↑道喜「羊羹粽」5本が一束
御所御用 「御ちまき司 川端道喜」
自称“道喜ミーハー”
念願かなってようやくあこがれのアイドル?とご対面、
そのはしゃぎっぷりも尋常でなく
500年以上、十六代続くその由緒ある菓匠は
まさに“応仁の乱”から・・・
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代々禁裏御用を務め餅、粽の調進を続けたという。
その店のことをここで詳しく書こうとは所詮、無茶なおはなし。
さまざまな書物などが何年もかけて書き記していることですし、
その中で十五代川端道喜ご本人の著書「和菓子の京都」(注1)は
個人的には携帯本なのです、そうです道喜ミーハー。
粽の“ブロマイド”でないだけまだいいか・・
代々続く禁裏御用の伝統の数々から
京都の感動的とも言える職人にまつわるお話が
この「和菓子の京都」という本には軽々と楽しく綴られています。
そのすべてをここに書き写すわけにはいかないけど
もしも興味があればその著書(下段※注)をお読み下さいませ。
ともかくマイアイドルなので(誰が何が?)
おそれおおくてうまく書き出せないのですが
↑羊羹粽
京都で“あのいくさ”と言えば「応仁の乱」のこと、
とは よくある京都人気質のたとえ。
“老舗”というのは応仁の乱から営む店とも言い、
そんな大げさなーと思ってたけど
実際に応仁の乱以降、(当時は困窮していた)天皇家に
「御朝物」と呼ばれる“塩餡を包んだ餅”を
道喜本人が献上する習わしは
東京遷都による天皇東行の前日まで約350年間毎朝!続いたそうであります。
これだけでもかなり驚いたけど
そんなこんなのにわかには信じられないような
克明な記録の古文書などの百余点にのぼる貴重な史料は
数々の戦禍も奇跡的に逃れて、すべては「川端道喜」家で保存され、
現在は京都有形文化財となっているそうです。
↑水仙粽
こうした伝統を持つ川端道喜がつくる粽はその名も「道喜粽」。
吉野葛と砂糖で作るのが“水仙粽”
こしあんを練り込んだ物は“羊羹粽”
東京にいる間はお目に掛かることもないだろう、と
密かに思いを募らせていました。道喜オタ?
そーれが!
来たのよ、きたきたきたきた!
前回記事の通り、新宿タカシマヤの地下まで
川端道喜の粽さんが。
販売予定日まで待てず、
初日に偵察までいく有様のはしゃぎっぷりで。え、出待ち?
あわれに思ったあんこの神様の思し召しか
ちゃーんと初日からスタンバっていたのです。うぅ予想外だ。
まずは羊羹粽を拙宅までお連れ致しました。
包みを広げるとその笹の類い希なる芳しさに深呼吸、
5本の粽の束にしばし顔を埋めました。すーはー。
心から癒されるような素晴らしい香りです。
5本一組にして湯がき上げるという独特の製法の道喜粽、
水が入らぬようにしっかりと束ねた藺殻(いがら)を
ゆっくりとほどくとさらに粽の1本ずつが
驚く程きっちりと巻き締めてあります。
京洛北、北山の僅かに限られた時期に採取し、
山間で干すという笹が
1本の粽に5枚程使われています。
↑藺殻(いぐさのから)による巻き上げ方も美しい
一本手にしてどきどきしながらまた藺殻をゆるめていきます。
この時の香りは一層かぐわしい。
湯がくことでよけいなものを削ぎ落とし、
道喜粽の独特の洗練させた味と香りが調うのだそうです。
いよいよその素顔を目の前にさらけ出す“どうきちまき”。
柔らかくしっとりとヌーディに笹の中に横たわっています、はー。
吉野葛とこしあんの羊羹粽は淡く透き通るような小豆色。
黒文字で口に運ぶと、思うよりはるかに繊細、
さわやかで口溶け良く“きれいな”味わいだ。
舌に載せた時には笹の香りがいつのまにやら消えてます。
洗練の実体験。
↑黒文字などで頂く羊羹粽
おいしい。心底おいしいのだ羊羹粽って。
期待しすぎて多分おいしく感じないだろう、
という妙な予想は完全に覆されました。良かった期待はずれ?で。
じっくり味わいたいのに
何故かやめられないほんのりと忘れがたいような甘みで
するすると見る間になくなってしまいました。
これまでに食した幾つかの和菓子に共通する
削ぎ落とされた中に奥深さのある甘さです。
これが洗練ということなのか。
葛と砂糖と餡だけでどうして際立った美味しさを醸し出すのかは
何度も読んだあの著著にもあったけれど今こそ実感。
上質な水も生きるシンプルで存在感ある風味です。
最終日には心して水仙粽に臨みました。
こちらはさらにシンプルで材料は砂糖と葛のみ。
あんこに慣れ親しんだこの五臓六腑には
まずは羊羹粽で懐に入り、とてもなじみました。
さらなる上は洗練の極み水仙粽へと。
買ってきたばかりの粽はまだしっとり濡れてます。
羊羹粽同様に笹を外すと中には白い葛の粽。
↑蒸した水仙粽
黒文字でいただくとやはり途中で引き返せない
不思議な魅力の味わいです。
さすがに500年間磨かれた手間暇かけた人の手の仕事。
葛の本当のおいしさが初めてわかったような気もします。
シンプルでベストってベストオブベストなのね。
添え書きのアドバイスに従い
蒸し器で10分ほど蒸し上げると
今度は透き通り吉野葛の本来の美しさが蘇ります。
温かな水晶のようで、葛の柔らかさが増し黒文字で差すとほどけそう。
笹を手にして口に運びました。ああ、これが本来の粽なんだ
↑蒸すと透明感が蘇る
甘味が増して、なおやはり“クセ”になるー深い味。
磨き抜かれ十六代もの長きに受け継がれた
何にも代えがたい素晴らしい風味にようやく東京で会えました。
同じ粽を過去の天子さんも応仁の乱後の厳しい時代から
召し上がってっていたのかと思うと
得も言われぬ時空を越えた深みある味わい
心のひださえ広がっていくような
豊かな気持させてくれる道喜粽“水仙粽”と“羊羹粽”
良かった、正しいミーハーで。
いつかは通るぞ御所建礼門「道喜門」。
↑こちらはくず湯お手軽価格です
※注
・参考資料和菓子の京都十五代川端道喜道夫 著
※先日の新宿タカシマヤ「京都の銘菓撰集」“麦代餅”の記事はこちら
★添付の由来記から★
粽と共に納められている由来記(右下の画像)はかなりの長文ですがとても興味深い。
その中に(省略すると)
「室町時代より天皇の供御を制する道喜のかまどの火は特別なご清火とされ
宮中儀式や諸方神事にもこの火が新たに用いられた。その最後の大事な務めは十二代道喜の際に産湯を湧かす火種を万端整えて指示された屋敷へ運んだ。これが明治天皇の誕生の際の産湯の火種である」というようなすごいお話が満載でした。まだ全部、読み砕いてないけど
◎おまけの話◎
前回からの記事、
タカシマヤ「京都の銘菓撰集」(10月31日終了、右下の画像参照)で
はしゃぎ狂ったそもそもの理由は
この「川端道喜」のお出ましから。
京都だけの取り扱いでしかも要予約の道喜粽。
東京では会えるわけないとあきらめてましたから。
チラシの中にその名を見つけて我を忘れました
週末の登場と思いつつ出掛けた初日にライブの姿を見て
思わず売り場全体に響く歓声を上げたこのバカたれ。
聞けば最終日まで毎日いらっしゃる、と言うではないの♪
行くたびに「川端道喜、最終日もありますか?」としつこく尋ね、
水仙粽を購入した際には京都からのバイヤー氏に
蒸し直しのレクチャーもいただきました。
その節はいろいろありがとうございます、おおきに。
もう思い残すことはない、と思ってたけど
こうなるとやはり主菓子もいただきたい。
行くのか、とうとう。でも寒いよね〜冬。
●お店データとあれこれ
★御ちまき司 川端道喜おんちまきし かわばたどうき
住所:京都市左京区下鴨南野々手中町
定休:水曜日 時間 午前9時半〜午後5時半・要予約
◎右画像は添付の由来記だが幅50センチ位
※
文亀三年(1503年)創業の十六代を数える京都の老舗。
「御ちまき司」の御の字は禁裏(御所、皇宮)御用達、
司とは帝御好みの粽を謹製する役目を意味する。
東京遷都以降にいわゆる“和菓子店”となり、
現在は裏千家の大茶会で使われるなど
茶道家元からのお墨付きの数々の上生菓子
(正月の葩餅はことに名高い)の調整をはじめ、
今なお皇室からの注文を受けることも折々あるようです。
●菓子のデータ
・羊羹粽3150円
五本で一束
原材料)葛 砂糖 餡
糖度測定不可能
賞味は当日位
・水仙粽3150円
原材料)葛 砂糖
糖度測定不可能
賞味は当日位
・葛湯250円
※葛湯のみ伊勢丹地下名匠銘菓のコーナーにて取り扱い
他にお汁粉や干菓子の「おいとぽい(1000円)」もあり。
各月二回入荷予定。
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世界遺産ショット&脱がせ写真堪能いたしました。
先日、産地直送新潟の笹だんごをいただき、
笹の葉3枚使いの香りにやられたのですが(すーはーしました)、
5枚使いとなるとさらにゴージャラス!
そして5本(単位は「本」でしょうか)ひとからげ。団体戦。
当物件はあんころりんさんの記事で初めて知って、
まだライブではお目にかかっていませんが、
深み厚みのある甘みが実物とともにすっと心地よく消える和菓子に出会うと
「むむ、ただものでない」と感じ入っちゃう。
あれはなんでしょう。輪三本、なんじゃこりゃ、和三盆パワーでしょうか。
時空を超えた逢瀬が叶い、おめでとうございます。
今度はあんころりんさんがでばっちゃう番ですかね〜。粽エクスプレス。
東京は秋晴れです、肌寒くなりました。
ところで、31日の昼にあんころりんさんの
ブログを拝見して、会社帰りに立ち寄ることに
したんですよ!。
夜の7時くらいに到着したので、
まぁ最終日ということもあってか、残り少なく。
店員さんも、閉店時間を気にされてか、
大いに気合い入っておりましたよ。
ワタクシは和菓子初心者なので、
小柄な女性店員さんや、
京都弁の店員のおじさんとかに
必要以上に聞きまくって、購入して帰りました。
そのうち、書こうと思ってます。
今回ご紹介の、のっぽな笹ですが、
当日、サンプルを拝見したのですが、
素晴らしい異彩を放ち、存在感抜群。
欲しかったなぁ〜いいですな〜
ああいうフェアって、楽しいですね〜
ところで私事ですが、
4日〜7日まで台湾にブラリ旅に行ってきます。
何か奇妙な物、突っ込みどころのある物を食べたら
またご報告します。そのときはいらっしゃって
下さい。
すいません、コメントまで長くなっちゃいましたね。
あんころりんさんの記事をよんで、無理に買ってばたばたと食べなくてよかったと思いました。そう思うことにしますわ。
いつかゆっくり味わうぞーーー。
こんなに歴史がある、ありがたいお菓子とは
昔は、神に献上するようなものですからね。
でも、あの神秘的なところがインペリアルなのですね。単純そうに見えて歴史を感じる良いお菓子ですね。
新宿行きたかったな。
「お団子」も「しこしこ餅」も「そばかすていら」も「ちまき」も・・・どれも美味しそう♪基本的にもちもち感のあるものは何でも好きなので、団子や餅系には本当目がないです。。。
見ただけで満腹です!
遅くなってすみません。
以前は10本ひとまとめだったそうです。
5本でもかなり核家族向け仕様になったわけで
香りの良さがかなりの衝撃、笹団子と対決しても
絶対勝つ自信あるからかかってきんしゃい。
和三盆パワーに頼らずとも(上白糖らしい)
500年の伝統の手間とムダを覚悟の結晶みたいです。
逢瀬というより拝見つかまつった感が強いです。
君の今度ぜひ。
honnaodaさん
すみません、著しくコメント遅れて。
今頃は台湾の路地に迷い込んで楽しんでいらっしゃるでしょう。
タカシマヤにいらしたんですか!!
さすが行動力の甘味男子。
私も昼休みに参りましたが、最終日ということで
だいぶん在庫一掃感が漂ってました。
おはぎや外郎もパックにまとまったりして。
あ。あの可哀想なひからびたサンプルを
ご覧になっちゃいましたか。ちょっとうらぶれちゃってましたが
でも腐っても鯛?異彩を放ってましたね。
当日の賞味ですから実際はもっと美しいんですけど。
ほ〜んと、殊更ああいうこじんまりして、
なお濃厚なフェアってパラダイスですよね、甘味ラバーにとっては。
特にどれも個性的で1週間は短すぎます。
台湾での発見レポートとても楽しみです。
いいな、ぶらり旅無事帰れ♪
京都のおじさん風の方は実は洋装ではお若いバイヤーさんで
すごく詳しかったです、私も細々聞いたので多分呆れてました。
zoomaniaさん
そんな風に言って頂くとまたまた嬉しさの倍返しになってしまいます。
ありがとうございます♪
実生活でも他人に食べさせる前に散々うんちくこいてから
出してましたから、そのまま文章ってかんじです。
「和菓子の京都」を読んで下さる!!!
これぞ今回の記事で私の最も臨むところなんです、
すごく嬉しいです、ありがとうございます。
とにかく読み進む程にすっごくおもしろくて
しぶちんな昔の皇室の台所事情までリアルに出てきて
電車で読んでても吹き出しちゃうおかしさもあり。
ぜひぜひ楽しんでしかも肝をぐいっと捕まれて下さい。
そうそうそう。虎屋、絶対行きます。情報ありがとうございます。
うっかり忘れてましたよー。
偶然、行った方にちょっとパンフ見せて頂きましたが
早く行きたいのです。お会いしたりして♪
kozueさん
すみません。コメント前後してました。
というわけでまず道喜は書いたのですが。
そうですか、さすが大人の決断、賢いわ。
だってねー
多分、この先召し上がる機会が出来そうなかんじですよ。
がんばれタカシマヤ、です。いろいろ売り場も変わりそうですからね。
本文の中の「幾つかの和菓子」の一つはいただいた
したたり、も含んでます。あれ最終日に買うつもりがなかったの。
しくしく。でも他に買うものいっぱいあったけどさ。
yottyanさん
そうですね。天子さんがお腹空かしてたら損得ヌキで
献上しちゃうでしょうね、500年前でも(当たり前か)
削ぎ落とす美学というか、洗練そのものを
実感できる葛の粽です。でも炙り餅だって、みたらし団子だって
素敵なたのしいお菓子ですよね、どちらも好きです♪
sakuyaさん
わーお久しぶりです。お元気ですか。
コメント嬉しいですありがとうございます。
いいですねー、お餅好きさん。
私も歯応えしこしこのお餅が大好きです。
この季節はお団子も餅も一層美味しいですね。
見ただけで満腹!うれしいお褒めの言葉だと思って良いですか?
喜んじゃおう♪
またお腹いっぱいにしにいらして下さいね