↑とてもくっきりした「赤えん豆」の大福
●レアな『豆大福』
人々は『限定』とか、これで『最後』とかにやたら弱い。
ついつい限定品、と聞くと列作ったりしますよね。
で、列があるとまた人々は並び、
入手困難だとまた人が集まる。
そんな人間の購買心理をうまく利用した
セールスプロモは今日も各地で繰り広げられる・・・
な〜んて事とは まったく無関係に、
浅草の御菓子司
『塩埜』では月2回だけ『豆大福』を作っています。
ここの豆大福はやはり前回の「徳太楼」と同様に
「1日と15日の月2回」だけの
言うなれば『レアもの』です。
知る人はそう多くないけど数も作らないらしい。
「手に入らずに残念」とか「幻の」という声も聞かれます。
お昼くらいなら入手出来たけれど午後遅めは?。
●四季の美=粋なセールスプロモーションだった?
『塩埜』(台東区浅草3-28-9 不定休9時〜19時)
は明治43年創業の老舗和菓子店。
浅草的な例えば『仲見世』などとは
少し雰囲気の異なる、落ち着きのある御菓子司です。
場所が「馬道の北」とやや外れているせいか、
知る人ぞ知る銘店、という形容詞がぴったりかも。
この辺はかつての「猿若町」
に隣接する役者さんも多い町でしたが。
観音様=金龍山浅草寺はもちろん、三社様(浅草神社)、
や待乳山の聖天さん、と
浅草の寺社の御用達の御菓子司として
とても高いクオリティの和菓子を作り続けています。
↑小綺麗な店構えの中に『浅草神社御用達』の看板も。
殊に、お店の東にある待乳山聖天さんは
昔からの有名景勝地(墨提から向島へ)でしたから
特に創業時には『四季折々のこと』は重要な
粋で風雅な販売促進のツールだったと想像できます。
現在のお店も
お茶席でデモンストレーションなども行うなど
上質な菓子司ながら楽しい姿勢があります。
●「身土不二」&「地産地消」の和菓子
現在の四代目もまた、和菓子に対する真摯な姿勢を受け継ぎ
とても『旬』と日本の風土という点にこだわっているようです。
↑クリックね、薯蕷饅頭。お月見の風景がこのミニマムに
台東区のグルメページ
で見つけたお話が素敵なのでちょっと抜き書きすると、
「和菓子は、日本の風土に合わせて作ってきた独特のもので、
日本で産する穀物などだけで出来るものですが、
うちでは、例えば草もち、桜もち、かしわもちなどのように、
季節に合わせて作っています。
「のぼり鮎」も、アユ漁が解禁にならないと作りません」
と言うことです。
今の時期なら「栗蒸し羊羹」も人気です
今回も売り切れでしたから。
添加物、保存料を使わないのはもちろん
心象的に「四季折々の風土の移ろい」を映していきながら
実践では旬の素材を大切に取り入れている、
まさに和菓子本来の「身土不二」と「地産地消」
を実践しているお店なのだと思います。
そうなんです、
あんころりん的には和菓子って
「おいしい精神的マクロビオティック」だ
と思ってるんですが。
まあ誰も賛成しないでしょうけど・・砂糖使ってるから。
あらまた横道へ。
●『豆大福』謎の粒あんと「豆かん級」の赤えん豆
↑濃い色の粒あんで小豆も見える、断面悪いのは撮影側のせいです
さて『豆大福』です。寺社との関係も深いお店ですから
前回10月13日の『徳太楼』で述べたようにお参りの関係で
1日と15日のみ、なんでしょうか。
小振りな餅に濃く深い色の赤えん豆がころころと顔を出している。
見た感じは「くっきり素敵な水玉模様」。
実はこの
「はっきりした色合い」が『塩埜の豆大福』の魅力です。
そう、中の『粒あん』も最近では非主流の濃い色なんです。
この頃は淡い色合いのあんが主流になっています。
色そのものの上品な印象と
ていねいに「あく抜きしてる」はず=おいしい、
の図式があるんでしょうか?
特にこしあんは「呉」(皮以外)だけをあんにするから。
(野菜なんかはアクも味のうちですが)
しかし『塩埜』のこの粒あんは濃い色合いで
しかもさっぱりと品良い味わい。
アクなんてもちろん感じないし。
貧乏舌なので、計器の力も借りると
やはり※糖度はBrix52.7%と控えめです。
(どら焼きなどはおしなべて60%前後〜70%です)
以前、計った『瑞穂』(ぱくつける甘さ)でもBrix57.2%だった。
―何故この色合いで「この味」なのかとっても不思議です。
↑クリックね、画像悪いけど本当はうまいよ
そして
赤豌豆(えん豆)がすごい。
今回の浅草では、
やたら今までの印象がくつがえるんだけど
これはあまり塩っぽくないの。
すごーくしっかりして「梅むらの豆かんか?」という印象。
こつこつした豆とお餅の粘りが
対照的で新鮮なおいしさです。
小振りなのでこの「赤えん豆」がすごく楽しめます。
あ、体重はとてもマイティ。2個の平均が58gです。
えーと、、お餅はですね。
30度超えの暑さでちょっと搬送(車中)に問題あり。
(丁寧な手によるビニール包装)
最初べたついてしまい、ぎょっ、としたんですが、
いただくと、腰がありしかも粘りのある餅です。
かなりちゃんと搗いてる気がする。
画像が悪いのは下手っぴだから。
『豆大福』には何の責任もないぞ。
貧乏舌が信用出来ない方は召し上がってみて下さい。
↑美味な薯蕷饅頭、こしあんは淡い色合い
それから
厳選した小豆で丹念に練り上げるというこしあんの
薯蕷饅頭(231円)は大変おいしいものでした。
豆大福と共に、軽〜くいけます。
こちらの色は一般的なこしあんの色合いでした。
ちなみこちらの※糖度がBrix53,7%ですから。
何、体重も知りたい?
いいすよ、身軽だから。49gのジュニアミドル級です。
身軽で粋が浅草猿若町の味ってさ。
地名変えるなよ。
注※今回使用した糖度計は「ATAGO.PocketPAL-2」。
何せ素人が使っているのであくまでも目安。
(一応3回ずつ計測してるけど)
ちなみに、この数日前に私が計測した
「雪印コンデンスミルク」はBrix約69.8%でした。
【豆大福の最新記事】
- 神田亀澤堂の “美味しいつぶあん”と苺大福
- 福田屋煎餅店 豆大福と黒豆なまこ餅 新栗おこわ
- 赤羽 伊勢屋 傍若無人にデカイ豆大福 だんご
- 本日スタート!新連載「あんころろん」〜内田春菊の“大人のための和菓子ラブ”
- ゑびすや本店の豆大福、大きな“はまぐり最中”
- 聖蹟桜ヶ丘 和菓子処花鳥風月の 豆大福とおはぎ
- 仙川 餡の輪で豆大福、草餅、甘夏大福〜餅米の朝生菓子
- 鎌倉で復活した初祖 岡埜栄泉総本舗
- 2007年“七つの味”を振り返って
あの豆大福,きみしぐれ,焼きだんご・・・
.. - とろ〜り焼き立て団子&ショート福餅選手
志むらでぴんっ!とあん団子 - 南青山裏通りで黒米おはぎと草餅
WAGASHIまめの“粒あん”っぷり - 速報!豆大福の春限定発見!
新旧対決?花園饅頭と成城あんや - もっちり〜出町ふたばの「豆餅」
トラックバックって何? - 福は!内、大福はもっと内
大豆の豆大福「神田亀澤堂」 - 『心庵梅むら』前編◇まずは『豆大福』
- 浅草シリーズ第6弾◇
『龍昇亭西むら』の栗むし羊かんと豆大福―後編 - 浅草シリーズ第四弾◇『徳太楼の豆なし大福』は月二回のうまさ。
- 上野の豆大福その5―続『岡埜栄泉』そろい踏み‐「谷中、駅前、広小路」
- 上野の豆大福その4―『岡埜栄泉』そろい踏み‐「谷中、駅前、広小路」
- 創業150年のこしの強さ『初祖 岡埜栄泉総本舗』 ―上野の豆大福その3
つぶあん 好きのわたしにとっては、とても魅力的!
確かに淡い色合いのこしあんは上品ですね!
貧乏舌?のわたしは はっきりした色合いのつぶあん!まさしくこれ!が好物。
食べたい!食べたい!
実は昨日抜歯をして、顔がハレハレです。
噛むこともままならないのですが・・・・
大福だけは食べています!
え〜大丈夫ですか?親知らずとか?
しかしその状態で大福だけは食べてるって。
見上げた根性です。見習わなくては。
ここのは色が濃いけど後味すっきりで
凄いな〜不思議だな、ってかんじです。
1日か15日に行けば徳太楼と両方
手に入ります。(忘れてたけど徳太楼の豆大福はこの日はお休みなので)。
豆大福おいしそう〜♪♪
やはりえん豆がうまそう。
それにしてもいつも思うのですが写真が素晴らしいですね。
「おがわのどら焼き」の時もホントおいしそうに映ってました。
かなり凝って写してらっしゃいますよね。
あんころりんさんやっぱりただ者ではなさそうですね(笑)
一年中イチゴショートやモンブラン売っているケーキ屋さんにはわかるまい(好きだけど)
あんころりんさんの記事が、お写真の和菓子のみなさん(?)が、「お前も浅草へ来い〜」とわたしを誘うー。たすけてー。
ありがとうございます。
なんか無理矢理、和菓子サイトに呼んだみたいで・・てへへ。画像が気に入っていただけたらとても嬉しいです。特別な事はしてないんですが。
カメラも貰い物で。エロスの神?「待乳山の聖天さん」のおかげかも。
★kozueさん
そうそう、ほんとに素敵ですよね。私たちも旬のものをちゃんと欲する「真面目なからだ」作らんといかんのだが。
未だにキュウリとトマト食ってるようでは・・とほ。そういえば以前は苺ショートも5月の女王さまだったのにね。頑張れ和菓子さん。
観音さまと聖天さんも呼んでるよ〜、お酉様もそろそろですよ。助けなーい。