↑薄くしっとりした生地から「餡」が溢れ出る
はじめに
第一弾で紹介した
雷門『おがわ』とは別なお店です。
が、
寿の『おがわ』おがわ菓子舗
(東京都台東区寿4-13-14 )も
『どら焼』と『最中』の和菓子屋さん。
じつは
「雷門」は弟さん、『寿』がお兄さんの
それぞれ独立したお店です。
『寿のおがわ』の詳しい事がわからないんだけど、
弟さんの、雷門『おがわ』が
先代のうなぎ処の跡地にあり、
店舗そのものも時代を感じさせるので
『雷門』の方がたぶん古いのでは。
わずか、徒歩1分の距離ですが。
それぞれが独立した店とはいえ
『うなぎ印』の意匠やお菓子の種類など、
似ている点もすごく多い。
肝心の『どら焼』に関しては
同じく「どらやき」の名店、「うさぎや」さんが
やはりご兄弟、親戚の独立したお店ながら
『どらやき』そのものは
概ね似ているのに対して、
ふたつの『おがわ』は
『どら焼』そのものが
驚くほど異なったタイプ。
また
細かいディテールが色々と違って
そのことにも思わず興味が惹かれた・・
↑クリックね、やや建物は新しいが、仕舞た屋風の趣ある入り口
ので
今回はちょっと二つの
『どら焼』を比べてみたい、
と思います。
ぜひ、前回2回(10/4〜5)にわたる
雷門『おがわ』の記事も
併せてご覧いただければ、と思います。
「雷門」の『おがわ』(以下「雷門」)は要予約ですが、
今回が初購入の
『寿のおがわ』 (以下『寿』)は
土曜の12時でも購入出来ました。
『寿』は『最中』(190円)も注文なしですぐ買える。
お店では息子さんが対応、
「雷門」のご主人よりシャイなのか、
世間話は苦手のご様子。
では。
『寿』の『どら焼』も
やはり
白あん、うぐいす餡、小豆あん の三種類。
こちらも同様に
三色ごとの色文字の袋、に個別包装。
この袋がなかなか侮れない。
双方の意匠ディテールの違いが結構面白いです。
たとえば
地図が描かれてるけど、駒形橋の描き方などや、
材料記載の書体も『寿』はゴシックだし
こちらの方がやや今風?あと材料の表記方も違います。
トレードマークの『うなぎ』は
右回りと左回りで、顔などが違って面白い
(でも、注意書きは「ビミョーな仮名使いまで」同じ)。
↑クリックね、「右向きうなぎ」が『寿』
原材料は3種別々に記載されている。
『どら焼』本体の
大きさは「雷門」の大迫力とは違い
手のひらに収まる「お嬢さんサイズ」。
―では早めに身体測定でーす!
まず
◎直径と胴回りは
「雷門」φ約10.8p 胴回り25p
に対し
『寿』φ約約9p 胴回り20p
◎体重は
「雷門」チーム
〜白餡さん、145g!うぐいす餡は136g、小豆餡君、144g。
対する『寿』チーム!
〜白餡さんは107g、うぐいす嬢が110gで小豆餡君、106g
とミドル級のエース!でした。
―これは決して『寿』チームが
軽少なのではありません!
「雷門」のスーパーヘビー級ぶりには
驚くけど。
ちなみにあの
黒門町「うさぎや」さんが
前回96グラムですから。
↑こんなに違うなんて!左が『寿』、皮は薄手であんがはみ出るタイプ
肝心な
『寿』の『どら焼』を
手に取った最初の印象は
「やわらか〜い!」
まるで出来たてのシフォンケーキ。
ふわふわでしかもしっとりとした感触。
おっと、しかし
見た印象より重みがあります。
では一口、
・・ふわ〜、と溶けそう!
生地の柔らかさは今までで一番です。
まるでシフォンケーキのような軽やかさ、
加えて「浮島」のようなしっとりした味わいもある。
洋菓子に通じる食感と風合いですが
乳製品や油脂を含まないで
この味を出すところが
和菓子の深さ、です、
素晴らしい。
ここまではっきり「雷門」と違うタイプとは
驚き。
「同じだろう」と思い込んでましたから。
あんは
皮から溢れんばかりに挟まれ
とてもねっとりした粒あん。
豆は粒状だけど粘度が高く、ペースト風。
お豆一個ずつ「ほじほじ」、は難しいです。
豆の「団結力」が強すぎる。
・・言うなれば
「コンフィチュール」というより
「プレザーブタイプ」のジャムみたい。
・・ジャム?
―あんの材料を見て納得です。
↑クリックね、両面焼きだが白い生地は柔らかく
あんと共に焦げ目が剥がれた
白餡は大手亡、うぐいす餡が青豌豆、小豆餡は当然、小豆。
これに砂糖(と塩)、が普通の「あんの材料」。
(塩を入れないのは「雷門」も同じ)
しかし『寿』のは砂糖と「寒天」。
なるほどまさしくジャムだわ。
「ペクチン」の役目が「寒天」。さすが和菓子。
この「ふんわりしっとり」の生地に
コンフィチュール系粒あん=例「うさぎや」さんタイプ
は明らかに不向き。
この「お嬢さん風生地」には
しっかり粘りある「あん」が必要。
「皮」の材料は
小麦粉、鶏卵、砂糖、膨張剤と余計なものは一切入らない、
材料だけ見れば「雷門」と同じです。
しかし
皮の断面をみても
真ん中が大きく膨らむ「雷門」と異なり
厚さが均一で薄め。
「雷門」は厚い部分で15〜6ミリ(薄い箇所5ミリ位)
に対し
『寿』の皮は均一に薄目で7ミリ位。
気泡は細かめで繊細です。
ここで
多くの「どら焼き」に見られる「2重の層」は
『寿』には見えないし。
しかしね〜
同じ様にシンプルな材料を使って
こんなに違う『どら焼』が焼けるなんて!
・・「どら焼き」深い。
また惚れ直しますよ。
『寿』の方があんが甘めかな、と思って
糖度を測定すると
うぐいす餡が若干高いだけでした。
↑柔らかで均一な厚さの「皮」と団結力の強い「粒餡」
素人の計測ですが
「雷門」の餡の糖度Brixが
おおよそ
白餡が62.6%、うぐいす餡が62.6%、小豆餡が59.3%。
に対して
『寿』は
白餡62.0%、うぐいす餡が67.6%、小豆餡が57.9%でした。
いただいた際
「雷門」より甘めに感じるのは
皮とのバランスと皮そのものの甘さによるもの?
個人的な貧乏舌のミスジャッジか?
―でも皮の食感と分量は関係するよね。
ここで注目すべきは「保存方法」。
高温多湿を避けるのはもちろんで、
「雷門」は常温、としているけど
『寿』は「冷暗所」としている。
これは皮のしっとり感、つまり水分に因るもの?
それとも、単にそう書いてるだけなのか・・。
ちなみに
『寿』の『最中』のあんの糖度は69.5%、
小豆と砂糖に寒天と水飴が加わっているようです。
(原材料 もち粉、小豆、砂糖、寒天、水飴)
↑クリックね。『最中』は繊細な皮の表面に
うなぎの型押し
さて今回は
両方いただいて
甲乙付けがたい、というか
まったくタイプの異なる『どら焼』です。
どちらもうまい!
「雷門」が
迫力の卵風味の皮に
粒々のあん、を挟んでいただく
軽食風『どら焼』なら、
『寿』は
たっぷりのあん中心に、柔らかな薄目の皮と
そのふんわりした一体感を楽しむ『どら焼』、
といった印象です。
おみやげにして
あっちが好き、こっちもいい、と
盛り上がったり
気分に合わせて選んだり、
あるいは両方一度に
おいしいうなぎ印の『どら焼』を頬張るのは楽しい。
↑右の3つの小振りな方が『寿おがわ』
(「うさぎや」さんとは違って)
互いのお店が ごく近いから でしょうか、
(バッティングしないように・・)
修業先が違うのでしょうか?
まったく異なるタイプの
しかも、とってもおいしい『どら焼』が道一本隔てて手に入るなんて。
浅草って『江戸風菓子』の宝庫です。
まだまだすごいお店、
おいしいものがどっさり。
・・・でも2個一気はやっぱり無理だ、
いくらうまくても。
★次回予告―『浅草シリーズ第三弾』は
『大福』などです。
お店は『徳太楼』と『塩埜』、
どちらかです、うまいよっ。
※今回使用した糖度計は「ATAGO.PocketPAL-2」。
何せ素人が使っているのであくまでも目安。
(一応3回ずつ計測してるけど)
ちなみに
この4日前に私が計測した
「「雪印コンデンスミルク」はBrix約69.8%でした。
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つられてわたしも笑っちゃう〜
「えへらえへら」と笑うどら焼き。
に「えへらえへら」とだらだらとつい。
・・今回も文章長すぎて反省・・。
辛抱強くお付き合いいただいて感謝ですー。
長過ぎてとほほ・・前後編に分けるべきですよね?
いかがでしょう?
こちらこそどうもです。
サボってまだリンクしてないけど。
浅草は母方の寺があるので
子供の頃からよく行ってます。
いろんなおみやげを買ってきてもらうのも
楽しみだったし。
春菊さんも以前いらしたんですよね、
今は確か、せいこうさんが浅草では?
つくばエクスプレス!そうでしたね。
今日はこちらに遊びに来ました!この記事、昨日読んだのですが・・・究めてますね〜。
でも、こんなに美味しそうなどら焼きのお店が東京にはいろいろあっていいですね。
片っ端から食べたい気分です!
ありがとうございます。嬉しいです、コメントありがとうございます。
この回以上に記事が長いので反省してるんですが。お付き合い感謝です。
どら焼きと鯛焼きはやたら豊富な東京です、お越しの際は当サイトもちょっとだけ参考にして下さいね。何せ偏ってるので。