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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2013年03月01日

名古屋/亀広良〜うすらひ、州浜、蕎麦薯蕷ほか生菓子

和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く
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正真正銘「うすらひ」 
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蕎麦薯蕷 うすらひ 御題「立」 はなびら餅

和菓子好きによい知らせがあります。
昨年7月31日、突如の閉業により多くのファン・・


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・・・及び和菓子業界関係者に衝撃を与えた名古屋「亀末廣」
唯一無二の銘菓「うすらひ」も消えてしまうかと落胆した方も少なくないでしょう。

そんなところに朗報。
この1月に名古屋「亀広良」にて正式に亀末廣の伝承銘菓として復活したのです。
よかった〜〜。いやはやほんとによかった。
さっそく一月上旬「亀広良」に連絡をつけて送って頂きました。
「うすらひ」。

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銘と意匠は作家・俳人で食通として知られる故・小島政二郎によるもの。
和菓子に目がなくエッセイなど度々書いていました。
「うすらひ」とは薄氷、。
水面を薄く覆った氷が陽光を受けて、ヒシっと亀裂したかのような鋭い造形の10片で構成されています。
平たい長形を10片に割った氷裂型の生菓子は冬の蕭条たる景色を表しています。

色彩のコントラストを際立たせる非凡な意匠は目を奪われますが
やはりそれにあった味なくしては銘菓とは言い難い。
上の白い部分は伊勢芋を用いたしっとりとして柔らかな練薯蕷(芋煉切)。
間に挟んだのは丹波小豆を使ったコクのある大島(奄美大島産黒糖)あん、
一番下には白い京こなし(こなし)を敷いています。

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薯蕷の柔らかみのある白と大島あんのくっきりとした黒。
芋の風味豊かな粘りある練薯蕷に品の良い甘さの黒糖あんが融け合い、こなしの食感が引き締める。色彩と味がみごとに交わった数少ない例でしょう。
見た目よりずっと繊細で柔らかいので一片の形を崩さぬよう慎重に切り離していかなくてはなりません。
が、何度か手が滑って白紙に墨でいたずら描きしたみたいになってしまった、とほ。

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後味の良さ(と材料表示)から推しておそらく芋煉切に加えているのは白小豆でしょう、
表示に書き忘れたようですが、確認したところ黒糖あんは丹波小豆でした。
おそらく白手亡はこなしに使っているのだと思います。

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それでは名古屋「亀広良」について知っていることを少し。
昭和30年創業、名古屋「亀末廣」唯一の暖簾分けした別家です。
初代が修行、暖簾分けを許され、三代目現当主も名古屋「亀末廣」で修行を重ねたのだそう。
伝承菓子「うすらひ」は名古屋「亀末廣」当主吉田氏監修のもと、同じ材料、同じ作り方で調製しているそうです。
今回、取り寄せたのは亀末廣と同じ意匠の箱に氷裂形の菓子10片を納めた「うすらひ」で、こちらは要予約、通常品として同型8片がケースに入ったタイプ(2000円)も販売しているようです。

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それ以外に一月上旬は生菓子として一片に干支の押印をしたものを調製、販売していました。
今年は巳の印になりますがこれがとても愛らしかった。
おそらく毎年調製するのではないでしょうか、楽しみが増えますね。

ほかにいくつか送って頂いた生菓子はいずれも味良く、工夫を凝らしたものでした。
名古屋の良店らしい、伊勢芋を使った生地と粒あんそれから大島(黒糖)あんが好ましく、材料の持ち味を生かし、組み合わせの妙を楽しませるお菓子で、
蕎麦薯蕷饅頭"夜の梅"(3月の菓子と異なる)と大島きんとん、小倉あんにカルカンを巻いた御題菓子"立"が気に入りました。

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一月上旬「夜の梅」蕎麦薯蕷饅頭、中は北海道産特別栽培の健康小豆粒あん

とりわけ大島きんとんが凝ったもので
角切りにした桃色の黍羊羹の下半分を白小豆の粒あんで包みそのうえに大島きんとんを乗せてありました。
きんとんとそして白小豆餡が抜群に美味しい。
きわめて繊細なきんとんで少々崩れてしまったのでイメージ画像でお許しを。

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1月の大島きんとん、黒糖あんと若草色のあん 中に黍羊羹と備中白小豆粒あん

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御題「立」カルカン製 ふっくらしたかるかんは伊勢芋ならでは、こしあんに

訊けば、"餡"は亀末初代の配合をずっと変えずに引き継いでいて、
戦前戦後と若干配合に変化のある本家に代わって、旧来の味を伝承しているのが当店ということになります。
余談ですけど、これって他の地に運ばれた製法や習慣が時を経ても踏襲され続けるのに似ています。

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そら豆型が愛らしい州浜。冬なら2週間程度保ちます

半生菓子も豊富で、送っていただいたすはまは手頃でたっぷり、味も濃く薄茶はもちろんおやつにもぴったり。

3月は「うすらひ」と同様の菓子をを春にふさわしい意匠に変えた"春容"。
調製されるようで楽しみです。

●(偶然による)おまけの話●
まったくの余談ですけれど。
ごく最近、近所の方と親しく話す機会に恵まれました。
時折、お菓子のやり取りをしていたのですがじつはこの方の実家、なんとかつて亀末廣のお隣で料亭を営んでいたのだそう。しかもかのご当主と幼なじみで「〇〇君ねー」てなノリ。件の閉業衝撃を伝えて、思わず「なんでか〇〇君に訊いてくださーい」。 ちょうど亀広良さんのうすらひを頂いた後だったのでその旨を告げると継承する店の存在をとても喜んでいました、茶道をたしなまれるこの方のご実家には茶室の設えも。さすが名古屋、茶の湯処、菓子処と痛感させる一件でした。それにしてもすごい偶然。菓子は縁を呼び、縁が菓子を呼ぶ〜〜。ちなみ川口屋のご当主も「◇◇君〜」でした。はは。


以前の名古屋「亀末廣」の記事
亀広良 葩餅の記事

京菓子司 亀広良 水曜休
・うすらひ(亀末廣意匠紙箱入2700円) 砂糖 伊勢芋 白小豆 手亡豆 黒砂糖糖 小麦粉&丹波小豆
・1月の菓子
うすらひ(巳年)300円・夜の梅(蕎麦薯蕷饅頭 粒あん)260円・大島きんとん(備中白小豆粒あん 黍羊羹 大島きんとん)260円・御題「立」カルカン製 260円 
・半生菓子 すはま  420円

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posted by あんころりん at 22:41| 東京 ☁| Comment(10) | TrackBack(0) | 近畿、東海(京都、大阪、名古屋・・) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
流石、素晴らしい情報収集力ですね。うすひらの情報、感動致しました。とても美味しそうです。お饅頭もいいですね。
Posted by ねびれ親爺 at 2013年03月02日 07:09
ねびれ親爺さん
偶然得た情報ですが、あまりに嬉しくてすぐに注文してしまいした。蕎麦じょうよ饅頭も上質でした。
Posted by あんころりん at 2013年03月02日 12:28
お〜、タイムリー!すはま!
気になりだしたら、いろいろ調べてしまって・・・。岩手県の「玉桜堂」の“豆銀糖”も近いものかな?

これほどの素晴しいお菓子が復活!良かったですね〜♪
御題「立」は、私が思っているかるかんよりキメが細かいように見えます。
そういえばここ数日立て続けに「自然薯かるかん」食べました!
この「うすひら」は機会があったら頂いてみたいですね〜♪名古屋か〜、全く縁のない所ですが、一度は行ってみたい!
Posted by いもすけ at 2013年03月02日 13:21
老舗の廃業が相次ぐこのご時勢で過去に暖簾分けされたお店がお菓子を継承されるというのはほっとしますね。

名古屋はなんといっても御三家・尾張徳川家の町だけに旧家では茶の湯が盛んなのかもしれないですね。

ご存知かもしれませんが、富山県小矢部市に薄氷本舗 五郎丸屋の「薄氷」という板状ですが形状が似たお菓子があります。
江戸時代に五代目のご当主が創製されたそうです。
Posted by 笹団子 at 2013年03月02日 21:39
次に名古屋に行く機会があったら、ぜひ伺いたいお店です!
亀末広の閉店はショックでしたけど、こうして味を継ぐお店があることに感謝です。
すてきなお菓子の数々、情報ありがとうございました!
Posted by kozue at 2013年03月02日 22:55
いもすけさん
豆銀糖は似てます、わたしも好き!あちらはきな粉飴により近いかな。かるかん、明石屋よりだいぶんふっくらしてました。お菓子かあなたを知らない街へ誘うのよ〜!
Posted by あんころりん at 2013年03月06日 06:38
笹団子さん
継承されることになってとても嬉しいです。ホッとしました、
尾張名古屋は織田家の時代から織部の茶室などでも知られるように、歴史ある茶の湯処で、ゆえに菓子処ですね。知人にも茶道を嗜んでる方が多いのです。

五郎丸屋の薄氷も茶の湯の際にたまに用います。こちらは読みがうすごおりで、その点からふんいき異なる気がします。干菓子なので都内でも入手しやすく気軽にいただけるのでこちらもまた重宝してます。

Posted by あんころりん at 2013年03月09日 02:18
kozueさん
ワタシもぜひ訪れたいお店リストに加えました。ステキですよね。
亀末廣のご当主に感謝、亀広良のご当主に期待と感謝です。ほんとによかった。
Posted by あんころりん at 2013年03月09日 02:23
ランキングから来ました。
亀末広、閉店してたのですね。ショックです。
のれん分けしたお店が有ったとははじめて知りました。
末広さんのお菓子はうすらいも角が立ってシャープな印象が有りましたが、広良さんのはポッテリとしていて何ともかわいらしいですね。
機会があれば一度寄らせて頂きたいと思います。
Posted by ステテコ at 2013年03月14日 22:18
ステテコさん
お返事が遅れてすみません。
和菓子好きにとっては亀末廣の閉店には衝撃を受けずにいられませんね、

亀広良は生菓子も全体におっとりした雰囲気が漂っています。ぜひご自身で味わっていみてください
店主はまだお若いようですので、これからも変化があるのではないでしょうか。
Posted by あんころりん at 2013年03月20日 23:32
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