↑権五郎力餅、まぐろのにぎり寿司ではなく
↑御霊神社門前の力餅家、店先には庚申塔と赤いポスト
秋の鎌倉〜和菓子の宝庫、どのお店も強者揃い。
なかでも「権五郎力餅」
餅の美味さではひけを取らない、その名の如く
てらいなく力強い一品だ。
それでは、胸を借りてのぶつかり一本稽古、「たのもー」
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久々の湘南は鎌倉です。
鎌倉材木座から稲村ヶ崎あたりはなじみのある海岸。
↑坂の下辺り海岸沿いの茜の空
今回も“当然”自転車持参で秋の鎌倉巡りです。
週末ともなれば鎌倉周辺は観光客で大混雑、
街中では走行し難いんですが。
人気の観光地でもある鎌倉は和菓子の宝庫でもあります。
自転車で走りつつ毎度一軒ずつ立ち寄るなんてことしてたら
一日の走行距離1キロ〜なんて事になりそうです。
(それもいつかは実現したいが)
というわけでこの秋は
それぞれのお店で「これ」と決めたお菓子を一つ選んで“食べ稽古”する事にしました。
楽しそうでしょ♪
初めての店も、再訪の店も含めて銘店の多い鎌倉の和菓子屋さん。
楽しみながら“グっとくる”気分を期待して。
道場気分のぶつかり一本稽古に挑んで参ります、おすっ。
↑寿司折り風小箱10カン?入り
まず初回の稽古は猛者中の猛者、
その名も「力餅家」の“権五郎力餅”
強そうなんてものではない。
名前でいきなり負けちゃいますよ。
こちらは脱力系あんこ野郎“ころりん”と簡単に倒れますからね。
数ある素敵な鎌倉の和菓子店でも
こんなに魅力的なお店はありません。グッドルッキングなお店の代表です。
↑魅力溢れる店内、白衣姿は丁寧なお店の方
この佇まいの店にはもちろん歴史あり。
何と300年以上前、元禄年間(1688〜1704)の創業、
“鎌倉権五郎景政”が祀られた御霊神社の門前菓子屋さんです。
「権五郎力餅」とは権五郎景政の逸話に由来する餅菓子で
この英雄の武勇を後世に伝えるべく出来たのだそうです。
そこで“権五郎”て誰?ということになりますが
源義家の部下で参陣の際、目を矢で射られても相手を倒し
その後も、気高く気概溢れた言動で名声を一層高めた武士(注1)です。
この権五郎を祀り、
“力”餅由来の“力石”=手玉石が現存する
御霊神社入り口のその店先には庚申塔が今も残るばかりか
絶滅寸前の赤いポストまであって奇跡の一角、という気がします。
で、肝心の力餅は、
“餅”と遠方の土産用の“求肥”があるので当然ここはお餅選択。
この時点で餅の新鮮度(固くなっちゃう)が伺えますから、期待度マックス。
「力餅」(餅バージョン)は至ってシンプル。
気取りのない一口大の白いへそ型に握ったお餅にあっさりした甘さのこしあんを乗せたもの。
↑きれいに詰めれらたあんころ餅
見ようによってはしっとりと新鮮な握り寿司のようだ。
“寿司状あんころ餅”が10個並んでる様は実にうまそうです。
それでは“力餅”さん相手にがっつりと一本稽古いきますっ。
出来たては柔らかーい搗きたて餅らしく
指でつまむととふるん、とほどける様な手触りが赤ちゃんみたーい、気持ちいい〜。
ひとくち噛むと柔らかいお餅が“きゅっ”と歯にすいつくようです。
持ち帰って2〜3時間もすると餅が引き締まり
搗いた餅ならではの美味さがさらに増し、歯応えある“コシ”を一層おいしく思います。
しっかり生鮮もの!らしい餅菓子のこの味わいがたまりません。
あっさりとうまいあんころ餅、2〜3カン?は軽いですな、権五郎殿。
↑楕円状の餅を柔らかく丸めて、出来たてふるるん
そう言えば歌人の中村汀女も歌に詠んでました、権五郎力餅。
「名のものを買ひえし町の 春惜しむ」
春(2月〜5月)の間だけ“よもぎ餅”に変わる「権五郎力餅」、
季節が変われば白い餅に戻るごく素朴なにぎり餅、
和菓子好きの汀女さんは、鎌倉の春の終わりに名残惜しさをこの小さなお餅に詠んでます。
さすがに鎌倉名物の一つ「権五郎力餅」大先輩
街並から少し外れた御霊神社にさっさと頭を下げて
「参りました」と一礼しました。
でもさ、負けたと言うより得したから。
※注1)鎌倉権五郎景正かまくらごんごろうかげまさ
「権五郎景政」は鎌倉時代の若き武士。
後三年の役の戦いで目に矢を射られたまま敵に攻め入り、討ち取りました。
そのまま陣中に戻り仲間に矢を抜かせるのですが
あまりに抜けにくいので顔に足をかけて引っこ抜こうとした、
その仲間を怒って斬りかかります。その理由が
「 弓矢で死ぬのは良いけど、生きて顔に土足とは我慢がならぬ。だったら汝を仇として討ち、自分も死んでやる」という。
武勲もさることながらその剛毅かつ気高さにみんなが感動。
その後はこの辺りの優れた開発領主としても活躍、
鎌倉坂の下の御霊神社に祀られてます。
◎おまけの話◎
御霊神社(権五郎神社)(ごりょうじんじゃ)は鎌倉の長谷駅(江ノ電)から徒歩で坂の下方面、星の井通り(だと思う)を右へ。
近所には向田邦子さんの好きだったソース屋さん三留商店もあります。
神社への路地入り口に力餅家があります。
権五郎神社に参拝するには路地に続く家並みの中から石段を上がって
いきなり江ノ電踏切を越えて行きます。
つまり民家の中の遮断機のすぐ向こうに境内があるのが
何故かなかなか良い風景。(自転車では行けないけど)
近隣の方にも親切にして頂きました(自転車修理してもらったり)
それで何で「餅」か?
神社境内には「手玉石と袂石(てだまいしとたもといし)」が今もありますが、鎌倉時代の力石(=手玉石)というのは武士が腕試しをしてたらしいのですが、権五郎さんはここの手玉石を軽々と持ち上げ、(お店の説明書では)その石にお餅を供えて、神社の参拝客に分けたそうです。
●お店データとあれこれ
★力餅家
神奈川県鎌倉市坂ノ下18‐18 TEL 0467-22-0513
営業時間 9:00〜18:00
定休日 水曜日・第3火曜日
●菓子のデータ
・権五郎力餅10個入り630円
原材料) もち米 小豆、砂糖
測定体重約26〜27g(一個)
測定糖度Brix約51.3%
賞味は1日位
注※
今回使用した糖度計は「ATAGO.PocketPAL-2」。
何せ素人が使っているのであくまでも目安。
今回は2〜3回の計測です。
ちなみに、この数日前に私が計測した「雪印コンデンスミルク」はBrix約70.6%でした
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寿司に見えましたか。ドコモダケかと思いました。そして赤福なみの餡子ですね。
どこで売ってるかとまでは、これは鎌倉行かずんば餅を得ず。ですね。
新鮮な餅食いに行ってこようかな。
赤福よりも甘くなさそうだし、餅がしっかり
してそうだし。やっぱり石に見立てるんですね。
なるほど。良くわかりました。
店の雰囲気もいい。おばちゃん煎餅1枚おくれって言えそうな店構えですね。
入りやすそう。赤いポストもレトロだし。
ドコモダケ近いですね。
餅がうまそう。
武勇伝や神話っていたーい話が多いですね。やたら荒唐無稽だけど周囲は当たり前ってかんじがすごいですよねぇ。赤福より甘味があっさりした印象です。
yottyanさん
わはは、鎌倉行かずんば餅、でしょう。
お散歩コースにも良いかんじで再訪をちかったんです。おしいし野菜が食べやすかったんですね
このラインを参考にどら焼きまなども再人気ですね。
でも先週末に赤福食べたばかりだから冷静に記事を読むことができました(笑)
鎌倉って食べ歩くにも適度な距離があって、いいですよね。にぎりは次の鎌倉ツアーの機会への宿題にしたいと思います。
しかし魅力的なビジュアルですな♪
昨日、ふと「赤福食いたぁ〜い」な気分になってたんでビンゴでし。
鎌倉かぁ〜。行きたい。食いたい。旅たい。
力餅屋の上に夫婦饅頭とあるのが気になりました。
それも、美味そうだ。想像。
10月になった事だし、そろそろ赤福でもと思っていたのですが、この握りものすごーく美味しそうですね!
再来週近所を通る予定なので、私も稽古つけてもらいに立ち寄りたいと思います〜
江戸っ子だってね、一貫食いねえ、あんこ寿司♪
赤福って名前もやさしいけどお餅も柔らか、
力餅はさすがにしっかり力がはいってますよ餅。
にぎりはちょっと街中から離れて、とても良い散歩コースになると思います。ぜひ課題にいれてね。
あちこさん
そうでしょー、むちゃくちゃな権五郎さんに、そんなに感心しちゃうのかーって思いますよね(笑)何でこう荒唐無稽チックな話が武勇伝には多いんでしょう。でも好きなんですよね、こういうお話。
夫婦まんじゅう見当たらないのですよ。他には福面まんじゅうというのが惹かれますよ、お面型の人形焼き。赤福よりあっさりしたあんにこしのある餅です、こちらの方がさらに私の好みです。
oyatsu300さん
こんばんは、お元気ですか?
赤福、行きたい気分ならぜひこちらもお試しあれ♪。あっさりした味と餅のこしが手作りの新鮮さに溢れてますよ。秋の稽古をぜひ付けてもらって下さい。冬に向かって準備万端ってかんじです
来月の頭に鎌倉に行く予定を立てておりましたが、この記事を拝見して、ますますやる気がでてきました。このお餅は必ずゲットしてきます。
ちなみに、コメントに出てくる赤福は一昨日に食したばかりです。
ところで、自分もスイーツ系のブログ(http://kaimode.blog55.fc2.com/)を書いております。もしよろしければ、相互リンクをお願いできませんでしょうか?
既に、自分のページのTOPにリンクを設定させていただいておりますが、ご迷惑であれば連絡下さい。
はじめまして、こんにちは。コメントが遅くなり失礼しました。
コメントとリンクありがとうございます。
私もつい先ほど赤福を目の前にしました(今回はパスでしたが)
権五郎さんのは赤福とは少し異なり野趣があり力餅の名に偽りなしのおいしさです。すこし分かり難い場所ですがいらしてみて下さい。
リンクは少し時間がかかるかと思いますがよろしいでしょうか。
二回行ったことがあるんですが、二回とも力餅は売り切れていて未経験…ほんとにあんこのおすしみたい。こしあんと知ってさらに憧れがかき立てられております←漉し餡好き
こんばんは。すごく好きなんですよ、このお店。奇跡に思えるシチュエーションです。お餅そのものもすごく可愛いお寿司っぽくて美味しいです。
こしあんもあっさり系ですから、ぜひ頑張ってトライしてください。この時は土曜の5時くらいで普通に買えましたよ。何故かあんこはいつも買えるみたい(笑)これって自慢かな〜。
力餅、懐かしい!中学生の時、先生に連れて行ってもらって、若い頃は何度か通いました〜。美味しいですよねー。そうそう、私も、ぎゅうひじゃなくて餅がいい派です。赤福も最近は日持ちのする餅になってしまって、お土産に頂く機会が増えた反面、ちと淋しいですね。
ところで、昨日、千倉のひじき入り鯛焼き、買って食べました(覚えていられますか?(^^;)。皮はもちもちで厚めでしたが甘くなく、なかなかの美味でした。
どうもどうもお久しぶりです、お元気ですか?
力餅屋さん、何しろあのお店がすごく良いですね。やはり、お餅派ですよね。あのしこしこ感が魅力。赤福は仰るとおりですね。
えー買えましたか!いいなー尾崎本舗でしょう。
最近ずっと千倉行ってないのです!ひじきクッキーも食べたいのに。そうか甘さ控えたかんじなら絶対好きですよ、うらやましいです。
そうです、尾崎本舗ですー。私はまたおばかにもひじきクッキーは買わずに鯛焼きばかり一杯買い込んじゃったのですが、お菓子のしおりを貰ってきたら、最中とかおまんじゅうとか色々あるみたいです。
鯛焼きは、冷凍しておいたのですがもう全部食べてしまいました(^^;やっぱり温度で甘さの感じ方が違うかも。改めて味わったら、結構浪花家系よりも甘いかなと思いましたが、皮が全然違う系統なので、やはり是非あんころりんさんにも味わって頂いて欲しいものです!
ブログの方は拝見したのですが
コメント遅れていてすみませんでした。
再訪ありがとうございます。
千倉では尾崎本舗に行くのが一番嬉しいのです。
あそこにはいろりお手作りの洋菓子ちっくなお菓子もおいしそうで。いつもたい焼き外してしまうのでひじきクッキーを買ってました。
え!しおりがあるんですか?くー。知らなかった〜。もうぜひ一度はあのくるくる回るたい焼きがどんな味であっても体験したいですよ。
ひじきの味がしないとわかっていても。
最近行く機会がないんですよ。千倉・・・。
いろいろ情報ありありがとうございます。絶対いつの日か機会作って出掛けますよ♪