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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2010年12月13日

淡麗ほろ甘♪兵庫/藤江屋分大〜丁稚羊羹
全国28店の羊羹を味わう、その20〜YOKAN羊羹collection

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風味絶佳、茶前酒後の伴

和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く

茶のお供、酒の肴にようかん

全国の羊羹自慢58店が出展した
「YOKAN羊羹Collection」@銀座三越
実際に購入&食した28店の羊羹について連日書いております。

さて、20番目に紹介するのは
兵庫藤江屋分大」丁稚羊羹 ・・・


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・・・です。

YOKAN羊羹Collection」@銀座三越についてはこちら

ざっくり説明しますと、
過日開催された「YOKAN羊羹Collection」@銀座三越にて
個人的に28店合計53種の羊羹やお菓子を購入したので
11/11から(できる限り)毎日一店舗ずつ紹介しております。

19で紹介したのは ・大阪「合資会社駿河屋」〜ひとくち羊羹・夜の梅ほか

こちらも併せてご覧いただけたら嬉しく思います。

というわけで。

20 兵庫「「藤江屋分大」丁稚羊羹

結論から書くと。
今回もっとも衝撃を受けた羊羹のひとつ。
見た目ではそう思えないでしょうけれど。
ワタシが持つ丁稚羊羹のイメージはすっかり覆されました。

藤江屋分大」は
文政元年(1818年)まさに化政文化の真っ只中、
明石城城下に創業した老舗です
(1818年4月21日以前は文化、以降が文政年間)。

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場内の告知ポスター(藤江屋分大は右下)

今回コレクションのブース出展はなく、"丁稚羊羹"単独の直球勝負。
知らなかったのだけど 訊けば、とても名の通った菓子屋だそう。
イベント広告にも掲載され、三越スタッフも(この丁稚羊羹もありますよ)と教えてくれたほど。
実際ワタシが購入した初日には積まれていた丁稚羊羹、
最終日は早々と売り切れていました。

たしかに愛読する和菓子本にも紹介されていた(けど記憶になかった)…。
あらためて調べてみると…

初代藤江屋寅吉が分大餅丁稚羊羹を創製、
いずれも七代目の現在まで200年近く受け継がれた看板商品となっている。

分大餅の"分大"は義太夫浄瑠璃をしていた寅吉さんが
文太夫と名乗っていたことから付いた名で、
けんさんによると地元明石では店の通り名も"分大"。
よく見るとしおりや包装紙にも"分大"とだけ書かれています。

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包装紙も"分大"の文字

いっぽうの"丁稚羊羹"
創業の頃、煉羊羹はとても高価での庶民の口には入りにくく。
それを残念に思った寅吉が創意工夫を重ね
安価で美味しい羊羹をつくりだしたことにはじまった。

これまたけんさん記事の受け売りですが
丁稚羊羹は明石一の名物菓子でその元祖が分大なのだそう。

各地の"丁稚羊羹"名の由来は諸説あるけれど
こと分大に関して言えば
「丁稚の帰省土産にもなりうる(手に届く)庶民的な羊羹」
という説が当たるわけです。


200年後のいま食べてみても、たしかにフツーの煉羊羹とは異なります。
かと言って蒸し羊羹風のモッチリした食感でもなく。
こしあんの存在がダイレクトに伝わるような"サクり"とした歯ざわりです。

ふと(これ何かに似ている)と思い出したのが
だーい好きな菊寿堂義信の水羊羹。
モチモチでもとろとろでもなくこしあんを寄せたかのような舌触り。
モロに好みです。
(以前書いた(菊寿堂義信」水羊羹の記事

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大阪菊寿堂義信」水羊羹

しおりに
…当老舗に二百年ののれんにかけて誇る品々 茶前酒後の舌の鼓をおうち下さるようおねがい申します…」とあるように
"丁稚羊羹"の名とは裏腹に
茶の湯にふさわしく酒肴にもなりそうな淡麗な羊羹。
アンビバレントな無二の味。

実際、一切れでは飽きたらず二切れ三切れと後を引く。
由来にうなづくような軽やかさを併せもつ
今回コレクション中"独り占めしたい度"一番でした。

各地方に点在する丁稚羊羹、
ワタシが一番に思い浮かべるのは京都や滋賀の竹皮に包んだ蒸し羊羹タイプで、
そちらも嫌いではないけれど。

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クリック!名コピー"茶前酒後"能書きが秀逸な"しおり"

羊羹にに限ってはモッチリしたものより
むしろサクっとした食感を好むワタシとしては
藤江屋分大製がマイベスト丁稚羊羹です。

城下町で育まれ長く親しまれた味。
風格ある佇まいでお茶もいただけるという本店。
大福餅に想を得たという分大餅やもぜひ頂いてみたい。
こんど兵庫に住む従姉妹にねだろうかな。

では、また明日…か明後日に。

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クリック!口上も好き♪

ここまで読んでくださった皆さま、ありがとうございます、
飽きませんか?羊羹ばなし。

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※「分大餅」についてはけんさんの素晴らしい記事ででぜひ。
そして本店画像は臨場感あふれるこの記事で。
あいかわらずけんさんのブログは綿密かつリアリティ溢れておもしろい。


●“YOKAN羊羹collection”関連記事
・0(11/6)速報!銀座三越“YOKAN羊羹collection”
・1(11/11)北海道標津/標津羊羹本舗
・2(11/12)北海道北見/清月:薄荷羊羹
・3(11/13)北海道日高/八木菓子舗:元祖三石羊羹、豆ごころ
・4(11/15)宮城/白松がモナカ本舗:コーヒーヨーカン、こぐり山etc
・5(11/16)秋田/熊谷長栄堂:東雲羊羹
・6(11/17)福島/松本家:水羊かん(田舎羊羹)
・7(11/19)埼玉/太田甘池堂:古代秩父煉羊羹-田舎
・8(11/20)福島/玉嶋屋:本煉羊羹、ハートの羊羹
・9(11/22)千葉/なごみの米屋:昔羊羹,生栗むし羊羹etc
・10(11/24)東京/清月堂本店:メープルの琥珀、栗蒸し羊羹
・11(11/25)東京/青柳正家:栗具楽生、CUBE!!
・12(11/28)東京/虎屋:四季の富士,カ レ ド羊羹
・13(11/30)山形/十印:塩小倉
・14(12/2)神奈川/みのや本店:好み羊羹
・15(12/4)長野/桜井甘精堂:蒸し栗ようかん
・16(12/6)長野/竹風堂:くりづと
・17(12/7)富山/鈴木亭:杢目羊羹
・18(12/9)大阪/大阪の駿河屋:丹波づと、goshiki
・19(12/11)大阪/合資会社駿河屋:ひとくち羊羹夜の梅


●店と菓子のデータ
藤江屋分大
078-911-3635
銀座三越催事にて購入の価格
銀座三越
03-3562-1111
●おまけの話●
・分大の明石もなかは明石名物鯛やたこをモチーフにしたもの、以前大新聞に紹介された記事を切り抜いて保管したのですが 見つからない。愛読書に詳細があるのでなくてもイイんだけど、 資料の整理がなってないことにホトホトうんざり。
・もしかすると今回は和歌山「駿河屋総本店」と予想していた方いるかも。
これはペンディング、そのうち書くつもり。


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【羊羹コレクションの最新記事】
posted by あんころりん at 16:33| 東京 ☔| Comment(12) | TrackBack(0) | 羊羹コレクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
飽きるどころか、羊羹食べなくちゃ、という気持ちになります(笑)。
ああそれとね、わたしは一人暮らしの頃、近所のパスタ屋でひとりワインを飲みながらランチしている白髪のおじさまを見て、「わたしもああいう大人になろう」と思ったものですが、羊羹シリーズを読んで考えを改めます。
日本酒ちびちび飲みながら羊羹をいただくババアになろう。

この丁稚羊羹は気になりますね〜。いつかきっと。
しおりも素敵♪

>「分大餅」についてはけんさんの素晴らしい記事でぜひ。
のリンク先が間違ってるよーん。
Posted by kozue at 2010年12月13日 17:37
kozueさん
リンク先指摘ありがとう〜〜。慌てて修正しました。ここ最近何やるのも慌て気味だ。
>羊羹たべなくちゃ
あら〜嬉しいこと仰ってくださる。
藤江屋分大は手始めによろしいタイプかと。
ババアでなく若々しいマダムとして今から実践すればさらにカッチョいい凄腕ババアになれると思います。
いま思ったのですが、酒後ってことは肴じゃなくて食後酒の伴というべきかしら。でも肴にしてほしい。
Posted by あんころりん at 2010年12月14日 00:08
これだけの羊羹を食べればいろいろ比較できて面白そー!一口に羊羹と言っても背景や作り方、これほどまでにあるとは!
「丁稚羊羹」って見たことあるけど、食べた事ないような気がします(私、結構そういうの多いです)。しばらくは羊羹を見かけたらつい見入ってしまいそう!
Posted by いもすけ at 2010年12月14日 06:38
コレクションの中で一番食べたくなりました!
目新しいのも新鮮で楽しいですが、長く親しめる味ってなかなかないと思います。
「丁稚羊羹」ってのもストーリー性のある名前ですね。長く愛されるものの秘密を感じます。

Posted by kobusi at 2010年12月14日 15:58
記事のあちこちで紹介していただきありがとうございます<(_ _)>

地元中の地元なので、あんころりんさんが衝撃を受けた、ってのが私には衝撃でした(笑)。明石では丁稚羊羹・分大餅とも分大以外の複数の和菓子屋さんでも作ってます。

丁稚羊羹に関しては調べたことがあって桔梗屋織居のご主人にも伺ったことがあるんですが、三重県伊賀地方や福井県などが分大と近いタイプだと思います。これらはご存知のように冬に食べるもので、地域によっては水羊羹とも呼ばれるものです。丁稚羊羹で一般にイメージされるのが近江八幡の蒸し羊羹タイプですが、あれは滋賀県・京都府が主流みたいです。明石のお隣である神戸東灘区の虎屋吉末さんの丁稚羊羹も蒸しタイプですね。

分大だと、他に藤の花が咲く頃限定の“藤の沢”と言う棹菓子は見た目も非常に美しくお薦めですよ。
Posted by けん at 2010年12月14日 22:24
いつも楽しく興味深く拝見しています。谷中におりますので武蔵やさんや芋甚によくいきます。きっかけはこちらのブログです。更新楽しみにしています。お身体お大切になさってください!
Posted by 渡辺 at 2010年12月15日 02:54
いもすけさん
いやはや、ワタシもイチイチ感心しています。やはり和菓子は五感を駆使して味わうとひとしおです。
歴史背景を知ると五感を効率よく働かせることができるような気がします。舌の味蕾だけじゃもったいない。いもすけさんの地元にもたくさんお宝埋もれそう〜。
Posted by あんころりん at 2010年12月15日 23:16
kobushiさん
コメントありがとうございます♪
あらためて、やはり長く受け継がれた品は素晴らしいものが多いを感じます。磨き抜かれた味は一朝一夕では成し得ないというか。丁稚羊羹ってホントにセンスある名前ですよね、各地にあるのも面白いことです。
Posted by あんころりん at 2010年12月15日 23:37
けんさん
訪問ありがとうございます。いつもお世話になりっぱなしです。
>衝撃
受けましたとも〜。ワタシは長いこと日本を旅することなかったこともあり、大変無知なのです。
分大餅が一般名詞化してるっていいですね〜。
藤の沢、HPで見て気になっていたので、情報ありがとうございます、生で拝見したいものです。
Posted by あんころりん at 2010年12月15日 23:43
渡辺さん
はじめまして
読んでくださってありがとうございます、とても励まされます。、コメンとても嬉しいです♪
むさしやさん、芋甚は谷根千の誇るべきお店、お近いなんてうらやましい。

お心遣いありがとうございます。
渡辺さんも慌ただしい年末、どうぞ風邪などひかないでくださいね、
これからもお手すきの際にでも記事をご覧くださいませ。
Posted by あんころりん at 2010年12月15日 23:51
ブログのコメント欄ではお久しぶりです。先日久しぶりに明石市中心部を歩いて分大・亀屋昌信・富士せんべいなど複数のお店を覗いてきました。分大餅の販売も始まり栗明かり(琥珀色の栗羊羹)がぼちぼち終わり、という感じ。秋から冬への移り変わりをお菓子で感じた次第です。

それにしてもすごく狭いエリアに江戸・明治・大正創業のお店が8軒ほどあるのに明石に和菓子のイメージが全くないのは明石の情報発信力の弱さでしょうか(笑)


話は変わり、リンク貼っていただいておりました『けんの食欲物欲見聞録』、廃業されたお店の記事も多くアーガイブ的に残せないかと思いgooブログへ引越しさせたのですが、記事の行間やマップなどはそのまま受け継がれず見るに耐えない状態になったので完全終了させていただきました。

その代わりに史跡などをアップしている『ぶらり歴史旅一期一会』というブログに記事の一部を移し、今後も和菓子屋やパン屋などの記事はアップ予定です。またお時間ある時にでも覗いていただければ幸いでございます<(_ _)>

Posted by けん at 2015年11月16日 05:51
けんさん
ご丁寧にありがとうございます。そうですね、なんでしょう明石。他にたくさんウリがあるので、和菓子はまあいいかってことでしょうか?
それよりなにより。
貴重な記事の数々がもう拝見できないんですか!!!とっても残念です・・・。新しいブログを楽しみにしています。リンク貼り直しますね。これからもご教示よろしくお願いします。
Posted by あんころりん at 2015年11月18日 15:40
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