12月22日に開催した第4回わがし甘党の会。
この日のテーマは「自己紹介のお菓子」。
予算は・・・・
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・・・2000円以内と決めて、
参加者21名それぞれが思い思いに持ち寄ったお菓子。
テーブルに並べるとその多彩さに思わず歓声があがりました。
ほんのひとくちずつ、とは言えすべてをわけあうと一人前がかなりのボリューム。
見たこともないお菓子もあれば、
なかには好物だったものが誰かにとっては思い入れのあるお菓子と知れば、さらに親しみが湧いてくる。
そんなこんなをすべてご紹介。えーと順不同です。
一番は
めさきさんが持参した京都「俵屋吉富」の代表銘菓“雲龍”。
村雨餡で丹波大納言小豆の小倉餡を巻いた棹菓子です。
京都育ちのめさきさん。
あるとき雲龍を一本まるごと食べながら歩いている人に遭遇する、という鮮烈な体験を持つ。
雲龍とよく似たお菓子に鶴屋吉信の京観世がありますが、(あれば京観世か雲龍か・・?きっと雲龍だな)と京都ローカルならではの“勘”がはたらき、この日のお菓子になったのだそう。
で、ですね。「雲龍」は100gあたり258cal。
そしてこのどっしりとしたひと棹は425g。つまりひと棹まるごとならば1096.5およそ1100キロカロリーある。
グラノラバーでもソフトクリームでもなく1100キロカロリー425グラムの大納言あずきバー。
一日の必要摂取カロリーの半分以上を歩きながらあんこでまるかじりする豪快な御仁がいるのは京都ならでは??
めさきさんは毎回フル参加でしかも写真撮影を担当、
お菓子の数からしてキビシイ労働条件。かつ主催者のウルサイ要求に嫌な顔せずに付き合っていただきありがとうございます。
雲龍:砂糖 小豆 還元水飴 米粉 餅粉 寒天 トレハロース 日保ち:冬季25日間
二番めは今回初参加のJ.Sさんが持参した「松島屋」の豆大福。
亡くなったご友人が好きだったという豆大福。たびたび差し入れてくれたのだそう。
そして・・・そのご友人は拙ブログの読者の方だった、というのです。(お話中に動き回っていたワタシはこのキーポイントを聞き逃してしまった・・)。
当ブログにも複数回登場している松島屋は、拙著「東京いとしの和菓子」本文でご紹介する際にロングインタビューさせていただいてます。
そのときのご縁で、いまもあれこれとお願いごとなどさせていただき、13年の間にさらに親しみ深い愛すべき餅菓子屋さんとなりました。
餅菓子製造を掲げる松島屋は変わることなく、宮城産コガネモチを朝一番で蒸して、100年以上働いている御影石の臼で餅を搗き、富良野産赤豌豆をたっぷり使った豆大福をこしらえています。
一つを“はんぶんこ”にしたつぶし餡入の豆大福を、この日も美味しくいただきました。
三番めはこれまた今回初参加のN.Tさんが持参した仙台「蒸菓子司 賣茶翁(売茶翁)」のどら焼きと「ふじや千舟」の支倉焼。
仙台にお住まいのお姉さまを訪ね、前日に戻られたのだそう。
賣茶翁は仙台で名高い上菓子の店ですが、電話予約ができない(電話なし、ということになっている)ので、どらやきは当日早めにお店に買いに行かなくてはなりません。
上生菓子がお好きというN.Tさん。
足を運ばなければ手に入れられない希少さから、入手するのに苦労したであろう上菓子屋のどら焼を選んでくれました。
支倉焼も同じく仙台で名高いお菓子。
昭和34年創業の「ふじや千舟」は支倉焼一品だけをつくり、そして財を成した菓子店です。
バターなど乳製品や油脂を使った日もちの良い焼き菓子ですから、おみやげに多用されるので目にした方も少なくないことでしょう。
包み紙は2色ありますが、味に違いはないようです。
・支倉焼:白餡(白いんげん)、上白糖、ザラメ、ぶどう糖、小麦粉、水飴、バター、ショートニング(豚、菜種油、大豆油を含む)、卵(全卵)、クルミ、牛乳、塩、バニラ香料
四番めはご存知、和菓子のエンサイクロペディア和三坊主さんが持参した宮崎「菓子司はっとり」のそばぼうろ。
“そばぼうろ”は京都の蕎麦菓子(蕎麦ほうる等)、あるいは蕎麦店の店先で目にすることも多いでしょう。
しかしその多くは、蕎麦粉の割合はがわずかで小麦粉主体の焼き菓子です。
はっとりの“そばぼうろ”の材料表示は砂糖、そば粉、鶏卵、膨張剤と粉類はそば粉のみ。
12月中旬に宮崎を訪れた際、偶然通りかかった店でその珍しさから購入し、食べてみると美味しかったので持参した、とのことです。
個包装で分けやすいことも会で食べるのにふさわしいからというのも理由のひとつ。
意外に思われるかもしれないけれど宮崎は高千穂など良質の蕎麦粉の産地があり、おいしい蕎麦切りの店もあります。
ワタシも高千穂をはじめ九州の粉で蕎麦を打ったり、豊後高田の蕎麦粉を使って味噌松風を焼いた経験がありますが美味しかった。
宮崎産蕎麦粉は価格不相応で菓子に使ってないかもですが、蕎麦の菓子が美味しいのもむべなるかな、です。
◎御菓子司はっとり 宮崎県宮崎市丸山2-262(日保ちのよい菓子を中心に営業中のようです)
五番めのわたなべさんも今回初参加。
持参したのは小石川「一幸庵」のあざぶ最中。
10年以上前のことだそうですが、なんとご自身がその「一幸庵」に勤めていたそうで、自己紹介にこれ以上ふさわしい菓子はありませんね。
その厳しさでは定評のある一幸庵での修行。
製菓学校卒業後、三年ほどを過ごされたなかで、売り場から餡炊きまでを経験されたのだそう。
店主である水上さんが以前(菓子屋の跡継ぎの男子のほとんどが音を上げる)と仰っていたのを思い出します。
現在は菓子づくりから離れているけれど、和菓子を好きな気持は変わらず、今回の参加となりました。
大粒の能登大納言餡と最中皮を別々にパッケージした“あざぶ最中”。
一幸庵では数少ない日保ちのよい進物向きのお菓子です。
6番めは前回に続いて参加のほしださんが持参した笹塚「琥珀糖シャララ舎」の琥珀糖10種。
和菓子といってよいのか迷ったそうですが、琥珀糖は和の干菓子、半生菓子のひとつです。
2012年に市川でスタートしたシャララ舎ですが、本八幡にあった店が今年、笹塚に移転。
オリジナルの琥珀糖はフルーツやリキュールなどを使用、とてもカラフルですが(ワタシの記憶では)ドライフルーツ、天然果汁、果実のピュレ、キャラメルやミント、ローズウォーターそしてリキュール類などのナチュラルフレイバーを使っているので、青と緑のほかは着色料は使っていない、はず。
作りての女性はデザイン関係出身で和菓子を専門的に学んだことはないそうですが、その分自由に菓子づくりができるのでしょうね。
どうぶつ形や指輪形など宝石のようにキラキラとしておもちゃのように愛らしい。
6番めのほしださんがご自分用に買った季節限定の琥珀糖に、会の乙女たちは「かわいい〜〜」。
ハートわしづかみです。
7番めは三回目の参加となるおおたさん。
持参したのはかっぱ橋「梅源」の石衣。
上記ブログ記事の頃は5日前に頼めば入手できた石衣ですが(半端がでれば店頭に並んでたし)、いまでは数週間前からの要予約品とハードル高め。梅源FB
ご本人は栗と豆、そして木の実が好きで、やはり和菓子も栗・豆・木の実が使われたものを好むのだそう。
梅源の石衣はガリッとせずにチョコトリュフのように柔らかくてなめらかな口あたりがお気に入り。
いつもオープンマインドで参加してくださるおおたさんですが
当ブログを参考にしてくださって、実際に掲載店に足を運ぶこともしばしば、だとか。
ありがとうございます、恐れ入ります。あらためて背筋がのびる。
8番めは今回初参加のますかわさん。
初参加なのにお菓子運搬と分配係を任命、こき使ってすみません、ありがとうございます。
地元で名高い老舗菓子店「菓匠花見」のの代表銘菓“白鷺宝”を持参してくれました。菓匠花見HP
白鷺宝は卵を加えた白餡を焼き上げて乳製品使用の衣をかけたオリジナル菓子。
石衣をアレンジしたと思われラインナップのひとつに、玊しずく、という石衣があります。
今回はもっともベーシックな卵と乳製品入の“白鷺宝”を選んでくれました。
お菓子の由来が「また来年も会えるように」という願いを込めている、というのがこの会にふさわしく、「またみなさんと再会できますように」とお持ちくださいました。
はい、楽しんでまた参加したい、と思っていただけるよう、ない頭しぼって努めます。
参加三回目のたかはしさんは宮城の九重本舗玉澤「霜ばしら」を持参。冬限定の飴菓子です。
茶の湯を嗜むたかはしさんは茶会に出された霜ばしらの美しい盛つけと繊細な食感に魅了されたのだそう。
和菓子は目でも楽しむものと今回は器を用意されて自身で美しく盛り付けてくださいました。
繊細で食感が失われやすいので、気をつけて召し上がってほしいと。
どれほどこのお菓子に思い入れがあるのかが伝わってきました。
おそらくみなさん、湿り気が加わる前に召しあがったことでしょう。
たかはしさんは今回、お菓子の分配を担当してくださった。ありがとうございます。
10番めはごぞんじkozue師匠。
持参したのは、いかにもこちらのツボを押しそうな(笑)府中「青木屋(野崎店)」の焼きだんご。
今日は甘いものが多いだろうと予想して、しょっぱいおだんごを選んでくださいました。
しょっぱいおだんご数あれど、こちらは生新粉=自然乾燥させた一夜干しのうるち米粉、を使った稀なおだんご。
お米の風味が感じられるのが好ましく、種類豊富な青木屋で購入する数少ない菓子のひとつなのだそう。
なるほど、看板銘菓くろどらなどほかの青木屋のラインナップからは想像し難い渋い朝生菓子で、ワタシ自身、このおだんごがあの青木屋によるもの、とはすぐに理解できませんでした。
歯ごたえのあるだんごを焦げ目がつくまで焼きあげ、コクのある醤油の香ばしさが際立つ正統だんごですが、扱う店舗が限られています。
kozueさんは今回お菓子の分配やら準備でこき使ったが、サクサクとこなしていただきありがとうございます。
今回が2度めの参加、こばやしさんは日本橋屋長兵衛の東京マルサンカクを持参。
以前参加したホームパーティーで出会った半生のお菓子。
かわいらしいし、バラエテイに富んだ味も楽しかったので、と選んでくださいました。
寒天を使った錦玉糖風の丸いお菓子はまわりの砂糖衣がシャリシャリとして、中はゼリー状。
ぶどう・あかうめ・ゆず・いちご・りんご・ももの6種類あり、ワタシはもも、でした。
12番めは毎回フル参加のやましたさん。
今回も受付と記録を担当していただきました、ありがとうございます。
持参したのは創業天明2年、日光「綿半」の“日の輪”。
綿半の製造主任さんと自身の夫君がお知り合いで、以前はたびたび食べていたお菓子なのだそう。
夫君がかつてのように日光に頻繁に足を運ぶことがなくなり、日の輪も今回久々のお取り寄せ。
小豆と砂糖と小麦粉。ごくシンプルな素材で焼きあげた菓子はかつて唐饅頭と呼ばれていたもの。
一般的な唐饅頭はいわゆるこんもりとしたお饅頭形ですが、日の輪は銅板に押し付けて焼いたような平たいフォルム。
その焼いた焦げ目が食欲をそそります。
やましたさんの印象では
以前はもう少し餡の水分が控えめで、皮のサクッとした食感と甘い風味が好きだったのだけれど・・。
と腑に落ちないようでした。
その解説、いいじゃん。
ならばもう一回、フライパンで焼き直したいと思ったのはワタシの勝手な想像です。
今回はここまで。
まだまだ続きます。
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おまけに地元のお店が登場し、ビックリしました!
あんころりんさん、ご存知!宮崎はなにげにそば粉作られているんですね。
私も今年は新そば粉が出るのを待ってまして、先日、新富町という所のそば粉を入手しました。
この「わがし甘党の会」に出席する時は、何か持って行かなければいけないとの事で、出席する時はどんなものを持って行けばいいんだろ・・・と悩んでいましたが、このブログを参考にさせていただこうと思います!
いつか、是非参加したい!
あっ、あんころりんさん、いろいろとご準備や当日の会、お疲れ様でした。無事終わられて良かったですね♪
都合がつけばまた参加させてくださいませ。
自己紹介のお菓子、となるとやはり地方色もさまざまで、知らないお菓子に出会うとワクワクします。
そうだ!宮崎の「はっとり」という菓子屋はおそらくいもすけさんのご自宅周辺だと思うのですが、ご存知ですか。以前は上生菓子など作っていたようですが、一度店を閉めて再開したみたいです。情報がなくて・・・もしも
ご存知でしたら、教えてください。
いもすけさんが参加するまで頑張って続けるから、待ってますよ〜。
毎回、少しづつですが、あがってます熱エントロピー(笑)。また気が向いたらいらしてください。いつでも歓迎します。
青木屋はもともと街道沿いの団子屋だったそうなので、いまのように手を広げても、基本のきである団子は変わらず続けているところが素晴らしいと思います。でも焼きだんごと味噌餡柏餅しか買わないけどね(笑)
そうなんです、「はっとり」は一度お店を閉められたんです。私が子供のころからあったお店だったので閉店をお知らせを見たときは寂しかったのですが・・・。
いつの間にか再開されてました!
今はどういうお菓子が売られているのか行ってないので分かりませんが、毎日通勤でお店の前を通るので、行けたら(時間帯がなかなか合いません><)寄ってみます!
青木屋、そうだったですね。きっと説明されていたのでしょうけれど、落ち着いて耳を傾ける余裕がなく。本文中に書かずにごめんなさい
で、焼だんごと味噌餡柏餅ってことは小豆あんを回避しているってこと・・・。
おお、そうですか!ありがとうございます。ぜひ教えてください。和三坊主さんが12月中旬に立ち寄ったときは日保ちするお菓子ばかりだったようです。おそらく外注で製造できるものに限っているのかも。閉店の理由はなんだったのでしょうね。
とにかく生新粉を使っている焼きだんごと柏餅のみがわたしの心を打ったのですが、悲しいかな小豆餡が好みではないので、柏餅は味噌餡!なのです。
あ、解説なかったのね(笑)
kozueさんにとってここは団子生地の餅菓子屋ってことだ(笑)