大納言のぜんざい
杏餅
今年5月19日に開店した「菓匠 徳増」。
甘党の会メンバーから「新しく・・・
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・・・おしゃれなお店」と伺い、
わが家から17`ほど(横浜市内)なので自転車コギコギ訪れました。
週末の昼過ぎ。
落ち着いた雰囲気のスタイリッシュな店内は次から次へと客足が途絶えません。
ボーダーレスな創作菓子、独創性豊かな和菓子のほかに
どらやき、水羊羹やおだんごなどの定番生菓子まで品揃えも豊かです。
とりわけ小豆好きのワタシの興味をひいたのは能登大納言小豆を使ったお菓子。
粒あんは能登大納言、こしあんはふじむらさきと明示され
能登大納言は産地証明書も掲げているので、豆をはじめ、吟味を重ねて材料を選んでいることに気づかされます。
さて。
大納言小豆をストレートに味わおうとまずは「白玉ぜんざい」を。
これが期待以上にボリュームたっぷりでみごとなお豆さん!
潰さないよう細心の注意を払い、皮まで柔らかく炊きあげた大納言小豆は
宝石のように、いやワタシにとっては宝石以上に艶やかで魅力的。
ふっくらと大粒で、マイルドな口あたり。
白玉もおいしいはずですが、ついつい豆ばかり口に運んでしまいます。
夏の生菓子「水あそび」も大納言たっぷりの小倉羹に錦玉羹を重ねた涼菓。
淡雪羹の金魚が遊び、煉切の水草が漂う池に、ゴロゴロ大納言の礫石が沈む水底。
こんな池なら頭から飛び込みたい!
カップに流し込んだ錦玉羹は甘さも控えめで思いのほかやさしい口あたり。
小倉羹の大納言小豆の美味しさを引き立てています。
もちろんどら焼きの粒あんも能登大納言。こちらもおいしくいただきました。
もうひとつ、目を引いたのは"蕨餅"」。
「…本わらび粉を使用したわらび餅・・冷やしても…」の解説があり餡なしタイプで一人前カップ500円。
(いくらなんでも100%はないだろうと)本蕨粉の含有率を訊ねたところ、なんと60%!!
これは破格の割合ですっ。
世にある"あんなしわらび餅"のほとんどが本蕨粉不使用のものばかり。多くは"わらび餅粉"という別モノを使用して作ります。それはそれで美味しいのだけれど、国産の貴重な材料をないがしろにするように思えてしまう加工食品表示基準はどうよ、と思ってしまいます。本葛粉とかもね。
おっと横道に逸れましたが、
高い含有量に驚くと、(すこしでも良い材料を使いたいので・・)とギリギリまで頑張っていらっしゃるご苦労がにじみます。
餡入りより餡なしを好むワタシは久々に本蕨粉の風味濃厚なおいしさとに感激。
焦がしきな粉って本蕨粉にこそ合うのだとあらためて思うのでした。
わらび餅好きの家族に黙って差し出したところ「これはおいしい!!」
だよなあ。違うもんね。
添えてある黒蜜も上等ですが、蕨餅そのものがおいしいのでこちらには使わずに、
ぜんざいからはじかれた白玉にかけていただいた、超庶民的食いしん坊であります。
つくるそばから売れていく"杏餅"は
バニラで風味づけした完熟あんずのコンポートをたっぷり、白あん共にとろりと軟らかな餅で包んでいます。
ドライでなく旬の生あんずを(蜜煮と言わず)コンポートにするなど、パティシェとしての感性と作り手としての姿勢を感じさせます。下のレモン最中などもしかり。
最中(まる一口レモン)
あえて餡にはレモンコンフィチュールを加えず、滑らかに仕上げるようフレッシュな国産レモンを直前ですりおろし入れたのだそう。国産レモンの自家製コンフィはセンターに大きめのポーションをしのばせています。
FBで読む解説にパティシェとしての経験が生かされて、"和菓子屋ことば"にうとい世の多くの人々にとっては、かえって説得力があるように思います。
試作中の艶干し錦玉、レモンコンフィ入りと大納言入りの2種類をいただきました。パートドフリュイ風の仕上がりもおしゃれ
優秀な和菓子職人を多数輩出する「菓匠京山」で修行を積まれた後、
洋菓子をしっかり勉強し、ピエールエルメなどで本格的に洋菓子づくりに勤しんだという店主の徳増氏。
短い会話からより美味しく、より良いものをという誠実なものづくりの姿勢が垣間見えました。
オープンから数ヶ月、伝統の食材と製法を重んじながら本格洋菓子の発想を和菓子に落とし込むスタイルにこれからも注目したいのです。
★おまけの話★
さてあれやこれやとお菓子を選びつつ、ふとガラス越しに厨房を見るとカステラらしきもの。伺うと・・思い通りの仕上がりでないので今日は販売しませんと。しかしワタシにはすこぶる魅力的な焼きあがりに思えるのでムリを言って試食をお願い(初めての店でなんたる強引な!)。これがまあ、おいしいのだわ。既存のカステラと異なるなんとも繊細な風味食感。ほんのひときれを持ち帰り、冷めてから口に入れてもやはりとおおってもおいしいのよ〜。この魅力をすておくのはもったないな〜と思っていたところ、FBにな、なんと新作のシベリア&フルーツサンドが!!あのカステラなのだろうか。一刻も早く再訪したい!!あ、基本のカステラの販売も開始されているのでそちらも気になる。
ところでお店の場所は、4月頃に気の向くままに自転車で走った通り沿い。あの数日後に開店していたのね〜という気分もあって自転車訪問を即決行したのでした。最寄り駅は上永谷駅。
厨房に胴搗き機も設えているので、おだんごもございます
菓匠徳増FB
※横浜市港南区丸山台3丁目30番地4号
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どら焼きはやはり脱酸素剤入り。最近もう顔でわかる気がします(笑)。今日日もう賞味期限翌日とかを求めるのは諦めたほうがいいのでしょうか。。。
大納言、大粒で食べごたえがありました!
どらやきの顔、見た目はさほどではないのですが、予想に反した食感で、驚きました。
>賞味期限
まず阿佐谷は翌々日ですけど極上ですし、ワタシは今年、超好ましい2店(阿佐谷に勝るとも劣らない)に出会いましたよ。あきらめるには早過ぎる!
いいですねー大納言。お豆粒が押し寄せてくるようです!
「白玉ぜんざい」の大納言と「水あそび」に釘付けでした!
本蕨粉を使った蕨餅って食べたことあるのだろうか・・・?恐らくないと思います。どんか感じなのかな〜?
とても頑張って新しい試みに取り組んでいるお店。吟味した材料と製法がいいですよね=ちょっと遠いけれど、きのこ探訪のついであればぜひ。
とても頑張って新しい試みに取り組んでいるお店。吟味した材料と製法がいいですよね。ちょっと遠いけれど、きのこ探訪のついであればぜひ。
でしょ〜^、豆好きは目が釘付けですよね。本蕨粉を使っていれば本蕨餅って表記することが多いみたいですね。そうでないところももちろんあるけれど。
なるほど。ちなみに最初のコメントの2店は脱酵素剤、使ってないよ。あきらめずに頑張ってね。健闘を祈る!