菓子調進所 一幸庵 葛製
心庵梅むら 外郎製
あっと驚く〜
6月の別称が菓銘となった「水無月」は、
京都の6月を代表するお菓子として知られています。
三角形の外郎あるいは葛生地に・・・
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・・・小豆をのせた生菓子は「夏越の祓」に欠かせません。
近年、関東でもつくる店がとみに増えたので、実際に口にした方も少なくないでしょう。
絶対数が増えたせいか、10年前に比べるとぐっと美味しくなったような気がします、都内の水無月。
一幸庵 水無月 葛生地に珠洲大納言
ホンネを言いますと、じつはすこし前まで苦手でした、外郎製水無月。
そう、外郎を好きな東京人ってきわめて少ない(訊ねてイエスと言われた経験なし)のだ。
それはおいしい外郎を食べる機会が少ない(どころかほぼゼロに等しい)からなのだと思います。
しかし少なくとも水無月の外郎生地に関して、おいしくすべく工夫するお店が(上菓子店以外にも)増えた印象があります。
せっかくなので「水無月」について由来などをすこし書いておきます。
もともとは6月30日の行事”夏越の祓え”(なごしのはらえ)に厄祓いとして食べていたもので、京都では慣わしとして江戸時代にはじまったそうです。
”夏越の祓え”とは1年の折返しにあたる6月30日に半年間の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する伝統的な神事。
京都では上賀茂神社の夏越神事をはじめ、多くの神社が茅の輪くぐりや人形流しなど行います。
都内近郊では湯島神社や鳥越神社、鎌倉「鶴岡八幡宮」などが6月30日に大祓神事を執り行い、茅の輪くぐりも行います。
現代ではピンと来ないかもしれないけれど、旧暦の6月30日は暑さ厳しい夏の盛り。
その昔は、いま以上に体調を崩しやすいうえに病も流行りやすく、無事に夏を越えるか否かは生死に関わる重要な問題。こういった行事も単なる形式ではなく必要な手はずだったのだと想像できます。
レッスンでつくった水無月ですが手前味噌でなく好い味。指導は都内有名店のご当主
そういったことを踏まえて、
水無月の重要なモティーフ「小豆」と「三角形」、それぞれの意味を調べてみると。
「小豆」は古来、魔除けの力を信じられていたので厄祓いの役割と、
体が弱る夏バテ時期の予防として、栄養価の高い小豆で滋養をとる目的もあったのでしょう。
いっぽう「三角」の形は氷を表すといわれています。
これは室町時代、旧暦6月1日を『氷室の節会』といい、御所では夏痩せしないとされた「氷室(ひむろ)」の氷を取り寄せ、貴人たちはこれを口にすることで暑気払いをしたのだそう。
「氷室」とは冬の氷を夏まで保存する貯蔵場所で、地下など冷涼な場所を利用して作られたものです。
しかしながら、貴重な氷室の氷が庶民の口に入ることなどありません。
そこで、氷の破片を表した三角形の菓子「水無月」で暑気払いをした、と言われています。
それに、御所にしても(力が弱まった時代には)氷室の氷が手に入らず、慶長3年(1598)の『御湯殿上の日記(おゆどののうえのにっき)』には「こほりかちん(氷餅)」と記され、餅で代用されている記述があるそうです→参考
いまの時代では、餅を氷の代用にするなんて無理があるような気がしますが、
そのころは感覚的にもっともフィットする食材だったんでしょうね。
全国的に外郎が主流の水無月ですが、葛を用いた水無月もあります。
こちらは吉野本葛粉をつかった小石川「一幸庵」の水無月。
由来書が添えられている
葛の生菓子に目のないワタシにとって
葛饅頭、水仙粽、葛焼きなどが次々に並ぶこの時期の一幸庵はたまりません(そちらのほうは後日また)。
わけても「水無月」。
しっかり風味のある葛生地はほどほどの弾力で、口にいれるととろみが感じられます。
甘さが立たない珠洲大納言と葛生地は歯ごたえが揃っていて茶席にもふさわしい。
一幸庵といえばわらび餅ですが、選ぶとしたらワタシは迷わず「水無月」。
心庵梅むら 一度蒸し「水無月」は特別注文で
幡ヶ谷の「心庵梅むら」は串団子や豆大福がおいしい町の和菓子店。
こちらは白い外郎生地に蜜漬けした備中(岡山県産)大納言のかのこ豆を乗せ蒸し上げたもの。
歯切れのよいさっぱりとした外郎は本葛粉、上用粉、小麦粉をブレンドした生地で大納言を乗せて蒸し上げています。
店頭に並んでいるのは適度な歯ごたえに、ほどよくもっちりした柔らかさがあり、どなたもおいしく頂けると思います。
二度蒸したものですが、殺菌の意味もあり二度目はあらかじめ透明シートで包装して蒸すのだそう。
注文して、ためしに蒸しを一度だけにして包装しないものを調製してもらいました。
心庵梅むら 二度蒸しの水無月↑6月中は店頭で
とてもコシの強い、しっかりした歯ごたえで、鋭角がよりシャープになった印象。
一度蒸しはルックス的に、二度蒸しは生地と大納言のなじみ具合が、より優れていたように感じられどちらもワタシは好きでした。
「水無月」200円:備中大納言 白双糖 (外郎生地)本葛粉、上用粉 小麦粉など
あっと驚く"杏の水無月" さすが苺豆大福の大角玉屋 意味はともかく美味しかったのだ
砂糖 小麦粉 上新粉 蕨粉 杏
招福楼の持ち帰り用「水無月餅」小豆、白小豆、蕨粉、砂糖、トレハロースを使った。 一片はほんのひと口。
都立大学「一幸庵かしこ」黒糖ウイロの水無月は昨年の画像から。ほかに白生地も。小石川「一幸庵」とは製法もお菓子も異なりますが、親戚筋にあたるのだそう。
8年ほど前のある店の水無月 小豆は白生地にうずら豆は黒糖生地だったけれど・・・
本来は氷を象ったものですから白が基本のはずですが、黒糖や或いは抹茶の水無月も多く見かけます。
なんとなく違和感あるんですけど。とは言え杏の水無月も食べてみれば美味しかったり。
しかし、ワタシにとって葛の水無月にまさるものは今のところありません。
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へ〜、東京の人ってういろうはあまりお好きでないんですね!そういえばあんまりイメージ沸きません。
宮崎では青島というところで売られていますね。
これは地元では有名です。
私も小さい頃から食べていましたし、好きですね♪
でも山口のういろうの方が好きかな?
ういろうと言っても、各地で材料が違っていろいろあるんですね!!
うずら豆の「水無月」に釘付けになりました(笑)!
過去形にするのはまだ早い、30日までは売っているはすですのであきらめずに厄払いしてください(笑)
そういえば宮崎っていろいろなういろう売ってますよねーマンゴーとか日向夏とか。
宮崎の三松ういろう、本店まで自転車で行って買いました。お菓子屋さんぽくなくてアセった思い出があります。また宮崎行きたいなー
わたしは外郎、苦手ではありませんよ。すごく好きというわけでもありませんが、好きかキライかと聞かれたら、好きですたぶん(笑)。
杏の水無月はさすがに驚きましたが、季節感あふれるお菓子はなんだか気持ちのいいものです。
外郎を好きな東京ローカルkozueさんは私的には稀少な存在。おそらくおいしいものを召し上がる機会に恵まれたのだと想像します。ワタシが外郎を好ましいと思うようになったのはここ数年のこと。子供の頃はTVCMで有名な銘柄(「しろくろまっちゃ小豆コーヒ・・」ていうあれ)を食べてから苦手になってしまって。
この時期水無月のようなお菓子をやたらと欲するので、よく考えられているなと感心します。今年はたくさん頂きましたー。
ある人に聞くと「食感が・・・」ということだそうです。
似たような棹菓子というと東北ではゆべし(棹状のものを切り分けて売っている)なんでしょうけど関東にはあるんでしょうか?
小田原の外郎屋はもともと薬屋で、いまも漢方薬を販売しています。薬の方は義母が愛用しておりまして。しかしこれがなかなか手に入らないのですが、菓子は時折都内にも入荷しています。食感については一般的外郎と言いますか、「外郎を大好き」な方ならおいしく召し上がれるかと思います。
水無月はこの時季ならではの行事菓子。明日の夏越の祓に合わせて書いてみました。葛の水無月もよいものですよ。