波照間産黒糖の葛まんじゅうに百合根入り
秋茜
某店の百合根ゴロゴロ
「秋分に来て春分に帰る」
白い百合根が群れ飛ぶ雁を・・・
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・・・
表します。
長月ならではの本葛饅頭は一真庵から。
風味豊かな黒糖は波照間産黒糖をブロックから削りだしたもの。
・・空はすでに秋の気配。
あんころりんのInstagramより
さてブログ的に書くならば。
国立の雄「一真庵」では毎年(修行先の「一幸庵」同様に)9月を通して初雁を調製します。
先週末、お店に出向いて早々に味わってまいりました。
七十二候の四十九番目"鴻雁来"(こうがんきたる)は10月8日頃ですが、雁はまた『秋分に来て春分に帰る』と言われているのだそう。
秋のはじめに北方からやってくる雁が群れ飛ぶさまを表すのが白い百合根です。
一真庵の店主、柳瀬さんのお話しでは、店を始めた15~6年ほど前は9月になれば、百合根は市場に出回っていたのだそう。しかし近年は冬にならないと入手が難しいので、前年に入手したものをモミ殻に埋めてこの時期まで保存するのだとか。既成のシロップ漬を使えば簡単でしょうけれど(ワタシはあの出来合いの蜜漬け百合根が好きではありません)・・・。
そんな小さな手間の積み重ねで生の百合根のシャキッとした口あたりを楽しむ“初雁”を提供していただける、というわけです。ありがたい。
"初雁"という菓銘を見かけることはしばしばですが、黒糖を使った葛まんじゅうに百合根の組合せは多くないようです。
和三坊主さんのお話しでは、京都の松屋常盤がこのタイプの元祖である、とのこと。
そういえば、ずぅっと前に百合根がゴロゴロ入った初雁の画像を見かけたことがあったけれど。
あの(松屋常盤の)花びら餅を思うと、一度は食べてみたかったなあ、松屋常盤の初雁。
けれどもきんとん作りをすっかり止めてしまった松屋常盤が、この生菓子をいまも作るとは想像し難いのです。
そのほかの初雁を見てみますと・・
一真庵の修行先である「一幸庵」の初雁。
2013年の画像です。
一真庵より細く削いで、数切れをしのばせています。
一幸庵
さらにその修行先でる京都「塩芳軒」の初雁はこちら。
振り返ってみると初雁というお菓子について、過去に一番たくさん頂いているのは塩芳軒のものだったわ。
4回ほど頂いていました。
2012年頃 塩芳軒
2013年頃 塩芳軒
珍しいのは紹福楼の初雁。
餡なしで黒糖の葛餅に百合根をたっぷり混ぜ込んだもの。
5年くらい前に頂いたのですが、まだ作っているのでしょうか。
一真庵に話を戻すと
9月のごくはじめって夏と秋の端境ならではのお菓子が並ぶのが楽しいんですよね。
秋らしい意匠だけど、味はまだ夏の名残ってかんじ。
一真庵 "秋茜" 正油風味の小麦粉まんじゅう
たとえばトンボの焼印がキュートな"秋茜"。
生地にお正油を使ったお饅頭です。
夏まんじゅうとも呼ばれる正油まんじゅうは薯蕷ではなく小麦粉生地。
この素朴な口あたりが晩夏にふさわしく、ほのかに塩を効かせた皮が小豆こしあんとの相性が好いのです。
そして、初雁のほかにもうひとつ葛まんじゅうがあるのもこの短い時期ならでは。
"萩の露"はむしろ晩夏のお菓子の趣。
一真庵"萩の露"
葛まんじゅうの餡玉を頭道明寺で包むのは一幸庵と同じですが、頭道明寺の存在感がまったく異なり、こちらは小豆を散らした道明寺餅を葛で包んだってかんじですが、この道明寺がとてもおいしい。
道明寺キライのワタシですが、しっかりとした口あたりでベタつく甘さがまったく感じられない。
これなら好いなあ。
道明寺自体のクオリティも上等なのでしょう。
栗の出る前のほんの短い時期ならではの美味しさを堪能できました。
一真庵
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ありがとうございます。
素敵なお店ですね。
お疲れさまでした。
お口にあいましたでしょうか。気に入ったお菓子がえればよいのですが。