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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2012年02月21日

長崎/万月堂〜桃かすてら 雛まつりに食べたい。ふわふわかすてら・とろりフォンダン

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ふわッフワ


和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く

大幅に更新が遅れてしまいました…が。

ワタシにとっての「雛まつりに食べたい和菓子」
ベストスリーのひとつが・・・


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・・・"桃かすてら"。
長崎の郷土銘菓"桃かすてら"は
桃型に焼いたカステラにフォンダン(砂糖すり蜜)をかけて桃らしく象り彩色したお菓子で、仕上げに煉切やマジパンの葉や軸を飾ります。
ほとんどの長崎のお菓子屋さんが桃の節句に作るそうですが
とりわけ長崎「万月堂」のものが気に入っています。

万月堂のお菓子は食べたものすべてが好きなんですけど、
それらを知ったのも桃かすてらを取り寄せたのがきっかけでした。

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万月堂 桃かすてら箱

長崎では雛まつりが近づくと町中のお菓子屋が桃かすてら作りに時間を費やすのだそうです。

地元で評判の「万月堂」は
あまりの人気から通年"桃かすてら"を作っていますが、
3月になると工場も店も桃かすてら一色に染まり、
吉祥ムードいっぱいでそれは華やかになるらしい。
‥‥なあんか春っぽくて、いいですよねえ。
町中の菓子屋が砂糖細工の桃菓子で飾られる・・・ああ、見てみたい。

さて"桃かすてら"の由来ですが
そもそも桃は古来、中国で、不老長寿、難除けの実として尊ばれてきた吉祥のシンボル。

絵画や工芸品はもとより菓子にも使われてきました。
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(行ったことないけど)異国文化の香り濃い長崎で
"桃かすてら"は言うなれば南蛮菓子であるカステラと中国桃型菓子のミクスチュア。
シュガーロードならではのろまんを感じさせると思いませんか。

その長崎では出産祝いや女の子の初節句の内祝いのほか、
(前述のとおり"西王母桃"などで知られるに長寿の象徴ですから)
還暦や古希、米寿、白寿、そして五十年忌にも用いられるそうです。
五十年忌を怠らない土地柄ってすてきではありませんかい?

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クリック拡大「万月堂」の栞

それなのに、ところが、ですね。
たまたま周囲に長崎出身(或いはその連合い)の知人が多いんですけど
「桃かすてらー?甘すぎて、ねえ」と敬遠される方も少なくありません。
主に彩りのフォンダン部分を指しているようなんですが
ワタシはこの上部の砂糖すり蜜がたまらなく好きなんです。
カステラを残すことがあってもフォンダン部分は隈なくすくい取りたいってほど。

とにかく"桃かすてら"は機会あるごとに購入しており
これまでに茂木一口香、大竹堂、そしてこの万月堂のを頂きました(近々、岩永梅寿軒も予定)。
どれもフォンダン部分は美味しくてスイスイ、スイダラダーと食べちゃうんですが。
(注:これはかなり特殊な例らしい)
ここだけの話、カステラの方が捗らないことも‥ないではなかった。
けっして美味しくないわけでないないのですがボリュームの問題で・・
↑言い訳がましいなあ。

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↑大竹堂の桃かすてら、こちらのフォンダンも好き

でもね、万月堂製はカステラそのものがフワッフワ。ほどよく空気を抱えて軽やか〜。
フォンダンはトロリとなめらかで後味さらさら、舌に残らず後を引きます。いやたまらん。
一個は手の平よりひと回り大きいサイズですが
煉切の葉っぱから白いフォンダン,土台のカステラまでスイスイスイダラダーと食べられちゃう。
抛っておいたら1個どころか連食しそうなほど。

こんなキュートな甘い桃のお菓子を食べていると口福いっぱい。春の宵みたいな心地よさに陥るのだ。

このフワッフワのカステラは万月堂のもうひとつの看板"かすてぃら"とは異なる、
「専用の軽い生地を桃型に流して焼く」のだそう。(参考文献「和樂 2012年2月号
なるほどフォンダンを併せるのを前提に 一個の菓子としてバランスよく調製されているので 思いの外ホールで食べられちゃうわけですね。

P1380759.JPG 万月堂

錚々たる老舗菓子舗が多い長崎で
万月堂は今のご主人、永川氏が市内愛宕の、現在と同じ場所に1966年に開業。
ご主人は70代のいまもなお現場で菓子づくりをこなし、
日頃からあんを炊きや生地から焼成まで通してのカステラ作りに勤しんでいるそうです。
(参考文献「和菓子―伝統と革新の菓子づくり

不覚にもまだお店を訪れたことは無いのですが
桃かすてらだけでなくかすてぃら(こちらも素晴らしい五三焼き)をはじめ 黒糖を使ったお菓子、玉子のお菓子、小豆のお菓子などどれもとてもおいしい。
日本全国、まだまだ見たこともない素晴らしいお菓子屋さんでいっぱいですね。
そう感じさせてくれる菓子屋さんに出会うだけで、ときめいてしまいます。

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葉は煉切 こちらも甘さすっきり

そればかりか、お祭り時季の忙しいさなかであっても販売スタッフの応対がたいへん心あるもので 送料を考えても「お菓子を頼んで良かったー」と後々まで思えるのです。
(しかも試食用菓子がさりげなく♪)
掲載誌など読むとご主人の職人魂やたゆまない努力がお菓子とお店に滲んでいる気がします。

万月堂のおいしいお菓子の話は近々また書きます。
ああ、宿題が山積みです、がんばります。

●過去の雛菓子と桃かすてらの記事
  ・茂木一○香(桃かすてら)・紫野源水・・清寿軒etc盛りだくさん
空也の桜餅とさまざまな雛あられ
太市のひちぎり
俵屋吉富の引千切り
過去の「東海」関連記事
きみしぐれ、羽二重もち他
雛菓子他
過去の「柏屋菓子店」」関連記事
豆大福・赤飯ほか
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●twitter


★お店と菓子のデータ
「万月堂」長崎県長崎市愛宕2-7−10 рニfax 095-822-4002
・桃かすてら(1個650円)2個入り箱1500円 送料別
(卵、砂糖、小麦粉、水飴)冷蔵可・取り寄せ可 日保ち7日程度

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★おまけの話
ちょびっとフライングですが。
和菓子好きな方は2/23発売(3/1号)の週刊文春をチェックしてみましょうか。
詳しい話は発刊後にまた。
沖縄から長崎に飛んだけどどちらも大陸の影響を受けたお菓子でした。 本家新垣菓子店の続きもちゃんと書きます、書きたいのよ〜〜ちんすこう。


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posted by あんころりん at 19:50| 東京 ☀| Comment(10) | TrackBack(0) | 行事、節句の菓子(正月、雛…) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
沖縄にしても、長崎にしても独自の和菓子文化がありますねぇ〜。どちらもとても好きです!

長崎のこの“桃かすてら”、地元でしか売っていないものなんでしょうね?見た目がホント春〜♪らしくてホッと和みます。
甘甘そうですが、あんころりんさんのお気に入り、一度試してみたい!

カステラって激甘なイメージがず〜っとあって何となく敬遠していましたが、数年前に頂き物を口にしたら、「おやっ?」意外に食べやすい、と思いました。
カステラ以外にも、結構昔は避けていたモノが今ではとても美味しく感じる事がよくあります。
あ〜、これって単に歳を取ったからなんでしょうね!
Posted by いもすけ at 2012年02月22日 06:42
なんだか、めでたさいっぱい! な雰囲気の桃かすてらですね。
最近「桃カステラ」の検索件数が増えた日が続いて、もうすぐひなまつりよね〜と思っていたところです。
ひなまつりをはじめとして、春は華やかなお菓子がたくさんで楽しみですね。
Posted by kozue at 2012年02月22日 15:28
いもすけさん
いもすけさんも九州や沖縄のお菓子お好きですか♪東北とはまた違った、エキゾチックな香りがお菓子にも漂って、これがまたなんとも魅力的ですよね。日本て細長いんだわと改めて実感します。

ワタシもつい最近までカステラに関しては興味薄かったんですけど、長崎の老舗のブツを食べて開眼しちゃいました。
これはですね・・・年齢というより、「味覚の幅が広がった」賜物、と捉えています(笑)
Posted by あんころりん at 2012年02月22日 16:40
kozueさん
桃かすてら、見ているだけでワクワクします。バレンタインが済んで、ようやく雛まつりという和の行事の出番。派手ではないけれどホンワカしたお祝いムードが漂い、春の訪れに気分が上向きます。桃や桜ってホント、和菓子と相性いいです。
Posted by あんころりん at 2012年02月24日 00:12
お疲れ様です。いろいろありがとうございました。たいへん喜ばれました。また、お誕生日おめでとうございます。長崎の、桃カステラ、綺麗で、エキゾチック。東洋と西洋の融合のようですね。
Posted by yottyan at 2012年02月24日 22:19
yottyanさん
ありがとうございます。気に入っていただけましたか。『エキゾチックな和菓子』というそのアンビバレンスがいっそう魅力的です。長崎へ行きたいところですが、今から東北へ向かいます。日本は細長いですねー。
Posted by あんころりん at 2012年02月24日 23:39
もうすぐ雛祭りなので私も万月堂の桃カステラを予約するつもりです。
この時期は予約しないと売れきれて買えないので・・・。
実は私、カステラ自体が好きではないのです。
特に鯉菓子、桃カステラは甘すぎるので得意ではないのです。
多分スポンジ部分のカステラが重たいのに甘い砂糖部分がしつこい感じがするのだと思うんです。
子供の頃は桃カステラの砂糖部分が好きだった。スポンジは食べずに上だけ食べていた。
しかし、歯にしみていた憶えが・・・。(たぶん虫歯)
万月堂さんのはスポンジ部分が重たくなく、しっとりしていてとても美味しいのでぺロリと食べれます。
私はさすがに1個は食べないですが、でも、美味しいので結構食べてますね。
普通は甘いものは1口2口ぐらいしか食べないのだけど。
書かれてあるようにスポンジと砂糖部分のバランスがいいんですよね〜。
結構大きいので最初見た時ビックリしましたが、普通の桃カステラだとこのサイズだったら重くて食べきれないと思います。
ここのはスポンジも砂糖部分も美味しいのです。
何年か前に頂いて食べたのですが、気にいたので手土産に昨年買っていったら少し小さくなってたような気がしました。
小麦粉の値段が高騰したので、サイズが変ったのかな?それとも気のせいかな?
Posted by くまごろう at 2012年02月27日 22:32
くまごろうさん
はじめまして、こんばんは。
長崎にお住まいなんでしょうか。うらやましい。

>子供の頃は桃カステラの砂糖部分が好きだった。
大人になってからはそうでもないのですか。
カステラとフォンダン部分、いずれも万月堂のものはとても口あたりが優しいので大人も子供も抵抗なく頂けるのでしょうか。
桃かすてらに思い出があること自体が素敵ですね。
ここ最近、甘いお菓子はコンパクトになる傾向があるようですが、万月堂さんは型に入れて焼きあげるそうですからおそらく以前と大きさは変わらないのではないでしょうか。
Posted by あんころりん at 2012年02月29日 00:16
万月堂は桃の節句時期は
避けたほうが絶対に無難です。
桃の節句時期は予約なしだと
一人一・二個しか購入できないし。
待つ羽目になるし。
シーズンオフだと、待たなくていいし
何個でも買えるし。

ということで地元民の私としては
混雑が大嫌いなので、時期をずらして
買ってます。
Posted by ゆり子 at 2012年03月04日 00:49
ゆり子さん
はじめまして。おはようございます。
地元の貴重な情報をありがとうございます。
好きなだけあのおいしい桃かすてらを味わうならシーズン以外が良いのですね。参考になりました。今日あたりはすっかり落ち着いているのでしょうか。

万月堂さんは通年作っているので桃かすてら好きとしてはありがたいことです。加えて他のお菓子もとてもおいしいですからいろいろ味わうには繁忙期でないほうが良いのでしょうね。
その一方で、ヨソ者としては桃かすてら一色に染まるお店も拝見してみたい気もします。
Posted by あんころりん at 2012年03月04日 11:47
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