志ほがま 塩系デザートの先がけ。天然青紫蘇の風味を生かした銘菓
和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く」
宮城県塩竈市、塩竈神社にほど近い「丹六園」。
震災後しばらくは安否不明で多方面から心配されていました。
「丹六園」は創業享保5年(1720年)、当代十一代目・・・
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※4月26日付、本文随所と(おまけの話)を加筆修正致しました。
・・・、三百年続く由緒ある老舗菓子舗です。
港のある塩竈市の被害は甚大です。
あらためてyoutubeの動画などを見ると胸が塞がれるほどに。
衛星写真を眺めても、いまだに信じがたい有様です。
ですので
塩釜港へつながる河口から距離わずかな丹六園、
震災後数週間はその情報がつかめず
(在東京のご家族でさえ)連絡をとれない、と訊いて
いっとき諦めるような気持ちになったことは否めません。
そう、以前書いたように(高島屋バイヤーH氏のお話では)
当初は電話がまったく繋がらず、安否確認が出来なかった。
むやみに電話するのも憚られ結局無事が確認できたのが4月11日。
(3月末に連絡がとれた方もいらしたたようですが。)
そこで、ようやく11代目ご主人から話しを伺うことができたそうです。
箱
以下に(間接的な話ではありますが)
3月11日大地震直後の状況をかいつまんで書きます。
(追記:現地に赴いたH氏から4/26新た情報を頂き 加筆修正しました)
・・・
尋常でない揺れに間違いなく津波がくる、と確信したご主人は
お店にいらしたお客共々、大急ぎで車で塩竈神社まで避難。
そこで命拾いされたというわけです。
しかし大津波が町を飲み込み未曽有の災害となってしまった。
大正3(1914)年建築の趣ある町家づくりのお店
その一階は
ところが驚いたことに二階の被害は思いの外少なく
なんと"志ほがま"の要となる大切な木型や文書はそこで無事だったそうです!
これは菓子づくりにおいて、とても意味のあることです。
木型なくしてこのフォルムはない
なぜなら、和菓子の木型づくりはもはや絶滅危惧の技術。
いま日本全国で和菓子の木型職人がほんの数人。
元祖である"志ほがま"の大きな木型、
おなじものを作ろうたってそう安々とは行きません。
むろんそれにも増してご主人ほかお店の皆さんが無事だったこと、
何よりもかけがえのないことです。
(
腕と木型と材料が揃えば、志ほがま作りは始められる。
近々、始動する旨を告げていらしたとのこと。
こうして震災後もなお三〇〇年の伝統は守られたのです。
そういえば(書き忘れたけど)
松島こうれんのご主人もレシピ(調製方書)や書類、米粉を掴んで避難されたそうです。
丹六園では当主の丹野六右衛門襲名のおり戸籍上も改名するのだそう。
そう、通称や芸名ではない。
丹六園十一代目当主として生涯を通すわけです。
そんな伝統を守り支える気持ちの強さは計り知れないものがある。
さて、あらためて丹六園と"志ほが満"について少し書きます。
塩竈神社参道に店を構える
創業享保5年(1720年)、当代十一代目の丹六園。
木造町屋造りの建物は
その材料のほとんどを江戸時代の建物から再利用したとされ、
塩竈の町屋建築の特徴とされる軒下の出桁(だしげた)などもあった。
(※参照記事)。
(※衛星写真で見る限りその建物は失われたように見えますが
昔ながらの頑丈な大黒柱のおかげなのか、建物本体は無事だったそうです)
山チョコみたいな36分割。「裏の切目よりお割り下さい」としおりにある
「丹六園」は伊達家五代目の折から御用菓子商をつとめた「古梅園」分家。
もともとは海産物を商い、幕末には塩竈を代表する商家だったという。
時は移り、戦後、茶舗として"志をがま"を調製販売するようになる。
"志ほがま"はいまでは全国各地で"しおがま"として見られるけれど、
もとは江戸時代の塩竈の土産品であった南京糖に由来するのだそう。
銘菓 志ほが満 由来 クリックして読んでみよう
丹六園では昭和25年、
伊達家の古文書に本家(古梅園)の藻塩糖を好んで口にしていたという記録により
菓子"志ほが満"を創製。
古来製塩の地として名を馳せた塩竈の地における、
古代製塩法の塩を模した独特のお菓子の誕生です。
"志ほが満"はもち米粉に上白糖、麦芽糖、天然の青紫蘇と塩を混ぜて木型に押した 押(打)物。
少しネッチリしてしんなり指で折りとることができる、いわゆる軟落雁です。
シソと塩の風味が広がり…
心地良い食感とシソの風味に塩気。
気がつくと手が伸びついつい食べ進んでしまう。
いつのまにやら塩スイーツなんて珍しくもなくなったけれど
60年も前に生まれ、今もなお変わらず愛されるステキな半生菓子です。
ワタシが以前買ったのは小型(215g)だと思うけれど
それでもハガキ2枚大くらい、36個に折分けられる。
鹽竈神社のご社紋で、天然記念物の鹽竈(しおがま)桜を象った
堂々たる押紋がくっきりと美しい立派な打物でした。
おそらく遠くない将来、再び味わうことが出来るでしょう。
しおがま好きな半生菓子振興会(自称)としてもウレシイ限り。
こんどはくるみ入りの長壽樂も味わってみたい♪
ほっんと、東北のお菓子ってイイですね〜。
ああ、しおがま 食べたい。
★もひとつ★
現在、高島屋新宿店・銘菓百選で開催中「東北応援フェア」
さっそく出かけて散財〜第一弾。
販売未確認だった本家長門屋、まつだ松林堂もバーンと並んでおり
感激するほどの詰め合わせやかっこいい明けがらすの箱入りなど購入しました。
和菓子好きならぜひ訪れる価値あるフェアです。
こじんまりした三つのスペースに展開されているのでお見逃しなきよう。
近々レポート書きたい意志あり。
本家長門屋"香木実"はまもなく入荷。まつだ松林堂の明けがらす
そして! 先週、担当バイヤー氏は岩手県大船渡市に出向き
さいとう製菓「かもめの玉子」の受注確認できたそうです。
今週あたり店頭に並ぶかどうか…。ワタシは並びそうな気がする?
宮城県「紅蓮屋心月庵」「丹六園は4・11記事と今回紹介したように復興に向けて動き始めています。
販売再開まで楽しみに待ちましょう
(※現在夏季再開を目指し努力されているそうです)。
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文責:あんころりん
・高島屋新宿店
・銘菓百選ブログ
●過去の東北関連記事
白松がモナカ本舗
福島県いわき市と玉嶋屋
福島県いわき市の和菓子とパン
3月24日
4月13日
丹六園と全国銘菓
東北応援フェア
他多数
●店と菓子のデータ
・銘菓"志ほが満"謹製元「丹六園」宮城県塩竈市宮町3-12 関連サイト
・志ほがま(志ほが満) 一枚215g(35切分:もち米粉、上白糖、塩、還元麦芽糖、乾燥青紫蘇)添加物なし、常温保存
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★4月26日付 おまけの話★
現状把握のため東北各店舗に赴いた高島屋H氏から、
現地の様子と店主の方たちに伺ったお話など情報をいただきました。印象では塩釜と松島は大船渡や石巻ほどの壊滅的な被害に至らずに済んだようです。津波による引き潮が北部ほどひどくなかったと思われます。かと言って困難に見舞われていることに変わりはありませんが。
というわけで。本文随所を加筆修正しました、訂正してお詫びします。すみません。
文責:あんころりん
●さらに●
池袋「どらやき すずめや」がGWに雑司が谷「ギャラリーシャコ(南池袋3−4−19)」をオープンします。
オープン記念の展示「はと博覧会」(4/29〜5/15)
イベント:「ハトニワカーテンらくがき大会」(4/29)ことちゃんのぴーひゃら笛ライブ(5/15)
時間等の詳細はすずめやHPとブログにて
●お知らせ●
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志ほがま食べたの、もう6〜7年前かも。
東北応援フェアのお菓子の山も、順調に減っております。またちょくちょく買いに出かけようと思います。
頂いたあんこ入り、紫蘇の風味と甘さ控えめの餡子との愛称が良くほんのり感じる塩見、お口の中が大喜びでした(^^)
最初は始めての食感に戸惑いましたが、一口二口と口に運ぶたびそのとりこになっていきました♪
60年も前から愛される奥深さありがとう御座いました!
そして、被災されたご主人達も伝統も無事でよかった。
僕も少しでも応援させてもらおうと思います。
菓子職人の命とも言えるであろうレシピに木型、それとそれを作る人がいればこれからもずっと引き継ぐことが出来るんですよね。素晴しいことだと思います。
まだまだ復興には時間がかかるでしょうけど、是非とも再起してほしいです!
そしていつかどこかで“志ほが満”、いただいてみたいです!
木型のお話を伺ったとき、ワタシも同じことを感じました。2階には歴史ある古い木型から現在お使いのものまで保管しており、そればかりか調整法やら歴史的価値の高い古文書なども置いていらしたそうです。
で、調べると「塩土老翁神は古くより航海・潮の満ち引き・海の成分を司る神…」だそうです。うーむ。
もちろんご主人が大切に保管されてらしたお心が功を奏したのでしょうけれど。でもやはり特別な何かを感じてしまいますね。
東北応援フェア、また新しい情報が入ったので急いでアップします。
こちらこそいつもありがとうございます。
それにしてもあん入り志ほがま、美味しかったですねー。あちらもまた宮城県塩釜市の五嶋屋という和菓子屋さんの品です。やたら志ほがまモードになってしまったので五嶋屋さん製品を試しに頂いたのですが、かえって志ほがまモードに火がついてしまった(笑)。塩釜の伝統の味、お気に召して良かった、味覚の幅に広がりのあるRAIRAさんにご賞味いただけてお菓子も本望でしょう。
またいろいろ手伝ってくださいね〜。…あんドーナツとか(笑)
はじめまして こんにちは。
ご実家の周辺が被災されたこと心から御見舞い申し上げます。ご家族はご無事でいらっしゃるのでしょうか。
そして貴重な情報をありがとうございます、現地の方のお話を伺うとワタシのようなものにも少し実感が伴います。丹六園さん、建物が無事とのこと災難中の幸いでした。グーグルアースで見るとすっかり無くなってしまったように見えるので、がっくりしてしまったのですけれど。実は先ほど現地へ赴きご主人にお会いして店内をご覧になった関係者の方から様子を伺ったところでした、その方のお話でも損壊は思いの外ひどくはなかったけれど、腰くらいまで水を被りその後片付けや清掃にとても苦労されていると伺いました。使えなくなってしまった什器もあるようですが昔ながらの建物はたいへんしっかりした作りで概ねまた使うことができるそうですね。
>丹六園の写真も撮ってきましたので、ご覧になりたければお送りしますので、メールアドレスを教えてください。
お言葉に甘えて後ほどメールさせていただきます。いろいろありがとうございます。 michiwaka さんご自身も大変な状況と想像いたします。ご自愛くださいね。
おっしゃるとおりですね。お客様の安全確保のために冷静なご判断されたのですからスゴイですよね。和菓子は腕一本で高い品質を継承できるところも素晴らしいし、また難しい点なのかもしれません。
志ほがま、いつかぜひご賞味いただけることと思います。美味しいっすよ。
塩釜は高台にあった五嶋屋さん以外のお店は津波の被害を被ったそうですが、丹六園の方のご無事、木型や資料が被災されなかったということでほっとしています。
私はネット上の情報だけしか調べる手段が無いので色々貴重なお話を見ることができてよかったです。 ありがとうございました。
お返事が遅くなりすみませんでした。
銘菓百選の被災地支援フェアはまだまだ続きますので機会があれば。丹六園さんは二階は無事でしたがやはり冠水後の清掃等に大変ご苦労されているそうです。石橋屋さんの駄菓子、おいしいですよねー。4月10日の時点で既にお菓子作りに着手されたと伺っています。
webは同時双方向コミュニケーションできる点がイイです。こちらこそ情報ありがとうございます。
お返事が遅くなりすみませんでした。
銘菓百選の被災地支援フェアはまだまだ続きますので機会があれば。丹六園さんは二階は無事でしたがやはり冠水後の清掃等に大変ご苦労されているそうです。石橋屋さんの駄菓子、おいしいですよねー。4月10日の時点で既にお菓子作りに着手されたと伺っています。
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