↑ぎりぎりの甘さが最高においしい『豆なし白大福』
いよいよ浅草シリーズも5回目。
今回も『徳太楼』(台東区浅草3丁目36-2 日休 10時〜19時)です。
●高いクオリティの和菓子屋さん
前回の
10月10日号の『きんつば』がもちろん看板商品なんですが、
予告でも書いたように
実はとても「高いクオリティを誇る和菓子」の店です。
「御赤飯」やどら焼きなども大変人気あるし、
四季折々の
今回、昼には売り切れだった『栗蒸しようかん』とか
夏の『小倉錦玉』など、さまざまな美味しい菓子があります。
そして10〜5月には豆大福も。
(これは「thetaな生活・・」のthetaさんに教えてもらった)
そして目からうろこ!の
すご〜くおいしい『豆なし大福』 (147円)。
これは1日と15日、10〜5月中の月二回のみの販売です。
つまりチャンスは年16回だけ。
1日と15日というのがいかにも浅草らしい、
「お参りの日」ですからね。
●下町と寺社「1日と15日」の理由?
なぜに、以前は「豆大福」の存在に気がつかなかったのか?
それはお寺のお参りの日にも関係してたみたいです。
え〜と個人的な行動パターンの話で恐縮ですが。
―下町気質の母は、昔から神社のお参りは1日と15日。
寺町へのお参りはお盆の7月とお彼岸。
浅草へは
1日と15日以外も、もちろん出かけているし、
あるいは売り切れの時もあったでしょうが、
とにかく「徳太楼の豆大福」に出会う確率はとっても低かったのね。
世間一般にも、縁日や神仏関係のお供えやお参りはこの日が多い。
↑クリックね、店内にも季節の香りを漂わせる
『徳太楼』も観音様の裏手の
※三業地にお店を構えているくらいだから
自らも御納めもするでしょうし、
ここらで商売する人々は
当たり前に毎月この日にお参り、お供えしたんでしょうね。
お正月は御赤飯のみの販売というところも
いかにも下町の昔からの習慣を感じさせる。
『徳太楼』のお店とその周辺には
今では少しづつ失われていく
余裕ある心持ち(習慣)が未だ健在なのです。
●目からうろこ!の『豆なしこしあん大福』
というわけで
今回はあえて『豆なしのこしあん大福』です。
タイトルに偽りありじゃないか、
「近所の和菓子屋さんの豆大福」はどうした、
と思った方(いないだろうけど)次の機会まで待っててね。
確かに
実を言うと最初はちょっとがっかりしました。
これまでの豆大福の記事にも
散々「赤豌豆あかえんどう、塩味の赤えんどう」と、
しつこく書いているように
(何せタイトルだぜ)
赤えんどう好き(塩味)ですから。
しかもどちらかと言えば粒あんファンだし。
小振りなつるん、としたきれいな白い『大福』 。
「何だか上品で物足りないな・・」が第一印象。
しかし手に取るとすでに「餅の好感触」が。
半分にして見るとすごくきれいなこしあんが形よく収まっている、
もう〜我慢できないっす。
↑きりりと締まった『こしあん大福』
―いや、おいしい。
こしあんとしては最高においしいかも。
塩加減はもう理想的。 塩大福と呼んでもいいぐらいだけど
塩大福より「うまい」
これは「豆ないほう」が多分(いや絶対)おいしいでしょう。
初めて『白大福』を食べてそう感じました。
ここで無粋にも※糖度計登場です。
だって ぎりぎりの甘さですごくおいしいって
どれくらいの糖度が調べてみたい。
前回『きんつば』で書き忘れたけど
あのさっぱりした『きんつば』の
3個の平均糖度Brix46.0%。
これは今まで計った計測可能のお菓子中
最低の糖度です。
さて
この大福の糖度はなんと!Brix43.8%
このATAGOの糖度計で計れる
ぎりぎりの低糖度です。
そうかここまで低くても技術と素材で
ぎりぎり「おいしい甘さのあん」が作れるのね。
さすが
『自家製の餡を使用する事を原則として、
それを頑なに守り』
続けてきた下町の名店ですね。
餅もこしがしっかりして抜群に良い味わい。
こしあんと餅の「味と量」のバランスも素晴らしい。
小振りと言っても62グラム。
これは岡埜系と比べると小さいけど
(「瑞穂」が前回116g、「上野駅前岡埜」が111g)
一般的には決して小さい方ではありません。
(こちらの豆大福よりは小振りだと思うけど)
浅草ではミドル級です。
↑きんつばと白大福、それぞれ技極めたり。すごい
●粋な和菓子店『徳太楼』
その程良い量感に
江戸前の握り寿司も小振りだけど
あの感覚に通じる粋、を感じました。
(でかネタって何だか・・・。)
仕事をしっかりしてある材料を
小振りに小粋に仕上げたものを
「ひょいっ」とつまんでいただく。
芸者衆に人気だった『きんつば』同様花柳界好み の
粋ですごくおいしい『こしあん大福』 。
お供えするのにもこの形が見栄えが好さそうだし。
↑クリックね、粋な縞柄。細かな意匠も洒落ていて素敵
粋な品揃えの
どのお菓子もすごい職人技を感じさせ
おいしくてリーズナブル、材料も良い。
しかも
グッドルッキングなお店で町並みとの調和も嬉しい。
意匠もどれも洒落てるし、細かいところが素敵。
こんなお店ですからお店の方も心温かい接客で気持ちよい。
こんなすごいお店そうはありません。
ここが一番好きなお店、という方も少なくない。
ほんとに近所に欲しいお店です。
あー三業地って
とってもソフィスティケイトされてたのね。
注※)三業地というのは料理屋、芸者置屋、待合の建設が許可された場所の事
注※今回使用した糖度計は「ATAGO.PocketPAL-2」。
何せ素人が使っているのであくまでも目安。
(一応3回ずつ計測してるけど)
ちなみに、この数日前に私が計測した
「雪印コンデンスミルク」はBrix約69.8%でした。
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私も普段は粒あん派なのですが、ここのは漉しあんでも頂けるのです。あの店構えのきりっとした感じにお店の信念が通っているような・・・もちろんお味にも。
浅草に行きたくなってきましたよ♪
あのこしあんは最高です。大福的にもワンオブザベスト、と思います。お店の佇まいも素晴らしいし。まさしく、きりっとしてますね。
思い出したら食べたいですよね、いってらっしゃ〜い。
包装紙と掛けてある紐の色合いが素敵です。
お江戸のデザインは粋ですね。
こしあんは結構多いのです。
一番高級で人気のある豆大福もこしあんで。
徳太楼は何かとセンスの良いお店で
参考になります。
お茶の子さんも
大人の趣味人。利休ですね。
こんにちは。
さすがはancoさん、名前の通り大福がわかってますねー、さすが。
おいしい大福って見た目が麗しいんですよね。
和菓子が相当お好きですね。
ひょっとして私の知っている群林堂のファンの方ですか?
間違っていたらごめんなさい。
通りすがりのクミコフです。
先日京橋に所用があったので
出たとこついでに銀座線で浅草まで言ってまいりました。
ふふふ…。
前日に雷門おがわさんに電話しておきました。
あの男っぷりのイイどら焼き購入です。
ご主人とのお話も楽しかったです。
今日もランチは千疋屋だというのに朝からどら焼き食べました。
ジムのメニュー増やさなきゃ…。
次回の浅草は「徳太楼」と「梅むら」の豆かんだな。
すばやい!
すごい行動力ですね、尊敬させて。
ご主人がお元気で良かった(少し前に療養されていたので)。あのどら焼きはサバイバル向きに
凄いボリュームでしょう。その食べっぷりはお気に召したんですよね?
偶然にも
昨日、千疋屋総本店前を「こんな場所で平日お茶してるのってどんな優雅な人々だろう」と
上目使いで通り過ぎ、「室町砂場」で蕎麦をたぐってきました。うまかったけど。
そうかクミコフさんもあの窓の中の方なのね。上目使い・・。
なんじゃ
この美しいこしあん大福は!
私は、粒派だけど、食べてみたい!って思っちゃいました。
しかし、月2回とは。。。
ありつくのは いつになるだろう。。。
今日のおやつは玉泉堂さんの 大福食べました〜
いい感じで解凍できます!
これはやはり貴重な2日をねらって浅草まで出かけなければなりませんね。
でしょ、でしょう。これは名品ですよ、ほんとに。久々に美しく感動したっす。あんの種別を完全に超えてるのよ。玉泉堂は冷凍向きだったのか、良かった良かった。
★kozueさん
これはね、行かないとあきまへん。(あれ何で関西弁やねん)ていうぐらい、ねちねちと深くお薦めできます。白大福の名品です。最初がこの大福ならきっと「こしあんラバー」でした。あ、明日15日ですよー。