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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2012年08月01日

ありがとうさようなら 名古屋「亀末廣」

和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く

朧夜
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寒具
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不老
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「突然ですが・・・」
昨日、飛び込んだメールに思わず(えっっ?!!)
思わず小さく叫び・・・

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・・声をあげてしまった。

その内容は「突然のことですが名古屋 亀末廣が廃業します・・」
まさか、うそでしょー、と思った以上にショックを受けたのだ。
2〜3日前に、今年の秋と年末に頼むお菓子を思い浮かべていたところだったんで ほんとに驚きました、そしてやりきれないような気持ちにも。

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京都「亀末廣」からのれん分けを許された、名古屋「亀末廣」は明治29年に開業。
すでに100年以上の歴史ある老舗で、地元でも風格ある菓子舗として名を馳せてました。
茶の湯の盛んな名古屋にあって長年の贔屓だって少ないないはず。
なのに。・・「本日7月31日をもって閉店することに急遽決まり…」だって。

もう、ほんとうにがっくり。

京都の御菓子屋のなかで指折りの老舗「亀末廣」は、ワタシにとって印象の深い店のひとつです。
名古屋「亀末廣」はのれん分けの後、100年を経て独自の菓子づくりをしていたと思います。
閉業する事情はわからないけれど、のれんは京都に返す、とも聞いています。

メールを頂いた敏腕バイヤー氏自身、あまりに急なので驚きながら(とにかく連絡を)…と。
心にかけていただいて感謝です、おそらくあちらもがっかり…したのだと思う。

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こなし製「不老」と薯蕷きんとん「藤」

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道明寺の柏餅

名古屋「亀末廣」のつくる上生菓子は、味はもちろん姿、そして銘も、堂々としてゆったりとした趣。

落ち着きのある美しさがありました。

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断面の美しさ!ふっくらとした薯蕷まんじゅう「杜鵑」。伊勢芋と思われる深い香りと粘り

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「朧夜」たっぷりとした本葛生地に大満足、もう食べられないのね


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「寒具」、という半生菓子を紙箱に詰めたものがありました。
重量感のある成熟した味わい、とでも言いましょうか。
京のよすが」がたおやめ、とすれば、「寒具」はますらお、といった印象でした。

寒具 とは聞きなれない言葉ですが 昭和24年に出版された(2010年は誤り)亀末廣のご主人 吉田敬二郎氏による越後・民俗・日本の菓子についての著書が「寒具抄」。
ちなみに寒具、とは「中国において冬至より百五日を節として、その日は火を禁じて冷たい菓子を備えておいて寒食したことに由来する菓子の古名」なのだそう。(抜粋)

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・・・・
早いところ記事を書こうと思いつつ、結局いまに至るまで手付かずに。
今年の年末は銘菓"うすらひ"を手にするべく、算段してたのに。
とうとう一度も口にすることは出来なかった。
10月になったら生菓子と、それから以前、頼んで送って頂けなかった茶三昧をなんとか入手したいと考えていたのに。
後悔先に立たず。です。

さっさと名古屋へ行けばよかったんですけど、この一年は西方面へ出かけることもなく。
グズグズしていた自分が不甲斐ない。

名古屋の堂々たる老舗「亀末廣」の閉業はほんとうに残念ですけれど。
何度か頂いた御菓子はどれも忘れがたくステキでした。
ありがとう さようなら。
いつかまたお目にかかれればいいんですけどね。

※名古屋のお店と茶三昧についてはkozueさんのこの記事

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●さらにこの後・・
じつはこのメールを受け取った後に、前に行きそびれていた西新宿の和菓子店にようやく初めて出かけました。
ところが・・・
「せっかく初めて来ていただいのに残念ですが、今週一杯で店を閉めるんです」と ここでまた追い打ちをかけるような連続の閉店ショック。

このお店のお団子、目が覚めるほど美味しかった・・。
今週中にまた出かけて、葛桜を獲得しなくっちゃ。
いやはや 悲しいっていうか、がっかりというか。

名古屋の老舗菓子舗「亀末廣」、西新宿の手づくりの朝生菓子屋さん。
世は地産地消とか言っちゃってるわりに、 和菓子店にとっては苦難の時代なんでしょう・・か。

奥深いおいしさを知るには最適なんですが、和菓子。

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西新宿「御菓子処 大納言」焼だんご 草だんご あんだんご と赤飯 いずれも極めて好かった


※◎京都「亀末廣」の記事
★店と菓子のデータ
・亀末廣/名古屋 2012年7月31日 閉業だそうです
画像の生菓子、半生菓子とも2010年に新宿高島屋 銘菓百選にて購入

・2010年5月の生菓子
(小豆 砂糖 水飴 道明寺 小麦粉 粳粉 糯粉 山いも 葛粉 柏葉 着色料)
藤:生地/白小豆こし餡きんとん製(小麦粉 山芋)に赤小豆大納言粒餡入
朧夜:生地/本葛粉製 赤小豆こし餡入り
不老:白小豆こなし製(小麦粉・山いも)赤小豆こし餡入り
杜鵑(ほととぎす):薯蕷製(山いも)赤小豆こし餡入り
柏餅:道明寺製・柏葉巻 赤小豆こし餡入り

・2010年10月の半生菓子 箱入り
「寒具」:砂糖 小豆 和三盆 糯粉 粳粉 片栗粉 卵 山いも 寒天 水飴 着色料


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★読売文化センター自由が丘:土曜講座「和菓子を楽しむ」
詳細はこちら。 ※講座「東京のお菓子を歩く」は現在全3クラス共、満員ですがキャンセル待ちは受けているそうです。詳細は事業本部まで。おまたせしている方、10月期募集がまもなく開始されます。

★書籍『東京 いとしの和菓子 あんころりんのおやつめぐり
美麗カラー写真と共に“東京の和菓子屋、パン屋”満載。地図付き。
posted by あんころりん at 18:00| 東京 ☀| Comment(14) | TrackBack(0) | 近畿、東海(京都、大阪、名古屋・・) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
えええええーーーーーっっ!!??
あたし、泣いちゃう。泣いちゃってます。
また行こうと思いつつ、結局行かずじまいになってしまいました。
あ、TBありがとうございます。
ああだめ、何だか混乱中。ちょっと気持ちを落ち着かせます。
すみません、へんなコメントで。
Posted by kozue at 2012年08月01日 21:57
私も何度か夜の名古屋・錦町を歩いて「いつかは!」と思っていただけにとても残念に思っています。
どなたかお弟子さんが名古屋でお店を開いていたら?と思いますが調べようが無いです。

三陸の地で津波被害に遭って廃業されたお菓子屋さんもあるかと思いますが、色んな事情でのれんを下ろさざるを得なくなったお店があるようですね。
Posted by 笹団子 at 2012年08月01日 22:02
kozueさん
がっくり、です。ほんと悲しい。知ったときは直接kozueさんにご連絡しようかとも・・・。

全国各地、和菓子屋さんはどこも一触即発の可能性を秘めているのかもしれません。あらためて一期一会を心に留めました。それにしてもグズグズしてる間に行動しないと後悔ばかりしてしまいそう。
Posted by あんころりん at 2012年08月02日 06:10
笹団子さん
ここへ来ては「見たら入れ」、ですね和菓子のお店。お近くへいらしたことがおありなら余計に残念に思われるのでは。

こと和菓子店に関しては老舗でさえ存続が難しい。全国各地で似たような状況かと思うと・・。
Posted by あんころりん at 2012年08月02日 06:14
すみません初書き込みなのですが
本当ですか…!!ものすごくショックです…
こちらでいただいた道明寺という名前の荒い道明寺と餡のシンプルな上生菓子、
本当においしく私の中でNo.1でした。
うすらひもおいしかったです。
もうちょっと早く知っていればもう一度いけたかも…。
東海てみやげ本という本によると亀末廣の4代目の娘さんと職人さんが結婚して娘婿となって名古屋に開いた分家なのだそうです。
この突然さはご主人になにかあったのでしょうか…?

こちらに今年の初春号の4代目の吉田敬三氏インタビューがあります(PDFです) 
http://www.meinaka-hojinkai.or.jp/cms/wp-content/uploads/2011/09/145-2.pdf
Posted by yumi at 2012年08月06日 02:07
えええええ〜〜〜〜!!閉店!!
私,名古屋に住んでいて・・・・7月にお店に伺った時にはその様な雰囲気は無かったのに〜〜残念.

少し前にご不孝があったらしいな・・・・とは思っていたのですが・・・その後営業していたので安心しきっていたら,こんなことになるなんて!!

8月は忙しくて一度もお店に行っていないのでブログにて知りました.残念・・・・・.
Posted by 凌駕D1 at 2012年08月07日 08:16
yumiさん
コメントありがとうございます。お返事が遅れてすみません。
大変貴重なインタビュー記事の情報をありがとうございます。じっくり読ませていただきました。

まさか、と思っていただけにショックが大きいですよね。閉店の知らせは7月31日当日に皆さんに送られたので周囲の方もご存じなかったようです。伺った話では7月30日に親しくしてらっしゃる両口屋のご主人がお会いになったときでさえ亀末さんは何も仰らなかったそうです。
うすらひ 召し上がった経験をお持ちで良かったですね、ワタシには幻となってしまいました。
Posted by あんころりん at 2012年08月07日 14:56
凌駕D1さん
こういった名店の閉業は文化的に大きな損失ですもの。名古屋にお住まいのお菓子好きには辛いことですね。なにしろ事前告知がまったくなくて当日いきなり店じまいとなったようです。
和菓子店はいずこも薄氷の上にあるのでしょうか・・・。
Posted by あんころりん at 2012年08月07日 15:19
今日、年末の和菓子を買いにいったら、店がなくなっていました。このブログで廃業を知りました。何がなんだかわからず、大変ショックです。高齢の母が毎年ここの和菓子をたいへん楽しみにしていただけに・・・・
Posted by チャロ at 2012年12月31日 10:08
チャロさん
はじめまして、年明けのお返事でごめんなさい。
お母様思いのチャロさん、さぞかしがっかりされたでしょうね。後継者がなかったことが、こういう結果につながったようです。
どうか良い新年でありましたように。これからも和菓子を楽しんでくださいね。
Posted by あんころりん at 2013年01月02日 11:49
名古屋市西区の亀広良さんにて、「うすらひ」は継がれてつくられています。皆さんの「舌」で、お確かめいただくとよいと思います。
Posted by ひさし at 2013年01月31日 16:50
ひさしさん
はじめましてコメントありがとうございます。
ワタシもつい先日(2週間前)に、亀広良さんのうすらひとそのほかのお菓子をいただきました。
葩餅はこちら↓で画像を掲載しておりまして、
http://yuki-ssg.seesaa.net/article/316352803.html

うすらひについても近々、ご紹介するつもりです。
ほかにない銘菓ですから絶えることなく継承されるのは喜ばしいことと思います。
Posted by あんころりん at 2013年01月31日 18:35
ご存じでいらっしゃいましたか。
それは良かったです。
応援しなくちゃいけないと思っています。
ありがとうございます。
Posted by ひさし at 2013年02月01日 11:52
ひさしさん
ご丁寧にありがとうございます。
ひさしさんは亀広良さんのご贔屓でらっしゃるのでしょうね。東京からはなかなか店舗に伺うのが難しいので羨ましいかぎりです。季節の生菓子も好いですね。
Posted by あんころりん at 2013年02月02日 00:01
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