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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2014年04月30日

堺/丸市菓子舗の斗々屋茶碗〜利休好みの茶碗実物大!饅頭

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斗々屋茶碗570c ぎっしりたっぷり大納言あん、柚子餡の二層構成
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包丁ぼうろ こちらは小

堺の街を気の向くままに歩く途中、思わず足を止めた風格ある店構え。
引き戸をがらり。おお、かっこいい〜・・・

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・・・店内の磨き込まれた羽板の間仕切りや天井照明などの設えに、老舗の菓子調製処といった趣が感じられます。
ハートをぐいっと摑まれたこちらは、明治28年創業、当代5代目の「丸市菓子舗」という老舗でした。
寡聞にして存じ上げなかったのですけど堺では名の知れた御菓子屋とのこと。

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季節の生菓子から進物用まで幅広い品揃えのようですが
予備知識なく訪れたためガラスケースを覗いているとどれも珍しく目移りしてしまいます。
そのなかにひときわ存在感ある大きな焼菓子に目がとまります。
「斗々屋茶碗」。
なあんと、あの千利休好みの茶碗「斗々屋」を模した焼饅頭です。しかも実物大。
なんでまた、茶碗を菓子に?
こちらは、堺に生まれ育った千利休にちなんだ菓子、“利休古印”“斗々屋最中”などを得意しているのだそう。
なかでも堂々たる“斗々屋茶碗”は際だった存在。なにしろ直径16センチの饅頭ですからねー。

そもそも回船問屋を営んでいた初代は茶をたしなみ、書画骨董(こっとう)を収集。あるとき千利休が愛用したと伝えられる「斗々屋茶碗」を手に入れ、これを菓子に仕立て、茶の席に出そうと菓子作りを始めたのだそう。

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実物大斗々屋茶碗(どっしり570g)とミニサイズ(常識的に約40g)

しかしこのときはこういった由来など知らずに入店。
かなり重量感あるけど(エイジレスパックで)日保ちするので次の講座で試食可能。
しかも今回は叔母宅に滞在の由、荷物は自宅へまとめて送る予定で。購入決定〜。
立派な紙箱に饅頭一個ってのも気に入りました。

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この重量級のお菓子「斗々屋茶碗」とは。
「天下の茶碗をすべて合わせても、この一椀に及ぶまい」。千利休をして言わしめた名碗「斗々屋」をほぼ実物大(直径15a)に再現した焼饅頭。
創業から続く代表銘菓だそうで、中が丹波大納言の粒餡と柚子餡の二層になっているのが特大サイズならでは。
そしてこれだけの大きさですから厚みも幅も通常の数倍。
なので餡の風味を損なわないよう、皮を香ばしくしかも口あたりよく焼き上げるのにはかなりの技術を要するそうですが、確かに想像に難くない。しっかり火を通しつつ焼きすぎることもないのは長年培ってきた製法によるところでしょう。

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斗々屋茶碗 伏せた形を菓子に

さて購入後数日経ってから入刀。
密度あるけど柔らかく、そして・・期待をはるかに上回るおいしさやないか。
小さな(通常サイズ)斗々屋茶碗もあり、試しにそちらを先に味わってみたのですが。
大きい方がオリジナルだけのことはあって、断然まろやかでおいしいのだ。

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斗々屋茶碗 小 断面はややゆるめの二層

製法について調べてみると、
丹波大納言の粒あんは豆が潰れないよう手作業で炊き、柚子餡には旬の柚子皮だけをおろしたものを砂糖と合わせジャム状にして数カ月間寝かせたものを用いるのだそう。そしてこのジャム状柚子のみを自家製白手亡餡の仕上げに加えることで、すがすがしい香りが損なわれないというわけ。
こちらでは創業から伝わる木型からひとつひとつ手作業で焼きあげるそうですが、ホームメイドらしいやさしさを感じさせる舌ざわりと味わいです。見た目の意外性を上回る?ほんとにおいしい焼茶碗です。

ほかに堺らしいオリジナルお菓子“包丁ぼうろ”も購入、こちらも歯ざわりよいうえ軽くてスーブニールに最適です。

お店では菓子職人の修行中と思しき男性が応対してくださったけれど
丁寧親切でお菓子の知識もしっかり。菓子のことなど訊ねても面倒がらずにきちんと答えてくれます。
お店から客本意の姿勢が感じられて気分よく買い物できました。

かすていらのひと切れ売りも好ましかったので次回は一棹にトライしたい。
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丸市菓子舗:堺市堺区市之町東1−2−26 
・斗々屋茶碗(大):砂糖、手亡、大納言小豆、小麦粉、玉子、柚子、水飴、膨張剤:大一個1680円
・(小)包丁ぼうろ:砂糖、玉子 そば粉、小麦粉、膨張剤 :一袋8枚入420円

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追記(2016年7月25日)・なんと2年3ヶ月の間、店名(屋号)表記を誤ったまま、堂々と表示しておりました。知人に指摘されて気がついたというひどい有様。勝手にブログに書かれてしまった丸市菓子舗さまには大変失礼致しました。(おそらく読まれていないと思いますが)申し訳ございません。。またご覧頂いた皆さまにも大変申し訳なく思います。ごめんなさい。訂正させていただきます。今後ともよろしくお願いします。。
あんころりん(高 由貴子)
posted by あんころりん at 21:39| 東京 ☔| Comment(8) | TrackBack(0) | 近畿、東海(京都、大阪、名古屋・・) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
来月、堺へ行く機会がありそうなので、その際、可能ならば訪問してみます。
以前、奈良の鶴屋徳満の献上三笠を購入し、単身赴任の身には食べ応えがあった記憶があるので、斗々屋茶碗の大ではなく小にしてみたいのですが。写真では、潰餡を求肥で包んでいるように見えますが、白く見える部分が柚子餡ですか?
小では2種類の餡ではないのですか?
包丁ぼうろにも惹かれます。こちらも大と小があるのですね。

楽しみです。
Posted by 宮 at 2014年04月30日 22:57
宮さん
斗々屋茶碗の小型も大きいものと同じ構成です、ただ・・率直に言って味的には別物と思っていただいた方が・・。おそらく小型を召し上がってみて「ならば大きい方も」と思われないような気がします(ワタシは最初から両方買っていたので)。包丁ぼうろ、ワタシも次回は大きい方に挑戦したい!
Posted by あんころりん at 2014年05月01日 20:23
本物の斗々屋茶碗も褐色ですね。
斗々屋茶碗をお持ちの方がテレビの鑑定番組で鑑定したところ、状態がよかったので120万の値がつきました。千利休所持品で状態がよければもっと高値になるでしょうね。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20131224/09.html

堺へ行ったときにはこのお店はノーマークでした。
他にも探せば色々ありそうな町ですね。
私も斗々屋茶碗やカステラ一棹いただきたいです。
こういうお店のカステラにハズレはないですからね。
Posted by 笹団子 at 2014年05月02日 20:17
かもめの玉子も大きい方が美味しいと思うの(笑)。

すてきなお店の紹介にちょっと盛り上がっております。堺ってぜんぜん縁がないからな〜。
それにしても570gってすごいですね! 食べられなくても持ってみたいです(へんな感想…)
Posted by kozue at 2014年05月03日 21:52
笹団子さん
私も事前調査なしで、歩いてバッタリでした。
斗々屋の本物は写真でしか見たことないのですが、お菓子は(当然のことですけど)ちょっとポップなかんじがします。なんでも鑑定団、懐かしい〜。初代所蔵は果たしていかばかりの来歴だったんでしょう。
堺は南蛮菓子がお得意そうですから、かすていら良さそうです。
Posted by あんころりん at 2014年05月07日 17:33
kozueさん
かもめの玉子、なるほどそうかもね。あ。シャレのつもりではなく。堺は縁なかったけれど、以前、宣伝用のクリアファイルもらって(笑)気になってました。
570gはずっしり。8人で分けてちょうどよかった。
Posted by あんころりん at 2014年05月07日 17:37
堺を再訪する機会があり、前回訪問できなかった「かん袋」と「八百源」へ行って来ました。
「かん袋」は季節柄、氷が人気のようでしたが、温かいほうじ茶と共に氷なしの”くるみ餅”を戴きました。
「八百源」への途上、「丸市菓子舗」も訪問しました。斗々屋茶碗の大は、紹介されている通り、「いなば播七」のジャンボ大はぎのように大きく、買う勇気が出ず、小を購入しました。包丁ぼうろ大は食べ切れるサイズのため、購入しました。
「八百源」は、あんころりん同様、少し探し倦ねました。前回購入したかった最中(南蛮小判シナモン)と羊羹(南蛮美人)の他、肉桂餅、ちぬ乃月、肉桂楽、肉桂涼感を購入しました。羊羹や水羊羹は小振りなので、それ程嵩張らなくて良かったです。
芥子餅のちぬ乃月は、求肥皮の色が、本家小嶋や小島屋のように茶色ではなく白色でした。
羊羹も美味しいですが、今回初めて食べた水羊羹は、肉桂香が口中を爽快にしてくれます。

3月の記事を読んで、再訪問の意欲を掻き立てられ感謝しています。
Posted by 宮 at 2014年05月17日 22:11
宮さん
す、すばらしくすばやい!
拙い記事なのに再訪問意欲のきっかけになって嬉しいです。八百源までの道を迷うのは私だけでなかったのですねー、と、ちょっと安心(笑)。水羊羹もいいですね、肉桂の使い方はさすがという気がします。
宮さんは三店舗とも芥子餅を召し上がったわけですが、ちぬ乃月、そうか白い餅だったんですね。
またいろいろ教えてくださいませ。
Posted by あんころりん at 2014年05月19日 00:29
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