどこがどうなのかはまったく説明できないのですが、なんだか好きなのです。好きなおまんじゅう、ですぐに浮かぶお饅頭のひとつです。ああまた食べたい。
Posted by kozue at 2010年10月27日 00:53
「花すすき」魅惑的です♪ 塩芳軒さん、まだ足を踏み入れたことがないので。染め抜かれた長のれん、くぐってみたいです・・・HPも素敵。
Posted by coo at 2010年10月27日 21:46
笹団子さん
ふっくらした羽二重(雪平)やなめらかなきんとんなど末富の生菓子に共通した印象をお持ちになるかもしれません。お店の佇まいもステキだし、聚楽第址にあるですから豊臣秀吉の栄華に思いを馳せるってのもいいかもしれません。
Posted by あんころりん at 2010年10月29日 14:53
kozueさん
“蒸菓子”で疑問に思ったのですが、錦玉は何て呼ぶんだろ。とにかく蒸菓子に括るのかなあ。HPでは道明寺羹と水羊羹を紹介しているけれど。あんこ使えばとりあえず“蒸”って雰囲気あるけれど。
>聚楽饅頭、
そうなの、以前kozueさん記事を読んで、ポイント掴みたいばかりに3度リベンジしてるんですけど。DNA的(おおげさ過ぎ)に折り合わないのかなあ。
Posted by あんころりん at 2010年10月29日 15:02
cooさん
こんにちは♪
地元であっても行きそびれている処、ワタシもたくさんあります。京都の塩芳軒や亀末廣、たびたび伺いたい、と思いました。
>HP
ですよね♪作りからして個性的。我が道を行くってかんじがします。
Posted by あんころりん at 2010年10月29日 15:28
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