水も滴る艶やかな
深く静かな水のごとく
滲みでるようないろっぽさ。
越後屋若狭の6月のお菓子「水ぼたん」・・・
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・・です。
水も滴るような艶やかさはお菓子とは思えません。壇蜜顔負け。
あたしゃK田清輝の「湖畔」に描かれた女性のような湯上がりの美女を想像して「はーっ。」
って、菓子見て身もだえしてどーする、ヤバいぞオレ。
「水牡丹」は5〜6月のとってもポピュラーな菓子銘で、時期になると全国津々浦々の上菓子店で作られます。
多くは葛まんじゅうのような形態で、淡い牡丹色の餡玉などを葛生地で包んで蒸しあげるなど、涼やかさを感じさる工夫が見られます。餡玉に細かいサイの目状の寒天(錦玉)まとわせたものもたまに見るけど、いずれにせよ半透明の葛や寒天の中でぼんやりと透ける淡い色が、入梅頃の花をイメージさせるのでしょう。
6月のお菓子は水ぼたんとあじさい(左)
越後屋若狭では「紅ぼかし上用練りきりを薄い錦玉で巻き、茶巾に絞っ」た独創性に富んだ水ぼたんを調製。
(白あんでなく)山芋でつないだ上用練りきりを、単純な一色でなく、内側から滲むような、あたかも花のようなぼかし色に仕上げています。生地を重ねただけでこんなにデリケートな色合いが出せるなんて・・・ためいきがでちゃう〜。
小豆こし餡を紅色の上用練りきりで包みさらに白い上用練りきりを重ね、薄ーい錦玉で巻いて茶巾に絞る、はーっ
岬屋では6月前半に水牡丹を、後半は黒糖をつかった黒牡丹に変わります。
岬屋、吉野本葛製“水牡丹”(画像左) 6月後半は黒牡丹と青梅(右)
どちらも吉野本葛をつかった葛まんじゅう型ですが、水牡丹は小豆こしあんを淡い牡丹色の求肥で包んだだものが芯になります。単に白あんを染めるのでなく一工夫するのはさすが。
黒牡丹は葛に黒糖が入るので、中の小豆色を活かすよう、こしあん餡玉がそのまま芯になります。
上等な本葛がたっぷりで、葛好きのワタシにはたまりません。黒牡丹というシンプルだけどありそうにない菓子銘もすてき。
どちらも、都内では他とは一線を画す上菓子のお店。
一度に揃えていただく贅沢は講座にかこつけて。
受講者の皆さん共々しみじみ味わい感涙ものでした。
越後屋若狭、6月3週目は錦玉“五月雨”も加わり
ちなみに水牡丹、黒牡丹ともに実際の牡丹の種類にはありません。
(どう考えても多肉植物のミズボタン (アラクノイデア)とは無関係でしょう)。
いつごろから作られているのかは知らないけれど、趣ある菓子銘です。
★昨年夏の越後屋若狭の記事
葛まんじゅう
★これまでの岬屋の記事
羊羹粽
栗蒸し羊羹 白小豆
水無月の記事
●本所一ツ目 抹茶菓子 越後屋若狭
菓子の購入は完全予約制です。
東京都墨田区千歳1の8の4 日曜、祝日休み 時間 10:00〜17:00
水ぼたん、あじさい(6月):一個375円税別
●「岬屋」(「上菓司 岬屋」)
店舗:東京都渋谷区富ヶ谷2-17-7 03-3467-8468 日・月曜休
黒牡丹(本葛仕込み)6月後半:一個300円税別 吉野上葛、 黒糖、こしあん(小豆、上白糖) 水牡丹6月前半:360円税別 小豆、上白糖、吉野上葛、餅粉、着色料
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★おまけの話★
5月の話ですが、宮城県塩竃市の老舗、丹六園の店舗が国の登録有形文化財に指定されました。〜震災の際、被害に遭われたものの建物そのものは持ちこたえた風格あるお店です。震災とときは完全に壊滅してしまったのではと危ぶまれていましたが、ほんとによかった、おめでとうございます。→この関連記事
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素晴らしい江戸老舗「越後屋若狭」
それにしても、艶やかというかエロチックですわ。わたしには、湯上がり美女のほうがさわやかに見えます(笑)。きっと我が母が見たら「肉色」といったに違いない。
そして断面を見てのけぞりました。すばらしい技術に感心しまくっております。
夏のお菓子って、なんかいいですよね〜。
越後屋若狭の葛まんじゅうやら錦玉系のお菓子って毎度エロチックですよねー。オヤジとしてはよろめかずにはいられない。
>肉色
うひゃー、和風艶事ってかんじ。お母さま大胆。
>技術
同感ですー、この奥行きある、美しさは一朝一夕で表現できるものでないと思いました。
よって予約制は妥当かと思われます。
塩釜の丹六園さん、店舗兼主屋が国の登録有形文化財に登録されてのはいいニュースですね。
多分、本塩釜駅周辺は津波被害で建物が歯抜け状態にあるかと思います。 その中の登録有形文化財指定。
塩釜の人の励みになればと思います。
お返事送れて失礼しました。
とてもデリケートなお菓子ですから、時間に併せて調製してくださいます。
そうですね、丹六園さんのニュースは地元の方にとっても嬉しいことでしょうね。