夏のお干菓子
粒あんぎっしり
経ヶ峰は伊達政宗公が自らの墓所に望んだ丘
和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く」
再び"みちのく甘党ひとり旅"の話です。
仙台「森の香本舗」ですばらしいと思った・・
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・・のは上生菓子だけではありません。
じつを言うと最初に口にしたのは新幹線内で頬張ったおまんじゅう。
ひとつ105円のとりたてて特徴のなさそうな蒸まんじゅうのおいしさにびっくり!
まんじゅう
(薯蕷生地ではない)小麦粉ベースの皮はもっちりしっとり、まるで本格酒饅頭のような口あたり。
そのうえ!中のこしあんの上質なこと。丹念に渋抜きをしたうえ、小豆の風味が際だつようにクセのない甘さの砂糖で仕上げていました。
…大納言小豆を使っているそうですが、粒あんならともかくこしあんは稀。
なにしろ高価な豆ですし皮が割れにくい品種なので手間もかかります。
(少ない経験ですが)
まんじゅうなどおやつ系にも手を抜かない上生菓子店は
なにをとってもクオリティが高い。
初っぱなからこれはタダモノではない、と小さくガッツポーズしてました。
そのあとに続くカウンターパンチは
なんと言っても・・麩焼煎餅!
単品は"茶扇"と"経ヶ峰"の2品、干菓子で5種類と品数も豊富ですがその質の高さは並ではありません。
経ヶ峰と茶扇
どれも素晴らしい歯ざわりで、
絶対に美味しいものを提供するのだ!というお店の挟持を感じさせます。
麩焼煎餅やモナカ皮など、もち米ベースの焼物を苦手とする人々の一番の理由は「ペタペタと上顎にくっつくかんじ」だと思います。
ところがこちらの麩焼煎餅たち、
「パリッとはじけてサラっと消える」そんな口あたり。
とりわけ麩焼煎餅ギライに試して欲しいのが、
−そば種味噌砂糖煎餅"経ヶ峰"−。
そば粉をベースにしているせいか、もち米オンリーのものに比べてあっさりした口あたり。
丁寧に刷毛で塗った味噌砂糖蜜は素朴で懐かしい風味。
とは言っても味噌煎餅でもそばぼうろでもない、独特の味わいです。
菓銘(経ヶ峰は伊達政宗の霊廟「瑞鳳殿」の地名)と素材から推して法要向きの品かもしれませんが
素朴な材料の魅力を充分に引き出した、おやつにパリパリ食べたい和菓子。
一枚から販売しているのもフトコロの深さを感じます。
和三盆糖の"浮雲"、押物の五色"短冊"、錦玉"うたかた"など
店に入って最初に眼を引くずらりと並んだ干菓子たち。
金魚やカニ、雲などキュートな意匠もウレシイし、 錦玉の涼しげなブルーなど新鮮な色彩センスも魅力的。
すべてが美しい仕上がりで技術の高さを感じます。
ご主人自身も「干菓子は店の大きな特徴」と意識しているようで、
ごく小さなお菓子をより奥深いお茶うけとして大切にしているそうです。
干菓子の一連とした麩焼き煎餅もいくつかあるのですが、こちらもとぉっても美味しい。
なかでも。
ここまで心配りしているお店があるかしら、と思ったのがあんを挟むタイプ。
左端"うず巻"は生姜のすり蜜を刷いたもの、緑風と時鳥はあんを挟む類
すり蜜をかけたタイプと異なり
あんサンドにするものは一枚一枚を包丁で削いで半分にしたものにあんを挟むのです。
たとえばバンズ用パンを横半分にスライスして具を挟む、ああいった構成。
パンと違うのは元の一枚がすご〜く薄くてデリケートなので、それなりに技術を要するし手間もかかる。
1ミリほどの厚みをさらにスライスしてあんを挟むなんて!まさに和の技術
で。ほとんどの店ではあらかじめ挟んだ物を用意して販売しています。
ところが、だ。
森の香本舗では三種類の柄から好きなものを選び
梅あん、柚子あんなど好みの餡を挟んでもらえる。
つまり、注文を訊いてから仕上げるのですから、
これには心底オドロキました。
断面を重ねたもの。時鳥には塩気のある梅あんを、緑風に柚子みそあん
最中ならば客の顔を見てから餡を挟む店(これだって稀少だ)はあるけれど
麩焼煎餅のあんを選べる店に出会ったのは初めて。
作りたてを提供しようという心意気から
手渡す直前に煎餅を削ぎ、あんを付けて煎餅を重ねる手間を厭わないのでしょう。
簡単そうじゃん、と思ったアナタ、一度この作業をやってみたまえ。
かつてワタシが試した際は5組作るのに20分以上かかりましたから。
というわけで。
当然美味しいのだ、森の香本舗の麩焼煎餅あんサンドバージョン。
麩焼も上質、煉あんもおいしい、しかも作りたて。
ほかには生姜砂糖を刷毛で掃いたタイプも一級品。
ピリッとした生姜風味とパリパリの食感を思い出しては、イイお店だあと反芻しています。
思わず買っちゃったのは干菓子を詰めた白木箱。
赤の効かせ方がセンス良くてプレゼントにもぴったり。
こちらにもきれいな麩焼煎餅が3枚程入っていました・・が。
夏だというのに油断して、数日経って開けたらやや湿気ってしまった。
干菓子こそ作りたてが一番、と思っているワタシなのに・・あーあ。
評判のどらやきはあんの量にオドロキ。
どらやきそのものも大きめですが、しっかり炊かれた大納言粒あんが薄めの皮にこれでもかというくらい挟んである。
ボリュームたっぷり甘みも濃厚だけれど、まったりとした粒あんはワタシ好み。
涼しい時期に緑茶の供で頂いたら10倍好きだと思う。
目当ての半生菓子"空豆"も売り切れだったし。
やはりこれは再訪すべき、というあんこの神さまのお導きと理解しよう。
森の香本舗。
真摯なお菓子作りと温もりある接客の仙台の和菓子屋さん。
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●店と菓子のデータ
森の香本舗 仙台市青葉区大手町5-5
・経ヶ峰せんべい:58円(でん粉、そば粉 もち米 砂糖 味噌)
・茶扇:89円(もち米 和三盆糖 砂糖)
・おまんじゅう(白):105円 大納言こしあん入
・どら焼:315円
・干菓子:70〜150円ほど(錦玉、和三盆糖、押物、雲平、麩焼煎餅、有平糖…etc)
・お干菓子詰合せ(紙ケースに木箱):1,365円
●おまけの話
・季節柄でしょうか、いわゆる半生菓子がなかったのは。ぜひまた涼しい時期に訪れたい。
・久々に歩いた高尾山。中学生の時より楽に感じたがちょっとウレシイ。門前の御菓子屋も良かった。
●過去の東北関連記事
みちのく甘党ひとり旅@仙台 賣茶翁(売茶翁)
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白松がモナカ本舗
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4月13日松島こうれん、石橋屋、丹六園
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ずらり30店・東北の菓子フェア@高島屋
他多数
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お干菓子が涼しげでステキです。
柄が三種類あって、確かあんも三種(梅、柚子、白だったかな)で好きなように組み合わせられるんです。その時は気がつかなかったんだけど、よくよく考えたら注文訊いてからあんを挟んでるんじゃん、と。いずれの干菓子も技術が卓越してすばらしいんだけど、ワタシは"空豆"がkozueさん好みだろう、と勝手に踏んでます。