その名は“ピリカアマム”
こちらは「ピリカアマム(中川農場)」の玄麦
こちらはマダムルージュ定番“フリュイロワイヤル”
藤沢で一番の実力店と評判の“ブーランジュリールージュ”。
ワタシ自身、湘南でもっとも頻繁に通うパン屋さんで・・・
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・・・
こちらの“カンパーニュ”と(センスのよさが際立つ)数々のカスクルート(バゲットサンドウィッチ)類はいまではなくてはならない存在です。
↑定番のカンパーニュ↓
カスクルート(グリル野菜とカマンベールチーズ)
カスクルート(タンドリーチキン)
ですので、
念願かなって先月開催した第2回湘南パン祭りへ出店していただいたことはとても嬉しく、
午前中で売り切れてしまうほど好評だったこと、
また初めてのお客さまの多くがすぐさまお店にも訪れたと聞いてコバンザメ的達成感も得られたり。
「湘南パン祭り」HPのご紹介文を書くにあたり、取材をさせていただき、オーナーシェフ土屋氏とパンについてのお話をする機会も増えました。
パン祭り会場で準備中のマダムルージュスタッフさん(画像のスコーンは速効売切た)
材料である小麦そのものへの興味はつきない、そんな話のなかで、
ワタシ自身が大ファン(ファンがふさわしい形容かどうかはさておき)である中川農場(=ピリカアマム)を大プッシュ。
「中川農場」は「自然栽培」で小麦を栽培する北海道十勝の小麦生産者さんであります。
この自然栽培についてHPから抜書きすると「・・農場では植物性有機型として休閑緑肥を多く取り入れたり、小麦と一緒にクローバーを蒔いたりして、永続的に高品質で風味豊かな農産物を生産できるよう工夫を重ねています。
地力を自然回復するため多く休閑しますので、その間は大きな花畑を眺めて楽しんでいます」。
・・・つまり、農薬を使わないことはもちろん、動物性の有機肥料も使わずに、収穫後は土地を休ませて草などの緑肥で英気を養ってもらって、また小麦を蒔いてもいいよーってほど土が元気になったら、作物をつくりはじめるって感じなのだと想像してます。詳しくは→*
当然収穫量は減りますわな、一年中土地に働かせてるところに比べたら。めちゃめちゃ手間も労力もかかるし、負担も大きそう。
ピリカアマムの玄麦(ノア)
そんなこんなで、長いこと入手が難しいと聞いていたこちらの農作物ですが、驚いたことに昨年からWeb販売が開始され、そのショップ名が「ピリカアマム」。
名前の由来はアイヌ語から「pirka(ピリカ): 美しい・可愛い・よい」、「amam(アマム):穀物」。そこで「・・・自然の贈り物である美しい穀物たちを総括し、ここでは「pirka amam(ピリカアマム)」と呼んで・・」いるのだそう。
話は飛びますが、なんでただの食いしん坊が具体的に生産者さんに興味をもったのか。
きっかけは片根大輔シェフ(カタネベーカリー)がつくる、カンパーニュbioと“全粒粉の食事パン”とが大好きで、それがさらに(飛躍的に)美味しくなった年に材料、とりわけ小麦について訊いたところ、中川農場さんの「混蒔小麦」(小麦を種の状態で数種類混ぜて蒔く。旧名カムホ=現ノア→*)だと。以来、生産者さんとしてずっと注目していたのです。
↑こちらは定番の赤い果実のカンパーニュ↓(ハーフをスライスしたもの)
これまでも探究心旺盛なパン屋さんと小麦についての話になるたびに、心に留めていた中川農場さんの話をしていたのでした(ちなみにワタシはご本人に会ったことはありません)。
けれどもそこで、すぐに反応してくれるパン屋さんてごく稀ですが、
さすが、土屋シェフ。
話したその日に調べて、数日後には現物を取り寄せ、テストに入ったのですから素晴らしい応用力行動力。
素人のオイラの話も真面目に訊いてくださったうえ、フットワークもめっちゃ軽い。
きわだって優れたパン屋さんってやはり反応が早くて、すぐに行動に移してくださるんですよね。
(こーゆー状況で反応する和菓子のお店は万にひとつ、いや2店あった)。
そして!
ついに3月9日、マダムルージュの新作として登場したのが、
ピリカアマムの自然農法による小麦全粒粉粉(春よこい2017 i6083)100%でつくったその名も“ピリカアマム”。こちらは玄麦でなく製粉(@中川農場)したものが入手できたのだそう。
小麦全粒粉100%“ピリカアマム”
大きく焼き上げ、カットして販売したそうで、これがそのワンカット分。(15時頃に行くとすでに完売、全体像は見ていないのだ)。
なんと酵母を0.0001%(!!)しか使わずに、一晩、常温で発酵させて、ほとんどパンチで(グルテンを出して)繋いで型を出していくという、土屋シェフならではの技術とセンスあってのパンづくりです。
すぐに口に入れると、すっごく不思議な食感。
粘らずにサクサクと歯切れがよく、さらりとしたうまみとほの甘い香りがじわじわと広がる。
新しいパンの味。
個性的だけどどんな食事にも合うし、シンプルに朝食に食べても満足できる。
そして何度でも、毎日でも食べたい飽きのこない美味しさ。
これは・・カンパーニュと並ぶ名品です。
中川さんの小麦のパンが藤沢でも入手できるなんて、しかもそれが土屋シェフの手によるものなんて。
朝の食卓においしいパンが並ぶ、そんな小さな喜びがまたひとつ増えました。
マダムルージュ・土屋シェフについて(あんころりんが書いた)紹介文→湘南パン祭り「ブーランジュリー マダムルージュ」 もぜひご一読くださいませ。
おいしいパンも大好きだけど、おいしいごはんもあんこも欠かせない。
というわけで蛇足ながら。
昨年、ノアの玄麦が手に入ると知ったその瞬間にクリックして注文。
届いた玄麦の可愛らしさに感激しつつ製粉機ないのにどうしようかな〜と。
そうだ玄米と一緒に炊いて“玄むぎごはん”にしよう。
我が家は玄米も冬期湛水無耕起栽培(自然農法)の遠藤農園さんから。ここで自然農法の玄麦と合わせれば、(おそらくは)類まれな自然農法の玄むぎごはんが食べられる。
なので炊きました。
遠藤農園の自然栽培玄米と中川農場の自然栽培玄麦〜むぎごはん♪
めまいがするほど美味しくて、力の湧き上がるようなよい香りに炊き上がります。
以来、我が家は毎日、遠藤さんと中川さんの努力に感謝しながら(とはタテマエで、ただただおいしい〜〜って感激するばかりで何も考えてない)昼ごはんを頂いてます。
(ちなみに我が家は小豆も中川さんの有機エリモ小豆に換えました。
この小豆についても大好きなお店で使ってくれたので、そちらも近々紹介したい所存。)
※マダムルージュの“ピリカアマム”は金・土曜日限定。人気店のため、確実入手には予約がベターです。
●ブーランジュリーマダムルージュ
●ブーランジュリーマダムルージュInstagram
●ピリカアマム
●遠藤農園
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さぞ力強い小麦であろうと、それで焼いたパンはさぞ味わい深いものであろうと想像いたします。
でも今の気分はカスクルートに釘付け♪
ちなみに我が家の庭の素人家庭菜園は、休閑期の緑肥にもやや失敗しました(笑)
このパン、美味しいんだろうな〜
玄米と一緒に炊いたご飯も気になります!
私もkozueさん同様カクスルートに釘付けになりました(^^)
このマニアックな話を完読(と祈りつつ)してくださる方がいるとしたらアナタだろうと(笑)。
興味を持ってくださってありがとうございます。パンにおける小麦の力ってほんとに大きいよね。その力をどこまで引き出せるかが腕の見せ所なのかな。
この玄麦、とても美味しいので機会があればご賞味いただきたいです。
画像のカスクルートはほんの一部、ほかにもいろいろ定番も季節のものも美味しいのです。
自然栽培がいかに難しくて大変なのかは想像に及ばないけど、作物には力があるなと実感できるので、つい熱弁ふるってしまいます。このパン、いもすけさんもお好きなんじゃないかな。
カスクルートはほかにもいろいろ。ぜひ食べに、泊まりに来てー。