和菓子wagasi−東京のお菓子・菓子パンを歩く
青梅
昇鯉
水の月
鎌倉の住宅街にひっそりと佇む鎌倉の「美鈴」。
季節に寄り添うお菓子を手作りしています。
主には上生菓子ですが、それとは別に月ごとに変わる・・・
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・・・「四季折々の和菓子」はひときわ独自性の高い予約制の品で、美鈴ならではお菓子という気がします。

各月ごとに意匠から体裁、種類も風味も全く異なるタイプお菓子となり、12ヶ月それぞれにちなんだ句をしたためた掛紙で装われた紙箱に納められています。
毎年決まったものが繰り返されるので、好きなお菓子の月は楽しみが増します。
青梅↑
6月は「青梅」。トップの画像です。
ころんとした小ぶりの"梅"はひとつずつ表情が異なり、12個が箱に並ぶさまはとてもキュート。
思わず指でつまみたくなります。
5年ものの自家製梅干しで作る"梅びしお"を刻んで餡に混ぜ込んだという、独創的な半生菓子ですが、
何と言っても形だけでなく、食べてみて実際に梅の風味が感じられるのが魅力です。
ちなみに梅びしお(梅醤)とは裏ごした梅干しの果肉に砂糖と梅酢を加えてとろ火でじっくり煮詰めたもの。甘さと塩っぱさが融け合い独特の旨みがあります。
その自家製梅びしお入の餡で、しっかりした甘さの小豆こし餡(割効餡)を包み上白糖にころがしてひとつひとつ手で形を調えて仕上げるのです。
掛紙にある「梅の実がふれあい古代の露をふりこぼしたり」は鎌倉で暮らした歌人、山崎方代によるもの。初代と親しくしていた方代は美鈴のために月ごとの歌を寄せていたのです。
いままでもっとも気に入っているのは5月の「昇鯉」(しょうり)。
トップ画像2番目のお菓子ですね。
昇鯉↑
皐月にふさわしい爽やかな青色に目を奪われます。
淡い乳白がかったブルーやグレイッシュブルーってことのほか好きなんです。
「さつきの空に 桐の花が咲いておりたり 」方代
菓子そのもの白餡を練りこんだ求肥、
水飴は使わず、よく練り上げることで弾力を持たせた柔らかいお餅で、中には蜜煮した"だるまささげ"を散らしています。
ささげが鯉、青色は水の流れ。滝を昇る鯉をあらわしているのだそう。
フワンフワンの口あたりが魅力で、あっさりした甘さのささげがアクセント。
繊細で軽いけどお餅っぽさもあり、生菓子としての満足感もあります。
菓銘の昇鯉(しょうり)が勝利に通じるというのも端午の節句にふさわしく、お祝の菓子としても好まれているそうです。
7月の「文月」はまだ頂いたことがありません。
麦こがしを使った香ばしい半生菓子だそうです。
ひきかえに夏の生菓子は錦玉系と淡雪羹が充実しています。
トップ画像三番目が錦玉「水の月」。
↑水の月
こちらはささげを浮かべた「清流」
淡雪羹の「七夕」
ところで、
鎌倉のお店は、寶戒寺の隣の道筋にある白壁沿いの小路奥にあります。
住宅街の細い道のそのまた路地の奥にお店はあります。

お店の導入口。敷き詰めた玉砂利の飛び石を進むと奥にはつくばい。
今どき珍しい座売り形式で、購入は予約をオススメします。
予約して行くと、女将さんが重箱やお盆に並べた見本を見せてくれるので、その中から好きなものを選びます。
フリで訪れてもアソートの上生菓子6個入箱を(売切れてなければ)購入できるので、「鎌倉に来たけど予約してない」、っていうときもあきらめずにトライ。

8月の吹雪と9月の流鏑馬もまた魅力的なお菓子なので、次の機会に紹介します。
掛紙とサワリを、ちらっと。
葉月の「吹雪」 皮種に少量の醤油を使ったところがポイント
九月「流鏑馬」 鶴岡八幡宮神事にちなんだ。
白餡と卵黄、小豆あんと卵白を使ったフワンフワンの求肥(雪平?)
鎌倉までなかなかたどり着けない、という方は
店の頒布会「甘葛会」に入会すると地方発送(送料別途)してくれるようですし(要確認)、
毎月第三土曜日に新宿高島屋銘菓百選に入荷するのでそちらを利用されるといいかも。
季節の生菓子(6個入)も一緒に来ますし。
鈴柄のステキな紙箱
●上生菓子処 美鈴
神奈川県鎌倉市小町3-3-13 0467-25-0364 火曜休み 9:00〜18:00
月々のお菓子は要予約。上生菓子は予約すればチョイス可
・青梅:一箱1575円 うめびしお、白餡、小豆、砂糖
・昇鯉:手亡 白玉粉 砂糖 ささげ 片栗粉
◎新宿高島屋B1銘菓百選 第三土曜日入荷
畑バイヤーのブログ「美鈴」青梅、さすがに詳しいですね。
☆あんころ広報係☆
★講座「東京のお菓子を歩く」 問い合わせは事業本部まで。詳細は
こんな感じ
★読売文化センター自由が丘:土曜講座「和菓子を楽しむ」
詳細はこちら
★書籍『東京 いとしの和菓子 あんころりんのおやつめぐり』
美麗カラー写真と共に“東京の和菓子屋、パン屋”満載。地図付き。
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蒸し暑さにぐったりしていましたが、素敵なお菓子を見せていただいて、少し回復してきました。
「梅びしお」って言葉の響きが素敵じゃないですか? わたしは「梅びしお」と脳に伝わってくるだけで、びりびりシビレております(バカなの)。
長谷寺のお茶屋さんでも、美鈴さんの和菓子が
食べられますね。最初はどこにお店があるのか
迷いましたし、入ったら、休みじゃないかと
思って近くで電話したことがありました。
見本を見せられると、迷いますね。
全部欲しくなる。
八幡宮の駐車場に車、ぶちこめば楽ですね。
12か月それぞれの掛紙に句が書いてあるなんて素敵ですね〜!!
青梅を型どった青梅も可愛いしグレイッシュブルーの昇鯉も和菓子っぽくない斬新な色が素敵♪生地に白餡が練り込まれているなんて美味しそうです!
昨日も今日もそして明日も蒸し暑いようですけど、目で涼んで頂ければ嬉しいです。どんなに不快指数高くても葛や錦玉は喉を通るところがさすが、よくできているなと思います。
びしおでビリビリしびれって。アナタには珍しく直球な発想だ〈笑)
吹雪を召し上がったことあるとはさすが。
長谷寺のお茶屋のことは知りませんでした。以前は材木座でウィンドサーフィンした後に立ち寄ることが多かったんですけれど。このあたりはお散歩に良いのですよ。
そうなんです、短歌とお菓子が合っているでしょう。ご主人は俳句のように季節に寄り添ったお菓子をつくることを心がけているそうです。
昇鯉の色味は生菓子ではまず見かけませんよね。、美しくそして食欲もそそるのは食材のテクスチャにぴったりだからでしょうね。