"谷中の里"は肉桂(シナモン)の効いたひとくちサイズの焼菓子

銘菓"浮草" 生姜風味がたまりませんの

むっちりとした栗蒸し羊羹と香ばしい栗饅頭
2年ぶりに谷中岡埜栄泉を訪ねると、なあああんと!新作があるではないか。
15年以上通って、新作菓子というのを初めて見たのだ。
それなりの衝撃を受け・・・
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・・ました。
(女将さんも仰ってましたが)少々ベタなネーミング"谷中の里"というその新作は、
たっぷりの桂皮末(シナモンの仲間)をまぶした焼菓子でした。
先々代が創案した浮草以来の新作だと思いますが、50年ぶりってのはワタシのいい加減な解釈。
気になる方はお店にいらした際に伺ってみてください。

それぞれ三個入り小袋有り
谷中岡埜栄泉といえばまずは豆大福ですが、
それに並ぶ看板商品"浮草は生姜をたっぷり使った焼菓子。
肉桂を使った谷中の里はその姉妹品といった趣です。
"浮草"と同じように、小麦粉ベースの生地に餡を包んでオーブンで焼いた、謂わば小さな焼饅頭で、浮草の小倉あんに対して谷中の里は白こしあん。
名作の誉れ高い"浮草"は、焼きあげてから砂糖蜜がけしており、この蜜衣が絶妙な口あたりで
また生姜の風味を引き立てているので、
肉桂だけで勝負できるのかなあ、と食べる前はやや懐疑的だったのですが・・・・。

谷中岡埜の焼菓子はやはりおいしい。新作も美味しい。
さすが桂皮末(ニッキ)、さすが谷中岡埜。
洋菓子に使うシナモンよりもやや強い辛みは、ほどよいアクセント。
ちいさな焼皮は焼いた当日はしっかりとしてますが、翌日以降はシンプルな白餡とさらによく馴染んで、相性がいい。
蜜衣がないぶん、またスパイシーな肉桂とあいまって浮草よりさっぱりといただけると思います。
シナモン(肉桂)&白餡
生姜&小倉あん
こちらの焼菓子はどれもバターなどの油脂や生クリームなどの乳製品を一切使わないので、ややしっかりとした食感。素朴なだけに生地そのもののと中餡のバランスの良さが求められますが、それが秀逸。昇り鮎にしても、栗饅頭にしても和の焼菓子としての醍醐味を感じさせてくれます。
谷中岡埜栄泉はワタシにとって不思議なお店。
普段なら好まないような条件が、揃っているお菓子でも、なぜだかここのは、美味しい!と感じるんですね。
ご主人も女将さんもまだお若いのですが、先代からの製法や材料を素直に継承し、そのままのお菓子を提供し続けている。
伺ったところ、つくり方も材料も特別に変わったところはない(ある意味、特殊なところはポツポツとあるが)のですよね。
看板菓子の豆大福をはじめほとんどが通年品というのも、あまり好みのお店にはないパターン。
豆大福は"粒あん"派のワタシ。でもしかしなぜだか。谷中岡埜栄泉の豆大福(こしあんです)だけはいつ食べても美味しい。
三日月、生姜蜜を刷いた調布生地の焼菓子
栗蒸しようかんも通年販売。もともとは季節ものだったけれど、何年か前からお客さまの要望で年間を通してお店に並ぶことになったのだそう。
これが不思議と美味しい。
そりゃ自家製あんできちんと作ってらっしゃるのだから不思議ってのも失礼な話ですけど。
狭量なワタシは"栗蒸しようかんは新栗でないといまひとつ"、という固定観念がついついはたらいてしまうわけですが、舌は正直なもので、美味しいものは美味しい。なんで好きなんだろうなあ。
すごい秘訣でもあるのかとつくり方や材料を訊ねたところ、これまたフツー。材料の割合に特徴があるかと、思っていたら。ただ 味に関係あるとも思えないようなあるワンステップがなされていたんですが、これが理由なのか、どうか。
ワタシ的ベスト昇り鮎
フワフワ、トロトロ、口の中でとろけるといった修飾語と無縁の
しっかりとした口あたりの焼菓子たち。
シンプルでさっぱりした味わいが、ワタシにとってはたまらない魅力です。
ブログ内関連記事
昇りあゆと栗蒸し羊羹
浮草
三日月
豆大福
谷中岡埜栄泉
FB
※シナモンとニッキ、カシア(参考サイト)
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す、すみません!すっかりお返事したつもりで・・・
昇り鮎は、ここのが1番好きです。っていうか、ここのだけが好きなのかも。こちらのお菓子はしっかりした味ですが、なぜだか色気を感じますのよ〜。
久しぶりに浮草食べたいなぁなんて思っていたところですが、やはりこれはお店に行かねばなりませんね。
来月、千駄木へおいでの際にぜひ!・・・通年品のよいところですね〜。浮草と谷中の里のダブるがおすすめよ。
たまたま買う機会があって、すごくおいしかった
ので(浮島よりも好きです)、翌日、またお店に
行って、「おいしいから早く販売したほうがよい」
と言いに行ったのです。
ついに商品として販売されるようになったん
ですね。うれしいです。
さっそく明日買いに行かねば。