↑『切山椒』は四色のしん粉餅
秋のお彼岸です。
今年は雨の中のお参りでした。
母方の菩提寺が浅草の寺町なので、
お盆やお彼岸、お酉さまには子供の頃から
さまざまな下町のお菓子が土産に。
毎回、包みに飛びついて開けるのが楽しみ。
未だにその辺は成長していません。
今秋も先に母がお参りを済ませて
「大好物」の包みを下げて来たので飛びつきました。
↑これで一包み600円
『金龍山』こと『金龍山浅草餅本舗』(台東区浅草2の3の1 水休 9時〜17時半 )の
『切山椒』 は
上新粉に上白糖を入れて練り上げてふかし
そこに粉山椒入れて搗いた「しん粉餅」です。
しろ、薄紅、鶯、茶の四色の拍子木型で
下町らしい、さっぱりとした味わい。
◇「座敷より茶の間が好きや切山椒」 池内たけし
なんて言い得て妙。
「そうそう」ってかんじ。
こればかりは食紅でも
とにかく色がないとうまくない。見た目が味のうち。
なお、茶は黒砂糖の色とも聞きます。
―ふと思うと、「小豆あんの入らない和菓子」
のなかで最も好きなお菓子かも。
とにかく「山椒の香り」と歯ごたえも良くうまい。
↑賞味期限は2日です
現在では「通年菓子」ですが、
元々は年の瀬を告げる「酉の市」に出る
正月用の餅菓子。
先に挙げたように「俳句」の旬材にも。
東北の地方では年末になると
あちこちで「切山椒」作ったりするみたい、
いいな。
「山椒」は日本でも最古の香辛料だそうで
しかも実から木の幹からすべて
「捨てるところのない益のある縁起物」。
(「すりこぎ」なんかにも使いますね。)
そこで、お菓子にも用いて
境内などの市でみやげとして人気に。
さて
『金龍山浅草餅本舗』
は何と!330年続く、浅草仲見世でも最も歴史あるお店。
「伝法院正門前」に店を出したのが延宝3年(1675年)、
現在も11代目のご主人がお菓子作り。
90歳を越える!元気なお母さんもお店にいらっしゃいます。
↑今回は16本でした。重さで一包みが決まる
我が家は『切山椒』 (きりざんしょ、と読んでね)
といえば『金龍山』が定番。(一包み600円)
他店にもいろいろあるけど
スーパー物か
ここしか知らないので比較できない、悪しからず。
今度他のも試さねば。
さて「金龍山」の名を許された店はここだけ。
歴史ある店には当然、お話もある。
店のHPには「上野輪王寺の宮様」 、
あるいは浅草の歴史資料では複数が
1718年(享保3年)
「浅草境内老舗の餅屋に、伝法院僧正、浅草餅の名を与える」
とあるけど。
とにかく江戸時代に偉い人がうまさを認めて名を与えた。
とりあえず、
店名にもある『浅草餅』が
享保の頃に
上野輪王寺の宮様(寛永寺の門主で皇族の宮))の
気に入って「金龍山浅草餅」の一筆を賜った唯一の店に。
↑これは浅草でも『亀十』の揚げまんじゅう
何で上野寛永寺が?と思うけど
まあいろいろあって江戸時代は浅草寺は支配下に。
とにかく絶大な権力があったから
この宮様のOKは強力ななお墨付き。
『浅草餅』(750円〜)はこしあんでくるんだ餅菓子。
もちろん今もいただける(未食ですが)。
余談ですが、この宮さまは 「あんこ好き」だったみたいで
かの「こごめ大福」も名を賜ってる。
あんこ好きな、えらーい「宮様」
・・親近感が湧くなー。
またまた横道へ・・すみません。
今回は16本の『切山椒』が一包み(重さです。)
材料は上新粉、砂糖、粉山椒、色粉(食紅)だけの
「すあま」の食感が近い簡素なうるち米粉の餅菓子です。
『金龍山』の
現在の人気商品『揚げまんぢゅう』 (6個790円)と共に
昭和33年(1958年)に売り出されました。
茶菓子とは異なり
祭りや市で出てきた江戸風菓子。
炬燵=おこたで食べたいおみやげです。
―関西ではポピュラーなんでしょうか?
次はお酉様ですねー。
↑亀十のお萩と揚げまんじゅう
・・ところで今回もうひとつのお土産は
何故か「亀十」」の『揚げまんじゅう』(158円)と
『お萩』(189円)でした。
【和菓子の最新記事】
- 初開催!された“東京あんこ通り” その一
- 史上初のすごい!Wagashiイベント「和菓子老舗 若き匠たちの挑戦」新宿で..
- 松島屋の栗蒸し羊かんに感激
初見は草大福,いつもの豆大福,きび大福,豆餅 - トリオでもちもち江戸風大福!新米だって古代米
一幸庵「腹太餅」は大福のルーツ - つるっと冷や〜流しあんみつ粒あん仕立て
麻布昇月堂もちもち粒々すべすべ,ぜんぶ.. - つぶつぶ栗入り黒糖ようかん
さっぱりハイブリッドな名脇役 - おお!モンドリアン風?もちもちな苺、とか
ホワイトチョコの生ういろ「虎屋ういろ.. - 小粋な「空也」の空也双紙とようかん
これが一番クールな銀座…前編 - 酒かすにて候 黒平糖、黒みつ生姜
小宇宙の見える?『家傳京飴 祇園小石』 - 今日があなたの“モナカ記念日”
香雲堂本店の『古印最中』 - 今度の『いきなり団子』は『芋屋長兵衛』
- 『栗茶巾』と『黒まんじゅう』
日本橋『ときわ木』から - 日本橋『ときわ木』年3回だけの『若紫』
- 浅草シリーズ第6弾◇
『龍昇亭西むら』の栗むし羊かんと豆大福―前編 - 浅草シリーズ第三弾◇『徳太楼』まずは名物『きんつば』から
- 『萩乃菓子司』のお萩、蒸し羊羹、草大福、どら焼き・・・
- 谷中で香りの和菓子、『喜久月』と『谷中岡埜栄泉』−前編
- 熊本名物「いきなり団子」は『いきなりだご』
- 『亀泉堂』再び―『四ツ折最中』と『カステラ』
- 菓匠 若松園義正の『名水水ようかん』は裏銘品
揚げまんぢゅうはここがやはりよく知られてます。たくさんでわいわいが楽しいですね。
唐饅頭は仲見世で食べたのでしょうか?
長命寺桜餅は私も好きです
浅草の金龍山の揚げまんぢゅう食べに行きましたよぉ〜おいしかったけども、仲見世に目が血走って落ち着かなかった記憶があります(^^;
山椒入りのすあまみたいな感じなんでしょうか? 味の想像が付かないので食べてみたいと思いました。色もきれいですね。
浅草にはこんなお店もあるのですね。
つい先日遊びに行きましたが、一般的なところしか寄れませんでした。急に思い立って出かけたので下調べ不足!あんころりんさんのブログでもっと勉強しなければ!
ご訪問嬉しいです。
おっしゃるとおりまさしく山椒入りの「すあま」です。出来たては柔らかめです。少し冷やすと締まった食感です。山椒がこんなに合うなんて、っていうかんじです。渋めの餅菓子です、どうぞ。
★pecochan77さん
お気に召したらうれしー。
金龍山は仲見世で本堂に近い店。次はぜひ。
見た感じはごく普通の仲見世です。人は多いけど。でも思い立って出かけるのも楽しいですよね。
東京の方のエッセーで「切山椒」と「しん粉細工」がよく出てくるのですが、どんなモノか想像出来ませんでしたが、画像と説明を読んで納得。
懐かしい色合いに、大人の味…情緒のあるお菓子ですね。
これは、大阪に無いモノです。
コメントありがとうございます。
そうですか、切山椒はないのですか、
貴重な情報をありがとうございます。
面白いですね、東と西の違いって。
ちなみに「しん粉細工」は飴細工で
切山椒とはまた全然別なものです。
飴をはさみで実に器用に細工して
可愛らしい形を作り上げるのですが
現在ではほとんど見ることはありません。
懐かし物でイベントなどに出たりしますが。
ありがとうございました〜。
美味しいのに、どうしてもっと色んな店で作らないんでしょうね?
それは良かった!しかもお気に召したならこんなに嬉しいことはありません。地味な味のお菓子だからでしょうか?見た目も上菓子の華やかさはないし。乾き菓子だの堅焼き煎餅だの江戸風のお菓子はすたれる一方ですね。切山椒は時々スーパーでも見かけるけど…もっと広めたいものです〜。