技の上生菓子といえば"挟み菊"
吉橋さんによる打ち物"麦こがし和三盆糖"のかに、オリジナル寒氷
海外で和菓子は受け入れられるのか?
若手職人による、和菓子を・・・
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・・・紹介するための"東南アジア巡回報告"が国際交流基金JFICホールで行われました。
……えー、じつは2ヶ月以上前(5/29)の話です、すみません。
和菓子職人は広島呉市「蜜屋本舗」から明神宣之さん、
足利の老舗「香雲堂本店」から小泉直哉さん、
そして金沢からは「吉はし菓子所」の吉橋慶祐さん。
全国和菓子協会から推薦された3名です。
足利銘菓 香雲堂本店の古印最中 変わらないおいしさ
全員、1982年生まれの東京製菓学校同期生で、
いずれも勤務先の後継者、つまり地元有名和菓子店の跡継ぎであり職人。
ちなみに香雲堂本店と吉はし菓子所はワタシも利用させていただいているお店です。
それぞれのお店の話は後ほど。
まずは報告会の概要を。
国際交流基金は日本文化の理解促進を目的として、さまざまな分野の日本文化を海外で紹介しています。
今回、その事業の1つとして日本の伝統的食文化である和菓子を紹介するため、3人をタイ(バンコク)、マレーシア(クアラルンプール)、フィリピン(マニラ)の3カ国へ派遣、各地で紹介イベントを開催しました。
上生菓子の一部、四季折々の意匠に可愛らしさも添えて
イベントは一般の方を対象にしたレクチャー&実演デモと試食、そして参加希望者(来場者、あるいは製菓学校学生)の体験ワークショップなど。
パワーポイント画像は製菓学校生とのミニワークショップ
このたびの報告会は画像と実演によるもので、 各国異なった状況での準備から本番までの流れを、エピソードと感想を交えながらレポートしてくれました。
そして。ここでも試食会があり、思いがけないことでうれしかった♪。
試食のお菓子も充分に♪
全体に実感を伴った楽しい内容で、
たとえば東南アジアではどらやきがポピュラーとか。
理由はドラえもん効果だそうで、マレーシアには"バナナどら焼"なんてのもあるらしい。
バンコクの開催場所はワタシも立ち寄ったことのある街の中心部。
※過去のタイ国お菓子事情
パワーポイント画像はバンコクの会場
タイのお菓子には和菓子に相通じるものがあると感じていたのですが、
集まった現地の方たちも試食を楽しみ、盛り上がってる雰囲気がリアルに伝わりました。
それからアイドル顔負けにサインや握手を求められたようで、なるほどよく見れば全員ナイスルッキング。
3人のチームワークが良いようで、終始和やかな雰囲気でした。
明神さんの挟み菊、ご本人もお菓子も一番人気だった(吉橋さん談)
実演も現地デモンストレーションを一部再現したようで、
明神氏は上生菓子の手技を"挟み菊"で、
吉橋氏は木型で和三盆糖の打ち物づくり、
小泉氏はどらやきの皮を焼いて見せ、
どらやきや打ち物実演は希望者が参加するところも同様でした。
なめらかなきんとん 中は小豆粒あん
さて、気になるのは現地での材料調達とお菓子の味。
"本物"の質が保たれたのかしら、と老婆心が働きます。
が、そこは抜かりなく「一番こだわったのは和菓子本来の味。餡など材料は日本から持参」とのこと。
さぞや重かったのではと想像しますが、「参加した皆さんが美味しそうに食べていたので」運搬の苦労も報われる思いだったそうです。
各国でディスプレイに使われた上生菓子 防腐剤が施されているので食べらません
現地の試食用にはどらやき、最中、水羊羹、寒氷(!)を用意。
唯一アレンジを加えたのが寒氷。東南アジアでポピュラーなココナツミルクを用いたのですが これがとってもオイシイ。日本でも絶対ウケると思います、植物性ですし。
とまあ、ボリュームはあったけれど、東南アジアの人は甘いお菓子が好きと見え、ほとんど残されることもなく好評だったそうです。
ふんわりとした弾力と豊かな風味
実際にワタシが試食でいただいたお菓子も感激するクオリティの高さ。
もともと好物の古印最中はもちろん、吉橋さん担当の麦こがしの和三盆糖と寒氷もすばらしい出来ばえだったし、 どらやきの皮もそして丁寧に炊かれた粒あんも買いに行きたいくらいおいしかったー。 数種類用意された上生菓子はきんとんを選びましたが、こちらも口あたりなめらかで後味の良い丁寧な調製でした。
小泉さんのどらやき実演、一文字鍋(銅板)が用意できないのでホットプレート使用
はい、正直言ってここまで上質なお菓子が試食用だなんてとても驚きました。
もちろん 創業100年を越す香雲堂本店の古印最中と古銭煎餅は大好きですし、 以前いただいた吉はし菓子所の上生菓子もさすが金沢を代表する茶席菓子だけあってハッとするほどおいしいものでした。
吉はし菓子所の菓子はkozueさんの記事でもご覧いただけます
以前いただいた吉はし菓子所の水羊羹
なので普段の菓子づくりと同じように、日本の顧客に提供しても満足のいく、引けをとらないお菓子だったのだろう、と想像がつきます。
場所を選ばずに最高の美味しさを目指す、職人としての誇り高さに敬意を表すると共に、少なからず感激しました。ありがとうございます。
ワタシが頂いた試食用お菓子
以前、東京製菓学校の文化祭で台湾や韓国からの学生が真剣に和菓子作りする様子に出会いました。
現在、日本で新たに和菓子職人を目指す若者が稀なのは残念ですが、 今回の3人のように実力あって(いろいろな意味で)センスの好い、"若き和菓子職人"が増えれば
憧れる人もまた増えるかもしれません。
吉橋さん、小泉さん 明神さん。全員、実力充分なカッコイイ和菓子職人
試食したような本格和菓子がすたれずに親しまれ続けることを心から願います。
・・・
それから。
全国和菓子協会は振興の一環としてこういった若い世代による若い層に向けた催しを、むしろ国内で開催すればいいのに・・。
ぐっと印象が変わると思うのですけれど。
こちらもおそらく以前いただいた吉はし菓子所の生菓子(だと思う)
●ブログの古印最中関連記事
●ブログのタイ国菓子事情関連記事
●kozueさんの吉はし菓子所の記事
★おまけの話★
和菓子職人にはたくさんの東京製菓学校卒業生がいらっしゃいます。
ワタシが知るだけでも 松島屋、御菓子司むさしや、東肥軒、草月、ちもと、群林堂、豊月堂・・そして"へちま"の金塚晴子先生など。 夜間部、本科どちらの卒業生も皆さんご活躍です。最近は三越など百貨店の催事にも登場、弊ブログでもtomocoさんなどコメントをくださる方もいらして、少しは元気になっているのな、と期待が高まります。 アジア各国からの留学生も少なくないので日本の若い人も頑張ってね、と老婆心バリバリに思うこの頃です。
もっと世に知らしめたいです、センスある若き和菓子職人の存在。
●関連リンク先
東京製菓学校和菓子本科 東京製菓学校夜間部
香雲堂本店
吉はし菓子所
蜜屋本舗
国際交流基金タイ国
国際交流基金 報告会
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☆あんころ広報係☆
★読売文化センター自由が丘:土曜講座「和菓子を楽しむ」
詳細はこちら。 ※講座「東京のお菓子を歩く」は現在全3クラス共、満員ですがキャンセル待ちは受けているそうです。詳細は事業本部まで。おまたせしている方、10月期募集はまもなく開始予定。空席出ると思います、たぶん。
★書籍『東京 いとしの和菓子 あんころりんのおやつめぐり』
美麗カラー写真と共に“東京の和菓子屋、パン屋”満載。地図付き。
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【北陸の最新記事】
東南アジアのお菓子って、けっこうしっかりと甘いから、甘みがもの足りないなんて思われなかったかしら〜。
先日たまたま15年ほど前の東京みやげの本を見る機会があって、当時「老舗」として掲載されたお店でも、現在は閉店してしまったお店をいくつもみつけてしまってショックを受けていたところです。こういう後継者のいるお店は幸せですね。と同時にずっと続いてほしいと願います。
それにしても、お三方の並んだ写真では、和菓子の和の字も感じられません(笑)
ワタシもこれ知って「へー」って思った。
タイ国の甘味類はかなり日本に近いものを感じました、もちろんすっごく甘い物もあるけれど、あんみつやかき氷的なものはおなじくらいの甘みと素材感のような。
古い本でことさら魅力的って思う店に限って閉業してることがたびたび。跡継ぎを東京の学校に通わせることができる店 けして多くないのかも。
そうなのシェフ帽なんですね、デモに向くのは確かですけど。
パリで苦労された虎屋さんより敷居が低そうですね。
ご存知でしょうが、東南アジアには華人がたくさんいて結構台湾で流行ったものがこちらでもということがあるようです。
どら焼はその流れかもしれません。
同じ東南アジアでもシンガポールは比較的日本に近いようで、ミャンマーで宿泊した宿でネパール出身の経営者と話しをしていて甘みの好みの話になってかつてその人が生活していたシンガポールも日本同様甘みを抑える傾向があったそうです。
台湾でも健康志向か?昔よりも甘さを抑えたものを好む人が増えていて、暑いから日陰でゴロゴロしている人が多いタイでもご婦人方が夕方に集まってジャズダンスをするなど健康志向があるようでそういう傾向になるかもしれないですね。
東南アジアのお菓子も色鮮やかなものが多いので華やかな上生菓子は上流階級に受け入れやすいかもしれないですね。 羊羹は未知数ですが。
プロジェクトは
販売が目的でありませんが
とにかく素晴らしく美味しかったことに感激しました。相手に拘わらずよいものを提供することが大切だとあらためて感じます。
>ジャズダンス
最近ではあまり聞きませんが健在なんですね。