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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2017年08月16日

クウネルの和菓子たち〜レモン羹と抹茶の葛よせ 

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東肥軒

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甘味ゆい

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菓匠菊家

 発売中のku:nel(クウネル)9月号・特集「涼やかでおいしい、夏の和菓子あれこれ」にて監修・執筆を・・・

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・・・担当させていただいております。→ku:nel 2017年9月号
これがなかなか見逃せない内容でして。
老舗と、そして新世代の和菓子店16軒を対比させるかのようにまとめて紹介しています。
いずれもワタシの好きな店ばかりではあるけれど、編集者T氏と綿密な打合せを重ねて客観的に選ばせていただきました。

 まず、老舗からは塩野、とらや、ときわ木、岬屋、菓匠菊家、そして渋いところで東肥軒・・・このあたりに本性…本領発揮か(笑)。


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とらや 若葉蔭

 気になる新世代は、お茶の子まめ、まめ茶わん、まめ(偶然にもこの3まめ店主は女性)、菓子こよみ、わ菓子徳、和のかし巡、一真庵、そして甘味ゆい。いずれもワタシが美味しい!と、何度も足を運んだお店です(資料や伝聞だけで上手に紹介することができないのが強みというか弱みというか)。ここ数年、イベントオンリーの若い作家さんも増えましたが、こちらはすべて実店舗を営んでいます。



さて。
老舗のなかでは唯一、朝生菓子中心のお店である豪徳寺「東肥軒」。
拙著「東京いとしの和菓子」でも紹介させていただいていますが、粟大福やおだんご、蒸しきんつばなど小豆そのものを楽しむ、親しみのあるお菓子が美味しくて豊富、そして驚くほどお手頃→

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今回、クウネル掲載のお菓子は小豆ではなく"レモン羹"。
まさに「涼やかでおいしい」フレッシュな生菓子です。
なんてたって"錦玉羹"としては型破りなほど甘さがほどほど、レモンたっぷり。
新鮮な生レモンを絞った果汁をふんだんにいれた寒天にスライスした生レモンだけのシンプルさがありそうでなかった。
もちろん香料・酸味料なんて使いませんから、冷やして口にいれると爽やかな酸味がほわーっ。
ああレモン好きにはたまらない和菓子なんですわ。


正直言いますと、夏の上生菓子の代表格である"錦玉羹"の多くはワタシにとっては少々甘過ぎるのです。
なぜならば、
寒天液は砂糖の量に比例してその透明度を高めると共に、丈夫に…つまり傷みにくくなりますから、
美しさと安全性が求められる茶席用菓子などには、ある程度の糖分が必要されるのは当然です。
ルックスは上生菓子にとって、味に劣らぬ大切なファクターでありますからね
若葉蔭のように中に煉切などをしのばせる場合は、水っぽくなっては台無しですからなおさらです。
むやみに砂糖を使っているわけでなく、理由がある。
なもんで。
インスタ向け優先の昨今、錦玉羹が人気のアイテムとなっているのはビジュアルの佳さに他ならない。

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なんだか話がころがっちゃいましたが、
ちなみにこのレモン羹、最近の新作ではなく先代考案の30年以上続くロングセラーっていうところがまたステキ。
そうよ、昭和40年代頃ってレモン=おしゃれアイテム。
10代向き雑誌には"レモンのお年頃"とかさ、アイドルにレモン持たせてポーズ取らせたり、レモンモチーフの雑貨やプリント、お菓子もたくさんありました。
ま、そんな時代に生まれて、いまなお好まれ続ける涼菓というわけです。
そんな背景を知らずとも、ワタシはずっと好きでした、このレモン羹。
お手頃なので夏の集まりに持参したり、和菓子の講座で使ったり。
クウネルで紹介することができてよかったな〜。



「甘味ゆい」は行列のできる"かき氷"ではなくすてきな涼菓を紹介しています。
その"抹茶葛よせ"は店内メニューではなく、持ち帰り用のお菓子。

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紹介に至った経緯ですが
ワタシが担当する5月の講座では3回に渡り、甘味ゆいを訪問。
その際、持ち帰り用として調製していただいたのですが、これがまあ。
抹茶を本葛で寄せ、大納言小豆をたっぷり乗せたゴージャスな味わいの涼菓で
感激するほどの美味しさでした。

すでにページ構成が出来上がりつつある段階で「すごく美味しいので」と加えることに。
まったりとなめらかな口あたりなのに、生クリームなどの乳製品や加工糖類など一切使わず。
葛寄せの材料は豆乳、てんさい糖、八女星野村産抹茶、吉野本葛粉、寒天のみといたってシンプル。
北海道産てんさい糖で炊いた北海道産大納言小豆は甘さほどほどでふくよかな豆の味わいが楽しめます。アクセントには国内産くるみ。
至れり尽くせりの涼菓で冷蔵可能、むしろ要冷蔵ですね。


今年も残念ながら6月半ば頃から夏のあいだは甘味メニューはお休みで店内でいただけるのはかき氷のみ。
忙しさマックスのこの時期に登場することはない涼菓ですが、通年を通して美味しくいただけます。
早く、秋にならないかな〜。



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和のかし巡:餡子アイスキャンディ

最後にクウネル9月号に掲載した菓子名と14店舗についての当ブログ記事リンク先を一覧にしました。
クウネル本誌と共に楽しんでいただければ幸いです。

◎老舗
赤坂「塩野」錦玉糖→季節の半生菓子
赤坂「とらや」若葉蔭→
豪徳寺「東肥軒」レモン羹→粟大福、蒸しきんつば
日本橋「ときわ木」岩清水など→季節の生菓子
富ヶ谷「岬屋」水羊羹つぶあん、こしあん→水羊羹粒あん
青山「菓匠菊家」渓流など→季節の生菓子
◎新世代の店
南青山「まめ」葛桜→
国立「甘味ゆい」抹茶葛よせ→焼き餅ぜんざい
白楽「お茶の子まめ」くるみ入り寒氷→
鎌倉山「わ菓子徳」夏夜→
逗子「菓子こよみ」青柚子の水羊羹→
国立「一真庵」湧水など→
代々木上原「和のかし巡」餡子アイスキャンディ→ごま葛プリン
飯田橋「まめ茶わん」濃厚抹茶ようかん→ブログ外部


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お気に入りの逗子「菓子こよみ」、こちらは6月の生菓子。中に大粒の青梅入り。


クウネル2017年9月号

※おまけの話※
「わがし甘党の会」ではその後も会員たちがさまざまに和菓子の情報交換を始めています。うん、楽しいです、とても。会で召しあがったお菓子の販売があると聞けば、それぞれがそれぞれのペースで興味を持ったり、あるいは購入に出向いたり。なにせ、世のマイノリティ(笑)でしたから、これまでに出来なかった感激や驚きの共有ができることがワタシも含めてうれしたのし。オイラはさっそく会員さんから得た情報を元に、新しい菓子屋に出向き、次回はその記事をアップする所存であります。
会員の皆さん、更新が遅れていて申し訳ないっす。もう少々お待ちを。
あ、そうだ。10月22日に第1回茅ヶ崎パン祭りを開催します。詳細は後日。なのでここのところはパン関係でも動いていますが、和菓子と甘味は欠かさずにいただいています。


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posted by あんころりん at 16:58| 東京 ☔| Comment(4) | 甘党ジャーナル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素敵ですねー、レモン羹!
最近、レモンのお菓子がちょっとしたブームですが、ずっとずっと前から作られていたなんて!
クウネルもじっくり読み込みます!!
Posted by kozue at 2017年08月16日 22:01
kozueさん
レモン、ブームですよね〜〜。セレクト菓子コーナーのあるスーパーなどでは「レモン特集」があちらこちらで開催されてますものね。自慢じゃないけれどワタシは子供の頃からレモン派で、バニラやチョコより必ずレモンフレイバーを選んでいたのだ。
ところが和菓子のレモンものって実はありそうで少ない。柑橘類は柚子が主流のせいでしょうか。
そんななか、ある老舗にレモンの砂糖衣のお菓子をつくるべく、そそのかしており、レモンフォンダンのお菓子を送って「参考にしてください」とか言ってます。バカな客です。
Posted by あんころりん at 2017年08月17日 18:00
こう毎日毎日うだるような暑さが続いていると、すべて見ただけで涼しくなります。
もういい加減にしてくれ〜って言うくらいあち〜です(汗)。
私の好きな和菓子を食べたくなるのはまだちょっと先かな・・・。
雑誌、見てみますね〜♪
Posted by いもすけ at 2017年08月18日 06:02
いもすけさん
宮崎は猛暑続いているんですねー。
都内同様に湘南は8月に入って夏らしくない天気が続いてましたが、今日はようやく「あち〜〜」。
特集ページは渋めのお菓子を揃えてしまったのですが、味は保証しますので、好かったら見てね!
Posted by あんころりん at 2017年08月18日 15:32
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