
蕎麦と伊勢芋、大納言のハーモニー♪
きみしぐれに大徳寺納豆♪
1935年創業「川村屋」は
茶の湯処である名古屋の茶席菓子の中でも大手菓子店をしのぐ人気・・・
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・・と評判なのだそう。
前回の川口屋同様こちらもお店訪問ははじめて。
店内に入るといきなり、2代目ご主人がいらしたのでちょっと面食らいました。
飯田街道沿いのひっそりとした仕舞た屋風
はじめてこちらのお菓子を頂いたのは8年以上前のことですが、薯蕷饅頭にいたく感激して思わず電話をしてしまったことをいまもよく覚えています。
そのときのお菓子はこの記事で→*
10月後半の菓子見本をガラスケースに
それで、名古屋の上菓子屋は薯蕷饅頭に伊勢芋を用いるのだと、このとき始めて知ったのです。
薯蕷饅頭は生地を(薯蕷ってくらいですから)ヤマイモを使って膨らませるわけですが、
ヤマイモの種類は地方、あるいは店によってさまざま。
つくね芋だったり丸芋だったり、関東では主に手型の大和芋(イチョウ芋)がよく使われていますね。
そのなかで伊勢芋を使った名古屋の薯蕷饅頭の濃厚な香りとふっくらもっちりとした食感は圧倒的。
粘りけの強い伊勢芋のちからだけで気泡をたっぷり含んだお饅頭は
割ってみると見た目からしてタダモノではなく、ホントに目からウロコがぼろっぼろ落ちたもんです。
そんなお茶処名古屋ならではのステキなイベントが10月30〜11月23日の期間に開催されたのでした。
その名も「和菓子でめぐる尾張名所図会」。
「やっとかめ文化祭」という名古屋市内で行われた"まちの祭典"のイベントのひとつで、
名古屋が誇る和菓子店の精鋭19店が、江戸時代の観光ガイドブック「尾張名所図会」にちなんだ特別なお菓子を期間限定であつらえるという、和菓子処ならではのまさに夢のようなす〜〜ばらしい企画だったのです!
しかも各店それぞれ縁の名所図ポストカードが付くというもの。
こちら↓がインスパイアドされた名所図会。

「加藤清正 名古屋城石引の図」オリジナルの単色図絵にデジタル技術でイメージ着色したもの
開催中に名古屋巡りしたかったんですけど、それが適わないので
今回、特別にお願いして送って頂いたのが・・・
そば上用「清正公石引道中」。
伊勢芋を用いた蕎麦薯蕷饅頭で、中は大納言粒あん入りのこしあん。
好きなものばかりのトライアングルです、ステキでしょう。
川村屋では
名古屋城天守閣の礎石を蕎麦薯蕷饅頭に見立て、車輪の焼印にこなしでつくった紅白の大綱をかけ、金粉を散らして賑やかな“清正公の石引道中”としたのです。
淡くグレーがかった蕎麦の色と香り、蕎麦薯蕷独特のしっとり感が、味はもちろんお菓子の存在にいっそうのスペシャル感を与えていました。香りがまたすばらしかった。
それからもうひとつは"亥の子餅"。
亥の子餅(もろこし餅)
12月に亥の子餅の話は遅すぎるけれど、でも川村屋製はちょっと特別なので備忘録として書いておきます。
こちらのうり坊さんは"もろこし餅"。
もろこし(蜀黍)つまり"たかきび(高黍)粉"をつかった羽二重風のお餅で大納言粒あんを包んだものです。
赤い高黍粉で色を出しているのでしょうか。餅に粟も混ぜ込んで、これがさっぱり感を増し、食感のほのかなアクセントに。なんといっても大納言粒あんがおいしくて、一つなんてぺろり。こういうお菓子ってやはり好き。
記事の冒頭2つめのお菓子は10月訪問時に頂いた"初しぐれ"。
大徳寺納豆をしのばせた、これまた名古屋らしいひねりを効かせたきみしぐれ。中は小豆漉しあん。
楓に抜いた意匠も魅力的でした。
※「加藤清正 石引道中」
名古屋城築城の際、名古屋出身である加藤清正が幕府より普請の命を受けた。市内に秀吉清正記念館がある。
入口の植え込みと蹲い
☆川村屋ほか名古屋関連記事アーカイブス
●川村屋:名古屋市中区新栄2-18-1 052-262-0481fax052-262-0482日祝休10〜18時
・清正公石引道中(そば上用)302円?:大納言つぶ餡、小豆漉し餡、砂糖、そば粉、米粉、やまいも、卵、手亡餡、小麦粉、着色料
・亥の子餅(もろこし餅)302円?:大納言つぶ餡、砂糖、米粉、もろこし粉、粟、手亡餡、卵、片栗粉、胡麻、きな粉(大豆)
「川村屋」備忘録:
「1935年創業。菊乃屋の屋号で創業した後、初代の修行先「川村屋」を受け継ぎ改名。茶の湯文化の発達した名古屋において、五指に入るといわれる茶席用菓子処。市街の新栄、飯田街道沿いにひっそりと構える店は、茶花と折々の掛け軸を欠かさず落ち着いた雰囲気。京都「本家玉寿軒」で修行した二代目当主、戸松慎吉氏と三代目滋夫氏を中心に調製、家族ぐるみの経営。おもに注文に応じた生菓子と干菓子をこしらえている。大きく宣伝していないため一般に広く知られていないが、 その確かな技と味は名古屋の茶人の間で高い評価を得ている。」
*以上、間違っていたら教えてください。
●おまけの話●
1:名古屋出身の塾講師、林修さんの実家は代々、茶の湯をたしなむおうちで川口屋の菓子を祖父母の代から愛用。和菓子好きの本人も最高の菓子店と絶賛していて、ご自身のブログとマスメディアで数回紹介しています。ワタシはこれらの記事やご自身の和菓子関連のエントリーを読んで、林せんせーに親近感。頷けるものが多々あるんです。
2:二代目ご主人から伺う薯蕷饅頭のあれこれは楽しかった。いつか機会があればご紹介するかも。
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【近畿、東海(京都、大阪、名古屋・・)の最新記事】
歴史のある街はやはりいいものがたくさんあるんですねぇ〜。東京はどこに行くのも便利だからほんと羨ましいぃ〜〜〜。
名古屋ってまだ行ったことないので一度行ってみたいんですけどね・・・。
そば上用「清正公石引道中」、そばの香りがするんですね。こういう色合いのお菓子が好きです♪見た目もかわいい!
「きみしぐれに大徳寺納豆」も気になりますが・・・。
あ〜名古屋、全然縁もなく知り合いもいない所ですが行ってみたいな〜。
もろこし餅の亥の子餅も興味津々です。
それにしても楽しそうなイベントですね>やっとかめ。ああまた行きたいな〜名古屋。
実際、現地に行くことは出来なかったんですが、すごく楽しそうですよね〜〜。ワタシも今は湘南なので、横浜か小田原まで行かないと新幹線乗れない&空港はさらに遠い・・・とはいえ便利ですよね。宮崎も歴史ある土地柄だから、掘るといろいろありそうですが。名古屋は徳川ゆかりの地なので茶席菓子がおもしろいし、喫茶店や甘味処おもしろくって。ワタシもまたまたまた行きたいなあ、と思っています。
やっとかめ、ってこれで始めて知りました。訊けば朝ドラ関連で全国区になったことばだとか。
名古屋は距離もほどほどなのに、独自の菓子文化、食文化があっておもしろいですね〜。ワタシもまた行きたいなあ。ヒトも皆さん親切でよかったです♪
お返事が遅れちゃったけど(ゴメンなさい)まだ日本かな。
いいですよね、こういった町ぐるみ、密度の濃いイベント。歴史ある街ならでは。東京の和菓子店にはないことです。
松島屋さん獲得よかったですね〜。
今年はとにかく栗が不作で、和菓屋さんは皆困ってました。
伊勢芋ですが、多気町というところが産地のようですね。
その地域だけでしか栽培できないとなると三重県、愛知県、岐阜県ぐらいにしか使われていないのかもしれないですね。全国にお取り寄せできるようですが。
林先生のブログ初めて拝見しましたが、かなりの食いしん坊のようですね。(笑)
コメントありがとうございます。薯蕷饅頭も各地によって味わいが異なるのもおつなモノですね。
林先生は食に纏わるうんちくもお得意みたいです。