川口屋元禄年間創業、300年ほど続く川口屋の若鮎を・・・
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・・いただきました。
老舗でありながら
つくられる生菓子はほかと著しく異なる特徴をもつものが多いのですが
夏の定番菓子“若鮎”もそのひとつ。
まずはその焼皮。
見た目にはほかの鮎焼きとあまり変わらない。
色もふくらみも大きさもスタンダードなものです。
だがしかし。
気泡の様子が外からも感じられる
口に入れると“じゅわっ”というオノマトペを使いたいような。
一般的な調布生地と同様の薄さなのに、ふんわりとした気泡が感じられ、口どけのよさに驚かされます。
これは先代が考案したまさに“川口屋自慢の秘伝生地”、なのだそう。
材料のことを女将さんにいろいろ、鎌をかけて(笑)訊きだそうとしたけれど、ダメでした。
一般の調布生地に比べて焼くにも経験を重ねたうえのでの技術が必要
そんな秘伝の生地は
当代に引き継がれ、またそのご子息にも引き継がれてすこしずつ改良を重ねて
いまの“じゅわっ”という仕上がりになったのだそう。
それから“皮”だけではなく
中に挟むのは
“小豆つぶ餡を混ぜ込んだ道明寺”。
なんて自由なんだろう。
川口屋はきんとんや羽二重もちの中にもあん玉でなく、道明寺を使いますが、
初夏につくられる“あじさいきんとん”や10月のきんとん“秋草”などの道明寺はゆかり(梅干しに使われる赤しそを乾燥した粉状のふりかけ)入り。
あじさいきんとんの芯はしそ入り道明寺
これもはじめて遭遇した時は、そりゃもう驚いたけど。
若鮎に道明寺、しかも粒あんを混ぜちゃう。
既成概念に囚われないその挟持がかっこいい。
この秘伝生地の若鮎も、当初は小豆こし餡を挟んでいたのですが
ある茶道の先生からの「道明寺に変えて」というリクエストに応じたのが始まりなのだそう。
そして、道明寺だけだったものを(めり張りがない)と
いまのご主人が粒あんを混ぜるようにしたのだそう。
ゆえにこしあんでなく、粒あんというところもポイントなんですね。
“若鮎”ひとつとっても
三代に渡って工夫を凝らし、お客様の意向も取り入れる柔軟さも併せ持つって普通でもなかなかできない。
ましてや老舗の看板背負っているうえでのことではなおさらのこと。
おしなべて和菓子で新しいことにチャレンジするときって
「さあ、新しいお菓子をつくりましょう」ってかんじで
洋菓子素材など導入したり
スパイスや酒類など目新しい材料で風味をつける、
みたいのが多いように感じますが。
さておき。
きんとんに道明寺をいれたのも先代。
一般的に和菓子のきんとんは芯に餡玉を持ってきて
そこに、そぼろ状のあんや薯蕷煉切などをつけていく、のがほとんど。
秋のきんとん“秋草”
6月はあじさいきんとん ↑丸まっちゃってすみません
桜の季節の“花便り”は煉薯蕷きんとん。こちらの道明寺にはしそが入らない
ところが先代は(中もあん、外もあんなんて甘いばかりでうっとうしい)と考えた。
中がこしあんならなおさらのこと。
味にも口当たりにもメリハリがつかない。
とりわけ夏には甘々なかんじ。
そこで道明寺が登場。
夏にもさっぱりといただけるように赤しその粉(ゆかり)が混ぜ込まれました。
川口屋は先代も当代も、
定型、定石となっているものであっても、
自分の価値観とズレていると思える柔軟さをもち
そして定型から外れることをためらわずに、
既存のあり方にとらわれないでステップアップするところがすばらしい〜かっこいい〜。
当代のご子息にもその姿勢は受け継がれているらしく、
訊けば鮎の生地はご子息のほうがより上手に焼く、のだそう。
このブログの川口屋
2016年 川口屋の栗
2015年の川口屋 亥の子餅
2012年
2009年
2010年
2009年椿餅と一幸庵
●川口屋
名古屋市錦3-13-12地下鉄栄西駅1番出口052-971-3389日祝第4土休9:30〜17:30
覚え書き 若鮎:一尾320円 6月半ば頃から8月頃まで
★お知らせ★
今年の夏も
「わがし甘党の会」
を開催します。
開催日:2019年7月27日土曜日
時間:午後1時30分頃から4時半ごろまでの予定
場所 渋谷区立笹塚区民会館 和室
参加費:1500〜2000円くらいの予定
お菓子とお茶:会からのお菓子(あの杉箱入り水羊羹の予定)もあります。
詳細は追って発表致しますが
参加ご希望の方は参加希望の旨とお名前、メールアドレス、連絡先電話番号を書いて
下記アドレス(高 由貴子宛)までお知らせください。
◎「第5回わがし甘党の会」に参加希望
高由貴子宛
yuki-ssg★qg8.so-net.ne.jp ★を@に変えてください
第一回わがし甘党の会の様子
前回のわがし甘党の会の一部
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