味噌あん入りの葛饅頭"白涼水"、果肉入りの"青梅"など
餅皮白焼に繊細な意匠
青柚子の葛焼♪
6月は小石川の「一幸庵」をたびたび訪問しました。
仕事がらみと言っても、義務感など・・・
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・・・さらさらなく。
大好きな葛のお菓子が揃うこの季節ですからなおさら さらさら。
おまけに和菓子好き延髄のビッグサプライズ!!!もあり、
というわけで6月の一幸庵、備忘録として書いておきます。
1週目は青梅、白涼水は葛饅頭、葛焼、水仙粽、水羊羹、きんとんは紫陽花、薯蕷煉切は富貴草、水羊羹、わらび餅。
いいでしょ、ステキでしょ。ガラスケースを覗きこんだ瞬間、おもわず歓声をあげた超充実のラインナップです。
まずは"葛焼"。
この日のワタシ的必須の一品。青柚子あんを混ぜた本葛(吉野葛も原料は鹿児島産)生地の葛焼きです。都内で葛焼きをつくる店は多くありませんが、とりわけ青柚子風味は稀少。透明感ある葛の菓子は大好きですが、葛焼きにもまた独自の味わい魅力があります。水無月が始まるまでの短い間の楽しみです。
外郎製"青梅"は6月いっぱい続きました。
梅雨どきの主軸的存在のお菓子といったところ。淡くぼかした緑にころんとした姿が映えて、形だけでなく中には甘く煮た梅の果肉の裏漉しを混ぜ込んだ白こしあん。梅のほのかな風味が残ります。菓子の説明と古今和歌集(万葉集とありますが)の歌が書かれたしおりが添えられます。
「梅の花 さきてののちの 身なればや すきものとのみ 人の言ふらむ」
5月から続いた"白涼水"は
葛饅頭のひとつですが、中にはなんと味噌あん(!)んを包んだ道明寺(!)とびっくりマーク連発。葉のほうは山帰来でもなく山あじさい??。不明なのでご存知の方教えて。
一幸庵では葛饅頭の銘が次々と変わり、銘だけでなく細かく仕様も異なるので、わが心落ち着かず。当然!行くたびに(しっかり仕事を終えてから)買い求めました。
水仙ちまき鮎ちまき、水羊かん
この日の葛もの3つ目は水仙ちまき。鮎ちまきは道喜粽のようにしっかり巻いて湯がいたものでなく、本返しの葛生地を三枚の笹に包んで黒文字で留めたもの。湯がいてないぶん笹の香りがしっかり。葛と砂糖だけ、シンプルの極みが水仙ちまきです。
丹念に晒したこしあんで作る藤色の直方体を桜の葉に乗せて。水羊羹は夏中、調整される涼菓で、棹物は透明ケースに入ります。水羊かんもしおりが付きます。
きんとん製"紫陽花"
一幸庵のきんとんは「芯に大粒の珠洲大納言の粒あん」が定番。
薯蕷煉切「富貴草」
中は小豆こし餡。和菓子で富貴草ふうきぐさ、といえば牡丹のこと。余談ですが薬用植物の低木で小花のつく富貴草フッキソウとは別物です。
半ば過ぎにはもちろん水無月登場。6月に紹介したので詳しくは→★
葛饅頭は"蛍とぶ"に変わります。
この日は担当講座で訪れたのですが、なんと、この"蛍とぶ"の包あん作業を見せていただきました。
葛で包む作業はとりわけ熟練の技を要しますが、じつに軽やかに手早く形にしていく様子にため息がもれます。しかも"本返し"でしたから、一発で仕上げくてはなりません。ホタルに見立てた一粒の黒胡麻、黄色のこなしに金箔を散らし蛍火となります。ああ細かい…。道明寺の中は小豆こし餡に変わっています。
3週目の終わりに登場したのが・・
餅皮白焼"四葩の花"
あまりの繊細さに驚愕したのですが、四葩の花〈よひらのはな)は紫陽花の異名で、淡くぼかした色付けで薄くうす〜く流した寒天(錦玉?)を紫陽花の花型に抜き(フツー抜けるか?)三枚重ねて銀箔を散らしています。ためしに一枚ずつ剥がそうとしたけれど繊細すぎてムリ。しかも大好きな薄墨ざくらと同じタイプの焼き皮、同じく中は福々とした大納言粒あん。突然の登場に大興奮したワタシ。春だけのものじゃなかったんですねー。
4週目になると葛饅頭は"氷室"に。
葛の水無月と並行して葛の"氷室"も並びました。赤い三角は氷室の明神に見立てたもので末富などにも6月は同様の意匠の菓子があります。6月末頃ですから(氷室の節句でなく)「氷室開きの日」にちなんだようです。
またもや餅皮白焼登場!だがしかし…銘が思い出させない・・。
"四葩の花"と似たつくりですがさらに複雑。きらきらとガラスのおはじきのような寒天と羊羹のつる草。水に関連した銘ではなかろうか。どなたか知っていたら教えて。
きんとんは"七夕"(銘があやふやですが)。
馬毛でこした細かい細かいそぼろきんとんに錦玉製の短冊が三枚、短冊にはつるす針のような穴まで空いています。芯にはもちろん大粒の大納言。
この日はこんなすてきな瓶詰めも登場。
青梅シロップ。
"青梅"で使った梅蜜と果肉を合わせてシロップにしたもの。これがすっっばらしく美味しい。杏のような清々しい甘酸っぱさがギュギュッと詰まっていましした。そのままスプーンですくってもいけちゃうくらいで瞬く間に完食。名残惜しい。もうお店にないよねえ・・。
以上 備忘録的「菓子調進所 一幸庵」6月の生菓子でした。
●番外のお話●
一幸庵の一番人気である"わらび餅"は6月30日までで、10月まで一旦おやすみになります。
冒頭のビッグサプライズとは
なんとこの"わらび餅"の煉りから包餡、仕上げまでの作業を拝見させていただき、蕨や葛の根、砂糖など材料の実物も見ることができました。そのうえ当主の水上力氏から菓子にまつわるお話しの数々を伺う機会までいただいたのです!
(夏目記念日の録画を失敗した)ワタシのテンションがあがりっぱなしだったのは言うまでもありません。
さらには作りたてをお味見させていただく幸運過ぎる場面もあり
感謝感激の小石川訪問月間でした。
(ご覧になることはないと思うけれど)あらためて深謝の気持ちをここに。
5月のお菓子も書きたいけれど、エアコンオフの状況ですから
ここまでが限界です〜。
●菓子調進所 一幸庵(月のかぞえ歌は現在中止)
茗荷谷駅徒歩5分 日曜休
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あんころりんさんの記事を読んで、わたしまで嬉しくなっちゃいましたわ。
夏の和菓子いいですね♪ 透明感やふるふる感がたまりません。わらびもち、食べたいです〜(*^^)
ここ数年、ご無沙汰していますが。
見るたびにハッとするようなお菓子づくりですよねー。完成度の高さは技術的なことはもちろん、お菓子への情熱と日々の意識の高さも必要かと。いずこも優れた上菓子店のご当主は背景にある文化みたいなものに造詣が深いなあと。
あとほとんどお一人でこしらえていることに驚きました。
おはようございます、葛や寒天など使ってcooさんにぴったりで清々しく涼しげなお菓子です。わらび餅、どんな浴衣が似合うかな〜。
移ろう季節あっての生菓子ですものね。それに国産材料だけでつくるので、年ごと微妙に異なるところがまた魅力でもあります。
通年品ではあんの瓶詰めが好きなんですが、白小豆などは備中と丹波が入れ替わったりするのもワタシには興味深くおもしろがってます。
とっても涼しげで涼を感じさせてくれるものばかりですね。
特に色がとても綺麗で繊細な紫陽花はかなり魅力的です♪本当に繊細な色と造りをしているしとても美味しそうです。それとつる草もおはじきの様な寒天の飾りがとても綺麗!これほどまでに繊細で綺麗な和菓子はあまり見たことがありません!!
夏もなかなか楽しいんでしょー。葛の菓子が増えるこの時期をワタシは楽しみにしているんです。
おはじき風、すごいですよね、ここまで繊細なものを都内で見るのはワタシも初めてです。
ところで一番上の画像の葉っぱ、もしもご存知でしたら・・。
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