↑羊かんの常識を忘れるパクパク和菓子「切り羊かん」
↑珍しいわらび餅の久寿さくら、美味さ稀なる水ようかん
いずれも上生菓子として
質問1。
好きなタイプの「羊かん」は?
・・・夏なら水ようかん。ふむふむ。それ以外は・・・
「練り羊羹」
ほんと?煉りの方が好き?
えーと。ここで地味…に宣言。
だ・ん・ぜ・ん「蒸し羊かん派」だ〜い!
ご存じですか“江戸風”切り羊かん・・・
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江戸風の切り羊かんは
「蒸し羊かん」を拍子木や短冊状に切り
経木などにまとめて包んだもの。
↑新鮮さが重要、その日の分だけの売り切れ終い
近頃の東京では蒸し羊かんと言えば
栗蒸し羊かんが主流。
ちょいと小粋な「切り羊かん」は絶滅危惧種??
小粋=地味、なのかい。
各地の蒸し羊羹、
名古屋の上り羊羹、近江のでっち羊羹などは
人気で健在なのに。う、うらやましい。
“このまま練り羊羹だけ残って、
蒸し羊かんがなくなったらどうしよう”と心配してしまう程
個人的には圧倒的に蒸し羊かんが好み、大好物。
“煉り”は最悪消えても我慢しますけど、って
・・強甘味ファンには大ブーイングだな。
↑一本13gなんて軽くてうまくて軽くて14本
以前、
古印最中の記事で書いたけど
和菓子は好きだけど「最中」と「練り羊羹」はハードル高くて・・
という世の甘味ファンは少なくないようで。
ああ!それなのに。
何でこんなに「蒸し羊かん」が少ないのさ?
ましてや「切り羊かん」なんて。
もはや数える程のお店でしかみられませ〜ん。
・・結構真剣に不安で。

↑こちらは浅草金龍山の切り山椒、16本が一包み
さて、江戸風「切羊かん」と、やはり江戸風菓子「切り山椒」は
よく似た売り方で食感や形もやや似てる。
どちらも手でぱくぱくと食べられる歯切れの良いおやつで
個人的には両方、大の好物。ぱくぱく。
こんなにおいしい「切り羊かん」や「切り山椒」、
いまでは幾つかの江戸風菓子の店でしか味わえない。
「切り羊かん」に至っては
江戸から数百年続く浅草「龍昇亭西むら」でお酉様など年に数回
ほかに明治から江戸風菓子を作る「胡萩堂」など、
いずれにしても古参の江戸風菓子のお店で僅かに。

切山椒も江戸の趣のある包み(浅草金龍山)→
そして。古参の江戸風菓子と言えば
日本橋「長門」。
いまや、久寿もちの名高く長門は久寿もちなしでは語られない程。
また上生菓子、半生菓子でもよく知られてますが
蒸した江戸風「切り羊かん」や切り山椒もちゃんとあります。うまいよ!
御菓子司「長門」は
もともとは神田にあって
江戸時代から続く、幕府への菓子司をも務めていた
格式ある和菓子店。
↑珍しいわらび餅製の久寿さくらは上生菓子として
そして、さすがに江戸風菓子の店。
趣ある「切り羊かん」は口当たりよく、
良質の小豆あんの風味、そして
何よりもその歯切れ良くさっぱりした後味がよいのだ。
ねっとりした濃厚な甘さの練り羊羹とは異なる
とても淡泊な「蒸し羊かん」です。
甘味苦手さんも「長門の切羊かんなら」許容範囲?。
ちなみに江戸で出来た往時の江戸練り羊羹てのも
質素で情趣ふかく淡泊、
やや固めで歯応えがあるのが特徴だったらしい。
食べてみたかったー。
ところで皆さま。
何となーく、蒸し羊かんは亜流、
「煉り羊羹」が羊かんのルーツ、本筋と思ってません?
日持ちするので贈答用にも使われる上、
虎屋など高級感あるしね。
小判や札束でも潜んでそうだし?“えらい感”漂ってます。
→これは練羊羹の切羊かん、岡山落合羊羹
が。実は羊かんとは元々は蒸し羊かん。
練り羊羹は寒天の発見後に開発され
当時はその甘くキメ細かい食感からも大ブレイク、
日持ちのしない蒸し羊かんに比べても画期的。
どんどこどんどん、各地に広まったようです。
そして・・・
可哀想な「蒸し羊かん」は地味〜な存在へと。悲ー。
煉り羊羹の発祥は諸説あるけど’(下段参照)
(16?17?18世紀?和歌山?伏見?江戸?)
とにかく蒸し羊かんより後、それは確かだ。
↑一包みで14本♪さっぱり、蒸しあん団子風の味
現在の蒸し羊かんと練り羊羹、
材料と製法はもちろんのこと、その甘さがぐっと異なる。
蒸し羊かんはそのさっぱりとした味わいと
べたつかない歯切れの良さが魅力、
やはり蒸し羊かん派宣言しちゃおうっと。
煉りが嫌い、ではないけど。言い訳か。
ところで。
水ようかんも大好物なんです。
見れば欲しい、あれば買う必須アイテム。
↑相当すごい水ようかん、水系の稀なる美味さ
長門の水ようかんは見事な口溶けに驚き。
素晴らしい味わいは
まさに上生菓子としての水ようかん。
水をたっぷりと含みながら甘さをごく控え
十二分にアクを抜いた品の良いさらさらのこしあん風味が
嬉しい程に堪能出来ます。
御菓子司の本領、上生菓子、半生菓子を得意とするだけあって
秀逸の水羊羹。
最近では三はし堂と
この長門の水ようかんにめまいくらくら。
勝手に「美味い水ようかん」を
「水を食べる系」と「寒天とあんの美味さを食べる系」
2タイプに分けてますが
今年は三はし堂とこちら長門とのものは水を食べる系で
かつ微妙な食感が素晴らしい。
“稀なる美味な味わい”ってやつです。
かなり。大絶賛します、はい。
↑久寿さくら断面、あんはしっかり甘かった
ところで久寿もちは?
もちろんいただきました。もちろん好みです。
柔らかいわらび餅“だけど”好きです。
そこで、さすがわらび製久寿もちの評判店、
稀なるもの?はもうひとつありました、
生涯たぶん初食い!「わらび製久寿さくら」
というものに遭遇しました。
かなり、本葛製の久寿さくらとは異なる趣の舌触り、
こしあんが甘さが強く茶席向きかも。
↑上生菓子の水ようかん、
久寿さくらは久寿もち同様、わらび製の生地
でも今回は。
今どきグルメガイドではいっつも「ついで」に出てくる
「江戸風切り羊かん」。
たまには主役を張らせたい。
というより。
これがとにかく大の好物。
あ、そうだ質問2。
切り羊かん、食べてみたい?
※注
文中の参考の過去記事はこちら↓
●「切山椒」の浅草金龍山の記事はこちら
●浅草「龍昇亭西むら」の記事はこちら
●『萩乃菓子司』の蒸し羊かんの記事はこちら
●栗蒸し羊かん特集の記事はこちら
●天音の黒糖切り落とし羊かんの記事はこちら
↑竹の皮にさっと包んだ情趣ある江戸風菓子
◎おまけの話◎
そもそも“蒸し羊かん”がマイノリティ、
しかも“切り羊かん”なんてマイナーの二乗。
切り羊かんが主役では見るからに地味だしぃ、
今どきこの手の食感は明らかにマイノリティ。
切り山椒を「お酉様」の行事と結ぶ人はもはや稀。
本当に世の中から消えたらどうしよう?大好きなのにぃ。
頑張れ切り羊かん!頑張れ切り山椒!
しかし・・地味なものばかり好きなんだよな・・。すでに精神的老後か?
◎★今日の和菓子語6
「練り羊羹の発祥」
実は昔の蒸し羊かんルーツは甘くないしイマイチの味。
そこで寒天の発明以後、
新人の甘くてなめらかな練り羊羹に取って代わられた。
というわけで「練り羊羹」ですが
ちょいと調べただけでその発祥の土地も年代も様々。
ばらっばら、で面白すぎるー。
辞典の年表では、江戸で1789年頃(紅粉や志津磨)、
「食いねえあんこ菓子」は1790年に伏見の駿河屋で、
ある本では1658年、伏見の鶴屋で、
またある記述には、足利時代に豊臣秀吉が
「自分の天下になったら練り羊羹があらわれたるわ」
と自慢した、だの。ほかにも「練り羊羹は18世紀末から」とあるし。
全部実証見聞する気にはとうていなれませ〜ん。誰かやってみる?
●お店データとあれこれ
★長門
東京都中央区日本橋3-1-3
定休: 日曜・祝日 時間 10:00 - 18:00
地下鉄日本橋駅より徒歩 JR東京駅八重洲北口より徒歩
※創業280年以上、
江戸時代、八代将軍吉宗の頃に神田通新石町に店を構え
しかも幕府へ菓子司して仕えた。
「松岡長門大掾藤原信吉」の称号を受けたという
当時からその職人技を認められた歴史ある江戸風菓子の店。
現在の日本橋の地に移ったのは戦後のようです。
★金龍山浅草餅本舗
※330年続く、浅草仲見世でも最も歴史あるお店。
詳しい記事はこちら
★加藤商店(文中画像「落合羊羹」製造元)
製造本舗 金物屋事 加藤商店
岡山県真庭市落合垂水47番地 TEL 0867-52-0144
●菓子のデータ
・江戸風「切羊かん」一包み14切れ850円
蒸し羊かん製
原材料)小豆(備中産?)砂糖 小麦粉
測定体重約165g
糖度測定不可能
※練り羊羹とは違って当日分売り、
午後遅くは売り切れのことも。賞味は基本当日
(冷蔵保存の際,食感は変わるかも)
・水ようかん 310円
測定体重約61g
糖度測定不可能
・久寿さくら310円
蕨粉使用
測定体重約52gg
測定糖度Brix約61.4%(こしあん) 注※
今回使用した糖度計は「ATAGO.PocketPAL-2」。
何せ素人が使っているのであくまでも目安。
今回は2〜3回の計測です。
ちなみに、この数日前に私が計測した「雪印コンデンスミルク」はBrix約70.6%でした
水羊羹か蒸し羊羹・・・ですね。。
ところで本郷に本店?のある三原堂、
池袋の三原堂と味は変わらないのでしょうか。
何かご存知ですか?
確か寒天、というか天草にこだわりがあるようで、
豆かん好きとしては気になってます(^^*
この時期は水羊羹が美味しいですが、私は蒸し羊羹派かな?
滋賀・近江八幡に「和た与」さんという丁稚羊羹の老舗があるのをご存知でしょうか?
火災でお店が焼け、奥さんと小さいお子さん3人を亡くされた3代目の若旦那さんのことはTVや新聞で採り上げられたので関東の方でも知っていらっしゃるかも知れません。
ここの丁稚羊羹、素晴らしいんですよ。
お値段も1本、確か\260でした。大きさは定かではありませんが200gぐらいだったと思います。(違っていたらすみません。)
画像の竹皮の包装を見ていたら、和た与さんの丁稚羊羹の感動が蘇ってきました。
・・地味なものがお好き、との事ですが、極め尽くすと原点に返ってしまうものだと思います。
私も色んな和菓子を味わってきましたが、やっぱり一番美味しいと思うのは庶民的なあんこ菓子ですもの。 精神的老後だなんて、とんでもないですよ。
260円なんです。
訂正してお詫び申し上げます・・。
あまりありません。蒸し羊羹は、確かに栗蒸し
羊羹が少々。
勉強しなければいけませんね。
これは食べてみたいですよ。
こんなおやつ感覚で食べられる御菓子
、蒸し羊羹素晴らしいです。
すごいもの見させていただきました。
こんなの初めてです。
今度は蒸し羊羹味わいの旅に出たいと思います。
なお、本葛の店は、写真がないので
また次回に載せます。すみません。
ぜひ噛みついて♪水ようかんは割とほっといておいても人気あるから良い物が次々と出ますけど、東京でこういった素朴な蒸し羊かんはマイナーなのです。こんなに小豆がさくさく味わえるおいしいものって他にはないですね。いつもポケットに入れたい位です。和た与さんの事は詳しく知りませんでした。歴史あるでっち羊かんの店なのですね、本当にお気の毒です。画像ではとても魅力的です。機会を見て囓ってみたい!極めるにはいたってないどころか、まだスタートもしてないのでこういったおやつ物が親しめます♪でもやはり庶民のおやつって魅力たっぷり似ていますね。
しかし260円って安い!すごいですね
yottyan
夏には、見た目もすずしいのがいいな〜
!!すみません、返事が抜け落ちました、失礼しました。
わーい、いたのですね。蒸し羊かん派。おいしいのに何だかマイナーですよね。もっと増えて欲しいです。
池袋三原堂は人形町本店からののれん分けですから、本郷とは言うなれば兄弟弟子みたいなもんでしょうか?私は池袋のお店詳しくないのです。
乱歩がひいきにしてたって聞いてます。でもかなりおいしそうですよね。大福も杵突きだそうです。寒天もきっといけそうな気がします。
yottyannさん
すみません、後でもう一回書き直します。
昨日のがどこかへ消えちゃって・・。すみません!!
こんばんは、コメントがとても遅くなってすみませんでした。ではあらためて。
栗蒸し羊かんから栗を除けば蒸し羊かんです。
栗の蜜が入らないのでぐっとさっぱりします。
知らない間に召し上がっているかもしれませんね。私は蒸し羊かんが圧倒的に煉り羊羹より好きです。栗蒸し羊かんは生栗で自分でも作ります、なかなかおいしいものです。
http://yuki-ssg.seesaa.net/article/7053851.htmlには蒸し羊かんの製法も出てます。
本葛はいつかまたの機会に。
蒸し羊かんの旅とはいいなー。私も行こうかな、切り羊かんの旅。でもすぐ終わっちゃいます、少ないから。
コロ さん
コメントありがとうございます。
コロさんは洋菓子に詳しいのですね。葛を使った御菓子もどうぞ。
小麦粉も入れるんですね。
羊羹食べたことしかないので、ぜんぜん
知りませんでした。反省。
貴重な資料、ありがとうございました。
切り羊羹いいな。絶対家中の者が
好きだと思います。テーブルの上に置けば
すぐなくなるぞ。
こんばんは。お恥ずかしい限りですが、でも一番わかりやすいかな、と。そうです、蒸し羊かんは寒天を入れないで小麦粉を入れて蒸し上げます。
ですからちょっとむちっとした食感で甘さもさっっぱり仕上げることが可能です、あまり日持ちはしないですが。煉りよりおやつに良いと思います。ご両親にも親しみやすい味だと思います。多分。試しにテーブルに置いてみます?
もしかしてzoomania、ネットストーカー? (汗)
zoomaniaも蒸し羊羹派に転向しましたぞ。
「好きだぜ、蒸し羊羹」の会も立ち上げましょう♪
どうもありがとうございます。嬉しいです、過去の記事も読んで下さって。
大歓迎ネットストーカー(笑)って私は目Mかいな。
おっしゃー!良いですね蒸し羊かん派が増大ってのは。広げよう蒸し羊かんの友「好きだぜ蒸し羊羹」のTーシャツの図柄って相当すごいかも。
久々にトラックバック送信いたしました。よろしくね〜。
お忙しそうですが、体調崩したりしていませんか? というより、最近どんなもの食べていらっしゃるのか気になります(笑)
やーやどうもどうもTBありがとうございます。
ご心配下さってすみません、ありがとうございます。
私は元気で相変わらずあんこ三昧でございます。
仕事がパンパンで更新が出来ないのですが、はやいとこ書きたくてたまらないのです。
群林堂と松島屋の柏餅もきっちりいただきましたぜ(笑)
夏柑糖もさっそく、うさぎやのどらやきも、江戸川橋のたいやき、川端道喜のうぐいす餅も滞りなく腹に納めています。カタネはおいしいベニエをはじめて、家でははまってます。以上近況報告。