↑虎屋玉菊のくず桜、迫力の面構え
ムシ暑さも厳しき折
冷たいお菓子がどうにもうれしい季節。
かき氷、寒天、ところてん、冷やし汁粉・・・
そして、和菓子に欠かせないのが「葛」くず、クズです。
ところで?まさか?
和菓子屋さんで買ってきた葛の生菓子、
速攻で冷蔵庫に直行させたりしてません?・・・
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いかーん!いかんのよ、
もったいないお化けのあんころバージョンがでますよ〜。
その訳は後ほどゆっくりと。
↑葛には桜の葉、岬屋「みぞれ」「くずまんじゅう」
・・・夏になると先人たちの知恵と
その洗練されたゆたかな感覚にあらためて驚くばかり。
季節を肌で感じ愛でつつ、暮らす
和の磨き抜かれた繊細さをなおさら感じます。
夏の和菓子には光る先人たちのセンスと知恵がどっさり。
↓すっぱり岬屋くずまんじゅうをクリックで拡大。
この季節の菓子と言えば「葛=くず」。
涼感を誘うきれいな「くず桜」や「葛まんじゅう」また「葛焼き」など。
この葛粉、マルチに使える優れ“でんぷん”。
葛の根っこから採る葛粉は
まず!発汗作用がある上
一度冷やすとなかなか温まらない、と魔法のような和素材。
水で良く冷やしておいて、食前に短時間冷蔵するだけで
葛菓子は深ーく静かに冷えてくれている、
食べれば体内から涼しくしてくれる。
↑これは自家製くず桜、水で冷やしたところ
おまけに
くず粉ってのはでんぷんの中でも最も粒子が細かいので
消化吸収に優れて
夏バテや腹具合が悪い時も、無理なく食がすすめられる。
おなかにやさしいのよー
・・ま、夏バテしないので無理して食べたことないんだけど。
葛粉の特徴はすべるような食感だけでなく、コシと粘りも。、
そして透明感に優れ、とてもビジュアルが「きれい」。
目でも舌でもゆっくり涼感満喫。
いいですよねー
こういう先人の知恵を思うだけで、ちょっと涼しくなりません?
↑包餡が割れてるへたくそ自家製くず桜、
葛は熟練の技術が必要
エアコン切って風鈴かけて「くず桜」。
くー。和菓子っていいなーと沁みまっせ。
ニッポンの夏、せっかくだから蚊取りブタも用意して窓を開けて。
すこし白濁したこの五感を磨きましょうかね。
それでは早速、
五感を磨くために吉野“本葛”使用の「みぞれ」、
そして並葛仕立ての「くずまんじゅう」を
京菓子司「岬屋」から。
まだまだ白濁した感性なのでその倍の値段差に思わずフォーカス。。
「みぞれ」は
かの「旧森野薬園」の吉野本葛「みゆき」を使用。
その本葛だけで並葛の何倍の価格差は歴然。
加えて目の当たりにする、洗練の美と熟練の技あり!倍でも当然だな。
↑吉野本葛「みゆき」製「みぞれ」
「みぞれ」は茶席などに向けた一品。
吉野本葛の透明感と白い道明寺粉を「みぞれ」に見立てた
量感もたっぷり、みごとな葛の主菓子。
目でじっくり楽しんでから、いただこうぜ。
いただくぞ。舌で感じるのは磨かれた和の洗練、微妙な食感、
平たーく言えば、
つるつると粒々、もちもちとすべすべ
しかもひんやり甘いみぞれと供に
さらっとしたこしあんが一度に舌に乗るわけで。
↑みぞれ断面、葛と道明寺のきれいな調和
もう一つは並葛をつかった「くず葛まんじゅう」。
こちらはこしあんをおもに味わうための気軽な三時のおやつに。
柔らかでコシある弾力となめらかな舌触りで、
食べ慣れた味の「上物」だからこれだけでも充分。
味そのものはまったく満足(貧乏舌だし)。
↑桜の葉を羽織った岬屋くずまんじゅう、きれいな包餡
「葛焼き」は一幸庵から。
こちらは吉野葛に小豆こしあんを溶かして煉り
蒸し切ったものをきんつば同様六方を銅板で焼いた物。
その醍醐味は可愛らしいほどの柔肌感。
端を持って振り回したくなる、って振ってみたんだが。
ぷるんぷるんぷるん具合が何にも代えられない快感。
↑葛やきは夏のきんつば?触感も食感も快感
さわってー(まずいか)。これぞ「目指せ赤ちゃん肌」の実感。
“触感”の良さにまずよろこび
“食感”でもなめらかなもったり感と柔らかな弾力の交りが魅力。
夏の茶席には必ずよろこばれる快楽的舌触り。
一幸庵には白あんと小豆あんの「くずまんじゅう」も。
涼しげなルックスとしっかりした甘さは茶席向き。
ところで
本格的な「本葛まんじゅう」などは
冷蔵庫などで長時間冷蔵すると白濁して固くなっちゃいます。
“ぷるんぷるん”は消滅して結構悲しげなルックスに変身。
↑手前が一幸庵くずまんじゅう
その涼感を誘う“はず”のシースルーな薄い小豆色の色気、
ぷるるとしたすべすべお肌から白っぽいぼそっとした固型ブツへと
「おい、ちょっと見ない間に年取ったなー」と後悔の視線が。
わりと豆大福に近いシンパシーを感じます、って一体誰が。
ゆえに、まっとうな和菓子屋さんに訊けば
「くず桜は食べる2〜30分前に冷蔵庫で冷やして下さい」
と教えてくれるはず。
手塩にかけた“くず娘”が出先で冷遇の末、
哀れな姿になったら可哀想ですからね。
「葛焼き」も同様に禁冷蔵庫、
赤ちゃん肌からいきなり固く老化します。
↓冷蔵せずに赤ちゃん肌を実感
思うに冷蔵庫のない昔は水で冷える葛は涼を得るのに
さぞ有用であったんでしょうね。
もちろん
冷蔵庫に入れてもOK!の
タフな“くず連中”(ひらがな、まずいか・・)もちゃんといます。
中でもこの茗荷谷三原堂の「葛撰 絹ごし小豆」。
・・とここまで書いてまだ色々なくず桜など
たくさんあるので大変な長さの記事に。
訳がわからなくなりそうです〜。
↑一幸庵くずまんじゅう重なる色の断面
拡大するとちょっとピンぼけ
と言うわけで次回「絹ごし小豆」&ほかのお店を続けます。
どうぞお楽しみに♪
◎おまけの話◎
ところでこの気候ながら
個人的に本当にエアコン苦手で今年もまだ未使用。
こうしてると「水」は冷たい!ってのがよくわかります。
餅菓子より寒天やくず桜、水羊羹に自然と手が伸びます。
◎★今日の和菓子語4
「葛 」
マメ科のツル性植物で花・茎・根の全てが利用できる。
葛の花 は秋の七草 として愛でられ煎じたものは薬草になるし
茎はツルの強い繊維を使って葛布を織る殊が出来る。
ところで根っこの方は平安の昔から薬として重用され
葛根湯など、現在も風邪薬などに使われてます。
保冷ってことは保温も良好。
↑これは若狭「熊川」本葛使用で出来上がり
奈良の吉野本葛は葛根を破砕し、寒の地下水のみで何度も不純物を精製(吉野晒し)
自然乾燥させた、添加物を一切含まない自然食品
葛粉で作る冬の「くず湯」の冷めにくさはご存じの通り。
食べた後まで残って体もほかほかと癒してくれます。
なにせ澱粉の中でも最も粒子が細かいため吸収されやすいので、
内臓にやさしく下痢や風邪によい訳だ。
葛粉や吉野葛を名乗る多くはじゃがいもやさつまいも澱粉使用のもの。
吉野「本」葛とは価格もだいぶ異なるようです。
↑本葛粉
(参考は 森野吉野本葛とはと 葛)
※注
各お店の過去の記事はこちら
●岬屋みさきやの記事はこちら
●茗荷谷 三原堂の記事はこちら
●一幸庵の記事はこちら
●お店データとあれこれ
★虎屋(虎屋玉菊)
東京都港区高輪1-20 地下鉄白金高輪駅、泉岳寺駅より徒歩
↓虎屋とらや(玉菊)
※本来は玉菊栗羊羹や玉菊最中などが主力の古い和菓子店。
かの有名な赤坂の虎屋黒川とはまったく異なるお店です。
★岬屋みさきや住所: 東京都渋谷区富ヶ谷2-17-7
定休: 日曜 時間 09:00 - 19:00
電話予約可
最寄り駅 代々木八幡 代々木公園 駒場東大前 各徒歩12分程
一部棹菓子は、新宿伊勢丹クインズシェフ(未確認)渋谷西武、渋谷東急本店などで曜日によって購入可。
★(株)森野吉野葛本舗・森野旧薬園
※創業400年、19代にわたり葛一筋。
南北朝時代に葛粉の製造を始め吉野葛の元祖と名高い
なお上記の岬屋では「みぞれ」に吉野本葛「みゆき」を使用。
★茗荷谷 三原堂
東京都文京区小石川5-3-1
9:00〜1:00(平日)10:00 〜18:00(祝日) 日休
※本郷三原堂と同系列のお店。
★お菓子調進所「一幸庵」いっこうあん
東京都文京区小石川5−3−15
9:00〜19:00 日祝休
地下鉄茗荷谷駅より徒歩5分
●菓子のデータ
・虎屋玉菊
・葛桜180円
測定体重約58g
測定糖度Brix約45.0% (こしあん)
↑虎屋(玉菊)の梅最中とどら焼き
・岬屋
・みぞれ315円
原材料)小豆、上白糖、吉野葛、道明寺粉(餅米 )
※吉野本葛は森野吉野葛本舗(森野旧薬園 )製「みゆき」
測定体重約70g
測定糖度Brix約57.6%
・くずまんじゅう168円
測定体重約44g
測定糖度Brix約60.2%
・一幸庵
・葛焼き280円
原材料)
測定体重約68g
測定糖度Brix約45,7%
注※
今回使用した糖度計は「ATAGO.PocketPAL-2」。
何せ素人が使っているのであくまでも目安。
今回は2〜3回の計測です。
ちなみに、この数日前に私が計測した「雪印コンデンスミルク」はBrix約70.6%でした
はるか昔、子供の時夏休みのおやつにおばあちゃんがよくくず饅頭をくれました。あんころりんさんの記事とは関係なくそれを思い出してぐすんっと、くずまみれで浸ってしまいました。
先日、京都で沢山の和菓子を入手してきましたが真夏でも「濃い」あんこを食べてきた私が、初めて寒天系、葛系のお菓子しか買って来ませんでした。 中でも菓匠清閑院さんの「朝摘みトマト」「京なつの夜」はちょっと見目新しい美しいお菓子でした。
あんころりんさんの画像の葛まんじゅうさんたち、中でも「みぞれ」の食感は想像するだけでひんやりぷちぷちあんこがじんわり・・体調万全の私なら気が変になっているかも知れないぐらい魅力的です。
あんころりんさんはどうしてそんなに美味しそうなお写真が撮れるのですか?
もしかしたらカメラマンさんですか?
美味しい和菓子を前にして、冷静にお写真が撮れるのでしょうか?
私なら早く口に入れたくて手が震えちゃいます。
冷蔵庫の入れ方良くわかりました。
こんな日本人の見事な知恵、勿体ないお化けが
出ちゃいますね。
きんつば魅力です。味わったことない食感かも。
親父が、あんかけとか苦手なんで(なんか戦時中
そんなもんばっかり食べてたもんで葛と芋は
好きじゃないらしい)私は全然好きですよ。
夏には夏の和菓子ですからね。
本葛、絶品ですね。
あんころりんさんも葛桜お作りなんですね。
バリウムで痛んだお腹に、いれてあげたい。
いやあ、いつもながらの 微に入り細に亘った
懇切な記事には感服の行ったり来たりww です。
明日は、葛桜 食うぞっ ♪
あんぱんさま。←書いてみたかったの。
こんばんは、速攻のコメントありがとうございます、返事は遅くて失礼しました。
そうだ、anpannさんはおばーちゃん子でしたねー。葛まんじゅうをくださるなんて、素敵なおばーちゃん♪葛葛くずっと泣いてみて下さい。私ももらい泣き〜。
お帰りなさい、京都は楽しまれたようですね。東京もまた梅雨冷えに戻ってます。
朝積みトマトとは名前からして惹かれますねー。
私は冬でも寒天大好きなのであんこなんばーわんさんの戦利品?見たいですよん。
でも夏ばてで葛や寒天チョイスはとっても理にかなってますね。きっとそれを召し上がれば元気にあんこモード復活♪画像気に入って頂けて嬉しいです。腕より「愛」かも?とにかくおいしいそうな和菓子の顔が見えるのを待ってます。なので
撮影は禁欲的!すごく食べたいのをひたすら我慢しているとどんどんおいしいかんじになるのかも。我慢の後のひとくちの美味しさが最高です♪
こんばんは♪
まずいっすよね、やはり。濁点だともっとまずい。 そうなんです、せっかくの本葛まんじゅうはおいしく食べたいですものね。でも固化防止の何かが入っているカジュアル葛まんじゅうは冷蔵OK。風味は本葛と変わるけど便利菓子。次はその辺書きます。
!そうなんです、夏には夏の素材があるのです、それが和菓子のよいところ、雰囲気だけでなく理に適っているのが良いんですよ、実もあれば美もあるのが和菓子。葛焼きは独特の食感と風味が特徴です。私の葛桜は最初で最後です、これからは簡単な葛あんこ位にします。バリウムで済んでよかったですね、胃カメラでは葛も効かないもの。どうぞ葛湯か葛まんじゅうで労って下さい♪
雨漏り書斎主人 さん
こんばんは、またまた嬉しいお言葉ありがとうございます。やはり季節の素材がいいんですよねー和菓子って。マンゴーくずまんじゅうもいいかもー。
書き込む場所を間違えちゃったm(__)m
葛桜美味しそう。
思わず写真めがけて、手が出ましたよ(^^;
桃のお菓子もカワイイ&食べた〜〜〜〜〜〜〜い!!
いつも思いますが、HPに載ったお菓子を制覇したいです。
オリジナルのマップも作りたい・・・(*^O^*)
また、遊びにきまぁ〜す!
どうぞどうぞ好きなところにコメントしてね〜。
たくさん読んで下さってありがとう。
向こうの記事に先に書き込んだけど一応
もう一度♪
こんにちは♪コメントありがとうございます。
岬屋の葛桜はこしあんがさらっとしておいしいです。ぜひ写真だけでなく実物に入っちゃいましょう!今度制覇敢行ツアーお出での際がぜひご一緒に!私もマップ欲しいっす。ぜひぜひ何時でもOKなので好きな時にご訪問くださいまっせ!
いつもウェルカムです。