江戸時代傳承菓子"浮草"。まぶした白いサラサラは…
和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く」
予告通り、江戸伝承菓子の続きです。
福島県二本松市「玉嶋屋」から取り寄せた、
江戸時代からつくり続けているというもうひとつの・・・
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・・・菓子を紹介します。
「江戸時代からのお菓子」。
これが実際、江戸から続く御菓子師がくり出すとあっては
和菓子好きの(でなくとも)興味をひかずにはおれない。
※玉嶋屋の来歴・製法などはこちらの記事で
と、前回木の葉饅頭の記事で書きましたが、
そう、この"浮草"も江戸時代…口伝では文化文政の頃…に創製されたのだそう。
(化政文化ウィキペディア=(1804年〜1829年))
木の葉饅頭はHPで見るそばから激しく興味を惹かれたのですが
この浮草はけんさんからのオススメがあって俄然注目しました。
けんさんの浮草紹介記事。けんさん、いつもありがとうございます♪
というわけで。
箱を開けた途端、またまた叫んだ「かぁッこいい〜〜」。
簡素な紙箱にサラサラの白い粉をまぶした菓子がそのまま並ぶ。
上に一枚、手書き風のこれまた簡素なしおりがひょいっと乗せてあり、
開口一番「浮草は一口最中です」。
玉嶋屋のこういったパッケージセンスがとても好き。
本煉羊羹しかり浮草しかり。
菓子そのものをバシッと提供する、その挟持がかっこいい。
そもそも庶民に向けた安価な菓子。過剰包装は不似合いです。
かと言って乾きすぎるのも現代の味覚にそぐわないと考えたのでしょう
玉嶋屋さん、なんと大胆に紙箱(や竹皮)ごと真空パックしちゃってます。
これがなんとも微笑ましい。
こちら紙袋
そう、オーバーデザインの外箱や
過分に凝り過ぎた個包装ほど菓子の美しさを損なうものはありません。
ビニールパック開けてるうちにシラケてしまい、味だって半減。
玉嶋屋の多くは包み方からして我が心を捉えてくれます。
さておき。 一口最中"浮草"は一見すると氷餅をまぶした餅菓子のよう。
しおりに拠ると
「浮草の命名は第一にその小さく丸い形状から
…第二に丹羽公が当時羊羹が高級菓子で庶民の口には入らなかった為に庶民のお菓子として考案。
安くて値がないもの…水に漂う根の無い植物、浮草に掛けてこの名を付けた」のだそう。
しおり クリックして
でもって。周りにまぶした白いサラサラ。これ砂糖です。
石衣のようなすり蜜でなく、直球の白砂糖。
この砂糖がけを施すようになったのは後の工夫だそうで。
しかし最中皮に白砂糖をまぶすって…あまりにも斬新。
甘さひかえめ〜だなんて軟弱なこと言ってられない、
やはりひとくち菓子はがっちり高糖度でなくっちゃね。
直径4センチに満たない
そんな砂糖がけ効果によるものか皮の表面はコツんと固め。
この、手のひらに収まるほどの小さな丸い皮は
創製されたときと同じ、焦がさないのも昔のままなのだそう。
そして"浮草"もまた玉嶋屋の真骨頂である煉羊羹や
木の葉饅頭と同じに伝統の製法によるもの。
あんは樹齢23年の楢の薪を焚いてエンマべらで煉りあげる。
そればかりか全工程を古来の方式に則っているのだそう。
焦がさない小さな皮にサラサラとしたこしあんを挟み
仕上げに白砂糖をたっぷりまぶした一口最中。
サクっとした口あたりにギュッとした甘さ。
ワンショット、こっくり甘いもんが食べたーい。
そんなときにふさわしい、どちらかと言えば大人の甘いもん。
十代の頃は手が出なかったであろう密度の濃いお菓子です。
二本松に息づく江戸伝承の菓子"浮草"。
二本松の殿様は庶民の暮らしぶりをよく解っていたに違いない。
餅米でつくった最中皮にしっかりと煉り上げたあん。
砂糖が貴重だった時代に宝石のように濃縮された甘み。
細胞の隅々まで沁みわたるよなあ。
これもまた「食べればキミもタイムトラベラー」。
あともひとつ、どーしても書きたい…。
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●玉嶋屋過去関連記事
・羊羹コレクション(本煉羊羹)
・被災について
・上生菓子
・木の葉饅頭(&くまたぱん)
●店と菓子のデータ
玉嶋屋 ※都内ふくしま八重洲交流館で代表銘菓「玉羊羹」が入手可能。
・浮草:9個入(525円!)小豆 砂糖 水飴 糯米(賞味期限:3週間)
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●過去の東北関連記事(昇順)
白松がモナカ本舗
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宮城県塩釜市/丹六園
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福島県玉嶋屋の上生菓子 福島県玉嶋屋の木の葉饅頭、くまたぱん本舗のくまたぱん
他多数
★もひとつ
待ちに待った宮城県塩釜市「丹六園」の志ほがまが5月28日高島屋新宿店に入荷します。
問合わせ先・高島屋新宿店 ・銘菓百選ブログ
高島屋新宿店・銘菓百選「東北の味を紡いでいこう」東日本銘菓特集
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それにしても、最中と聞いてもなお最中に見えない不思議なお菓子。何より可愛らしくてかっこいい!!
金沢に粉糖まぶしたお正月用最中「福梅」ってのがありますが、「浮草」のようにひとくちサイズなら指先も口もそれほど砂糖まみれにならずに食べられていいと思います(笑)
口に入れたら溶けてしまう感じを想像しました(^^ゞ
きれいで涼しげでかつシンプル素朴で・・・パッケージにも魅かれちゃうの、わかります♪
それを考えると同じ時代で一口、二口くらいで食べられるお菓子は廉価版というのがうかがえます。
といっても二本松のご城下の町人クラス向けだったのではないでしょうか?
実際に手にとってみても最中という感じではありませんし、やはり氷餅のような気がしてしまいます。口に入れるとしっかりした甘さに、むしろ爽快感。
おめでたい福梅、金沢の正月に欠かせないと聞いたときにはかなり驚いたけど、浮島で練習(?)できたのでそちらも対応できる、と思います(笑)
ふしぎなんです、じっさい。噛み砕くまで最中って気がしません。簡素な箱だからこそ、良さが生きてるってかんじ。わかっていただけるなんてさすがcooさん♪ ちょっと洋菓子のトリュフみたいでもあります。
>螺鈿の箱
あのボリュームでお城の大広間にずらり並んだ様子が見てみたいものです、楽しそう。
>廉価版というのが
判りにくい文章ですみません。記事の本文中にご紹介したように
「…第二に丹羽公が当時・・・なかった為に庶民のお菓子として考案。安くて値がないもの…」
だそうです。
しおりをクリックしていただくとワタシの説明よりきちんとした由来をお読みいただけます。
そうそう、ちなみに砂糖掛けは後の工夫だそうです。
この部分、削除させていただきます。
しおりには「庶民」と書かれてありましたね。