三ツ目通りの店、黄金いろの金時芋、まるまる太ったお多福
和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く」
いま、行きたくてたまらないのが
本所吾妻橋駅から徒歩数分の「平野屋」。
大正10年創業の甘納豆専門店です。
前回登場した「中島ベーカリー」から・・・
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・・・ほど近く、同じ三ツ目通り沿いにあります。
ベーカリーよりさらに蔵前橋通りに向かって、まもなく
目を引くのが「味自慢 甘納豆 創業大正10年」の看板。
かつてこの通りは商店が連なり、賑わっていたそうです。
東駒形周辺は戦禍が凄まじかったので、建物は戦後のものでしょう。
ですが、水引のれんの下がる店構えは趣があります。
中島ベーカリーに初めて遭遇した日に
平野屋の前も通ったのだけど
すでにどっさり和菓子を手にしていたのでスルーしてしまった。
気になって気になって仕方なかったのですが
結局訪れたのは3年後。昨年秋のことでした。
期待感マックスの状態で引き戸を開けると
うー、思った以上にステキ。
落ち着いたしつらえに手入れの行き届いた戸棚、
戦時中、疎開させたという風格ある看板、
そして、磨き抜かれたガラスの陳列ケースには
見るからに丹念にこしらえたお豆たちがとりどりに並んでいます。
この段階ですでに幸福感に酔ってしまうオイラ。
舞い上がりながらも、女将さんの穏やかな対応が嬉しくて、
図に乗り撮影までさせていただいた。
そしてそして。
肝心の甘納豆ときたら……
めまいがするほど、美味しい!
おそらく、我が人生ベストかも。
選んだのは
お芋、うぐいす、うずら、とら豆、お多福の甘納豆5種と
しっとりした"かのこ豆"風大納言の"わかつゆ"。
"わかつゆ" 若露大納言のしっとり系、まるまると美しい
基本の甘納豆は昔ながらの表面が糖化したドライタイプ。
その美しさったらない。
ひと粒ひと粒がふっくら艶やか美形のお豆、
食欲をそそる最上級の出来栄えです。
北海道十勝産 福勝(ふくまさり)大正金時豆の"うずら甘納豆"
さらりとキレの良い甘さは充分に時間をかけて仕上げた証し。
糖化を促すための砂糖はごく控えめなのでしょう。
簡単に説明しますと
一般的に甘納豆は数日かけて蜜煮をくり返し
砂糖を煮ふくめた後、じっくり時間をかけて内側から表面を糖化させます。
つまり、お砂糖をまぶす目的は、糖化を促すため。
言うなれば呼び水ならぬ、呼び砂糖ってわけです。
なので、まんべんなくまぶしたかのようなグラニュー糖は
内側から糖化したものとがないまぜになっている。
きれい!北海道十勝産の青豌豆、新豆をつかった"うぐいす甘納豆"
−平野屋の製造方法は知らないけれど−
表面に見えるふんだんなお砂糖は
全体の糖分としては見た目ほどではないのだと想像できます。
平野屋の甘納豆の特徴は豆らしさが生きたふくよかなうま味。
食べ始めたらやめられない止まらない。
甘みの、そのまろやかさからも
手間ひまをかけた、と感じます。
どれもとびきりの美味しさだけど
なかでも家族は徳島の名産"なると金時"を使った
"お芋"を過去最高!と絶賛。
(※過去の鳴門金時芋の記事はこちら)
徳島産なると金時芋のお芋甘納豆
ワタシがいたく感激したのはまるまると太った"お多福"。
皮から芯まで抵抗なくすんなりした歯ざわり。
アクのないまったりした贅沢な味わいで
まるで一つ一つが品の良いひとくち菓子のよう。
かつてないほどおいしいお多福豆でした。
サイズを比較。うずら豆も大粒だが、お多福はそれをはるかに上回る
お多福豆は長野県の甘煮なども有名だし
多くの甘納豆販売店でも主力商品になっています。
大きくていかにも高級って印象があるもんね。
お多福断面
調べてみると原料のそら豆を
鉄鍋や釘を使うことで黒く煮上げるそうです。
へー黒豆みたい。
こんなに大粒で丸っこいそら豆ってあまり見かけません。
さぞかし上等な豆を使っているのでしょう。
ぬれ甘納豆みたいなわかつゆは、さらに控えた甘さ。
あっっさりした上等な煮豆と言った風。
甘納豆はイマイチという方にもオススメします。
透明袋に入ったわかつゆ、ウェット系
ワタシ自身、数年前まで甘納豆が苦手だった。
今だからこそ、平野屋甘納豆の良さがわかったのかもしれない。
それでも
もっと早くにここのを食べていたら、と悔やんでもみたり。
東京新聞1月29日付けの最終面によれば
平野屋は現在二代目、
中学受験の年、東京大空襲をこの地で経験したというご主人。
川沿いに避難したので、危うく命を落とすことなく、 すでに五〇年以上、甘納豆づくりひと筋。
北海道北見産の新豆を使った"とら豆甘納豆"
母から空襲後の隅田川惨状をきいているので
よくぞ、お店が続いたと、
あらためてその貴重なことを感じます。
ご主人は新聞記事の中で
「震災も空襲もあったが、私の代で100年まで続けたい」と 仰っています。
どうか、永く続けてほしい。
クリック拡大してお読みください
新井薬師の平野屋(先代が修行したらしい?)も
高田馬場の花川も錦糸町のしば田も自家製甘納豆のお店が次々と お店をたたんでしまう昨今ですから。
東駒形(本所吾妻橋)「平野屋や四谷「米世」にはぜひ頑張って欲しいものです。
えーと。
大晦日に再訪するつもりがお休みだった。
なので今年も行きたくてたまらないまま。
うーいとしの甘納豆さん。
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●店と菓子のデータ
●平野屋
東京都墨田区本所3-22-7
最寄り駅 都営地下鉄本所吾妻橋駅
・うぐいす(100g300円)・うずら(100g260円)・とら豆(100g280円)
・お芋(100g300円)・お多福(100g310円)
・わかつゆ(100g?)
★おまけの話★
・本所吾妻橋「平野屋」が、閉店した新井薬師「平野屋」からののれん分け、という話は四谷の甘納豆専門「米世」ご主人に伺った。
・ところで、包装技術と保存方法の向上により普及したのが"ぬれ甘納豆"。
昔は乾燥が中途半端なものは商品にならなかったのだそう。
・そんな甘納豆、かつては生キャラメル並にデパートで行列するほど 人気があり飛ぶように売れていたのだそう。
おそらく、その頃に安価な袋菓子の甘納豆が普及したのでしょう。
つい数年前まで甘納豆が食べられなかったワタシ。
その理由のひとつは、そういった普及版甘なっとの刷り込みもあったからなのでした。
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平野屋 (和菓子 / 本所吾妻橋駅、業平橋駅、浅草駅(東武・都営・メトロ))
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それはさておき、わたしも甘納豆はどちらかといえば苦手だったのですが、金沢の「かわむら」で見方を変えました。
お豆によってどんなふうに炊くかってすごく大切なことですよね。お豆ごとに丁寧に作られた甘納豆は、いろいろ味わってみたいです。
虎豆もうぐいすも芋もうずらもステキだけど、(かわむらでイマイチだった)お多福を食べてみたいですー。
ぜひ!(笑)
金沢…たしかひよこ豆のお店(何たる短絡的記憶)ですよね。
お多福。かなりの大物ですから、編むにふさわしいお豆だと。大きいだけに、完成された口あたりに仕上げるのも難しいんでしょうね。ここのは素晴らしかったのです。
ただ、ここ数年は以前よりいただくことが増えたと思います。
時たま北海道物産展で六花亭のらんらん甘納豆を見ると大概買っています。
ご存知かもしれませんが、大森に木田屋という甘納豆のお店があります。 過去に行ったらお休みだったので買ってはいませんが。
もちろん、戦火を潜り抜け、昔ながらの甘納豆を作っている平野屋にも行ってみたいです。
年とともに豆系も好きになり〜甘納豆、昔は苦手だったけど花園饅頭さんのぬれ甘納豆を食べてからは好物になってしまいました。
お芋の甘納豆はぜひ食べてみたいですね(^^♪
木田屋、知りませんでした。情報有り難うございます。とても興味をそそられました。ワタシもいつか必ず!
コメントありがとうございます♪
ワタシも歳と共に甘納びいきとなりました。お芋の甘納豆。まったりとオイシイですよー
お久しぶりです!お元気ですか?平野屋さんも取り上げていただいていたことにとってもうれしくなりました!小学校の同級生のおうちなんです♪子供のときに平野屋さんのとこへ遊びに行くと
いつもおやつに美味しい甘納豆を出していただいていました。それもソラマメとか高級なものを!
今考えるとなんて贅沢だったことでしょう!
中島ベーカリーもなつかしです。笑
今後もどうぞ良いお店をどんどん紹介してくださいね!
一つ一つ心をこめたお菓子を戴くときってこちらの気持ちも豊かになりますよね!
ご指摘ありがとうございます。こちらの情報を参考にされたのでしたら申し訳ありません。明らかにコピー&ペースト(中嶋ベーカリー情報との混同)による誤りでしたので、我ながらしっかりせんといかん、と思いました。どうもすみません。