↑昭和になって干支菓子として売り出されて人気急上昇の『うさぎまんじゅう』
『うさぎや』さん(台東区上野1-10-10 水休)
は
8月31日前編と
9月1日後編で
《上野は黒門町『うさぎやのどらやき』》でレポートした際に
メインの「どらやき」を詳しくご紹介しました。
が、他にもこちらにはいろいろなお菓子があります・・・・
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中でも
『うさぎまんじゅう』(160円)はこちらの「アイドル」ともいえる存在。
見るとおもわず「かわいい〜」と
『どらやき』に追加して、買いたくなる
癒し系ルックスの『薯蕷まんじゅう』です。
うさぎ型の『薯蕷まんじゅう』は
6月9日に当サイトでも
『虎屋の期間限定「兎饅」』で紹介しましたが
あちらはぐっとお値段も(420円)よろしく、通常は4日前からの別注品。
お祝い事で使ったりするのでルックス的にも「鼻筋の通った」
かなり「ご令嬢」なそれぞれが一糸乱れぬ、うさぎ様です。
↑クリックね。ふっくらした「うさぎさん」もいる
千差万別の手作りまんじゅう。
『うさぎや』さんのは「ぷっくり」して割と個体差のある
ちょびっと寄り目の「うさぎさん」。
お鼻なんて見えないし。(これって「キティちゃん」か?)
江戸風の朝生菓子にも似合う親しみやすさです。
―そう、『薯蕷まんじゅう』も
実は、材料も関西と関東では微妙に違います。
「虎屋」系を代表とする
関西の製法では饅頭に
『つくね芋(ナガイモ類ツクネイモ群で、丸ゲンコツ型)』に
『上用粉』と砂糖を使用するようです、
一方
「塩瀬」系の「志ほせ饅頭」を筆頭とする
関東風では主に
『大和芋(ナガイモ類銀杏芋群で、手のひら型)』に
『上新粉』と砂糖を使用します。
それぞれルーツも異なるけど
話が、鎌倉時代から
天下分かれ目が「饅頭も分かれ目」で「関が原の合戦」までと
だんだん壮大になるので
その辺はまた今度。
という事で、
「うさぎや」の『うさぎまんじゅう』の材料は
砂糖、小豆、上新粉、大和芋。
ですから「関東」系です、やはり。
↑個別に包装されて簡素な白い箱に入った姿もラブリー。うさぎ一羽160円。
―余談ですが
もちろん江戸からの老舗店でも関西同様に『薯蕷まんじゅう』を作る和菓子屋さんもあります。
たとえば、
6月17日の記事でも紹介した仲野欣子さんの著書
『食いねえ「あんこ菓子」―江戸ッ子の腕まくり』
によると360年の歴史の
江戸の老舗「壺屋総本店」は西の材料みたいです。
(でも創業後、京都の貴族から受領名をもらって仕えていた・・)―
ちなみに
「上新粉』はうるち米を「新粉」より細かな粉にしたもので
「上用粉」はやや製法も異なりさらに目が細かい。
ややこしいですね。
より滑らかな素材からのきめ細かやで粘る食感
「閉じてる?型」お芋使用が関西風。
ややさっぱりとした食感で柔らかくシコっとしたのが特徴、
「ひらいてる?型」お芋使用が関東風、みたいです。
使うお芋が違う理由は
実際に
主な生産地がそれぞれ関西中心と関東中心だから。
(ちなみに「塩瀬」は大和芋を契約農家のものを使用してるそうです。)
いや調べてみると本当に『和菓子』って
地産地消・身土不二でおもしろい。
口に入れると
実際「虎屋」 (創業は京都)と「うさぎや」のお饅頭もそれぞれの食感です。
↑クリックね。ご相談中のうさぎ娘たち。
ところで
前出の仲野欣子さんの本でも
和菓子スタジオ「へちま」の
金塚晴子先生(本はサイト右の「おすすめ」欄に)もおしゃってましたが、
『薯蕷まんじゅう』がきちんと作れたら一人前、だそうで
(先生は上用粉使用を薦めています)
最も難しいお饅頭のひとつらしい。挑戦してないけど。
『薯蕷まんじゅうは饅頭の王者』なんて言われたりもします。
「うさぎや」さんの『うさぎまんじゅう』は
大和芋の香りがする皮で
さっぱりしした「こしあん」を包んで蒸上げたもの。
消費期限は翌日まで。新鮮さが大切なお菓子です。
↑中はこしあん
当初は干支のお菓子として売り出し
「卯年のみ」の販売だったそうです。
店名の由来はそもそも
創業者の谷口喜作さんが卯年生まれだったから。
そこで
こちらを通年商品にしたのではないかしらん。
アイドル向きなルックスだしね。
体重も『どらやき』君(98g前後)より大分軽め、
小柄な『うさぎ』さんは58gくらいです。
「赤い目」は色粉で長い耳は「焼印」で描かれています。
結構、個性があっておもしろいです。
ふっくらさん、おとぼけさん、小顔系・・。
『どらやき』のお供にちょっと楽しいです。
またまた『うさぎまんじゅう』だけで
すでに長くなってきたので
『上生菓子』は次回(明日予定)に続きます。
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うさぎちゃん、キュートですね〜
確かに虎屋のソレと比べると顔立ちが微妙に違います。「ご令嬢」も素敵だけど、ぷっくら「キティーちゃん」(笑)も親しみがあって甲乙つけ難し!ですよね。^^
お菓子もそれぞれ個性があって
それぞれ素敵。
だからやめられないんですよねー。
キティーうさぎさんも見れば見るほど味わいが。