シカさん
うり坊
先月末に始めてお店を訪れた名古屋「川口屋」。
元禄年間創業、300年ほど続く老舗・・・
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・・・です。
当ブログではこれまでに2009年と2012年と2010年と2009年4月にご紹介しています
お店は三越やら丸栄やらの百貨店が並ぶ栄町界隈の伊勢佐木通り沿い。
飲み屋なんかも並び歓楽街っぽさの漂う、そんな街中にあります。
おそらく、通行人の多くは、ここが茶席を主にした上等な生菓子を手づくりしていることは知らないのではなかろうか。いやひょっとすると和菓子屋であることすら認識してないかも。というくらい、フリの客は皆無と思われるような店構えですが、かといって入りにくいわけではありません。
なんか好きです、このかんじ。
店内ガラスケースに並ぶ、生菓子見本は7種類。
2種類だけ、と決めてたけれど、絞り込むのに悩みました。
説明を訊いて、これはぜひ、と選んだのが"鹿の子餅"。
練餅(餅由来の粉(餅粉、白玉粉、羽二重粉)を練った)の中に粒あんと栗と、そしてりんご。
この時期ですから栗はわかるけれど、りんご!ですって。
名古屋の上菓子店ですから、ここは薯蕷饅頭も楽しみだしと山づと、やはり本物の"栗粉"も選ばないわけにはいかん、と結局3種類(あとで考えるとすべて栗使用♪)をチョイス。よい御菓子屋の前ではいつも初志貫徹皆無のオイラ。
焼印を押しますので少々お待ちを、とのこと。
さすが、茶席菓子を担うお店、こういうところでひと味もふた味も美味しくなるのだ。嬉しい。
店頭でしばし、女将さんから興味深い話のあれこれを伺いました。
はるばる神奈川湘南から参上した旨を告げると、わざわざ遠いところまで、と歓迎してくださったようです。
お願いごとなどもきいていただき、新幹線とんぼ返りの甲斐もあります。
さっそく、近場で(三越某所(笑)にて)頂いた鹿の子餅。
渋い色あいの餅に押された焼印の美しさに思わずしばらくみとれてしまった。
そして。いままでワタシが食べたどの練餅よりもおいしい練餅生地だった。
ほのかに漂う焼印による香りも加わり、さらに美味しさを増します。
大納言粒あんとりんご
練餅って(さほど好みでもなかった生地なんですが)、上等かつ新鮮なものはおいしいのだわ。
柔らかいけれどベタつかず、練餅独特のにおいも感じられない。ふんわりと、しかし歯切れがよく、羽二重もちに劣らない口あたり。むろん個人的には求肥より好み
そのうえ、なかの瑞々しい大納言粒あんと"りんご"。
もうノックアウト寸前よぉ。
甘くほのかな酸味がとろりと炊きあげた大納言とまことに相性よろしゅうございました。

そんなすてきな川口屋さんの練餅は、11月に入ると亥の子餅に変わります。
近年、都内でもポピュラーな存在となった亥の子餅。
その歴史は大変ふるく、源氏物語にも登場。
もともとは旧暦10月の最初の亥の日に行われた玄猪の祝いに無病息災を祈っていただいた餅で、平安時代、すでに禁裏で行われていたのだとか。
江戸時代に入ると、さらにさらにものすごく盛り上がったみたいで、多産の猪にあやかって子孫繁栄を願う町民に、さらには収穫祝いとも結びついて農村にも広がっていったのだそう。
現在は、11月に行われる炉開き・・茶の湯にとって新年とも言える重要な儀式・・に欠かせないお菓子です。
猪は火伏の神として知られる愛宕神社の使いであることや、菅原道真を、亥の日には炬燵や火鉢に火を入れる習慣があり炉開きに結びついたのだそうです(この辺りの出典忘れたけど複数の書物から)。
十四代川端道喜によると、十月玄猪と霜月玄猪(11月)があり、十月玄猪は丸餅とされ、霜月玄猪に碁石ほどの紅白黒の三色餅を用いるとのこと。昨年だったか、末富がこの三色餅をつくってましたね、ワタシは逃しちゃいましたが、召し上がった方いらっしゃるでしょうね。
さて、川口屋さんの亥の子餅。お店のしおりに紹介されている冬の代表的なお菓子です。
鹿の子餅と同じ練餅に大納言粒あん、そしてそして銀杏と柿がちいさなうり坊の中に。
まわりには香ばしく炒った黒と金と白の胡麻がびっしりと。
彩りバランスにセンスを感じさせますが、三色胡麻と練餅の一体感に富んだ口あたりも驚かされます。
瑞々しい粒あんが美味しいのはもちろん、銀杏の歯ざわりと干し柿の彩りもワクワクさせる、とっても素敵な亥の子餅でした。
名古屋は素敵なお菓子屋さんが目白押し。
よって素敵なお菓子も年がら年中大豊作。
次はどちらのお店のお話しにしましょう、ああ、亥の子餅、銀杏餅、栗きんとんにあれやこれや。
短く文章を書く工夫をしなくては。
続きはできるだけ早めに。
都内も大磯も小田原も鎌倉も国立も書くべきことが山積みです。
●川口屋
名古屋市錦3-13-12地下鉄栄西駅1番出口052-971-3389日祝第4土休9:30〜17:30
覚え書き
・亥の子餅(練餅)346円:砂糖、大納言、餅粉、白玉粉、羽二重粉、胡麻(黒、金、白)、柿、銀杏
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こんなうり坊、見たことないですよーう。
やはり川口屋さんのお菓子は素敵ですね。ウラヤマシイ〜。
では名古屋記事引き続き楽しみにしております!!
ものすごく駆け足で巡ってきました(笑)
いいでしょ、亥の子餅と鹿の子餅♪
行ってみて思ったのはとりわけ川口屋さんのお菓子は鮮度がよいさらにさらにその良さが倍増するのだなあ、と。かといって翌日がダメなわけでなく充分に美味しく魅力的なので、大好き度数アップです。名古屋は喫茶店と甘味処も充実しているし、人々もとても温かく親切。何度でも行きたくなりますね。
★岐阜市「つばめや」
・わらび餅(きな粉が隙間なくぎゅうぎゅうたっぷりと、スプーンですくうとスライムのように逃げ出すとろとろな餅が絶品!)
・草餅(私の草餅ランキング1位、当日賞味期限が納得できるもっちもち草餅の中にみずみずしい甘さ控え目あんこが絶妙)
★岐阜市「福丸」
・たい焼き(天然たい焼きです。小ぶりの薄皮カリカリ生地に美味しいあんこで1回で後引き必ず2個食べます)
★土岐市「虎渓」
・とっくり最中(最中といえばあまーいまったりあんこと思ったら甘みとふくよかな食感のあんこが美味しい!と感動)
★多治見「富士アイス」
・じまんやき(いわば、今川焼き。近くに来たら絶対立ち寄り知ってる今川焼きの中でここが一番好き。駅近で学生がたくさん立ち寄り80円で1つ買い食いするところ。出来立てを食べては毎度毎度やっぱりあんこ美味しいーって発します。
★名古屋「六十一万石」
・六十一万石(手作り感あふれる見た目はあんこ好きの直感でうまいと思わされます。こんなに甘さ控え目で美味しく仕上がる新しいあんこ餅!ボリュームあっても2個はいけます
・カステラ(あんこじゃないけどおすすめ。とにかくしっとーーーり‼︎)
★名古屋伏見「山本屋」
・薄皮饅頭(究極に薄皮でほとんどあんこたべてる状態です(笑)誕生日にこれとお願いするほどずっと変わらず愛してやまぬ逸品です)
まだまだ色々とありますが、しつこくなりますので(^^;;
ブログ楽しみにこれからも見させてもらいます!
あんこにりんごですか・・・?意外な組み合わせも有りなんですね!
東海地方には美味しい和菓子屋さんたくさんありそう!
ちょちょっと新幹線で・・・、って出来ないのがとっても残念(悲)。
はじめまして、おはようございます。
御返事が遅くなってすみません。なんてすてきなハンドルネームですね♪
なにより。とってもとっても貴重な情報をありがとうございます!!!いずれも魅力的で、すぐにでも行ってみたくなりました。ツバメヤさんは以前から興味があって大地のおやつも大好きなんです。草もちはHPで見て、いいなあ、とおもっていたところです。そうかやはりおいしいのですね〜〜。またどうぞ教えてくださいね。岐阜もいいですねえ。よかったらこれからもブログ覗いてみてくださいませ♪
りんごは軽く煮てあったのように思います。煮りんごも柿もあんこと相性いいですよ〜。そういえばシナモンアップルと合わせても美味しかった。九州も行きたいところ満載です。宮崎もまた行きたいなあ。いもすけさんもぜひおいでくださいね。店構え・・今思っても大沢もち店のよもぎ餅はおいしかったですね〜、最高でした。