



前回(12月28日)からの続きです。
入手困難なことで名高い
“小ざさの羊羹”を提供してくださったまえばしさん。
持参した・・・
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・・・テーマ(和菓子食わず嫌いの友人へのあんこもの)のお菓子は東京豆大福御三家の異名をとる群林堂、瑞穂、松島屋の豆大福を選びました。


「あんこを好きでもない人に無理に食べてもらわなくても結構だとは思ってますが、「行列しないと食べられない」というキーワードがあると意外と皆さん食べるんです。そんな訳でこの3店を」選んだのだそう。
なーるほど。
入手し難いものは欲しい、あるいは訳がわからなくても行列に加わる、そんなミーハー心、じゃなくて好奇心をそそるところから導入するわけですね。
ただ、それが美味しくない、あるいは好みでないと諸刃の刃に。
・・ならば!
「小ざさの羊羹」以上に、ふさわしいあんこものはないのではなかろうか。
8年ぶりに頂いたこちらの羊羹。
変わらぬ、ごくごく控えた甘さになめらかな口あたり。しっとりと柔らかく、水分量は練羊羹と水羊羹のボーダーラインかと思うほど。甘党なら一本軽く完食できそう。
オイラは松島屋も瑞穂の豆大福も大好物ですが、あんこ食わず嫌いにはおざさの羊羹の方が・・。
と思ったとしても。
朝4時から並んで獲得した稀少なお菓子は、価値のわかる「わがし甘党」達でいただきましょう!
初参加のTMさんはかずやの煉、たいやきなど、いろいろ悩んだ末、やはり王道の美味しい餡であれば、美味しさが伝わるはず、と日本橋「清寿軒」の“小判どら焼き”をご持参に。

当初、まえばしさん同様に「うさぎや」3店(上野、日本橋、阿佐ヶ谷)のどらやきも候補にあったそうですが、営業日等の関係から断念。名店である「清寿軒」一本に絞ったようです。もともとご自身はさほど和菓子に興味はなく、ご家族の影響で(早い話が荷物持ちのために)お店を巡ることになり、いつのまにか美味しい菓子を頂くのも楽しみのひとつになった、のだそう。

たしかに清寿軒のどら焼きを食べてなお、あんこがダメならもう諦めたほうがいいかもね(って。架空の相手に吾、何を言わんとする)。
なかにしさんがお持ちになったのは、錦糸町「山田家」の人形焼。

難しいテーマに、当初はクリームなどと合わせたものも頭をよぎったけれど「それは違う」。ご自身が好きなポイントはそこではないから、と極めて冷静なご判断(ぱちぱち)。
あんこ嫌いの友人に理由を訊ねると「喉を通らない、こし餡ならギリいける、水ようかんならなんとか」との答。それでは、まずはは見た目から、とたぬきの姿も愛らしいこちらの人形焼をチョイス。


見た目だけでなくなめらかな餡の味わい、ふっくらとした小麦粉生地も元が卵屋さんのお店だけに素晴らしい、とのこと。「たぬきが化かすという訳ではありませんが、まずは見た目でアピールし、手を伸ばしてもらう。加えて、焼きたてのみならず冷めても美味しいのもポイント」というお話です。
山田家の人形焼は作家の宮部みゆき氏や料理学校長の服部幸應氏が贔屓にしていることでも知られていますが、人形焼の多くが七福神をモティーフにするなか、たぬき、太鼓、もみじなど親しみやすいフォルムに本所七不思議の包装紙が素直にカワイイ。
会のみなさんも(かわいい〜)の連発で、その場で食べずに持ち帰る方多数。ルックスに加えてふっくら加減も人気の理由ですね。
なごやさんのチョイスは仙台「三万石」の“ チョコままどおる”

「妹があんこ嫌いなので、お饅頭であれば皮を妹が、あんは私が食べてました。そんな妹が唯一食べたのがままどおるのチョコレート餡だったので選びました。プレーンは美味しいのにチョコバージョンはイマイチ、ということも少なくないけれど、このチョコままどおるは美味しい。通年販売でなく10月以降の季節限定お菓子です」。
チョコままどおる、たしかに直球と言えば直球・・・ですが「みなさんがお持ちになったお菓子を見て“まずい、亜種に走ってしまった”と・・」いうなごやさん。
↑撮る前に食べてしまった、その2

このあたりの冷静かつ客観的な印象をもたれるところが「わがし甘党」の本領発揮。いいよね〜この明るい自己批判、ワタシ的ツボです。
以前、主催者の座学を受講されてたまつむらさん。実はかなりの酒豪、いや酒通。
甘辛オーケーなこの方が選んだのは京都「源水」の“ときわ木”。

「餡はもっさりとしているように思われて敬遠されるので、上質なものを少量いただくのであれば良いのではと思い、セレクトしました。良い小豆を使い、小豆本来の味が活きています。」とのご説明でした。
こちらは都内百貨店で入手可能な「紫野源水」の“松の翆”ではなく、「紫野源水」店主、井上茂氏のご実家であり本流である「源水」の“ときわ木”。
どちらも大納言小豆を羊羹地にのせ、上にすり蜜がかかった半生菓子ですが、1825年創業、7代当主は茂氏の父上にあたります。
こんな半生菓子で食わず嫌いが修正できたら、瞬く間に和菓子にハマることでしょう。
今回も撮影担当のめさきさん。
主催者の山のような注文にめげず、ありがとうございます(しかも自作の簡易ホリゾント持参)。
そんな、気のいいめさきさんのチョイスは「かぎや政秋」の“ときわ木”。


「つぶ餡を薄く伸して焼きあげた菓子で、前述のまつむらさん持参のときわ木とは同名異品。
あんこが駄目な人も食べてくれた実績があるので、選びました。」
洋の焼菓子っぽいルックスは、カカオ色に見えるとも言えなくはないので、確かにハードル低そう。
あんこらしからぬドライな食感も、とっつきやすいのかも。
都内百貨店で通年の取扱があるので、気軽にお試し可能です。
お茶淹れを担ったたべさんは所沢「風月堂」の“カフェオレ大福”“ずんだクリーム大福”をご持参。

今年3月にワタシとの交流が始まり「そのときから和菓子に興味を抱いた新参者なので和菓子のことはよくわかりません。そんな訳で地元で若い夫婦が切り盛りしているお気に入りの店に今回のお題を丸投げさせていただきました。そうしたら、うちのお店ではこんなものをお勧めしてる・・」と包んでもらったのだそう。
煎茶を淹れるのがお好きで、今日は掛川の深煎り茶のほか、沖縄のお茶と狭山のお茶を用意してくださいました。曰く「南のお茶ほどさっぱりしている気がします。どのようなお茶がお望みかリクエストしてください。」。様々なお菓子を希望に沿ったお茶と共に味わえるとはまさに至福。茶前酒後ではなく茶前茶中茶後に頂くお菓子とお茶の美味しいこと
といったらありません!
前回同様、お菓子の分配及び、主催者のサポートをしてくださったのはいなみさん。
テンパった主催者(あんころりん)の無理難題にイヤな顔ひとつせずに、感謝感謝感謝でございます。
洋菓子講師を務めるほど、製菓の腕前をお持ちですが、休みなく豆大福やらどらやきやら最中などを次々と切り分け、食べやすいよう盛り付けてくださいました。
おかげで皆さん、もれなく堪能できたことと思います。
そんないなみさんは、取手「まるやま先栄堂」の“あんみたらし”をチョイス。


「あんこ嫌いの同僚が千葉外房にある餡入りみたらしの“あすみ団子”をひどく気に入ってくれたので、それよりさらに美味しい餡いりのみたらし団子をお持ちしました」。適度なコシと柔らかさを併せ持つおだんごは、中にあっさりとしたこしあん入り。甘辛のたれがたっぷりなので、なるほど、あんこ苦手でも食べやすいでしょうね。「まるやま先栄堂」は唯一、親子2代に渡り「選・和菓子職」を受賞したお店です。
少し遅れて到着した、たじまさんは初参加。
豊橋「童庵」の“まろ”をご持参くださいました。


名古屋グランパスの応援に行った帰途に豊橋に立ち寄り、お店で直接入手したのだそう。
寡聞にして知らなかった「童庵」とその代表銘菓“まろ”。
HPによると「魚沼産の鬼くるみと市田柿を白餡=白小豆(←和三坊主さん情報)でまとめ、柿色の羊羹をかけた」新しい菓子。いまで国産の鬼胡桃を使う菓子はごくごく稀。おそらくここ数年では初めてかも。胡桃の油分の酸化がまったく感じられず、とても美味しいひとくちサイズの菓子でした。ナッツが嫌いでない限り、あんこ苦手でもスムースにいただけるでしょうね。でも、あんこ苦手な誰かに食べさせる予定は皆目ないので、自分のために注文するであろう情報です。
どんじりは主催である不肖、あんころりん。
考えずに、速効で決定したのは、湘南周辺の移動販売「一丁焼このは」のたいやき。

たいやきを選んだワケは
普段、和菓子に縁のない人々(年配男性、ビジネスマン、子供や若人)もたいやきだけは食べる傾向にあり、行列店においても老若男女が並んでいますよね。冬のおやつとしてはかなりの普及力で和のおやつとしてはトップクラス。
ルックスも重要で外国の方など「あのキュートなお魚のお菓子が食べたい!」なんてこともあり。
この日、甘党のメンバーに召し上がっていただくなら、美味しさはもちろん、湘南でしかも移動販売という、入手の難しさを鑑みて(前日焼きになってしまうけれど)ワタシ的ワンオブベストである「一丁焼このは」のたいやきをチョイスしました。湘南ではベスト!と断言しているブログ記事→一丁焼このは。しかし、ここ数年で小麦粉(パンもお菓子も)は圧倒的に国産のほうがいいですね。
自分自身についてはほんの数年前まで煉羊羹、最中が苦手。
子供の頃(つまり味覚の幅が狭い時代)はこしあんに手を出さないタイプで、家族全員ともに粒あん派。
年を重ね、さまざまな菓子に出会うなか、いまでは煉羊羹やこし餡の最中なども大好物に変貌を遂げましたが、あんこ嫌いの気持ちは理解できなくもない。
さらに9年間、菓子巡りの講座を担い、出会ったさまざまな受講者さんを見て感じたことは、
甘さがストレートに出る和菓子の“あん”に関しては、朝生菓子など量をいただく(=甘さの淡い)タイプがより親しみやすいようなのです。実際、たいやきを拒否された方はこれまで皆無でした。
とは言え、豆そのものが苦手な方は粒あんよりこしあんがまだマシと言うから、人ぞれぞれってことですね。
ま、何にしても自分が美味しければそれでいいのだ。
それにしてもみなさんがお持ちになったお菓子のクオリティの高さと言ったらありません!
どれもこれも、ホントに美味しくて、くりかえし食べても飽きのこない上質なあんこのお菓子。
この幸せを胸に、来年は更に和菓子にとって飛躍の年になることを祈ります。
このブログをお読みくださっているみなさま、
今年もお世話になりました。
大納言小豆のようにしなやかに艶やかな一年になりますように。
来る年もよろしくお願い致します。
来年も開催しますよ〜「わがし甘党の会」。
2017年12月 あんころりん
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そして、こんなにもいろいろな和菓子を一度に見られるなんて〜〜〜。素晴らしいーーー!
ますます、私が参加するとしたら何にしようと悩みます・・・。
あんころりんさんの一つ一つのご丁寧な説明もとても分かりやすく、食べていないのに十分に食感や味が想像できます。
そして、この会に参加された皆さま、このブログでたくさんのあんモノを拝見できましたこと嬉しく思います。いつの日か参加してお会いできる日を楽しみにしています!
あんころりんさん、この会もこれから第3回・第4回・・・と続くことを願ってますよ〜♪
いただき、ありがとうございます。
童庵、もうひとつの代表商品「柿の祠」には
白小豆が使われていますが、「まろ」に
白小豆が使われているかどうかは存じません。
童庵は豊橋駅から徒歩で6〜7分
おしゃれなお店です。
ご丁寧なコメントをありがとうこざいます!今回の参加は叶わなかったけど、写真と文章で雰囲気だけでも楽しんでもらえたら本望です。ぜひ皆さんと実際に会ってお話ししてほしいなー。
いもすけさんがいらっしゃれるように継続できるよう、努めます!
豊橋にいる友人に今度聞いてみようっと。
最近すっかり出不精で、情報更新ができていないことを痛感しております。
楽しい会でした。ぜひまた難題を!(笑)
そうですね、まろは何気ないようでインパクトのあるお菓子でした。
和菓子の良いところは知らない土地に思いをはせて、実際に足を赴けるまでの魅力があるってところですね。
せっかくあのようなメンバーが集まるのだから難題でまいますわよー。
来年もよろしくお願い致します!
ですよね〜。いま思ったのですが、あんこ苦手な方は大まかに2タイプあって、甘さがダメな人(大食倶楽部さんやワタシのような)と豆が苦手な方。前者は羊羹、最中系が苦手、後者は粒あんが苦手なのではなかろうか。
大食倶楽部さんからお褒めにあずかり、とっても光栄です〜。実はしっかり読むと文章が成り立ってない、とかテニヲハがおかしいとかあるので、自分では赤面しながら読み直すですが。
そんなオイラですが来年もよろしくお願い致します!
あけましておめでとうございますございます。
年内にご指摘ありがとうございます!
お話を読み違えたみたいです。今年は誤りの少ない年にしたいと思います。
今年も会を継続できるように努めます。
どうぞ今年もよろしくお願いします!