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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2012年09月04日

木村屋總本店銀座本店〜ジャムパンの元祖はどこか? あんず、いちじく、小夏

和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く
P1490096.JPG 
銀座トリオ いちじく 小夏 あんず 
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天板に並べて焼き 焼きあがって粗熱がとれたら木箱(手前)へ

< P1490118-001.JPG


あんぱん元祖は木村屋ですが、
では、日本で最初にジャムパンをつくったのは・・・


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・・どこかというと これまた木村屋なんです。
ご存じでした?
(※銀座工場 酒種パンの冒険の続きです。)

あんぱんは明治7年に初代安兵衛と二代目英三郎が創製したもの。
ジャムパンは明治33(1900)年に三代目儀四郎氏が考案して誕生したものです。

きっかけは儀四郎氏が関わっていた戦時携行食工場。
兵糧用乾パンなどを作る工場で、ビスケットにジャムを挟む作業を見ているうちに、 (挟むのでなく)あんぱんのようにジャムを包むことを思いついたのだそう。
(※儀四郎氏は二代目の弟で初代の三男。謎も多いけれどじつに興味をそそる、行動力ある懐深い大人物だったようです。)

IMG_1352.JPG 酒種桜あんぱん、酒種イチゴあんぱん 酒種あんずジャムパン

丸いあんぱんに対してジャムパンはかつお節形。
値段はあんぱんの2倍でしたが、瞬く間に評判となり、 飛ぶように売れた。
以後110年以上、現在に至るまで木村屋酒種パンを代表するひとつとなっています。

P1490123-001.JPG あんずジャム

意外に思えるかもしれないけれど イチゴが普及したのは昭和に入ってから。
なので、最初に酒種生地で包んだのはあんずのジャムでした。
木村屋の酒種ジャムパンは、現在もこの創製時同様「かつお節形あんずジャム入り」です。
ちなみに一般的なジャムパンは、ジャムを挟むようなターンオーバースタイルが主流です。

そして、(しつこいようですが)
銀座本店では毎日7階の酒種パン工場で熟練職人が、酒種あんずジャムパンを手づくり。
100年以上続く「酒種生地かつお節形の焼きたて」を一階店舗で購入できるのです。

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久々の体重測定 酒種ジャムfrom銀座工場

ちなみに 銀座本店は限定でいちじくと小夏(夏季限定)のジャムパンもつくっています。
銀座に行ったらトリオで揃えたい、
あんず、いちじく、小夏の工場焼きたて酒種ジャム♪

ところで。 なぜにいまだにイチゴジャムで作らないのか?
酒種室長の八度慎一郎さんのお話では
イチゴジャムでは酒種という強い個性の生地に負けてしまう、のだそう。
そこでいまある あんず、いちじく、小夏のトリオになっているのです。

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あんず いちじく 小夏 断面です

後日、このことをいちごジャムパンを自家製するカタネさんに話すと
−そのとおり、イチゴだけだと負けてしまうので、ウチも干しあんずを煮たものを加えています−だって。
あまりにキレイに着地したので、あらためて納得&びっくり、でした。

ここで、
現在の木村屋「酒種あんずジャムパン」の作業工程をざっと紹介します。

まず、
ジャムはカリフォルニア産干しあんずを、ペクチンを加えずに砂糖だけでじっくり炊き上げます。
そこに仕入れ品のあんずジャムを少し加えて調整、自家製ジャムの出来上がり。
市販のジャムより糖度は高めに、固く仕上げます。
これを前回紹介した(信じられないくらい手間と時間を掛けた)酒種生地で包み、パン窯で焼きあげます。

気になっていたのは、「ジャムをいかに生地で包む」か。
この作業を実際に、7階工場で見せていただきました。

まず職人のお一人が 円型のパン生地を、短めの麺棒で均一に伸します。
別な一人が、掌の上で、生地に木べらでジャムを乗せ、
次に一人が、縁をつまんで綴じ、台の上で転がしながら、両手で包み込むように丁寧にかつお節形に整えます。
ここまでほんの数秒、じつに手早く進みます。
(仕上げに溶かしバターを塗るはずですが そこは見逃してしまった。)

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麺棒で生地を伸し(手前)、ジャムを乗せ(右)、包んで成形(奥)

最後に 継ぎ目を下に天板に乗せて、超特大パン窯で焼きあげる。
冷めたら木箱に並べ、一階店舗へ。
木箱の中で出番を待つ間、ほどよく水分が調整され、
つやつやな顔の「酒種ジャムパン、焼きたてです」。

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7階工場の焼きたて 酒種ジャム

・・・・・
店先にただようのは、焼きたての、甘い酒種の香り。
想像しただけで唾液が分泌されます。

口に入れると、ほかにはない芳醇で、懐かしいような風味が広がっていく。
柔らかいだけでなく、適度な噛みごたえが酒種パンの魅力。
コクのある、濃密なジャムの甘酸っぱさと、ムギュッとした生地の旨み。
互いに引き立てあい、甘さのなかに得も言われぬ滋味が深まるのです。
ぷはっ。

IMG_8807.JPG酒種いちじく(2008年版)
・・・思うに、
銀座本店酒種工場には職人魂と、おそらく100年以上前から棲む代々当主によるタマシイが、特別な空気を醸しているのでないか。
そんなイマジネーションをかきたてる。
だからワタシは銀座木村屋が好きなのさ。

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下は酒種ジャム 酒種いちじく(2008年12月版)

というわけで。
先ほとの作業工程を銀座木村家では日に7〜8回ほどくり返します。
銀座4丁目のメインストリートで「手づくり焼きたて酒種 一個189円」。
奇跡に近いと思うんですけど・・。

あんぱんをはじめ、一個一個、手で包あんするスタイルは
手先の器用な日本人が続けてきた、日本独自の製パン法です。

東京 いとしの和菓子 にも書いたけど
最近ではジャムパンを自家製するパン屋は減り続け、探すのが難しいくらい。
ジャムを包む作業は、比較的テクニックを要するうえ、
(なかにはドーナツのように、焼いてからジャムを注入する店もあるそうです。)
他の菓子パンに比べて地味な存在。


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酒種ジャム いちじく(2012年版)

好きなパンに好きなジャムをつければイイ、って思うかもしれないけれど。
鮭のおむすびと鮭とごはんが別ものであるように
あんこトーストとあんぱんが違うように
ジャムパンにはジャムパンとしてのアイデンティティ(?)があるのだ。
ほんとかよ

ジャムパン振興会(独りだけど)としては、もっと普及に努めなくっちゃと、
今回の取材を通して、気持ちを新たにしたのでした。

P1500336.JPG 酒種小夏 と小夏ジャム

ちなみに銀座の酒種コッペに、ここで買った小夏ジャムをつけるのも、それはそれで好きです。

●関連記事
銀座木村家〜銀座4丁目で職人が手づくり?
銀座木村家/酒種あんぱんは元祖自然酵母パン

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★お店と菓子のデータ
木村屋總本店銀座本店  銀座木村家
・酒種ジャムパン:189円(あんずジャム 小麦粉 上白糖 卵 酒種 植物性油脂 ぶどう糖 バター 食塩 ゲル化剤(ペクチン) 酸味料 漂白剤)(亜硫酸塩)
・酒種いちじく:189円(小麦粉 いちじくジャム 乾燥いちじく 上白糖 卵 酒種 ケシの実 ぶどう糖、バター 食塩 ペクチン(リンゴ由来)クエン酸 香料)
・小夏みかん:189円(小麦粉 小夏ジャム 上白糖 卵 酒種 ケシの実 ブドウ糖 バター 食塩)

★感謝×感謝
*よみカル秋号取材の際には、酒種室長さま、製販課副課長さまを始め、銀座木村家の皆さまに大変お世話になりました。
心から感謝申し上げます、ありがとうございます。
感激することがあまりに多くて、まとまらないまま、ブログになだれ込んでしまいました。
訊きそこねたこともあるけれど それはまたいつの日にか。

*「よみカルプレゼント」に多数ご応募いただき、ホントにありがとうございます。
当選された皆さまには準備が整い次第、メール便にて送らせて頂きます。
だからDMと間違えて捨てないでくださいね。なお当選者の発表は発送をもってかえさせて頂きます。

●おまけの話
*銀座木村家と酒種パンについての三連発。長年の宿題をようやく終えた気分。 誰が読むわけでもない。ひたすら自己満足のためですけど、肩の荷が降りたってかんじ。
この記事に関しては一度書いたものをうっかり消しちゃって。ほとんどあきらめかけたけれど、半分、意地になって書き終えた。 しばらくは気楽な御菓子の日記でいきましょう。

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ラベル:酒種 銀座 パン
posted by あんころりん at 15:47| 東京 ☀| Comment(12) | TrackBack(0) | 中央区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ひとことです。おいしそうです。
本当においしそうな写真です。
ジャムパンも今度買ってみます。
こうやってみると、何気なくデパートにある
パンもすごいですね。
銀座方面行かなきゃ。
ペニンシュラの月餅も時期だし。
Posted by yottyan at 2012年09月04日 18:02
そういえば学生時代地元の酒造でバイトしてましたが、山廃仕込なる日本酒があってこちらも各酒造に住んでる?酵母が違うので味が予想出来ないとか。量産出来ないとか。そんな話を思い出しました!
小夏ジャムパン…食べたい「!!」
Posted by めかぶ at 2012年09月04日 23:56
yottyanさん
おいしいですよー。
そして写真のジャムパンはデパートで売っているものと異なるんです。 いちじくや小夏は銀座本店限定品ですし、あんずジャム入りもこれは銀座本店の工場で作っているものなんです。いずれも一階店舗でのみ販売していますので、銀座のデパートでなく銀座木村家までお出かけくださいね。
Posted by あんころりん at 2012年09月05日 00:28
めかぶさん
家付き酵母のパワーがすごいものがあるようです。味噌蔵や酒蔵にはそれが棲んでいるので、震災などの被害があるとなかなか復興するのも一筋なわではいかないそうです。
ほんとに発酵にまつわる話は奥が深くてなかなか理解できないんですけど。
パンの場合は膨らまないといけないのでそこがまた難しいようです。
小夏ジャム、微妙な季節ですけど、瓶詰めはあるかな。
Posted by あんころりん at 2012年09月05日 00:33
貴重なジャムパン三連発〜!
どれもありそうで、あまり見ないジャムパンですね。普段、ジャムパンって手に取る事無いですが、やっぱりあんころりんさんの手にかかると美味しそう♪でも、銀座に行かないと食べられないのか。
Posted by いもすけ at 2012年09月05日 06:28
了解です。では、また、御指南を。銀ブラ、最近言わなくなりましたね。銀座なんて、何年いってないでしょう。ヤバイです。
Posted by yottyan at 2012年09月05日 13:51
いもすけさん
酒種あんずジャムなら有明工場製であれば各直営店で販売しているのですが。そちらも残念ながら首都圏だけなんです。
ワタシはジャムパンを見ると買わずにいられません。宮崎と鹿児島の到るところで買っちゃいました(笑)
Posted by あんころりん at 2012年09月06日 01:40
yottyanさん
銀座は好い和菓子屋さんがたくさんあります、ぜひまた機会を見てご一緒したいですね。
Posted by あんころりん at 2012年09月06日 01:42
久々にあんころりんさんの本領発揮の投稿でしたね。

ジャムパンは子どものころにはいただきましたが、成人になってからはなぜか?手に取らなくなりました。
個人的な理由は他にクリームやチョコレートを使ったパンの選択肢が増えたのですが、日本ジャム工業組合のサイトから「健康志向」で「甘すぎ」とジャムを避ける人が増えているように感じさせる表記がありました。

日本ジャム工業組合
http://www.jca-can.or.jp/~njkk/index.html

ただ、日本のジャムメーカーでは糖度を下げて果実らしさを前面に出した商品を開発されているようですね。(ご存知でしょうが)
Posted by 笹団子 at 2012年09月06日 23:42
今回の記事もまた興味深いお話がたくさん!
そして職人さんの作業風景のスピード感に満ちたこと!
ジミー大西作品展を見に銀座三越まで出かけましたが、暑さに負けて即地下鉄で帰ってきてしまいました。涼しくなったらジャムパン求めて出かけることにします。

ところで、体重測定のお写真が「ジャムパンをのせた新幹線」に見えてしまったのはヒ・ミ・ツ(笑)
Posted by kozue at 2012年09月07日 14:57
笹団子さん
ジャムパンは脂質が低く甘さが際立ちますから。いまはクリーミーで乳脂肪の豊富な菓子が好まれますから、シンプルなジャムパンが苦戦するのは仕方ないことなんでしょうね。
ワタシは毎朝ジャムを、それこそしっかり甘いジャムから低糖タイプまでいろいろな種類を食べます。ホームメイドタイプに好いものが多いと思いますが。糖分より作り方で美味しさが決まるようです。
ちなみにどの店でもチョコレイトのパンを選ぶことはほとんどないのです。
Posted by あんころりん at 2012年09月08日 02:38
kozueさん
書いても書いても書き足りないくらい、興味ふかいお話を訊くことができました。
>スピード感
ジャムパンは早いですからね、って言われたのですがほんとに早かった。動画回すひまもないほどで。

銀座三越から銀座通りを渡るだけの根性もないのか キミには!
ジミー大西さんの作品に似合いそうな気もしますが酒種ジャムパン。

新幹線型のお子様ランチ、じゃない?
Posted by あんころりん at 2012年09月08日 02:45
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