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「和菓子wagasi」−東京のお菓子・菓子パンを歩く

2005年09月28日

『萩乃菓子司』のお萩、蒸し羊羹、草大福、どら焼き・・・

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↑どれも小ぶりで美味。草大福でも直径5cmに満たない。

『萩乃菓子司』 (渋谷区恵比寿西2−20−6 日祝休(多分)11時位〜)
代官山から恵比寿へ抜ける途中、
まるでエアポケットのような片隅にひっそりと佇んでいます。

これがファッションや雑貨のセレクトショップや
イタリアンレストランなら
メディアもこぞって取材しそうなロケーション。

でも完全にご近所系、町の小さな和菓子屋さん
目に留める人も多くはありません。

70を越えたご主人は
和菓子の道に入って60数年

お店を始めたのは44年ぐらい前かな、とおっしゃいます。

以前この近所の事務所に通っていた時と比べても
ここだけは様子もあまり変わらない、
隣が洋服屋になっているけど。

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↑クリックね、見過ごしそうなひっそりとした小さなお店

その頃に羊羹をいただいて「おいしいな」と思ったけれど
いつでも立ち寄れる気がして
何年も経ってしまった。

「あんころりんのおすすめ」にある
『和菓子で楽しむ東京散歩 』 。 
ここでで安井健治さんも取り上げています。

ベテランのご主人がお一人
こつこつと作ってらっしゃる事を改めて知り
『早く自転車で行って、もう一回お菓子全部食べたい』と。

涼しくなったので早速出かけると、
ちょうど『おはぎ』が勢ぞろい。

ごま、きなこ、粒とこしあん

とてもきれいに調った小粒の『おはぎ』が4種類並んでいます。

和菓子職人がていねいに作った
端正で美しい『おはぎ』
普段は手の出ない
『こしあんおはぎ』にも強く惹かれます。

もちろん粒あんもきれいで、しかもすごく美味しいそうです。

美味しい和菓子って外見にも表れる、と思います。

一、素朴で無骨でもそそられるもの、
二、きれいだが、惹かれないもの、
三、端正でしかも魅力的な、
手をのばして食べたくなるもの・・。


個人的嗜好だけど

三、の和菓子って案外少ないです
皆さんどうでしょう?

敬愛するイラストレーター、
湯村輝彦さん提唱?の
「へたウマ、ウマへた、うまウマ」(へたへた、は論外)論。

『萩乃菓子司』『おはぎ』
まさしく「三」=うまウマ、のタイプ。
・・すごい表現ですが

迷って他の菓子が「こしあん」なので「粒」を選択
(お萩はその日のうちにいただかなくては・・。)

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↑「草大福」の餅の均一感、「おはぎ」の米粒の美しさ、
「ねりきり」の見事な断面。


そして嬉しいことに今は栗なしの『蒸しようかん』 (120円)がある。

ご主人は季節を感じながら お菓子作りしてるので
「もう少ししたら栗をここに乗せるけど
少し値段もねぇ(高く)」と

美味しい季節ものを作りたいけど
ほんの少し高くなるのが申し訳ない、といった様子。
『蒸しようかん』こしあんの美味しさに溢れた
さっぱりした食感。いくらでもいただけそう。

こちらの「栗蒸し羊羹」なら食べたーい。

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↑「どら焼」と「おはぎ」、「草大福」のあん、糖度は異なる

以前あった『豆大福』は?と尋ねると
もう少し寒くなったらね、 「明日あたりから作るかな」
と実に優しそうにおっしゃいます。

一言二言お話するだけで
お店に並ぶお菓子の優しさも伝わってきます。

しかしながら『草大福』 (130円)の
その香りの高さには大人の餅菓子の感。

元々の草大福が
「香りを楽しむ」餅菓子だったことを教えてくれます
こしあんもべたつかない後を引く味。

粒あんでもいただきたいうまい餅で
均一に薄いがこしがしっかりあり満足感。
『豆大福』が待ち遠しいな。

小ぶりな『どら焼』 (120円)は皮の焼き目が香ばしい。
どら焼き用に作られた
濃度ある小豆の粒あんとのバランスも良く
思いがけず、 「ぱくつける」うまさ。

特に皮が和菓子屋さんらしい、
しっかりした食感ですごく好き。
大きさも「粒あん」の糖度(Brix約71%)に合わせて
小さめが嬉しい。

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↑ご主人は「白衣」着ていないからというので
ケースを撮ったがぼけ〜。


レトロな雰囲気の「薔薇」の『ねりきり』 (200円)は
練り切り生地とこしあん がどちらもフレッシュで
煎茶で充分おいしくいただけるさっぱりしたお味。

上生菓子は苦手、という人にも食べていただきたい
優しい「ねりきり」です。

ご主人は
「あまり凝った形だと売れないねえ」、
本当は素晴らしい技をお持ちだけど、
お客さんが好きなら薔薇にしようかな、
という口ぶりでした。

四種のおはぎ、草大福、 蒸し羊羹、どら焼き、ねりきり
これだけの絞り込まれたお菓子はもちろん全て
最初から仕上げまで
ご主人の手によるものです。

和菓子屋は簡単ではないから
新しいお店はなかなか出来ないよ、
という言葉に

どうか永くご健在で
優しくて温かい味わいの和菓子
作っていただきたい、と心から思うのです。



※糖度計は「ATAGO.PocketPAL-2」使用。
何せ素人が使っているのであくまでも目安。
同条件にて「おはぎ粒あん」はBrix約55.3%、
「雪印コンデンスミルク」はBrix約69.8%でした。

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posted by あんころりん at 18:51| 東京 ☁| Comment(10) | TrackBack(1) | 和菓子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うわーなんだかいいですねえ。こういう和菓子屋さんが近くにほしいですわ。
ご主人のひとことに、和菓子づくりへの思いが込められているように感じます。こんど代官山へ行ったらぜひ寄ってみよう。
Posted by kozue at 2005年09月29日 09:57
★kozueさん!
そうなのわかっていただけますか。
とっても地味だけど滋味があるお店。
地味すぎて通り過ぎるかも。

でもこういうお店が
段々減っていくのが逆にすごく心配でもある。
二人で応援しましょうねー。
って勝手に仲間にしてるけど。
いいか、ニューかしまし娘だし。
あ、クイケッツ、だっけ。
Posted by あんころりん at 2005年09月29日 16:51
以前雑誌にも出ていて、気になっていたお店です。
こんなに素敵なお店だったのですね。ご近所さんならかなりのヘビーローテーションになりそうな・・・
この界隈に行ったならば必ず行きたいお店の一つですね。
草大福が食べたいよ〜
ちなみに、先日お萩を作ろうと小豆を炊いたら小豆があまり良くなかったのか、固くてダメでした・・・潰れはするけれどモソモソみたいな。それでも無理矢理お萩にしたけれど。奮発して丹波の大納言買ったのに!母親がさっそく小豆買ったお店にクレームの電話してましたよ。
Posted by theta at 2005年09月30日 11:33
★thetaさん!
すごい!このお店ご存知とは。
和みます&確かな技術。
ご主人はとても優しい方です。

ところで
これは私の通う和菓子スタジオの先生の
受け売りですが。
小豆をつぶすタイプのあんこには
実は「大納言は不向き」だそうです。
確かに大納言の名の由来は
豆が壊れにくいところから来てるから・・
そうだよなー、と納得しました。
―そうなの皮が破れにくいの。大納言さんは。
金つばとかどら焼き向きなんですねー。
でも「もそもそ」はひどい。怒ってOK。
Posted by あんころりん at 2005年09月30日 14:00
にゃるほど〜勉強になりました♪
でも、固かったモノは中も白くて全然煮えてなかったのです(T^T)
一晩お水に浸けて、2・3時間かけてコトコト炊いたのに・・・・私は結構このコトコト煮る系の作業が好き。
Posted by theta at 2005年09月30日 14:38
白い大納言!怒ってOK!

ともあれ。
これから「ことこと」が
より楽しい季節ですねー。
私も小豆を煮るための鍋を思い切って購入したところです。
早く煮たいな。
Posted by あんころりん at 2005年09月30日 23:12
このお店、本を読んで行きたいと思ってました!
場所的にもうちから行きやすいかしらと考えてるうちに、あんころりんさんがレポートしてくださって嬉しい!
しっかりお店のご主人にインタビューもされてるところが素晴らしいです。
なんだかもうすっかり自分も行った気分になってしまいました。どのお菓子も小ぶりなのがいいですね。いろんなものを試してみたいから・・^^
Posted by pecochan77 at 2005年10月01日 14:35
★pecochan77さん
見た目はメチャ地味なお店です。
でもそそられますよね。
お気に召したら嬉しいです

インタビューなんて立派なもんではないのですが。
単なる世間話ですが、まあいいかな、と。
でも小ぶりの上生菓子って良いですよね
Posted by あんころりん at 2005年10月02日 00:39
あんころりんさ〜ん!
行こうと思っていたら閉店との情報です。
行ったことないのにものすごい喪失感です。
やりきれない。
Posted by ぺなぞう at 2006年12月25日 14:27
ぺなぞうさん
えええええっ…。
どうしよう、すごく悲しい悲しすぎる、でもお元気だと良いのですが……。
ごめんね、情報が遅くて。
Posted by あんころりん at 2006年12月25日 17:38
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