和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く」
先月の記事「東北の和菓子店」について
内容の訂正です。
本文中、
3月24日時点で東北の和菓子10店の無事を
確認できた旨を書いているのですが・・・
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・・・ 正しくは4月9日まで連絡がとれず
安否確認の取れないお店が数軒ありました。
宮城県松島市「紅蓮屋心月庵(松島紅蓮)」
宮城県塩釜市「丹六園」
宮城県仙台市若林区「石橋屋」。
この三店は3月24日時点において
電話等通信が途絶えた状態だったのです。
訂正してお詫びします。
じつはワタシ自身も記事を書きながら
松島紅蓮や丹六園の店舗は流されてしまったのではないかと
強い危惧の念を抱いていました、
が、各店の方々の生命は無事との情報を得て記事にしたのです。
銘菓「志ほがま」謹製元『丹六園』。右は志ほが満の箱
3/24以降も詳細を知るべく検索したけれど具体的な安否確認は掴めなかった。
そこで4月10日、つまり震災から1ヶ月になる前日に
思い切って高島屋和菓子バイヤーのH氏に電話をしてみました。
以前からお世話になっているH氏は小さな個人経営店の素晴らしさも熟知、
これまで百貨店で扱うことのなかった生菓子、餅菓子なども店頭に並べた敏腕バイヤーです。
彼なら詳細をご存知かもしれないと携帯を鳴らしてみたのです。
はたして…H氏の言葉は愕然とするものでした。
紅蓮屋心月庵、丹六園、石橋屋の三店はいまだに電話すら繋がらない。
H氏自らも実際に東北まで赴き、情報収集に努めたそうですが
結局、安否確認ができないまま今(4/10)に至ったと言う。
その声のトーンは心なしか重たいものでした。
電話を切ってしばらくはぼんやりとしてしまった。
680年の歴史ある『紅蓮屋心月庵』、
現当主で十一代目を数える老舗『丹六園』、
郷土駄菓子を確固たる存在とたらしめた『石橋屋』。
『石橋屋』仙台駄菓子 黄粉くし南京
この国の大切な文化を守り続けてきたお店なのに…
99%もうダメなのかと不覚にも睫毛が湿ってしまった。
…と、ところが。
1時間後、再びH氏から連絡。
「こんなことってあるんでしょうか!!」
先ほどとは声の調子が変わっていました。
な、なんと!
紅蓮屋心月庵のご当主からファックスが届いていたというではありませんか。
そこで、すぐさま丹六園、石橋屋に電話をしてみると繋がり、
それぞれご主人は無事で、早くも復興に向けて一歩踏み出したことを伝えられたのだそうです。
ああ、なんという不幸中の幸い。
松島こうれん しおり
以下に紅蓮屋心月庵の
(H氏から伺ったご主人とのやりとりから推する)
震災からの概ねの状況(印象)を書きます。
4/10時点で携帯電話は繋がりにくく、市が貸し出す電話でfaxを送られたそうです。
まず最初に宮城郡松島町「紅蓮屋心月庵」のロケーションですが
店舗及び工房は日本三景・松島のすぐそば、
伊達家の菩提寺である「松島瑞巌寺」からほど近い処にあります。
ご存知のように隣接する東松島の被害は深刻なものです。
ところが松島の方は、松島湾に浮かぶ日本三景たる島々が津波緩衝の役目を果たし
壊滅的な被害にはいたらなかったそうです。
思い出したのは「松島が守ってくれた」という数日前の新聞記事。
恐ろしい自然の猛威を受け止めたのは、自然が織り成す風光明媚な島々だったのです。
包装紙の文字は紅蓮尼の詠んだ「咲けかしな今は主と名がむべし軒端の梅のあらんかぎりは」
とは言え、
海辺から遠くない店は冠水し、がれきで埋め尽くされてしまった。
しかし再開に向けてさっそく工房の機械を注文した、と
力強い言葉があったそうです。
そのうえ日本橋高島屋の安否まで心配されていたというのです。
想像を絶する未曾有の災害に遭われてなお
立ち上がって前に進み、泣き言も言わずに相手を気遣う。
人間としての寛大さ、伝統を守り抜く精神力に
ただただ感服してしまいました。
あらためて
「一子相伝製造元 松島紅蓮本舗 紅蓮屋心月庵」について
少し書きます。
こちらは嘉暦2年(1327年)、松尾芭蕉「奥の細道」(松島や…)で知られる
松島の地に創業した684年の歴史ある老舗です。
前述の由緒ある名刹「松島瑞巌寺」とたいへん縁が深く、
その縁は鎌倉時代、祖先・蜂谷掃部が観音さまの慈悲で子を得たことに始まります。
この子の許嫁が米問屋の娘"谷"。松島こうれん生みの親です。
この娘は嫁ぐ前に亡くなってしまった許婚の両親(舅姑)に仕え、
舅姑亡き後は出家した孝女伝説の尼僧 紅蓮です。
松島こうれんの由来。興味ある方はクリックして読んで
尼僧となって名を紅蓮とあらため、庵=心月庵を開いて
観音様に参拝した人たちが供えた米を粉にして煎餅を焼き、
村人たちに施したのだそうです。
このうるち米のお煎餅が松島こうれんです。
米どころとして名高い宮城県。
そのササニシキをつぶした粉(新粉)と塩、上白糖だけを原料とする
清らかな白いおせんべい。
噛めばはらりと崩れる軽やかな口あたりは
お年寄りから小さい子まで安心して口にできます。
そして♪
焼いたお米の香りが芳しい松島こうれんは
ウレシイことに一枚たったの10キロカロリー。
ほのかな甘さですからウェハース感覚で食べるもよし、
あるいはダイエット中、クラッカーみたいなスナックとしてもイケます。
生地のつくり方は一子相伝の銘菓 焼きの作業は女性スタッフによるもの
ワタシは薄くスライスした羊羹を挟んで(自分で作る)"こうれんサンド"も好き。
2枚ずつ密封されてるので緊急用携帯食としてもオススメです。
(賞味期限1ヶ月。経験では缶に保存(乾燥・涼所)でかなりの期間、問題なし。"こうれん生地"も販売していたのでこんどはそちらをぜひ常備したい。)
まもなく製造再開されるでしょう"松島こうれん"
数ヵ月後、高島屋で東北のお菓子イベントが開催されるかもしれません。
いえ、ぜひ開催してほしい。
というわけで。
丹六園と石橋屋については次回以降に書きます、必ず。
桜前線は北上中です。
サクラ咲ケ。
追記:上記三店は通常は高島屋新宿店B1F 銘菓百選にて通年取扱い品です。まもなく店頭に並ぶことでしょう。
※なお文責はすべてあんころりんです。
・3月24日付 東北の和菓子店
・丹六園の過去関連記事
・参考書籍
「直伝 和の極意 彩りの和菓子・春紀行
●店と菓子のデータ
◎紅蓮屋心月庵 宮城県宮城郡松島町松島字町内82 関連サイト
・松島こうれん(うるち米 上白糖 食塩)一袋2枚、紙箱入10袋など。単品は発送不可
プレーンのほか麦芽糖、和三盆の三タイプ。他にこうれん生地(一袋12枚入)など
◎丹六園 宮城県塩竈市宮町3-12 関連サイト
◎石橋屋
◎高島屋新宿店 銘菓百選
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どんな業種にも関わらず、あのような悲惨な状況から立ち直ろうと前向きに頑張っていらっしゃる方々を見ていると、私が元気を貰います。
本当に頑張っていただきたい!そのために出来る事をしていきたいと心より思います。
私もNHKの和菓子の番組、見ております。
仙台の和菓子も紹介の予定なのですか。放送されるといいですが・・・。
前回の放送見てましたよー、今後も楽しみですね。そうそう、参考書籍の一番目がそのテキストです。貴重な映像ですからぜひ放送してほしいですよね、嘆願するべきかしら?
再開に向けて動き出したとの知らせは、被災していないわたしたちでさえ勇気づけられます。次の記事も待ってます!
NHK教育の「直伝 和の極意 彩りの和菓子 春紀行」の5月10日(火)放送予定の第7回ですが、Kozueさんのおっしゃるとおり「愛知 茶菓子 殿様が築いた創意の味わい(仮)」となるようですね。
http://www.nhk.or.jp/kurashi/wagoku/
仙台の老舗の件は残念ですが、愛知県のお茶菓子とは抹茶の産地・西尾でしょうか? これはこれで楽しみです。
ほっんとに良かった〜と感動しました。文章で書くとあっさりしてますが、ワタシの気分は完全に減りんじゃった(泣きが入った)状態から奇跡的に突然光明が差したようなかんじで。皆さんの力強さにはただただ感服するばかり。人間って強いなあとあらためて驚いています。
NHK、kozueさん笹団子さんのコメントにあるように今回は変わるみたい。どこかで放送すべきだと思うんですけど。
宮崎もまだまだ大変な状態から抜けていないんですよね。そちらも忘れないようにしなくては。
>被災していないわたしたちでさえ勇気づけられます。
ホントに。今更ながらに伝統を支える方の力強さに胸を打たれます。
>次の記事も待ってます!
おう,待ってくれ!
ご丁寧にありがとうございます。名古屋も楽しみですね。東北もまた必ず放送していただきたいものです。
食べてみたいです(*^o^*)
こんばんは。丹六園さんの安否はなかなか確認できなかったようですね。さぞご心配されたでしょう。ご無事だったこと、そしてなつみさんも安心されたようで良かったです。